22 / 121
1章 スタートダッシュ
お会計
しおりを挟む
どんどんと武器を手に取って、詳細を見ていった。
あのダンジョン木製のサバイバルボウ以降の武器は、まず、桁数がバグっているのかと言うぐらいの値段をしていた。
バトル漫画の最初の方の数値と、終盤の数値ぐらいインフレがすごかった。
そして、今の俺では到底扱えないような条件。
職業系の縛りから、スキル系の縛り、ステータス系の縛りまで、いろいろな条件のサバイバルボウが並んでいた。
そのどれもが、今の俺の手の届くものではなかった。
けれど、目指す先が見えたような気がした。
これはこれでいい収穫だったんじゃないかな。
今の俺では扱えなさそうなもの達と言うこともあって、性能方法も桁外れだった。
文字通り、ATKのけたも違えば、追加の効果まで乗っているサバイバルボウまであった。
同じ弓なのか疑わしくなるレベルの弓達がずらっと並んでいた。
いつか使ってみたい。
そう強く思った。
俺は、右側の弓が並んでいる壁側を見終えたので、次は、反対側、弓以外の関連装備を見ることにした。
装備って、見るだけでこんだけ楽しいんだな。
正直、来るかではそこまでわくわくもしていなかったし、着たいという期待もしていなかった。
しかし、来てみたら、楽しくて楽しくて仕方がない。
やっぱり武器は男の子の憧れだったんだなぁと改めて思った。
楽しいし、さらにこいつが次の相棒だと考えると、すごく真剣に選んでいる。
それもあって、予想以上に長く武器を選んでいる気がするな。
そんなことを考えながら、左の壁側にある矢筒を1つ手に取った。
それの詳細を見る。
上質な初心者用矢筒
矢専用ストレージ枠:3枠×30本
使用済み矢回収率:70%
重量軽減:小
装備枠:サブバック
破壊不可
枠1:空
枠2:空
新しく冒険者になった者に国から支給される矢筒をベテランの職人が作ったもの。
初心者用に容量よりも使いやすさを重視した矢筒。
初心者冒険者を助けるために研究され尽くした装備と同じ型のもの。
全ての弓を使用する冒険者が通る始まりの矢筒と同じ型のもの。
弓の時も見たけれど、『上質な初心者用』が『初心者用』の次のシリーズなのかな。
そして、『上質な初心者用』は、『初心者用』の完全上位互換のシリーズなのかな。
破壊不可も補正も継承していて、さらに数値面で向上させていて、完全上位互換と言っていいものだよな。
弓で言うと『ダンジョン木』シリーズは、『初心者用』の上位互換でも、『上質な初心者用』の上位互換でもない、別のシリーズって感じがするよな。
数値面ではかなり上昇しているけど、破壊不可だったり、動作補正だったりと言ってものはごっそり削られているからかな。
弓の話はこれぐらいにして、矢筒の話に戻ってこよう。
この矢筒は、基本的には初心者用の矢筒と変わらないけれど、ストレージ枠だけが変更されていて、2枠から3枠に変更されている。
これによって入る矢の数が60本から90本に増えているんだな。
これもまた、完全上位互換と言って良い性能なんじゃないかな。
良い矢筒だと思う。
そう思いながら、この矢筒を一度戻して、次の矢筒を手に取った。
今度は、その矢筒の詳細を見た。
普通の矢筒
矢専用ストレージ枠:2枠×40本
使用済み矢回収率:75%
重量軽減:小
装備枠:サブバック
100/100
枠1:空
枠2:空
一般的に店に売られている矢筒。
容量と回収率ともに通常のレベルの矢筒。
弓を扱う全ての人の為に研究され尽くした装備。
どこにでもある一般的な矢筒。
こっちは『ダンジョン木』シリーズではなく、『普通』なんだな。
まぁ、矢筒に木は使わないから、そういうもんな。
『普通』かぁ。
もしかして、弓以外の装備類は、『上質な初心者用』の次は、『普通』なのかな。
そうだとしたら、なんで、弓は『ダンジョン木』なんだろうな。
もしかして俺が見落としていたのかな。
あり得るな。
まぁ、そうだとしたら、縁がなかったということにしておこう。
『ダンジョン木』シリーズを使いたいし。
この矢筒に話を戻すとしようか。
さっきの『上質な初心者用』は3枠×30本で90本だったけど、こっちは、2枠×40本で80本なんだな。
ストレージ枠としては、『上質な初心者用』の方が優秀だけど、回収率に関しては、『普通』の方が優秀なんだな。
『上質な初心者用』が70%でこっちの『普通』が75%だからな。
買うとしたらどっちがいいんだろうな。
正直、矢の保管は、矢筒のストレージ以外でも行えるから、枠の大きさよりも、回収率の方が大切だよな。
回収率の方が懐にダイレクトに影響してくるからな。
そう考えると、『普通』シリーズの方が良いのかな。
でも、耐久とかを考えると、『上質な初心者用』も魅力的だよな。
これはかなり迷うな。
良いな。
こうやって悩めるぐらいの性能差だと、選ぶのが楽しいな。
ちなみにお値段の方はどうなっているんだろうか。
そう思いながら値札をめくった。
値札には、3万Gと書かれていた。
3万Gかぁ。
弓の値段から考えて高すぎる訳ではないな。
あ、そうだ。
上質な初心者用矢筒の方の値段を見てなかった。
こっちの値段も確認しておかないとな。
そう思いながら、上質な初心者用矢筒の方の値札をめくった。
値段は4500G。
この性能で4500Gか。
これはかなり迷うな。
回収率5%の為に、25500Gの差を払うのか。
これは値段を見るとより悩むな。
そう思いながら、普通の矢筒をおいた。
それからいくつかの矢筒を見たけれど、この2つよりも良い矢筒は、今はまだとても手を出せるような値段帯ではなかった。
最初の2つから選ぶことになりそうだな。
そんなことを考えながら、続いて矢の束を持った。
その矢の詳細を見た。
上質な初心者用矢
ダメージ率:110%
耐久値:200/200
新しく冒険者になった者に国から支給される矢をベテランの職人が作ったもの。
初心者用にダメージ率よりも使いやすさ、耐久値を重視した矢。
初心者冒険者を助けるために研究され尽くした装備と同じ型のもの。
全ての弓を使用する冒険者が通る始まりの矢と同じ型のもの。
矢にも『上質な初心者用』があるんだな。
変更点は、ダメージ率が10%上がったことと、耐久が倍になったことか。
耐久の方は、あまり意味がないかな。
矢って耐久値がなくなるほど丁寧に使えないからな。
回収率も7割程度だから、耐久200をフルで使う機会はないんじゃないかな。
そこまで耐久値は必要ないように思える。
ダメージ率の方はありがたいな。
ダメージ率が10%上がると言うことは、単純にダメージが10%上がると言うことだもんな。
これはかなりありがたい強化だな。
これと、ダンジョン木製のサバイバルボウを組み合わせたら、ダンジョンボアを2発で倒せるようになりそうだな。
そうなったらかなり強いな。
ダンジョンボアを2発なら、ダンジョンラビットなら1発だろうし。
これは夢が広がる装備だな。
ちなみにお値段の方は?
そう思いながら値札をめくる。
10本束で2000G、100本束だと、17000Gらしい。
10%のダメージをあげるために、倍出すのか。
これは迷うラインだな。
少しでも、良いダメージを出したいけど、このために、消耗品の値段が倍になると考えると、躊躇してしまうな。
そう思いながら次の矢を手に取った。
普通の矢
ダメージ率:130%
耐久値:80/80
一般的に店に売られている矢。
基本的には使い捨てることを前提として作られており、あまり耐久値は高くないがその分ダメージ率のある矢。
全ての弓を扱う人のために研究され尽くした装備。
どこにでもある一般的な矢。
この矢は『普通』シリーズなんだな。
初心者用の矢からの変更点は、ダメージ率が30%上がったこと、そそて、耐久値が2割、20減ったこと。
ダメージ率上昇は単純にありがたい。
ダメージが30%上がったら出来ることはかなり増えるだろう。
ダメージが上がると言うことは、少ない矢の本数で敵を倒せると言うこと。
そうなると、戦闘時間が短くなって、タイパが良い、使用する矢の本数が減ってコスパが良い?
コスパに関しては、矢の値段がその分上がるんだろうから、良くなることはないんじゃないかな。
タイパはとてつもなく上がると思う。
かけたコストを回収できるぐらいには、良い成果を上げるんじゃないかな。
経費も上がるけど、その分以上に収入が上がって、純利益も上がるんじゃないかな。
そうなるとより装備に投資できると考えるとお得なのでは?
より多くの敵を倒せると言うことは、経験値も増えてレベルも上がる。
そう考えるとお得なのでは?
耐久値に関しても、少し耐久値が減ったところで、耐久値が0になるまで使える訳ではないので、それほどのデメリットでもない。
値段によってはめちゃくちゃお得なのかもしれない。
俺はわくわくしながら、値札をめくった。
10本束で2500G、100本束だと、20000Gで良いらしい。
100本束の割引率がすごくないか?
何でこんなに安くなるんだろう?
一般的な矢田から、大量生産されていて、大量に買ってくれる人には安くすると言うことなのかな。
20,000Gかぁ。
今使っている初心者用の矢を10本束で買って、こっちを100本束で買うとしたら、1本当たりは倍で良いのか。
倍の値段を出して、ダメージ率30%上昇か。
これは悩むな。
さっきの上質な初心者用の矢よりもより悩むな。
これを買うなら、回収できない矢がもったいないから、回収率が少しでも高い回収率75%の矢筒を買おうかな。
よし、こっちの矢に切り替えよう。
決めた切り替える。
良い冒険者になるためには良い装備を使わないとだよな。
そして、矢を切り替えるから、矢筒も回収率の良いものにしよう。
2つ決めたし、弓の方も決めよう。
弓はどれを買おうかな。
やっぱりダンジョン木製のサバイバルボウかな。
単純に火力が高いし、難しいのにも早い内になれておいた方がいい気がするし。
買うものが決まってきたな。
弓と矢と矢筒。
それ以外のものは、今度で良いかな。
他にもいろいろな装備やら道具やらがあるみたいだけど、こういうのは、もう少し頑張ってから買うことにしよう。
そもそもまだ弓になれていなくて、どれが必要でどれが必要ないのかまで把握できていないし。
本職がサバイバル冒険者だから、必要のないものもありそうだし。
何より、初心者装備として配られなかったと言うことは、そこまで重要な装備ではないんだろう。
それに、3つも買っちゃったら、かなり懐が寂しくなりそうだし。
弓が10万G、矢筒が3万G、矢はストレージにまだまだ余裕があるし100本束が3つで6万Gあわせて19万Gか。
これを買ったら、口座残高は、3万G弱になってしまうのか。
3万Gあれば2層の地図も買えるだろうし、なんとかなるか。
3万Gかぁ。
前回の依頼と素材買取りで手に入れた額を全額突っ込むようなものか。
これも、先行投資だ、仕方がないこと。
そう思って割り切りながら、商品を持って会計に行った。
会計の台に商品を乗せても、店員が出てこないので、そこそこの声で呼んだ。
「会計お願いします」
すると、店の奥から、店に入ったときに説明をしてくれた店員さんが出てきた。
店員さんは申し訳なさそうにしながら言った。
「ここにいなくてごめんなさいね。お会計だっけ?」
俺は、会計の台に置いている商品を店員さんの方に寄せながら言った。
「お会計の方をお願いします」
「ダンジョン木製サバイバルボウと、普通の矢筒、普通の矢100本束が3束ね。あわせて19万Gね。初めて来てくれたお客さんだから、おまけして、18万Gで良いわ」
1万Gもまけてくれるのか。
かなりありがたいな。
こういうのって、端数をおまけしてくれるとかならわかるんだけど、1万Gをがっつり割り引いてもらっちゃって良いのだろうか?
そう思いながら聞き返した。
「良いんですか?」
「新しいお客さんにはサービスしなきゃでしょ? だから良いのよ。それに、若い人には頑張ってもらいたいからね」
いい人だなぁ。
ありがたい。
この1万Gで何が出来るだろうか。
何でも出来そうな気がしてくるな。
俺は全力で感謝を伝えた。
「ありがとうございます」
「それじゃあ、支払いのギルドカードを出してくれる?」
俺は、バックからギルドカードを取り出して、店員さんに渡しながら言った。
「お願いします」
「じゃあ手続きしちゃうね。はいこれでOK。商品はこのままで大丈夫?」
店員さんは、などの端末にカードをかざして手続きをしていた。
これで、口座から自動的に引き落とされているのだろう。
便利なシステムだなぁ。
いや、カード決済は、現実にもあるやつだな。
そう考えると現実って便利だな。
変な方向に思考が行きかけている中、言った。
「大丈夫です」
「そう。じゃあ、お買い上げありがとうございました」
俺は、全力で頭を下げながら言った。
「こちらこそ、割り引いていただきありがとうございます」
そして顔を上げると同時に、商品をストレージに入れて、店を出た。
本当に言い買い物をしたなぁ。
あのダンジョン木製のサバイバルボウ以降の武器は、まず、桁数がバグっているのかと言うぐらいの値段をしていた。
バトル漫画の最初の方の数値と、終盤の数値ぐらいインフレがすごかった。
そして、今の俺では到底扱えないような条件。
職業系の縛りから、スキル系の縛り、ステータス系の縛りまで、いろいろな条件のサバイバルボウが並んでいた。
そのどれもが、今の俺の手の届くものではなかった。
けれど、目指す先が見えたような気がした。
これはこれでいい収穫だったんじゃないかな。
今の俺では扱えなさそうなもの達と言うこともあって、性能方法も桁外れだった。
文字通り、ATKのけたも違えば、追加の効果まで乗っているサバイバルボウまであった。
同じ弓なのか疑わしくなるレベルの弓達がずらっと並んでいた。
いつか使ってみたい。
そう強く思った。
俺は、右側の弓が並んでいる壁側を見終えたので、次は、反対側、弓以外の関連装備を見ることにした。
装備って、見るだけでこんだけ楽しいんだな。
正直、来るかではそこまでわくわくもしていなかったし、着たいという期待もしていなかった。
しかし、来てみたら、楽しくて楽しくて仕方がない。
やっぱり武器は男の子の憧れだったんだなぁと改めて思った。
楽しいし、さらにこいつが次の相棒だと考えると、すごく真剣に選んでいる。
それもあって、予想以上に長く武器を選んでいる気がするな。
そんなことを考えながら、左の壁側にある矢筒を1つ手に取った。
それの詳細を見る。
上質な初心者用矢筒
矢専用ストレージ枠:3枠×30本
使用済み矢回収率:70%
重量軽減:小
装備枠:サブバック
破壊不可
枠1:空
枠2:空
新しく冒険者になった者に国から支給される矢筒をベテランの職人が作ったもの。
初心者用に容量よりも使いやすさを重視した矢筒。
初心者冒険者を助けるために研究され尽くした装備と同じ型のもの。
全ての弓を使用する冒険者が通る始まりの矢筒と同じ型のもの。
弓の時も見たけれど、『上質な初心者用』が『初心者用』の次のシリーズなのかな。
そして、『上質な初心者用』は、『初心者用』の完全上位互換のシリーズなのかな。
破壊不可も補正も継承していて、さらに数値面で向上させていて、完全上位互換と言っていいものだよな。
弓で言うと『ダンジョン木』シリーズは、『初心者用』の上位互換でも、『上質な初心者用』の上位互換でもない、別のシリーズって感じがするよな。
数値面ではかなり上昇しているけど、破壊不可だったり、動作補正だったりと言ってものはごっそり削られているからかな。
弓の話はこれぐらいにして、矢筒の話に戻ってこよう。
この矢筒は、基本的には初心者用の矢筒と変わらないけれど、ストレージ枠だけが変更されていて、2枠から3枠に変更されている。
これによって入る矢の数が60本から90本に増えているんだな。
これもまた、完全上位互換と言って良い性能なんじゃないかな。
良い矢筒だと思う。
そう思いながら、この矢筒を一度戻して、次の矢筒を手に取った。
今度は、その矢筒の詳細を見た。
普通の矢筒
矢専用ストレージ枠:2枠×40本
使用済み矢回収率:75%
重量軽減:小
装備枠:サブバック
100/100
枠1:空
枠2:空
一般的に店に売られている矢筒。
容量と回収率ともに通常のレベルの矢筒。
弓を扱う全ての人の為に研究され尽くした装備。
どこにでもある一般的な矢筒。
こっちは『ダンジョン木』シリーズではなく、『普通』なんだな。
まぁ、矢筒に木は使わないから、そういうもんな。
『普通』かぁ。
もしかして、弓以外の装備類は、『上質な初心者用』の次は、『普通』なのかな。
そうだとしたら、なんで、弓は『ダンジョン木』なんだろうな。
もしかして俺が見落としていたのかな。
あり得るな。
まぁ、そうだとしたら、縁がなかったということにしておこう。
『ダンジョン木』シリーズを使いたいし。
この矢筒に話を戻すとしようか。
さっきの『上質な初心者用』は3枠×30本で90本だったけど、こっちは、2枠×40本で80本なんだな。
ストレージ枠としては、『上質な初心者用』の方が優秀だけど、回収率に関しては、『普通』の方が優秀なんだな。
『上質な初心者用』が70%でこっちの『普通』が75%だからな。
買うとしたらどっちがいいんだろうな。
正直、矢の保管は、矢筒のストレージ以外でも行えるから、枠の大きさよりも、回収率の方が大切だよな。
回収率の方が懐にダイレクトに影響してくるからな。
そう考えると、『普通』シリーズの方が良いのかな。
でも、耐久とかを考えると、『上質な初心者用』も魅力的だよな。
これはかなり迷うな。
良いな。
こうやって悩めるぐらいの性能差だと、選ぶのが楽しいな。
ちなみにお値段の方はどうなっているんだろうか。
そう思いながら値札をめくった。
値札には、3万Gと書かれていた。
3万Gかぁ。
弓の値段から考えて高すぎる訳ではないな。
あ、そうだ。
上質な初心者用矢筒の方の値段を見てなかった。
こっちの値段も確認しておかないとな。
そう思いながら、上質な初心者用矢筒の方の値札をめくった。
値段は4500G。
この性能で4500Gか。
これはかなり迷うな。
回収率5%の為に、25500Gの差を払うのか。
これは値段を見るとより悩むな。
そう思いながら、普通の矢筒をおいた。
それからいくつかの矢筒を見たけれど、この2つよりも良い矢筒は、今はまだとても手を出せるような値段帯ではなかった。
最初の2つから選ぶことになりそうだな。
そんなことを考えながら、続いて矢の束を持った。
その矢の詳細を見た。
上質な初心者用矢
ダメージ率:110%
耐久値:200/200
新しく冒険者になった者に国から支給される矢をベテランの職人が作ったもの。
初心者用にダメージ率よりも使いやすさ、耐久値を重視した矢。
初心者冒険者を助けるために研究され尽くした装備と同じ型のもの。
全ての弓を使用する冒険者が通る始まりの矢と同じ型のもの。
矢にも『上質な初心者用』があるんだな。
変更点は、ダメージ率が10%上がったことと、耐久が倍になったことか。
耐久の方は、あまり意味がないかな。
矢って耐久値がなくなるほど丁寧に使えないからな。
回収率も7割程度だから、耐久200をフルで使う機会はないんじゃないかな。
そこまで耐久値は必要ないように思える。
ダメージ率の方はありがたいな。
ダメージ率が10%上がると言うことは、単純にダメージが10%上がると言うことだもんな。
これはかなりありがたい強化だな。
これと、ダンジョン木製のサバイバルボウを組み合わせたら、ダンジョンボアを2発で倒せるようになりそうだな。
そうなったらかなり強いな。
ダンジョンボアを2発なら、ダンジョンラビットなら1発だろうし。
これは夢が広がる装備だな。
ちなみにお値段の方は?
そう思いながら値札をめくる。
10本束で2000G、100本束だと、17000Gらしい。
10%のダメージをあげるために、倍出すのか。
これは迷うラインだな。
少しでも、良いダメージを出したいけど、このために、消耗品の値段が倍になると考えると、躊躇してしまうな。
そう思いながら次の矢を手に取った。
普通の矢
ダメージ率:130%
耐久値:80/80
一般的に店に売られている矢。
基本的には使い捨てることを前提として作られており、あまり耐久値は高くないがその分ダメージ率のある矢。
全ての弓を扱う人のために研究され尽くした装備。
どこにでもある一般的な矢。
この矢は『普通』シリーズなんだな。
初心者用の矢からの変更点は、ダメージ率が30%上がったこと、そそて、耐久値が2割、20減ったこと。
ダメージ率上昇は単純にありがたい。
ダメージが30%上がったら出来ることはかなり増えるだろう。
ダメージが上がると言うことは、少ない矢の本数で敵を倒せると言うこと。
そうなると、戦闘時間が短くなって、タイパが良い、使用する矢の本数が減ってコスパが良い?
コスパに関しては、矢の値段がその分上がるんだろうから、良くなることはないんじゃないかな。
タイパはとてつもなく上がると思う。
かけたコストを回収できるぐらいには、良い成果を上げるんじゃないかな。
経費も上がるけど、その分以上に収入が上がって、純利益も上がるんじゃないかな。
そうなるとより装備に投資できると考えるとお得なのでは?
より多くの敵を倒せると言うことは、経験値も増えてレベルも上がる。
そう考えるとお得なのでは?
耐久値に関しても、少し耐久値が減ったところで、耐久値が0になるまで使える訳ではないので、それほどのデメリットでもない。
値段によってはめちゃくちゃお得なのかもしれない。
俺はわくわくしながら、値札をめくった。
10本束で2500G、100本束だと、20000Gで良いらしい。
100本束の割引率がすごくないか?
何でこんなに安くなるんだろう?
一般的な矢田から、大量生産されていて、大量に買ってくれる人には安くすると言うことなのかな。
20,000Gかぁ。
今使っている初心者用の矢を10本束で買って、こっちを100本束で買うとしたら、1本当たりは倍で良いのか。
倍の値段を出して、ダメージ率30%上昇か。
これは悩むな。
さっきの上質な初心者用の矢よりもより悩むな。
これを買うなら、回収できない矢がもったいないから、回収率が少しでも高い回収率75%の矢筒を買おうかな。
よし、こっちの矢に切り替えよう。
決めた切り替える。
良い冒険者になるためには良い装備を使わないとだよな。
そして、矢を切り替えるから、矢筒も回収率の良いものにしよう。
2つ決めたし、弓の方も決めよう。
弓はどれを買おうかな。
やっぱりダンジョン木製のサバイバルボウかな。
単純に火力が高いし、難しいのにも早い内になれておいた方がいい気がするし。
買うものが決まってきたな。
弓と矢と矢筒。
それ以外のものは、今度で良いかな。
他にもいろいろな装備やら道具やらがあるみたいだけど、こういうのは、もう少し頑張ってから買うことにしよう。
そもそもまだ弓になれていなくて、どれが必要でどれが必要ないのかまで把握できていないし。
本職がサバイバル冒険者だから、必要のないものもありそうだし。
何より、初心者装備として配られなかったと言うことは、そこまで重要な装備ではないんだろう。
それに、3つも買っちゃったら、かなり懐が寂しくなりそうだし。
弓が10万G、矢筒が3万G、矢はストレージにまだまだ余裕があるし100本束が3つで6万Gあわせて19万Gか。
これを買ったら、口座残高は、3万G弱になってしまうのか。
3万Gあれば2層の地図も買えるだろうし、なんとかなるか。
3万Gかぁ。
前回の依頼と素材買取りで手に入れた額を全額突っ込むようなものか。
これも、先行投資だ、仕方がないこと。
そう思って割り切りながら、商品を持って会計に行った。
会計の台に商品を乗せても、店員が出てこないので、そこそこの声で呼んだ。
「会計お願いします」
すると、店の奥から、店に入ったときに説明をしてくれた店員さんが出てきた。
店員さんは申し訳なさそうにしながら言った。
「ここにいなくてごめんなさいね。お会計だっけ?」
俺は、会計の台に置いている商品を店員さんの方に寄せながら言った。
「お会計の方をお願いします」
「ダンジョン木製サバイバルボウと、普通の矢筒、普通の矢100本束が3束ね。あわせて19万Gね。初めて来てくれたお客さんだから、おまけして、18万Gで良いわ」
1万Gもまけてくれるのか。
かなりありがたいな。
こういうのって、端数をおまけしてくれるとかならわかるんだけど、1万Gをがっつり割り引いてもらっちゃって良いのだろうか?
そう思いながら聞き返した。
「良いんですか?」
「新しいお客さんにはサービスしなきゃでしょ? だから良いのよ。それに、若い人には頑張ってもらいたいからね」
いい人だなぁ。
ありがたい。
この1万Gで何が出来るだろうか。
何でも出来そうな気がしてくるな。
俺は全力で感謝を伝えた。
「ありがとうございます」
「それじゃあ、支払いのギルドカードを出してくれる?」
俺は、バックからギルドカードを取り出して、店員さんに渡しながら言った。
「お願いします」
「じゃあ手続きしちゃうね。はいこれでOK。商品はこのままで大丈夫?」
店員さんは、などの端末にカードをかざして手続きをしていた。
これで、口座から自動的に引き落とされているのだろう。
便利なシステムだなぁ。
いや、カード決済は、現実にもあるやつだな。
そう考えると現実って便利だな。
変な方向に思考が行きかけている中、言った。
「大丈夫です」
「そう。じゃあ、お買い上げありがとうございました」
俺は、全力で頭を下げながら言った。
「こちらこそ、割り引いていただきありがとうございます」
そして顔を上げると同時に、商品をストレージに入れて、店を出た。
本当に言い買い物をしたなぁ。
12
あなたにおすすめの小説
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
異世界帰りの最強勇者、久しぶりに会ったいじめっ子を泣かせる
枯井戸
ファンタジー
学校でイジメを受けて死んだ〝高橋誠〟は異世界〝カイゼルフィール〟にて転生を果たした。
艱難辛苦、七転八倒、鬼哭啾啾の日々を経てカイゼルフィールの危機を救った誠であったが、事件の元凶であった〝サターン〟が誠の元いた世界へと逃げ果せる。
誠はそれを追って元いた世界へと戻るのだが、そこで待っていたのは自身のトラウマと言うべき存在いじめっ子たちであった。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件
夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。
周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。
結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる