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1章 スタートダッシュ
卵を孵化するためには
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俺は、卵を抱えて、ギルドへと入った。
俺は、一直線にいつもの受付のお姉さんの元へと向かう。
ちょうどいつもの右端の受付は空いていたので、そこに行く。
いつも通り、受付のお姉さんから声をかけられた。
「どのような要件でしょうか?」
俺が卵を抱えていたとしても同じ対応なんだな。
まぁ、NPCなんだからそれはそっか。
それに、NPCに自由意志があったとしても、きちんとマニュアルの決まった業務だろうし、最初の一言が決まっていたとしても不思議じゃないな。
そんなことを考えながら、俺は卵を受付のお姉さんに見せつつ言った。
「この卵を孵化させて飼いたいんですがどう知れば良いですか?」
「従魔に関連した話ですね、分かりました、説明をします。まず、従魔には従魔登録が必要になります」
従魔登録?
なんだろう?
冒険者登録みたいな事なのかな?
まぁ、従魔とただのモンスターを区別するために必要なのかな?
俺は、受付のお姉さんに聞いた。
「従魔登録とは何ですか?」
「従魔登録とは、人が従えているモンスターを登録しておく制度です。通常の魔物と見分けをつけることで、従魔の安全と、人の安全を確保します」
受付のお姉さんが丁寧に説明してくれたからなんとなく分かったぞ。
概ね俺が予想したことであっていたみたいだな。
まぁ、予想とは言っても言葉通りに受け取っただけだけどな。
俺は、そんなことを考えながら、さらに聞いた。
「その従魔登録はどうやって出来るんですか?」
「モンスターが、テイムされていることを確認します。具体的には、テイムスキルの従魔欄にその魔物がいることを確認した後に、魔物が起こした問題は、飼い主の責任になるという契約書を書いてもらいます。これで完了です」
テイムスキルが必要なのか。
俺、テイムスキル持っていないんだけど大丈夫かな?
大丈夫じゃないだろうな。
どうしよう。
少し焦りながら受付のお姉さんに聞いた。
「あの、俺、テイムスキル持っていないんですけど」
「テイムスキルは、ギルドの売店、もしくは、町のスキルオーブショップで獲得することが出来ます」
買えるんだ。
持ってなくてもどうにかなるんだな。
0、1でテイムスキルを生み出せとかいわれなくて良かったな。
スキルオーブっていくらぐらいなんだろう。
安くはないだろうな
スキルが手に入るような物なんだし。
そんな簡単に手に入るものではないだろう。
簡単に手に入るとゲームバランスが崩壊しちゃいそうだし。
「ちなみに、いくらぐらいかかるんですか?」
「テイムスキルのスキルオーブは、売店では12万G、専門店では、10万前後と行ったところですね」
10万G。
12万かぁ。
高いな。
かなり高いな。
俺からしたら高いけど、システム的には妥当な感じがするなぁ。
まぁ、割と基礎的なスキルだから安めなのかもしれないな。
今の手持ちが1万2000Gぐらい。
その10倍弱ぐらいということか。
高いな。
かなり大変だな。
1日ぐらいかかるんじゃないかな。
俺は、自然と言葉が口からこぼれた。
「10万Gか。今の手持ちの額の10倍近いな」
「その従魔登録は、今すぐする訳ではないので大丈夫ですよ」
そうなの?!
「まず」という切り出しから始まったから今すぐ必要な物なのかと思っていた。
なんで、今すぐ必要のないものの話を今したんだろう?
そう思いながら受付のお姉さんに聞く。
「そうなんですか?」
「そもそも、卵の状態では、テイムスキルを発動できません。そのため、従魔欄の確認を出来ないため、卵の状態であれば、従魔登録は必要ありません」
そうなんだ。
卵の状態では必要ないんだな。
それならそうといってくれたらいいのに。
いや、言ってくれたのか。
まぁ、従魔関連の説明の時に最初に話しているだけで、今必要なことを説明していた訳ではないんだな。
俺はホット胸をなで下ろしながら言った。
「そうか。良かった」
「しかし、孵化した場合は、従魔登録や従魔欄の確認が出来なければ、従魔を連れて町に入ることは出来ません。そして、従魔が孵化してすぐにテイムをし、従魔登録をするのは義務なので、テイムをしていない、従魔登録をしていない状態が続くと登録を剥奪される可能性があります。孵化してからテイムスキルを取ろうと思うと、スキルオーブのドロップをダンジョンで狙うか、町の外にモンスターを置いて1人で町に入ることになります。その間に、モンスターを討伐されても文句を言うことが出来ません。なので、なるべく早くテイムスキルを獲得することをおすすめします」
とりあえず、孵化するまでには持っていなきゃいけないということか。
タイムリミットを知りたいけど、いつ孵化するか分からないな。
どうしたもんかなぁ。
なるべく早く取ることには越したことがないけど、お金がないからどうしようもないな。
今の素材の買取額はいくらになるんだろうな。
それによっては余裕を持って買えるかもしれないな。
そううまくは行かない気がするけど。
俺はそう思いながら言った。
「そうなんですね。なるべく早く取ることにします」
「ここまでは、これからの話です。続いて、今必要な孵化に関するお話をします」
お、ようやく本題と言ったところか。
まぁ、今までの話も十分必要な物だったんだけどな。
孵化の仕方をようやく教えてくれるのか。
果たしてモンスターの卵はどうやって孵化するんだろうな。
俺はわくわくしながら言った。
「お願いします」
「モンスターの卵を孵化させるには2つの方法があります。まず1つめは、親のモンスターが卵に継続的に魔力を与える方法。モンスターの卵は、定期的にモンスター特有の魔力を与えないと腐ってしまうので、親モンスターが魔力を与える必要があります。もう1つは、孵化装置を使う方法。これは、親が与えるはずの魔物特有の魔力を、代わりに孵化装置が与えるという物です。孵化装置が飼い主のMPやHPを魔物特有の魔力に変換してモンスターに与えます」
へぇ、そんな仕組みなんだ。
ということは、こいつやばいんじゃない?
俺が見つけてからそういうの一切やってないけど、もしかしてもう腐っている?
さすがにそこまでではないか。
そうであってくれ。
そうであってくれないと困る。
かなり困る。
少し不安になりながら言った。
「俺はこいつの親の魔物を知らないので、必然的に孵化装置の方になりますね」
「孵化装置は、売店や専門店で買うことが出来ます。どちらで買っても1万G程度で買うことが出来ます。ちなみに、孵化装置は親の魔力に近づけた魔力を発する構造のため、その卵専用になります。他の卵を孵化させるときには、新しく孵化装置を買う必要があります」
使い捨てなんだな。
まぁ、そうしないと安すぎるよな。
テイマーの人にとってはお得すぎるもんな。
妥当な昨日で妥当な金額なんじゃないかな。
俺は頷きながら話を聞いて、そのまま頷きながら言った。
「そうなんですね。まぁ、でも今のところ、こいつしか育てるつもりがないので大丈夫ですね」
「ちなみに、孵化装置には移動用と固定用があります」
へぇ、2種類もあるんだ。
何か違いはあるのかな。
俺は好奇心から、すぐに受付のお姉さんに聞いた。
「どう違うんですか?」
「移動用は、孵化装置を背負って活動することが出来ます。固定用は、孵化装置を基本的には動かせないので、ギルドで管理することになります」
移動用が自分でやって、固定用がギルドに委託するって感じか。
それ以外のメリットデメリットってあるのかな。
そこが一番気になるよな。
俺は続けて聞いた。
「どちらにどのようなメリットがあるんですか?」
「移動用は、背負って活動することが出来ます。それにより、いつでも与える魔力の素になるHPやMPをチャージすることが出来ます。固定用は、ギルドで管理をするので、定期的にギルドに来て、チャージをする必要があります。もし、チャージをせずに燃料が切れてしまうと、高い魔石をチャージに使われて、その分の請求が来ることになります」
ギルドに委託する方でも定期的に自分で管理しないとお高い請求が飛んで来ちゃうんだな。
そうすることで、孵化したモンスターを忘れるみたいなことを防止しているのかもしれないな。
俺は、さらに聞いた。
「卵に対する影響とかは違いがありますか?」
「それに関してはありません」
ないんだ。
持ち運ぶと、リスクがあるとか。
固定用だと、なつきが悪くなるとかそういうのはないんだな。
それなら、移動用だな。
なるべくそばに置いておいてあげたいしな。
それに、ギルドに頼むと確実に忘れるからな。
俺は、宣言するように言った。
「それなら、移動用にします。お高い請求が来るのが怖いし、何よりこいつと一緒にいたいですから」
「いい選択だと思います」
そう言ってもらえると少し自信になるな。
仮にどちらを選択したとしても同じ答えが返ってくるのだとしても。
そうだ。
あれも聞いておかなきゃ。
大事なことを聞くのを忘れていた。
そう思い、忘れていたことを聞いた。
「この卵って何の卵だか分かったりしますか?」
「その卵は、どこで手に入れてきたんですか?」
入手経路とかから分かる物なのかな。
まぁ、こう聞かれているということは、分かるんだろう。
もしくは、情報収集のアンケート的な物なのかな。
そう思いながら記憶を頼りに答えた。
「ダンジョンの2層に木から落ちちゃった鳥の巣のようなもの、その中で唯一割れていなかった卵を拾ってきました」
「ダンジョンの2層ですね。2層の卵で検索しますね」
受付のお姉さんはそう言いながら手元の端末を操作した。
そんな検索機能があるんだな。
この世界、思っていたよりもハイテクだよな。
売店のデバイスとか、ギルドカードのシステムとか、こういう端末があるところとか。
受付のお姉さんが、端末から顔を上げていった。
「えっと、この町から行くことの出来る2層には卵を生む魔物はいませんね。もしかしたら他の階層からはぐれて来た個体かもしれませんね。調べるために、一度卵をお預かりしてもかまいませんか?」
もしかしたらイレギュラーだったり、レアなモンスターだったりするのかな。
これは期待値が上がるな。
まぁ、どんなモンスターが生まれてもちゃんと育てては行くんだけどな。
俺は、そっと卵を持ち上げて、受付のお姉さんに渡しながら言った。
「分かりました。お願いします」
「ありがとうございます。それでは、スキャンして調べてきます」
受付のお姉さんは大事そうに卵を抱えて奥の方に行った。
何をしているんだろうな。
どんな機器でスキャンをしているんだろうな。
そのスキャンによって何か卵に悪影響が出るなんて事はないだろうか。
何をしているのか知りたい好奇心と、卵に対する影響を心配する心が混在している。
卵を抱えて戻ってきた受付のお姉さんに向かって聞いた。
「どうでした?」
「えっとこの卵は、どうやら20層ぐらいにいる、ダンジョンバードの亜種、スカイバードの卵のようです」
受付のお姉さんは、丁寧に卵を受付の台の上にのせた。
20層?!
後18層も下の階層。
何でそんなモンスターの卵が2層に?
そして、卵を見ただけでそんなことが分かるんだ?
俺はいろいろ気になりながらもとりあえず聞いた。
「20層の魔物の卵がなぜ2層に?」
「分かりません。2層にあること自体に前例がありません。もしよろしければ何ですけど、こちらの卵の育成に関して、ギルドが援助させていただけないでしょうか?」
援助?
何で援助なんだろう?
援助するような要素があったかな?
スカイバードってそんなに珍しい物なのかな。
それとも、2層にいることがすごいことなのかな。
とりあえず理由を聞いてみた。
「それはまたなぜ?」
「前例のないことなので、記録が欲しいというのが正直なところです。本当にスカイバードが生まれるのか、そのスカイバードが20層のスカイバードと違うところはあるのかなど知りたい情報が多いので」
2層にいたことが珍しかったから援助をくれるということか。
援助をくれるのは良いけど、何か見狩りを要求されるなんて事はないのかな。
それも聞かないと安心して返事をすることは出来ないな。
俺は恐る恐る聞いた。
「援助を受けることで俺がしなきゃいけない事ってありますか?」
「定期的に、生まれてきたスカイバードの検査と、アロン様に対する軽い聞き取りをすることになると思います。これらは依頼扱いになります」
検査かぁ。
検診みたいなことなのかな?
それなら、こいつのためにもさせてあげてほしいな。
聞き取りかぁ。
まぁ、スカイバードの成長の様子について聞かれるんだろうな。
それぐらいのことで援助をしてもらえるのなら良いのかもな。
少しだけ、乗り気になってきたところで聞いた。
「ちなみに、それはどのぐらいの間隔で?」
「2,3か月に1度ぐらいです」
それぐらいか。
現実だと1ヶ月弱に1回。
それだけで、どれだけの規模かは分からないけど、ギルドから援助を受けることができる。
これは乗ろう。
乗るしかないな。
でも、その前に確認しておきたいことがある。
俺はかなり前のめりになって聞いた。
「どのような援助を受けられるんですか?」
「まず、テイムのスキルオーブと、アロン様が望む移動用の孵化装置が与えられます。そして、スカイバードの装備、食料に関する割引、そして、検査と聞き取りを行うごとに報酬が支払われます」
かなりいろいろ援助していただけるんだな。
まぁ、基本的にこいつのことに限った話だけど。
それでも、本来払うこいつの経費を他のことに回せると思うと、かなり良い提案なんじゃないかな。
俺は、お願いするテンションで言った。
「それなら良いか。じゃあ、援助をお願いします」
「ありがとうございます。それでは、まず、前金と、スキルオーブ、そして孵化装置を用意しますね」
そう言って、受付のお姉さんは奥に下がっていった。
奥から持ってくるのかな。
受付の奥に売店の装置みたいなものがあるのかな。
ありそうだな。
そんなことを考えているうちに、受付のお姉さんが戻ってきた。
卵の横にデカいごついリュックのような物と、スキルオーブを置きながら言った。
「こちらが、スキルオーブと孵化装置になります。前金の方は口座に振り込んでおきました」
これが、孵化装置か。
ごついな。
これを背負って活動していくのか。
どれぐらいの期間背負うことになるのだろうか。
いろいろ考えた末に、受付のお姉さんに1つ聞いた。
「ここに卵を入れれば良いということですか」
「そうですね。ここに入れてもらう形になります。そして入れたものを背負ってもらう形になります。卵と同様、装置をストレージに入れることは出来ないので注意してください」
俺はその場で言われたとおりに、卵を装置に入れた。
そして入れながら答えた。
「分かりました」
「最長で2週間以内に孵化すると思います」
卵を入れた孵化装置を背負う。
そこまで重さは感じない。
動きの邪魔になりそうではない。
ただ、今までよりかなり場所を取る。
そして、今まで背中に背負っていた矢筒や弓の外側に背負ったので、その内側にある2つが違和感があるな。
後で場所を変えなきゃな。
そう思いながら言う。
「分かりました」
「生態調査にご協力ありがとうございます」
受付のお姉さんに頭を下げられた。
俺は、一直線にいつもの受付のお姉さんの元へと向かう。
ちょうどいつもの右端の受付は空いていたので、そこに行く。
いつも通り、受付のお姉さんから声をかけられた。
「どのような要件でしょうか?」
俺が卵を抱えていたとしても同じ対応なんだな。
まぁ、NPCなんだからそれはそっか。
それに、NPCに自由意志があったとしても、きちんとマニュアルの決まった業務だろうし、最初の一言が決まっていたとしても不思議じゃないな。
そんなことを考えながら、俺は卵を受付のお姉さんに見せつつ言った。
「この卵を孵化させて飼いたいんですがどう知れば良いですか?」
「従魔に関連した話ですね、分かりました、説明をします。まず、従魔には従魔登録が必要になります」
従魔登録?
なんだろう?
冒険者登録みたいな事なのかな?
まぁ、従魔とただのモンスターを区別するために必要なのかな?
俺は、受付のお姉さんに聞いた。
「従魔登録とは何ですか?」
「従魔登録とは、人が従えているモンスターを登録しておく制度です。通常の魔物と見分けをつけることで、従魔の安全と、人の安全を確保します」
受付のお姉さんが丁寧に説明してくれたからなんとなく分かったぞ。
概ね俺が予想したことであっていたみたいだな。
まぁ、予想とは言っても言葉通りに受け取っただけだけどな。
俺は、そんなことを考えながら、さらに聞いた。
「その従魔登録はどうやって出来るんですか?」
「モンスターが、テイムされていることを確認します。具体的には、テイムスキルの従魔欄にその魔物がいることを確認した後に、魔物が起こした問題は、飼い主の責任になるという契約書を書いてもらいます。これで完了です」
テイムスキルが必要なのか。
俺、テイムスキル持っていないんだけど大丈夫かな?
大丈夫じゃないだろうな。
どうしよう。
少し焦りながら受付のお姉さんに聞いた。
「あの、俺、テイムスキル持っていないんですけど」
「テイムスキルは、ギルドの売店、もしくは、町のスキルオーブショップで獲得することが出来ます」
買えるんだ。
持ってなくてもどうにかなるんだな。
0、1でテイムスキルを生み出せとかいわれなくて良かったな。
スキルオーブっていくらぐらいなんだろう。
安くはないだろうな
スキルが手に入るような物なんだし。
そんな簡単に手に入るものではないだろう。
簡単に手に入るとゲームバランスが崩壊しちゃいそうだし。
「ちなみに、いくらぐらいかかるんですか?」
「テイムスキルのスキルオーブは、売店では12万G、専門店では、10万前後と行ったところですね」
10万G。
12万かぁ。
高いな。
かなり高いな。
俺からしたら高いけど、システム的には妥当な感じがするなぁ。
まぁ、割と基礎的なスキルだから安めなのかもしれないな。
今の手持ちが1万2000Gぐらい。
その10倍弱ぐらいということか。
高いな。
かなり大変だな。
1日ぐらいかかるんじゃないかな。
俺は、自然と言葉が口からこぼれた。
「10万Gか。今の手持ちの額の10倍近いな」
「その従魔登録は、今すぐする訳ではないので大丈夫ですよ」
そうなの?!
「まず」という切り出しから始まったから今すぐ必要な物なのかと思っていた。
なんで、今すぐ必要のないものの話を今したんだろう?
そう思いながら受付のお姉さんに聞く。
「そうなんですか?」
「そもそも、卵の状態では、テイムスキルを発動できません。そのため、従魔欄の確認を出来ないため、卵の状態であれば、従魔登録は必要ありません」
そうなんだ。
卵の状態では必要ないんだな。
それならそうといってくれたらいいのに。
いや、言ってくれたのか。
まぁ、従魔関連の説明の時に最初に話しているだけで、今必要なことを説明していた訳ではないんだな。
俺はホット胸をなで下ろしながら言った。
「そうか。良かった」
「しかし、孵化した場合は、従魔登録や従魔欄の確認が出来なければ、従魔を連れて町に入ることは出来ません。そして、従魔が孵化してすぐにテイムをし、従魔登録をするのは義務なので、テイムをしていない、従魔登録をしていない状態が続くと登録を剥奪される可能性があります。孵化してからテイムスキルを取ろうと思うと、スキルオーブのドロップをダンジョンで狙うか、町の外にモンスターを置いて1人で町に入ることになります。その間に、モンスターを討伐されても文句を言うことが出来ません。なので、なるべく早くテイムスキルを獲得することをおすすめします」
とりあえず、孵化するまでには持っていなきゃいけないということか。
タイムリミットを知りたいけど、いつ孵化するか分からないな。
どうしたもんかなぁ。
なるべく早く取ることには越したことがないけど、お金がないからどうしようもないな。
今の素材の買取額はいくらになるんだろうな。
それによっては余裕を持って買えるかもしれないな。
そううまくは行かない気がするけど。
俺はそう思いながら言った。
「そうなんですね。なるべく早く取ることにします」
「ここまでは、これからの話です。続いて、今必要な孵化に関するお話をします」
お、ようやく本題と言ったところか。
まぁ、今までの話も十分必要な物だったんだけどな。
孵化の仕方をようやく教えてくれるのか。
果たしてモンスターの卵はどうやって孵化するんだろうな。
俺はわくわくしながら言った。
「お願いします」
「モンスターの卵を孵化させるには2つの方法があります。まず1つめは、親のモンスターが卵に継続的に魔力を与える方法。モンスターの卵は、定期的にモンスター特有の魔力を与えないと腐ってしまうので、親モンスターが魔力を与える必要があります。もう1つは、孵化装置を使う方法。これは、親が与えるはずの魔物特有の魔力を、代わりに孵化装置が与えるという物です。孵化装置が飼い主のMPやHPを魔物特有の魔力に変換してモンスターに与えます」
へぇ、そんな仕組みなんだ。
ということは、こいつやばいんじゃない?
俺が見つけてからそういうの一切やってないけど、もしかしてもう腐っている?
さすがにそこまでではないか。
そうであってくれ。
そうであってくれないと困る。
かなり困る。
少し不安になりながら言った。
「俺はこいつの親の魔物を知らないので、必然的に孵化装置の方になりますね」
「孵化装置は、売店や専門店で買うことが出来ます。どちらで買っても1万G程度で買うことが出来ます。ちなみに、孵化装置は親の魔力に近づけた魔力を発する構造のため、その卵専用になります。他の卵を孵化させるときには、新しく孵化装置を買う必要があります」
使い捨てなんだな。
まぁ、そうしないと安すぎるよな。
テイマーの人にとってはお得すぎるもんな。
妥当な昨日で妥当な金額なんじゃないかな。
俺は頷きながら話を聞いて、そのまま頷きながら言った。
「そうなんですね。まぁ、でも今のところ、こいつしか育てるつもりがないので大丈夫ですね」
「ちなみに、孵化装置には移動用と固定用があります」
へぇ、2種類もあるんだ。
何か違いはあるのかな。
俺は好奇心から、すぐに受付のお姉さんに聞いた。
「どう違うんですか?」
「移動用は、孵化装置を背負って活動することが出来ます。固定用は、孵化装置を基本的には動かせないので、ギルドで管理することになります」
移動用が自分でやって、固定用がギルドに委託するって感じか。
それ以外のメリットデメリットってあるのかな。
そこが一番気になるよな。
俺は続けて聞いた。
「どちらにどのようなメリットがあるんですか?」
「移動用は、背負って活動することが出来ます。それにより、いつでも与える魔力の素になるHPやMPをチャージすることが出来ます。固定用は、ギルドで管理をするので、定期的にギルドに来て、チャージをする必要があります。もし、チャージをせずに燃料が切れてしまうと、高い魔石をチャージに使われて、その分の請求が来ることになります」
ギルドに委託する方でも定期的に自分で管理しないとお高い請求が飛んで来ちゃうんだな。
そうすることで、孵化したモンスターを忘れるみたいなことを防止しているのかもしれないな。
俺は、さらに聞いた。
「卵に対する影響とかは違いがありますか?」
「それに関してはありません」
ないんだ。
持ち運ぶと、リスクがあるとか。
固定用だと、なつきが悪くなるとかそういうのはないんだな。
それなら、移動用だな。
なるべくそばに置いておいてあげたいしな。
それに、ギルドに頼むと確実に忘れるからな。
俺は、宣言するように言った。
「それなら、移動用にします。お高い請求が来るのが怖いし、何よりこいつと一緒にいたいですから」
「いい選択だと思います」
そう言ってもらえると少し自信になるな。
仮にどちらを選択したとしても同じ答えが返ってくるのだとしても。
そうだ。
あれも聞いておかなきゃ。
大事なことを聞くのを忘れていた。
そう思い、忘れていたことを聞いた。
「この卵って何の卵だか分かったりしますか?」
「その卵は、どこで手に入れてきたんですか?」
入手経路とかから分かる物なのかな。
まぁ、こう聞かれているということは、分かるんだろう。
もしくは、情報収集のアンケート的な物なのかな。
そう思いながら記憶を頼りに答えた。
「ダンジョンの2層に木から落ちちゃった鳥の巣のようなもの、その中で唯一割れていなかった卵を拾ってきました」
「ダンジョンの2層ですね。2層の卵で検索しますね」
受付のお姉さんはそう言いながら手元の端末を操作した。
そんな検索機能があるんだな。
この世界、思っていたよりもハイテクだよな。
売店のデバイスとか、ギルドカードのシステムとか、こういう端末があるところとか。
受付のお姉さんが、端末から顔を上げていった。
「えっと、この町から行くことの出来る2層には卵を生む魔物はいませんね。もしかしたら他の階層からはぐれて来た個体かもしれませんね。調べるために、一度卵をお預かりしてもかまいませんか?」
もしかしたらイレギュラーだったり、レアなモンスターだったりするのかな。
これは期待値が上がるな。
まぁ、どんなモンスターが生まれてもちゃんと育てては行くんだけどな。
俺は、そっと卵を持ち上げて、受付のお姉さんに渡しながら言った。
「分かりました。お願いします」
「ありがとうございます。それでは、スキャンして調べてきます」
受付のお姉さんは大事そうに卵を抱えて奥の方に行った。
何をしているんだろうな。
どんな機器でスキャンをしているんだろうな。
そのスキャンによって何か卵に悪影響が出るなんて事はないだろうか。
何をしているのか知りたい好奇心と、卵に対する影響を心配する心が混在している。
卵を抱えて戻ってきた受付のお姉さんに向かって聞いた。
「どうでした?」
「えっとこの卵は、どうやら20層ぐらいにいる、ダンジョンバードの亜種、スカイバードの卵のようです」
受付のお姉さんは、丁寧に卵を受付の台の上にのせた。
20層?!
後18層も下の階層。
何でそんなモンスターの卵が2層に?
そして、卵を見ただけでそんなことが分かるんだ?
俺はいろいろ気になりながらもとりあえず聞いた。
「20層の魔物の卵がなぜ2層に?」
「分かりません。2層にあること自体に前例がありません。もしよろしければ何ですけど、こちらの卵の育成に関して、ギルドが援助させていただけないでしょうか?」
援助?
何で援助なんだろう?
援助するような要素があったかな?
スカイバードってそんなに珍しい物なのかな。
それとも、2層にいることがすごいことなのかな。
とりあえず理由を聞いてみた。
「それはまたなぜ?」
「前例のないことなので、記録が欲しいというのが正直なところです。本当にスカイバードが生まれるのか、そのスカイバードが20層のスカイバードと違うところはあるのかなど知りたい情報が多いので」
2層にいたことが珍しかったから援助をくれるということか。
援助をくれるのは良いけど、何か見狩りを要求されるなんて事はないのかな。
それも聞かないと安心して返事をすることは出来ないな。
俺は恐る恐る聞いた。
「援助を受けることで俺がしなきゃいけない事ってありますか?」
「定期的に、生まれてきたスカイバードの検査と、アロン様に対する軽い聞き取りをすることになると思います。これらは依頼扱いになります」
検査かぁ。
検診みたいなことなのかな?
それなら、こいつのためにもさせてあげてほしいな。
聞き取りかぁ。
まぁ、スカイバードの成長の様子について聞かれるんだろうな。
それぐらいのことで援助をしてもらえるのなら良いのかもな。
少しだけ、乗り気になってきたところで聞いた。
「ちなみに、それはどのぐらいの間隔で?」
「2,3か月に1度ぐらいです」
それぐらいか。
現実だと1ヶ月弱に1回。
それだけで、どれだけの規模かは分からないけど、ギルドから援助を受けることができる。
これは乗ろう。
乗るしかないな。
でも、その前に確認しておきたいことがある。
俺はかなり前のめりになって聞いた。
「どのような援助を受けられるんですか?」
「まず、テイムのスキルオーブと、アロン様が望む移動用の孵化装置が与えられます。そして、スカイバードの装備、食料に関する割引、そして、検査と聞き取りを行うごとに報酬が支払われます」
かなりいろいろ援助していただけるんだな。
まぁ、基本的にこいつのことに限った話だけど。
それでも、本来払うこいつの経費を他のことに回せると思うと、かなり良い提案なんじゃないかな。
俺は、お願いするテンションで言った。
「それなら良いか。じゃあ、援助をお願いします」
「ありがとうございます。それでは、まず、前金と、スキルオーブ、そして孵化装置を用意しますね」
そう言って、受付のお姉さんは奥に下がっていった。
奥から持ってくるのかな。
受付の奥に売店の装置みたいなものがあるのかな。
ありそうだな。
そんなことを考えているうちに、受付のお姉さんが戻ってきた。
卵の横にデカいごついリュックのような物と、スキルオーブを置きながら言った。
「こちらが、スキルオーブと孵化装置になります。前金の方は口座に振り込んでおきました」
これが、孵化装置か。
ごついな。
これを背負って活動していくのか。
どれぐらいの期間背負うことになるのだろうか。
いろいろ考えた末に、受付のお姉さんに1つ聞いた。
「ここに卵を入れれば良いということですか」
「そうですね。ここに入れてもらう形になります。そして入れたものを背負ってもらう形になります。卵と同様、装置をストレージに入れることは出来ないので注意してください」
俺はその場で言われたとおりに、卵を装置に入れた。
そして入れながら答えた。
「分かりました」
「最長で2週間以内に孵化すると思います」
卵を入れた孵化装置を背負う。
そこまで重さは感じない。
動きの邪魔になりそうではない。
ただ、今までよりかなり場所を取る。
そして、今まで背中に背負っていた矢筒や弓の外側に背負ったので、その内側にある2つが違和感があるな。
後で場所を変えなきゃな。
そう思いながら言う。
「分かりました」
「生態調査にご協力ありがとうございます」
受付のお姉さんに頭を下げられた。
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富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
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2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
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自筆です。
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50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
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