日ノ本の歴史 始まりの話

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幕間2 国防の課題

国防の課題 国軍の編成、軍団設置と崩壊

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 中世の軍団編成は、「租庸調」の庸に求められる労務の先にあった。

 庸の本質は、21~60歳までの男子に適用される労役として、大規模土木事業への参加にある。大規模土木事業は、墾田開発事業であった。墾田を国家事業として開発し、労役についた正丁に班田を授けることで、大規模な人員動員と維持が可能となる。725年に畿内ヤマトは50万の人口を抱え、大規模な労役に参加可能な人員は、10万人ほどであったと推定される。これが、軍団の総力と推定される。後方支援等もあることから、戦闘に動員することが可能な人員が、3万人程度ということになる。これは、725年から800年の人口推移からの推定である。

 軍役を軍団として機能させるためには、報償を必要とする。軍役に対する報償が、班田の収受であった。開墾した土地を与えることで、軍役に対する報償とする、これが中世の日本における軍制であった。
 大規模土木事業による新田開発が、順調に成功することで、畿内ヤマトの王権を確立させたのは事実である。陸奥から薩摩まで日本六十余州に国府を設置し、国分寺を建立したのは、畿内ヤマト政権が「国号・国体」を確立した結果である。





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 軍というのは、金食い虫である。万の軍団を編成し、支援体制を含めて万単位で用意する。このような軍務体制が可能なのは、大規模墾田活動が推進され、成功している間だけである。

 墾田の頓挫や、水害等の被害を受けることで、軍団の維持管理能力は、急速に低下していくこととなる。国家による土木事業として、新田開発が上手くいかなくなり、班田が与えられなければ、軍役はただの労役となり、士気や規律を維持することが困難となる。
 特に、白村江の敗戦によって、半島の百済王国滅亡が確定したことで、亡命者の受け入れや、九州への防備強化を実行することとなった。防人は、対馬や壱岐に人員が動員されているが、自弁での辺境警備は、送られる側にとっては、あまりにも救いようの無い労役となる。士気は最低となり、国境警備そのものが困難になっていく。
 九州では、大宰府を中心として、全国からの徴兵ではなく、地元からの徴兵による防衛体制確立が実行されている。

 日本の場合、軍団編成が確立した頃には、既に崩壊を始めていたということになる。

 弥生から古墳までに全国制覇を達成し、圧倒的な軍事強国を築いた畿内ヤマトの体制は、8世紀後半には、瓦解を始めていて、9世紀には崩壊してしまった。





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 圧倒的な軍事強国の下で、一家一門による私的な墾田開発が実行され、私有地が生じて、初期荘園が形成されていく。国家による軍事制度が崩壊していく中で、無法地帯となっていく各地域では、新たな荘園領主達による利権争いが激化していくこととなる。

「墾田永年私財法」で、私的な墾田開発を、国司によって認定することで、許認可制度としている。

 許認可を国司が行うことで、墾田開発が認められ、私有財産を形成することができる。

 武士が生まれたのは、墾田開発を国司に認められた家が、軍団が解体される中、武装する武家となったことで生まれたのである。

 初期の武士にとって重要であったのは、「国号・国体」によって、領域所有を認められることにあった。

 公的な土木事業によって、労務を提供した軍団は消滅していって、各地に領地を獲得していった荘園領主が、無法地帯となった地域で武装することで、新たな利権争いが全国に展開されていくことになる。
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