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歴史if
歴史if 日ノ本における肉食妻帯考
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日本の宗教が、他国と異なるのは、男女の契りに関することではないかと思う。日本では、イザナギ、イザナミの契りから破局、山幸彦と豊玉姫の契りと破局、妹玉依姫との復縁。男女の規約は、最上位に置かれている。裏切りについても、男が禁を破ることによる破局が良く伝えられている。昔話に伝わる「夕鶴」もまた、男が禁を破る話である。
繰り返し、語られるように、この世に男と女が居て、契り語られることは多く、自然なる営みであった。
日本では、仏教を主とする国の中でも、戒律が緩い国といわれる。他国と異なる例としては、他宗教への寛容さと、肉食妻帯の禁が、禁と呼べぬところだと言われる。
妻帯について、禁止されている宗派もあるが、僧侶が愛する人を持ってはならぬ、ということではない。「安珍と清姫の伝承」に悲劇とされるように、男女の性愛に関わることで、嘘を吐き裏切りを働くことは、日本では人を祟り神にしてしまう行為となってしまう。
昔話ではあるけれど、日本では良く知られた話であり、繰り返し伝えられる話でもある。男女の契りの中で、嘘を吐き約定を破ることは、いかなるモノであっても許されない行為とされている。
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十七条の憲法で、
「和を以って貴しと為す」
が最上位となるのは、男女の契りに関しても、和を必要とするからであろう。
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日本では、妻帯を容認すること、肉食を容認することが、宗教の寛容性に必要とされるのは、情愛に関する行為や想念に関することである。情愛や想念は、善きことにも悪しきことにもなるが、情愛や想念そのものを否定してはならない。情愛や想念の否定は、人の心を否定する行為となる。神話から昔話に至るまで、情愛や想念を否定しないことが、日本における最上位に来る規約であったのだ。
「つまりは、戒律を曲げよと仰れるか」
「戒律は曲げませぬ。仏法の五戒では、不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒となっております。されど、薬膳に御酒は許され、男女の交わり無くば、命も芽生えませぬ」
「それを戒め修めるのが、修行にございます」
「不邪淫の言葉は、邪な淫らさを禁ずるモノであって、淫らを禁じるモノではないと思いますが、上人様」
「それは、受戒をする前なればのこと、受戒して後ではない」
「上人、妾は父と共に、上人が下で受戒を受けた後、子を生しております。それを破戒としますか。血を受け継ぐは、母となる女の務めでございましょう。妾は、決して邪なる淫欲にふけったわけではありませぬ」
「相手は、いかがなされたのじゃ」
「北の対屋に、光を通さぬ戒廊を設けて、地位も名も捨てて、俗世の柵を断ち切りて、妾の下へ参った受戒僧にございます」
「そ、それは、、、」
女犯とは、受戒を受けた僧にとっては罪となる。
「妾が聞きたいのは、“僧侶が、男女の契りを交わすことが、成仏を妨げるのか”ということじゃ。山に籠り、精進潔斎をなして、尚、仏の道に還れぬかどうかじゃ」
「還れぬとなれば」
「寂滅をもって、仏に近づくと」
「還俗させることは」
「できぬ、妾と子を生したのじゃ。俗世に戻しては、皆が迷惑する、俗世には戻せぬ」
「男女の契りであり、子を生すということであれば、認めねばならぬでしょうな」
「のぉ、上人殿。この日ノ本では、男女の契りは秘すモノではあっても、疚しいモノではない、子を育む体は、神聖なるモノじゃ。修行の期間であれば、男女の契りには禁忌となろうが、修行を終えた後であれば、黙認しては貰えぬか」
しばらく、考え込むようにしていたが、上人は、
「この目は、かなり悪うなっておる故、神聖なる男女の契りであれば、この瞳に移ることはあるまい」
「忝い。ほんに、この通りじゃ」
上人様の前に、指をつきて、頭を下げたのでありました。
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上人様が、日本に初めて、戒律を定めて、戒壇と受戒が始まった。
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日本の国家仏教として、国分寺の建立が全国におよび、戒律が伝えられていった。
国府の設置、国分寺の建立、「古事記」「日本書紀」の編纂、各地域での「風土記」の編纂が実行された。「古事記」は万葉仮名の記述であり、「日本書紀」は漢文による記述となる。漢字を国字として確立し、各地での伝承記録まで、漢字を使うと規定したことで、日本中で同じ記録方法を有していった。
国分寺には、文字を地方へと伝え、浸透させる役目を持った、地方の教育機関でもあった。国分寺によって、日本の識字率は向上し、一般庶民にまで、文字文化が浸透して言ったのである。つまりは、日本の識字率は、昔から高かったということになる。
戒壇と戒律には、国分寺の僧侶に対して、権威付けるという意味合いもあった。
日本における戒律は変遷し、薬膳としてであれば、肉食や飲酒が認められ、精進潔斎の修行中でなければ、男女の契りを認めるという流れとなっていったのである。国分寺の役目が、仏教がどうこうという以上に、漢字という国字を浸透させることや、地方官僚および子息の文書作成能力による育成が重要であったということになる。
男女の契りは、秘すモノなれど、神聖なるモノでもある。
日本では、戒律として妻帯が認められていないものの、妻子や夫子の居る僧侶が存在し、黙認もしくは戒律上許される宗派が登場した理由でもある。宗派の継続という意味でも、日本では、子々孫々へ伝承される、血族の流れを断絶するという考え方は、建前にはできても実質は得られなかったということになる。
日ノ本では、男女の契りは、習慣法の中でも、最上の記載ということになる。歴史ifとして、女帝と配偶者の規定が作られ、戒律が黙認されたのも、天平の風が吹く頃ということになります。
繰り返し、語られるように、この世に男と女が居て、契り語られることは多く、自然なる営みであった。
日本では、仏教を主とする国の中でも、戒律が緩い国といわれる。他国と異なる例としては、他宗教への寛容さと、肉食妻帯の禁が、禁と呼べぬところだと言われる。
妻帯について、禁止されている宗派もあるが、僧侶が愛する人を持ってはならぬ、ということではない。「安珍と清姫の伝承」に悲劇とされるように、男女の性愛に関わることで、嘘を吐き裏切りを働くことは、日本では人を祟り神にしてしまう行為となってしまう。
昔話ではあるけれど、日本では良く知られた話であり、繰り返し伝えられる話でもある。男女の契りの中で、嘘を吐き約定を破ることは、いかなるモノであっても許されない行為とされている。
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十七条の憲法で、
「和を以って貴しと為す」
が最上位となるのは、男女の契りに関しても、和を必要とするからであろう。
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日本では、妻帯を容認すること、肉食を容認することが、宗教の寛容性に必要とされるのは、情愛に関する行為や想念に関することである。情愛や想念は、善きことにも悪しきことにもなるが、情愛や想念そのものを否定してはならない。情愛や想念の否定は、人の心を否定する行為となる。神話から昔話に至るまで、情愛や想念を否定しないことが、日本における最上位に来る規約であったのだ。
「つまりは、戒律を曲げよと仰れるか」
「戒律は曲げませぬ。仏法の五戒では、不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒となっております。されど、薬膳に御酒は許され、男女の交わり無くば、命も芽生えませぬ」
「それを戒め修めるのが、修行にございます」
「不邪淫の言葉は、邪な淫らさを禁ずるモノであって、淫らを禁じるモノではないと思いますが、上人様」
「それは、受戒をする前なればのこと、受戒して後ではない」
「上人、妾は父と共に、上人が下で受戒を受けた後、子を生しております。それを破戒としますか。血を受け継ぐは、母となる女の務めでございましょう。妾は、決して邪なる淫欲にふけったわけではありませぬ」
「相手は、いかがなされたのじゃ」
「北の対屋に、光を通さぬ戒廊を設けて、地位も名も捨てて、俗世の柵を断ち切りて、妾の下へ参った受戒僧にございます」
「そ、それは、、、」
女犯とは、受戒を受けた僧にとっては罪となる。
「妾が聞きたいのは、“僧侶が、男女の契りを交わすことが、成仏を妨げるのか”ということじゃ。山に籠り、精進潔斎をなして、尚、仏の道に還れぬかどうかじゃ」
「還れぬとなれば」
「寂滅をもって、仏に近づくと」
「還俗させることは」
「できぬ、妾と子を生したのじゃ。俗世に戻しては、皆が迷惑する、俗世には戻せぬ」
「男女の契りであり、子を生すということであれば、認めねばならぬでしょうな」
「のぉ、上人殿。この日ノ本では、男女の契りは秘すモノではあっても、疚しいモノではない、子を育む体は、神聖なるモノじゃ。修行の期間であれば、男女の契りには禁忌となろうが、修行を終えた後であれば、黙認しては貰えぬか」
しばらく、考え込むようにしていたが、上人は、
「この目は、かなり悪うなっておる故、神聖なる男女の契りであれば、この瞳に移ることはあるまい」
「忝い。ほんに、この通りじゃ」
上人様の前に、指をつきて、頭を下げたのでありました。
<<<<<>>>>>
上人様が、日本に初めて、戒律を定めて、戒壇と受戒が始まった。
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日本の国家仏教として、国分寺の建立が全国におよび、戒律が伝えられていった。
国府の設置、国分寺の建立、「古事記」「日本書紀」の編纂、各地域での「風土記」の編纂が実行された。「古事記」は万葉仮名の記述であり、「日本書紀」は漢文による記述となる。漢字を国字として確立し、各地での伝承記録まで、漢字を使うと規定したことで、日本中で同じ記録方法を有していった。
国分寺には、文字を地方へと伝え、浸透させる役目を持った、地方の教育機関でもあった。国分寺によって、日本の識字率は向上し、一般庶民にまで、文字文化が浸透して言ったのである。つまりは、日本の識字率は、昔から高かったということになる。
戒壇と戒律には、国分寺の僧侶に対して、権威付けるという意味合いもあった。
日本における戒律は変遷し、薬膳としてであれば、肉食や飲酒が認められ、精進潔斎の修行中でなければ、男女の契りを認めるという流れとなっていったのである。国分寺の役目が、仏教がどうこうという以上に、漢字という国字を浸透させることや、地方官僚および子息の文書作成能力による育成が重要であったということになる。
男女の契りは、秘すモノなれど、神聖なるモノでもある。
日本では、戒律として妻帯が認められていないものの、妻子や夫子の居る僧侶が存在し、黙認もしくは戒律上許される宗派が登場した理由でもある。宗派の継続という意味でも、日本では、子々孫々へ伝承される、血族の流れを断絶するという考え方は、建前にはできても実質は得られなかったということになる。
日ノ本では、男女の契りは、習慣法の中でも、最上の記載ということになる。歴史ifとして、女帝と配偶者の規定が作られ、戒律が黙認されたのも、天平の風が吹く頃ということになります。
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