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1章 スタートダッシュ
卵発見?!
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あれからさらに索敵と戦闘を繰り返し、追加で7匹のダンジョンボアを倒した。
これで、合計の討伐数は10匹になった。
依頼を受けていた5匹の倍だ。
張り切りすぎたかもしれないな。
そのついでにダンジョンラビットを10匹も倒した。
矢は、あれから20本失い残りは、37本になった。
かなり減ったなぁ。
まぁ、1戦闘ごとに平均で1本から2本減っていったからな。
一番ひどいときは、5本撃って1本しか回収されなかったな。
まぁ、楽しく狩りができたから良いかな。
かなり楽しい狩りだったな。
俺は今、狩りを終え一休みしている。
獲得素材はどんな感じかな。
俺は、メニューからインフォメーションを開き、ダンジョンに入ってからの狩りの累計のリザルトを確認した。
ダンジョンボア×10匹、ダンジョンラビット×12羽を討伐しました。
獲得素材:猪肉×10、兎革×12
経験値を獲得しました。
レベルが2上昇しました。
NPを10獲得しました。
SPを20獲得しました。
職業レベルが2上がりました。
HPが1上昇しました。
INTが2上昇しました
MNDが1上昇しました
スキル、『簡易鑑定』がレベルアップしました。
スキル、『弓術』が2レベルアップしました。
スキル『1.物理冒険者の心得』が2レベルアップしました。
スキル、『疲労耐性』がレベルアップしました。
こう見ると、かなり頑張ったな。
ただ夢中に、楽しく戦闘をしていただけだけど、思っていたよりも成長しているな。
よくやった俺。
そういえば、ダンジョンボアを倒していくうちにレベルが上がったんだったな。
レベルが上がることで手に入った、SPは全部HPに、NPはSTRとDEXに2、AGIに1割り振っておいた。
ダメージを少しでも上げるためのNPの割り振りをした。
スキルもいろいろレベルが上がった。
採取と疲労耐性がレベル2、それ以外の3つがレベル3ということになった。
採取のレベルも上げたいな。
戦闘は全力で楽しんだから、ここからは採取の方を楽しもうかな。
ダンジョン草とかなら、ギルドに持って行きさえすれば依頼にしてくれるもんな。
ランクアップのためにも素材採取はやっておいた方が良いだろう。
よし、じゃあ、次は戦闘ではなくダンジョン草の採取をやろう。
どうしよう、2層のどこにダンジョン草があるのか分からないな。
とりあえず地図を開いてみるか。
俺は、そう思ってメニューからとりあえず地図を開いた。
開いた2層の地図には、俺が移動した場所だけ表示されていた。
それ以外の場所灰色になっている。
まぁ、そういうものだからな。
こう見ると、かなりの範囲を移動したんだな。
と言うか、くねくね動きすぎじゃないかな。
もっと綺麗に地図で書き出されていると思ったら、くねくねと進んだ場所だけ書かれていた。
ここは表示されているのにここは表示されていないみたいな場所が多くあった。
これはあれだな、売店で売っている地図を買った方が良いやつだな。
あれってかなり良い物だったんだな。
2層の地図を見てそう思った。
2層の地図には、植物の採取ポイントも書いてない。
買った地図ではないから。
地図もダメか。
じゃあ、地道に探してみるかぁ。
そう思いながら俺はぶらぶらと散歩感覚で歩いた。
すると、割とすぐにダンジョン草の群生地を見つけた。
こんな近くにあったんだな。
今までは戦闘に夢中で足下を見ていなかったのかもな。
まぁ、何かに夢中になると他のものが見えなくなるもんだよな。
よし、じゃあ早速採取をしていくか。
そう思って、採取に取りかかろうとしたときに、前回ダンジョンに潜ったときの反省を思い出して唱えた。
「索敵」
安全確保は大切だよな。
よし、だいたい半径200mには敵はいない。
ある程度定期的に索敵をしながら、採取を取ることにしよう。
そう思いながら、採取を始めた。
何度目かの索敵を行い、安全を確認してから採取作業に戻った。
それから割とすぐにアナウンスがなった。
スキル『採取』のレベルが上がりました。
やっと、採取のレベルが上がったようだ。
これで初期から持っていたスキルは全てレベル3に上がったな。
よし区切りも良いし、ここで採取は終わりにするか。
じゃあ、成果を確認しよう。
そう思って、ストレージの中を見ると、ダンジョン草の束が20束入っていた。
そんなに採取していたかな。
まぁ、ストレージに入っているということはそんだけ採取をしていたということなんだろうな。
これだけダンジョン草があれば、依頼として良い感じに処理してくれるだろう。
いつもの受付のお姉さんが。
じゃあ、次は何をしようかな。
また戦闘を使用かな。
それともダンジョン草以外の採取をしてみようかな。
もしくは、依頼も終わったし、ダンジョン草の採取も終わったから、ギルドに戻って達成報告をしようかな。それで金を増やして装備更新とか、ギルドランクアップとかそういうのをやろうかな。
どうしようかな。
もう少し戦いたいという気持ちもある。
新しい素材を採取してみたいという気持ちもある。
一度ギルドに戻って買い物とか手続きとかいろいろしたいという気持ちもある。
どうしようかな。
どれがいいんだろうか。
そんなことを考えながらとりあえずぷらぷらと散歩している。
歩きながら、地面を見たり空を見上げたりしつつ考え事をしていると、ふと地面に落ちた鳥の巣のようなものを見つけた。
何だろうこれと思いながら落ちた鳥の巣のようなものに近づく。
近づいていくと鳥の巣が壊れているのが分かった。
落ちてぺしゃんこになっているみたいだ。
木の上から落ちちゃったのかな。
さらに近づき、鳥の巣の目の前に腰を下ろす。
鳥の巣の中にはいくつかの割れた卵が入っていた。
かわいそうに。
大丈夫な卵はないものかな?
そう思って軽く探すと、いくつかの卵の奥に、無傷の卵を発見した。
顔ぐらいのサイズの卵が1つ無傷であった。
これだけ、割れた卵に比べて2周りぐらい大きいんだけどどうしてだろう。
あれかな?
親が、他の鳥の巣に卵を産み付けるタイプの鳥だったのかな。もしくは、鳥じゃなくては虫類とかそういうやつなのかな。
見つけたけどどうしよう。
俺が育てる?
そもそも何の卵かすら分からないのに?
まぁ、ギルドで聞けば何の卵かは分かるだろう。
動物かぁ。
現実だと飼ったことないな。
なんとなく飼ってみたいとは思っていたけど、命に責任が持てないから飼えないんだよな。
ゲームでなら、飼えるんじゃないかな。
相棒として一緒に冒険したり出来るんじゃないかな。
何か飼いたくなってきた。
よし、こいつを孵化させて、俺が育てよう。
ゲームなんだしこのぐらいのことをしても良いよな。
このゲームにはかなりの時間ログインできるはずだし。
じゃあ、とりあえずギルドに持って行って、育て方を教えてもらおう。
初期選択の職業にテイマーとかがあったし、育て方を教えてくれるだろう。
じゃあ、持って行くために、とりあえず卵だからストレージに入るかな。
そう思い俺は卵を拾い上げてストレージに入れようとした。
入れようとしたのだがうまく入らない。
もしかしてバグ?
そう思いながら何度も試したけど、ストレージに入れることは出来ないようだ。
もしかしたら命あるものは入れられないみたいな制約があるのかな。
そうだとしたら、どうやってこれを運べば良いんだろう。
手で抱えて運ぶか?
でも、道中で敵に会ったときまともな攻撃手段を失ってしまう。
じゃあ、手以外で運ぶとしたら何かあるかな。
俺は、目に付いたバックに入るか試してみた。
バックの方も入らないみたいだ。
ストレージ系のものには入らないのかな。
こうなったら仕方がない。
抱えて飼えるしかないのかな。
でも、どうやって道中敵に会わないようにしようか。
それが解決しないと、俺もこいつもやられてしまうよな。
運んでいる途中に敵に襲われて、卵が割れちゃったとかになったら立ち直れないかもしれない。
どうしたもんかな。
そうだ。
歩きながら常に索敵をし続ければ、敵を避けながらギルドまで行くことが出来るんじゃないかな。
索敵には、手を使う必要がないから、両手で大切に持つことも出来る。
よし、これなら行けるんじゃないか。
俺はとりあえずつぶやいた。
「索敵」
とりあえずまず、今俺の近くに敵はいないようだ。
最悪敵が近くにいたら、卵をそっと下ろして遠距離から矢を放てばどうにかなるだろう。
そう思うと、途端に簡単な任務に思えてきた。
楽勝なんじゃない?
そう思いながら進もうとしたところで、1つ気づいたことがある。
俺、帰り道を知らない。
地図を見ながらじゃないと帰れない。
地図を見て周りを経過して、卵に気を配りながら帰る。
これは、マルチタスクすぎるんじゃないかな。
さすがに俺の頭では全てのことを同時に行うのは難しい。
最優先にするべきは卵の安全、その後に確実にギルドに帰ること。
そうなると、周囲への警戒が少し弱まってしまうんじゃないかな。
大丈夫かな。
とりあえず、まず地図を開くか。
俺は手を使って動かせないので、念じてメニューを開き、念じて地図を開いた。
不安に思っていても始まらないから、とりあえずギルドを目指して動きだそう。
俺は、不安をかき消すぐらいのやる気を出して歩き出した。
とりあえず1層に出るまで何分かかるだろうか。
それは、どれだけ敵に遭遇するか、回避して迂回した結果どうなるかにかなり依存しそうだな。
俺の予想では、1層に出るまでに3匹4匹は索敵範囲にダンジョンボアが入ってくるような気がするなぁ。
今までのエンカウント率的に。
俺は、慎重に様々な事を意識しながら進んでいく。
敵のエンカウントがどうしようもないときは、卵の負担にならないような場所にそっと卵を置いて、弓を速射で放ちまくり敵を倒した。
結果、1層から来たときのゲートに戻るまでに2匹のダンジョンボアを倒し、4匹のダンジョンボアを避けた。
かなりのエンカウント率だな。
このエンカウント率が、行きに来てくれれば良かったんだけどな。
何でこうも間が悪いんだろうなぁ。
そう思いながら、1層へ向かうゲートをくぐった。
これで全体の3分の1をクリアしたな。
と言うか、まだ3分の1なのか。
まだ3分の1なの?!
頑張るしかないかぁ。
こいつを孵化させて育てるためには、今は踏ん張るしかない。
そう思っていると、視界が切り替わり1層になった。
ふぅ、ここからまた気合いを入れていきますか。
そう思いながら卵をぎゅっと抱きしめた。
俺は、ダンジョンの外を目指して歩き出した。
もちろん卵の負担にならないような速度で、卵の負担にならないように振動を抑えめで。
なんか分からないけど卵を運ぶこと自体が楽しくなってきた。
なんとなく、こいつをギルドまで持って行って、育て方を教えてもらうということよりも、真剣に卵を運ぶということが目的になってきた気がする。
まぁ、こいつを無事に運べれば、今俺が何を目的とし出しているのかなんてどうでも良いことだな。
どんな目的でも結果は同じなんだし。
そう思いながら歩く。
もちろん今も定期的に「索敵」とつぶやいている。
端から見たら、真剣に卵を抱えて、定期的に「索敵」とつぶやいているやばいやつだろうな。
まぁ、今のところプレイヤーにはエンカウントしていないから大丈夫だろうけど。
そんなことを考えていると、町の南のゲートにつながるゲートまで来れた。
俺は、今回のダンジョン探索最後のつぶやきをした。
「索敵」
よし、敵はいないみたいだ。
後は外に出て、町まで行くだけだな。
そう思いながらゲートをくぐる。
視界が切り替わると、ダンジョンから出ていた。
ここからは、人に気をつけなければ行けない。
間違ってぶつかってしまう人、卵を持っているとみて絡んでくる人、卵を狙ってくる人、どんな人がいるか分かったものではないからな。
こいつをきちんと守りながら、ギルドまで行かなくてはいけない。
ギルドまで行かないと、この卵をどうしていいのか分からないからな。
そう思いながら、町を目指して歩く。
卵を抱えて真剣に歩いている人が珍しいのか、好奇の視線にさらされながらも耐えて歩く。
ようやく町まで来た。
そういえば、門番みたいな兵士達に止められないかな。
大丈夫かな。
ダンジョンから持ち込んだ卵を抱えている人。
真剣に卵を抱きかかえている人。
明らかに不審者だよな。
不安になりながら、城門をくぐる。
時に引き留められることも、何かを言われることもなく、城門を突破できた。
後は、ギルドに行くだけだな。
ここまで来たらミスすることはないだろう。
まぁ、ここで気を抜いて卵を落とすなんて事をしないためにもある程度、気を引き締める必要はあるな。
俺は、気合いを入れ直してギルドへと向かった。
一応町中でも、つぶやいた。
「索敵」
敵対的な反応は出なかった。
少なくとも今、俺に敵対しようとしている人はこの町にはいないらしい。
ようやくギルドにたどり着いた。
いろんな事に気を配りすぎて、正直疲労困憊だ。
でも、卵のためならもう少し頑張れる。
そう思いながらギルドへと入っていった。
これで、合計の討伐数は10匹になった。
依頼を受けていた5匹の倍だ。
張り切りすぎたかもしれないな。
そのついでにダンジョンラビットを10匹も倒した。
矢は、あれから20本失い残りは、37本になった。
かなり減ったなぁ。
まぁ、1戦闘ごとに平均で1本から2本減っていったからな。
一番ひどいときは、5本撃って1本しか回収されなかったな。
まぁ、楽しく狩りができたから良いかな。
かなり楽しい狩りだったな。
俺は今、狩りを終え一休みしている。
獲得素材はどんな感じかな。
俺は、メニューからインフォメーションを開き、ダンジョンに入ってからの狩りの累計のリザルトを確認した。
ダンジョンボア×10匹、ダンジョンラビット×12羽を討伐しました。
獲得素材:猪肉×10、兎革×12
経験値を獲得しました。
レベルが2上昇しました。
NPを10獲得しました。
SPを20獲得しました。
職業レベルが2上がりました。
HPが1上昇しました。
INTが2上昇しました
MNDが1上昇しました
スキル、『簡易鑑定』がレベルアップしました。
スキル、『弓術』が2レベルアップしました。
スキル『1.物理冒険者の心得』が2レベルアップしました。
スキル、『疲労耐性』がレベルアップしました。
こう見ると、かなり頑張ったな。
ただ夢中に、楽しく戦闘をしていただけだけど、思っていたよりも成長しているな。
よくやった俺。
そういえば、ダンジョンボアを倒していくうちにレベルが上がったんだったな。
レベルが上がることで手に入った、SPは全部HPに、NPはSTRとDEXに2、AGIに1割り振っておいた。
ダメージを少しでも上げるためのNPの割り振りをした。
スキルもいろいろレベルが上がった。
採取と疲労耐性がレベル2、それ以外の3つがレベル3ということになった。
採取のレベルも上げたいな。
戦闘は全力で楽しんだから、ここからは採取の方を楽しもうかな。
ダンジョン草とかなら、ギルドに持って行きさえすれば依頼にしてくれるもんな。
ランクアップのためにも素材採取はやっておいた方が良いだろう。
よし、じゃあ、次は戦闘ではなくダンジョン草の採取をやろう。
どうしよう、2層のどこにダンジョン草があるのか分からないな。
とりあえず地図を開いてみるか。
俺は、そう思ってメニューからとりあえず地図を開いた。
開いた2層の地図には、俺が移動した場所だけ表示されていた。
それ以外の場所灰色になっている。
まぁ、そういうものだからな。
こう見ると、かなりの範囲を移動したんだな。
と言うか、くねくね動きすぎじゃないかな。
もっと綺麗に地図で書き出されていると思ったら、くねくねと進んだ場所だけ書かれていた。
ここは表示されているのにここは表示されていないみたいな場所が多くあった。
これはあれだな、売店で売っている地図を買った方が良いやつだな。
あれってかなり良い物だったんだな。
2層の地図を見てそう思った。
2層の地図には、植物の採取ポイントも書いてない。
買った地図ではないから。
地図もダメか。
じゃあ、地道に探してみるかぁ。
そう思いながら俺はぶらぶらと散歩感覚で歩いた。
すると、割とすぐにダンジョン草の群生地を見つけた。
こんな近くにあったんだな。
今までは戦闘に夢中で足下を見ていなかったのかもな。
まぁ、何かに夢中になると他のものが見えなくなるもんだよな。
よし、じゃあ早速採取をしていくか。
そう思って、採取に取りかかろうとしたときに、前回ダンジョンに潜ったときの反省を思い出して唱えた。
「索敵」
安全確保は大切だよな。
よし、だいたい半径200mには敵はいない。
ある程度定期的に索敵をしながら、採取を取ることにしよう。
そう思いながら、採取を始めた。
何度目かの索敵を行い、安全を確認してから採取作業に戻った。
それから割とすぐにアナウンスがなった。
スキル『採取』のレベルが上がりました。
やっと、採取のレベルが上がったようだ。
これで初期から持っていたスキルは全てレベル3に上がったな。
よし区切りも良いし、ここで採取は終わりにするか。
じゃあ、成果を確認しよう。
そう思って、ストレージの中を見ると、ダンジョン草の束が20束入っていた。
そんなに採取していたかな。
まぁ、ストレージに入っているということはそんだけ採取をしていたということなんだろうな。
これだけダンジョン草があれば、依頼として良い感じに処理してくれるだろう。
いつもの受付のお姉さんが。
じゃあ、次は何をしようかな。
また戦闘を使用かな。
それともダンジョン草以外の採取をしてみようかな。
もしくは、依頼も終わったし、ダンジョン草の採取も終わったから、ギルドに戻って達成報告をしようかな。それで金を増やして装備更新とか、ギルドランクアップとかそういうのをやろうかな。
どうしようかな。
もう少し戦いたいという気持ちもある。
新しい素材を採取してみたいという気持ちもある。
一度ギルドに戻って買い物とか手続きとかいろいろしたいという気持ちもある。
どうしようかな。
どれがいいんだろうか。
そんなことを考えながらとりあえずぷらぷらと散歩している。
歩きながら、地面を見たり空を見上げたりしつつ考え事をしていると、ふと地面に落ちた鳥の巣のようなものを見つけた。
何だろうこれと思いながら落ちた鳥の巣のようなものに近づく。
近づいていくと鳥の巣が壊れているのが分かった。
落ちてぺしゃんこになっているみたいだ。
木の上から落ちちゃったのかな。
さらに近づき、鳥の巣の目の前に腰を下ろす。
鳥の巣の中にはいくつかの割れた卵が入っていた。
かわいそうに。
大丈夫な卵はないものかな?
そう思って軽く探すと、いくつかの卵の奥に、無傷の卵を発見した。
顔ぐらいのサイズの卵が1つ無傷であった。
これだけ、割れた卵に比べて2周りぐらい大きいんだけどどうしてだろう。
あれかな?
親が、他の鳥の巣に卵を産み付けるタイプの鳥だったのかな。もしくは、鳥じゃなくては虫類とかそういうやつなのかな。
見つけたけどどうしよう。
俺が育てる?
そもそも何の卵かすら分からないのに?
まぁ、ギルドで聞けば何の卵かは分かるだろう。
動物かぁ。
現実だと飼ったことないな。
なんとなく飼ってみたいとは思っていたけど、命に責任が持てないから飼えないんだよな。
ゲームでなら、飼えるんじゃないかな。
相棒として一緒に冒険したり出来るんじゃないかな。
何か飼いたくなってきた。
よし、こいつを孵化させて、俺が育てよう。
ゲームなんだしこのぐらいのことをしても良いよな。
このゲームにはかなりの時間ログインできるはずだし。
じゃあ、とりあえずギルドに持って行って、育て方を教えてもらおう。
初期選択の職業にテイマーとかがあったし、育て方を教えてくれるだろう。
じゃあ、持って行くために、とりあえず卵だからストレージに入るかな。
そう思い俺は卵を拾い上げてストレージに入れようとした。
入れようとしたのだがうまく入らない。
もしかしてバグ?
そう思いながら何度も試したけど、ストレージに入れることは出来ないようだ。
もしかしたら命あるものは入れられないみたいな制約があるのかな。
そうだとしたら、どうやってこれを運べば良いんだろう。
手で抱えて運ぶか?
でも、道中で敵に会ったときまともな攻撃手段を失ってしまう。
じゃあ、手以外で運ぶとしたら何かあるかな。
俺は、目に付いたバックに入るか試してみた。
バックの方も入らないみたいだ。
ストレージ系のものには入らないのかな。
こうなったら仕方がない。
抱えて飼えるしかないのかな。
でも、どうやって道中敵に会わないようにしようか。
それが解決しないと、俺もこいつもやられてしまうよな。
運んでいる途中に敵に襲われて、卵が割れちゃったとかになったら立ち直れないかもしれない。
どうしたもんかな。
そうだ。
歩きながら常に索敵をし続ければ、敵を避けながらギルドまで行くことが出来るんじゃないかな。
索敵には、手を使う必要がないから、両手で大切に持つことも出来る。
よし、これなら行けるんじゃないか。
俺はとりあえずつぶやいた。
「索敵」
とりあえずまず、今俺の近くに敵はいないようだ。
最悪敵が近くにいたら、卵をそっと下ろして遠距離から矢を放てばどうにかなるだろう。
そう思うと、途端に簡単な任務に思えてきた。
楽勝なんじゃない?
そう思いながら進もうとしたところで、1つ気づいたことがある。
俺、帰り道を知らない。
地図を見ながらじゃないと帰れない。
地図を見て周りを経過して、卵に気を配りながら帰る。
これは、マルチタスクすぎるんじゃないかな。
さすがに俺の頭では全てのことを同時に行うのは難しい。
最優先にするべきは卵の安全、その後に確実にギルドに帰ること。
そうなると、周囲への警戒が少し弱まってしまうんじゃないかな。
大丈夫かな。
とりあえず、まず地図を開くか。
俺は手を使って動かせないので、念じてメニューを開き、念じて地図を開いた。
不安に思っていても始まらないから、とりあえずギルドを目指して動きだそう。
俺は、不安をかき消すぐらいのやる気を出して歩き出した。
とりあえず1層に出るまで何分かかるだろうか。
それは、どれだけ敵に遭遇するか、回避して迂回した結果どうなるかにかなり依存しそうだな。
俺の予想では、1層に出るまでに3匹4匹は索敵範囲にダンジョンボアが入ってくるような気がするなぁ。
今までのエンカウント率的に。
俺は、慎重に様々な事を意識しながら進んでいく。
敵のエンカウントがどうしようもないときは、卵の負担にならないような場所にそっと卵を置いて、弓を速射で放ちまくり敵を倒した。
結果、1層から来たときのゲートに戻るまでに2匹のダンジョンボアを倒し、4匹のダンジョンボアを避けた。
かなりのエンカウント率だな。
このエンカウント率が、行きに来てくれれば良かったんだけどな。
何でこうも間が悪いんだろうなぁ。
そう思いながら、1層へ向かうゲートをくぐった。
これで全体の3分の1をクリアしたな。
と言うか、まだ3分の1なのか。
まだ3分の1なの?!
頑張るしかないかぁ。
こいつを孵化させて育てるためには、今は踏ん張るしかない。
そう思っていると、視界が切り替わり1層になった。
ふぅ、ここからまた気合いを入れていきますか。
そう思いながら卵をぎゅっと抱きしめた。
俺は、ダンジョンの外を目指して歩き出した。
もちろん卵の負担にならないような速度で、卵の負担にならないように振動を抑えめで。
なんか分からないけど卵を運ぶこと自体が楽しくなってきた。
なんとなく、こいつをギルドまで持って行って、育て方を教えてもらうということよりも、真剣に卵を運ぶということが目的になってきた気がする。
まぁ、こいつを無事に運べれば、今俺が何を目的とし出しているのかなんてどうでも良いことだな。
どんな目的でも結果は同じなんだし。
そう思いながら歩く。
もちろん今も定期的に「索敵」とつぶやいている。
端から見たら、真剣に卵を抱えて、定期的に「索敵」とつぶやいているやばいやつだろうな。
まぁ、今のところプレイヤーにはエンカウントしていないから大丈夫だろうけど。
そんなことを考えていると、町の南のゲートにつながるゲートまで来れた。
俺は、今回のダンジョン探索最後のつぶやきをした。
「索敵」
よし、敵はいないみたいだ。
後は外に出て、町まで行くだけだな。
そう思いながらゲートをくぐる。
視界が切り替わると、ダンジョンから出ていた。
ここからは、人に気をつけなければ行けない。
間違ってぶつかってしまう人、卵を持っているとみて絡んでくる人、卵を狙ってくる人、どんな人がいるか分かったものではないからな。
こいつをきちんと守りながら、ギルドまで行かなくてはいけない。
ギルドまで行かないと、この卵をどうしていいのか分からないからな。
そう思いながら、町を目指して歩く。
卵を抱えて真剣に歩いている人が珍しいのか、好奇の視線にさらされながらも耐えて歩く。
ようやく町まで来た。
そういえば、門番みたいな兵士達に止められないかな。
大丈夫かな。
ダンジョンから持ち込んだ卵を抱えている人。
真剣に卵を抱きかかえている人。
明らかに不審者だよな。
不安になりながら、城門をくぐる。
時に引き留められることも、何かを言われることもなく、城門を突破できた。
後は、ギルドに行くだけだな。
ここまで来たらミスすることはないだろう。
まぁ、ここで気を抜いて卵を落とすなんて事をしないためにもある程度、気を引き締める必要はあるな。
俺は、気合いを入れ直してギルドへと向かった。
一応町中でも、つぶやいた。
「索敵」
敵対的な反応は出なかった。
少なくとも今、俺に敵対しようとしている人はこの町にはいないらしい。
ようやくギルドにたどり着いた。
いろんな事に気を配りすぎて、正直疲労困憊だ。
でも、卵のためならもう少し頑張れる。
そう思いながらギルドへと入っていった。
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過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
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世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
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