キメラスキルオンライン

百々 五十六

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1章 スタートダッシュ

昼食

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 俺はとりあえず店を出て、店の邪魔にならず、道を通る人の邪魔にもならないように、道の端で立ち止まった。
 とりあえずまずは、買った装備を装備していくか。
 俺は、まず今装備している、弓と矢筒、その中に入っている矢をストレージにしまった。
 その後に、ストレージから新しい弓と矢筒、そして新しい矢を取り出して装備していく。
 どれも、派手な装備ではないから、あまり変化がある訳ではないな。
 装備してみてもしっくりきているし、良いものを買ったな。
 次は何をしようか。
 ストレージを開けたときに時間を確認したら、今はゲーム内時間でも、外の時間でも12時なんだな。
 このゲームを始めたのが、ゲーム内時間だと6時、外の時間だと10時だったよな。
 もうゲーム内時間で6時間も経ったのか。
 時間がたつのが早いな。
 まぁ、でもダンジョンに3回行って、チュートリアルもして、フィールドクエストもしたし、それぐらい経っていても不思議じゃないのかもな。
 そうか、もうそんなに経っていたんだな。
 いや、まだ6時間しか経っていないんだな。
 これだけの経験をして、まだ6時間って、かなりお得なんじゃないか。
 それに、外の時間では、まだ2時間しか経っていないのか。
 まだ2時間しか経っていないのか。
 外の2時間では到底出来ないような体験をしているな。
 そもそも、チュートリアルとか依頼とか戦闘とかフィールドクエストって、外で6時間いたとしても、出来ないような体験だよな。
 すごい濃い2時間だったな。
 12時というと、お昼時かぁ。
 そう聞くと、なんかお腹がすいてきたような気がするなぁ。
 これは、ゲームの中で再現された空腹なのかな?
 それとも、ゲームの外の俺がお腹がすいているのかな。
 どっちか分からないけど、それなら、両方、お昼ご飯にしようかな。
 ゲームの中で食事をした後に続けて、現実の方の昼ご飯も食べちゃえば良いな。
 どっちもお昼時だし。
 じゃあ、まずはキメライン内の食事だな。
 このゲームって空腹値とかがきちんと整備されているから、定期的に食事を取らないといけないんだよな。
 食事をしないといけないなら、うまいものを食べたいよな。
 携帯食とかじゃなくてちゃんとしたもの食べたいよな。
 飲食店とかってあるのかな?
 俺はとりあえず地図を開いて検索してみた。
 屋台系と店舗系の飲食店があるな。
 どっちが良いかな。
 屋台系かな。
 屋台系の方が味の濃いものを売ってくれそうだし。
 先頭とか移動とかでいっぱい運動したから、味が濃いものを食べたいよな。
 それに、ゲームの中だから、健康とか気を使わずに好きなもん、うまいもんをたくさん食べたいしな。
 そう思って、屋台の場所を探す。
 えっと、町の中央にある広場がメインな感じかな。
 他で言うと、大通り沿いはある程度ポツポツと屋台が並んでいるみたいだけど、屋台の数的にメインどころは中央の広場だろうな。
 じゃあ、中央の広場に向かうか。
 そうしよう。
 ちなみに、今の俺の空腹値って、いくつぐらいなんだろう?
 そう思って、ステータスから空腹値を見た。
 今の空腹値は、45だった。
 ちなみに、空腹値が100を超えるとデバフが付いちゃうんだよな。
 45か。
 思ったよりも上がっていないんだな。
 運動とかいろいろしたから、もっとギリギリなのかと思っていた。
 現実の空腹よりは、ある程度、緩和されているのかもな。
 現実みたいに3食取る必要は、必ずしもないという風な設定なのかもしれないな。
 まぁ、俺は、3食食べたいから、空腹値がどうであれ、1日3食は取ることになるだろうけどな。
 そもそも、初めて確認したから、45が高いのか低いのか分からないな。
 デバフが付くような状況って相当の空腹だろうから、朝昼の間でその危険があるほど空腹値が増えないのかもしれないな。
 緩和されたとかではないのかもしれないな。
 そもそも、どのようなときに空腹値が100になるのか体験したことがないから分からないけど。
 分からないことだらけだな。
 こっちで食べ過ぎて、現実の方で食欲がなくなるみたいなことはさすがにないよな。
 そんな設定があったら、こっちでの食事量を意識しなくちゃいけなくなっちゃうもんな。
 自由にいっぱい食べられるよな。
 さすがにそうだよな。
 途中少しだけ不安になってしまったけど、まぁ、そんなことはあり得ないよなと思い、なんとか持ち直した。
 体重も気にせず、健康がどうこうとか、栄養素がどうこうとか、塩分がどうこうとかそういうのを気にせずにご飯が食べられるって最高だな。
 そう思いながら、広場へ向かった。
 弓専門店が、割ると広場に近い立地だったおかげて、すぐにたどり着いた。
 いろんな食べ物の匂いがする。
 それらが混ざったような匂いがするが、そこまできつい匂いではない。
 逆に食欲がそそられるような匂いをしている。
 こういう匂いとかまで調整しているのかな? 運営って。
 そんなこと思いながら、近くにあった屋台に寄ってみた。
 そこは、肉串の屋台のようだ。
 店主のおじさんに陽気に話しかけられた。

「らっしゃい! 注文は?」

 勢いの強さに少しだけ緊張しながら注文をした。

「肉串を1つ」

「それなら、300Gだ。ここにギルドカードをタッチしてくれ!」

 俺は、バックからギルドカードを取り出して、店主が指す場所にギルドカードをかざした。
 初めての体験でうまく出来たかどうか分からないので、店主に確認した。

「これでいいか」

「大丈夫だ! はい、これ肉串な」

 そう言って、店主が肉串を渡してきた。
 俺はそれをギルドカードを持っている手と反対の手で受け取った。
 そして店主に言った。

「ありがとう」

「また来いよ」

 にかっと笑顔を見せる店主。
 その店主のテンションに押されながら言った。

「あぁ」

 俺は、俺の後ろにちょっとした列が出来ているのが分かったので、すぐに屋台から離れた。
 これは、このまま食べようかな。
 それともある程度の種類を買ってから、まとめて食べようかな。
 そもそも、この食べ物って、ストレージに入るのかな。
 俺は、気になったのでストレージに入れてみた。
 すると、簡単に入れることが出来た。
 ストレージに入るなら、まとめて食べた方が楽しそうだな。
 この世界での初のちゃんとした食事の感動を肉串1本で済ますのは少しもったいないような気がしてきたし。
 そう思って、俺は次の屋台へと向かった。
 次の屋台の店主は、優しそうなおばちゃんだった。
 屋台の前に行くと、おばちゃんが言った。

「いらっしゃい。ご注文はなんですか?」

 俺は、人差し指をピンと立てて、1を示しながら言った。

「団子を1本」

「団子ね。団子は、200Gだよ。ここにギルドカードをかざしてね」

 俺は、前回の屋台から、バックに入れずにそのままずっと持っていたギルドカードを端末にかざした。
 まだこの方式に慣れていないので、店主のおばちゃんに確認を取った。

「これでいいですか?」

「大丈夫だよ。はい、これ団子ね」

 そう言いながら、おばちゃんは団子を渡してきた。
 それをギルドカードを持っていない方の手で受け取る。
 俺は受け取りながら言った。

「ありがとうございます」

「また来てね」

 優しくそういうおばちゃん。
 それに同じようなテンションで答えた。

「はい」

 そう言って俺は、屋台から離れた。
 これで2品目ゲットだ。
 この団子は、観光地とかである、少し大きめで、焼いているタイプの団子だ。
 食べ応えがありそうだな。
 そう思いながら、ストレージに入れた。
 俺は、そのままの勢いで、次の屋台に行った。
 次の屋台は、鮎を焼いて売っている屋台だ。
 観光地っぽいのが多いな。
 そう思っていると、店主のあんちゃんが言った。

「へい、らっしゃい。鮎は1本350Gだよ」

 俺は、店主のテンションには乗れず、丁寧に言った。

「じゃあ、1本ください」

「1本ね。じゃあ、ギルドカードをここにかざしちゃって」

 屋台は基本的にこの方式なのかな。
 そろそろ慣れないとだな。
 本当にこれであっているのか、やっぱり心配になったので、店主のあんちゃんに確認した。

「これでいいか?」

「大丈夫だ。はいこれ、鮎な。熱いから気をつけよろ」

 俺は鮎を受け取りながら言った。

「分かった」

 これで3品目。
 後1品ぐらいで良いかな。
 そんなにいっぱい買っても食べられないし。
 そう思いながら鮎をストレージにしまった。
 そして次に目に付いた屋台に向かう。
 店主のおばちゃんが言った。

「いらっしゃい。ご注文は?」

 俺は、おばちゃんのテンションに合わせて、ゆったりと言った。

「えっと、あんパンを1つください」

「あんパン1つね。250Gだよ。ここにギルドカードをかざして支払ってね」

 俺は、さすがに4度目なので迷わず決済をした。
 そして、店主に確認もしなかった。
 俺は誇らしげに言った。

「はい」

「じゃあ、これあんパンね」

 俺は、紙袋に包まれたあんパンを受け取る。
 俺は目を輝かせながら、言った。

「ありがとうございます」

 そのまま俺は屋台から離れた。
 熱々のものがそろってきたな。
 食べ物はこれぐらいで良いけど、飲み物がほしいな。
 飲み物を売っている屋台はないかな。
 キョロキョロしながら、あんパンをストレージに入れた。
 元気よく宣伝している声が聞こえたので、その方に行った。

「1杯、200G! 1杯200Gでジュースが飲めるよ!」

 俺は、元気な店主さんに向かって言った。

「ミックスジュースをください」

「ミックスジュースね、200G、いや150Gで良いよ。支払いはここね」

 ラッキー。
 何でか分からないけど、割引してもらえた。
 これはありがたいな。
 俺は自然と笑顔になりながら決済をした。

「はい」

「杯これできたてのミックスジュース」

 ジュースを受け取りながら言った。

「ありがとうございます」

 これで、良い感じに昼食がそろったんじゃないかな。
 後は食べる場所だけど、良い感じのベンチがないかな。
 そう思って周りをキョロキョロと見ていると、1つ空いているベンチがあった。
 俺はそこに座って、ストレージに入れていた食べ物達を取り出した。
 とりあえず、片手に串系を3本持って、太ももの上にあんパンを置き、ベンチにジュースを置いた。
 この状態で言った。

「いただきます」

 俺はまず、一番最初に買った肉串を食べた。
 うまい。
 肉汁がじゅわっと出る。
 ここまで再現されているんだな、肉串も、味覚も。
 これはかなりうまい。
 思わず独り言が出た。

「うまっ」

 肉串を食べ終えると、串がキラッと輝いて消えた。
 ポイ捨て防止のためにこういうこともしているのかな?
 芸が細かいな。
 俺は、続いて、団子を食べた。
 これもうまい。
 団子の甘塩っぱさがちょうど良い。
 誰に聞かせるでもない言葉が自然と出た。

「これも、うまっ」

 その後は夢中で無言で団子を食べた。
 あっという間に、団子がなくなり串がキラッと輝いて消えた。
 しょっぱいもの甘塩っぱいものと続いたため、飲み物が飲みたくなり、ミックスジュースを飲んだ。
 これもまたうまい。
 どのフルーツが入っているの全然分からないけど、とりあえずうまい。
 もしかしたら、現実にはないフルーツも入っているのかもしれないな。
 俺は、一口飲んでおもわず言った。

「うまっ」

 ミックスジュースで口の中が甘くなったところで、鮎を食べた。
 鮎も鮎で、現実で食べているかのようなリアルな味。
 これもうまい。
 当然のようにうまい。
 その気持ちがこもった一言。

「うまっ」

 鮎を食べ終わり串が消え、残ったのは、あんパンと飲みかけのミックスジュース。
 俺は、太ももも上に置いておいたあんパンを食べる。
 これもすごいな。
 めちゃくちゃうまい。
 うまい以外の感想が出てこないぐらいうまい。
 あんがどうとか、パンがどうとか言ってられないぐらいただただおいしい。
 俺はしみじみ言った。

「うまいなぁ」

 ジュースは残っているけど、食べ物に関しては食べ終えたので、手を合わせて言った。

「ごちそうさまでした」

 ステータスから空腹地を確認すると、0になっていた。
 空腹値も今の食事に満足したようだ。
 次は何をしようかな。
 そうだ、ログアウトして、外でも昼食を取るんだった。
 そう思ったときに、空腹値のしたいにあった、疲労値が目に付いた。
 疲労値が34になっていた。
 これを0にしてからログアウトしようかな。
 確か、疲労値って、食事とか、睡眠、娯楽によって減るんだよな。
 ということは、食事をした上で、後34も残っていると言うことなんだな。
 もしかして、めちゃくちゃ、手強い値なのか?
 まぁ、でも、食事で減る疲労値なんてたかがしてれているだろう。
 疲労値の回復の本命は睡眠だったはずだ。
 だから、どこかで睡眠を取れば、すぐに0になるんじゃないかな。
 睡眠ってどこで取れば良いんだろう?
 ホテルでもあるのかな?
 とりあえず、ギルドも近いし、受付で聞いてみるか。
 俺は、ミックスジュースを飲みながらギルドへ向かった。
 ミックスジュースは、ギルドに入るタイミングで飲み終わった。
 いつもの受付で、いつもの受付のお姉さんが言った。

「ご用件はなんでしょうか?」

 俺は、いつも通りのテンションで言った。

「数時間ぐらい宿を取りたいんですけど、どこに行けばいいですかね?」

「数時間の休憩ですね。それならば、ギルドにある仮眠室をおすすめします。そこでなら仮眠をとれて、疲れを落とすことが出来ます。それに、利用料は、1時間200Gと良心的ですし」

 へぇ、仮眠室があるんだ。
 聞いてみるもんだな。
 地図を開いて検索すれば良いと気づかなかったあのときの自分に感謝だな。
 そう思いながらさらに質問をした。

「仮眠室はどこにあるんですか?」

「仮眠室は、あそこの階段から2階に上がってもらうと、すぐに仮眠室の受付があるので、そこの端末を操作すると入場することが出来ます」

 2階かぁ。
 行ったことがないな。
 初ギルドの2階。
 ちょっと楽しみだな。
 俺はわくわくしながら言った。

「そうなんですね。ありがとうございます」

 受付での話を終えて、2階に来てみた。
 受付のお姉さんが教えてくれた階段を上るとすぐに、売店にあるようなタイプの端末があった。
 それに、「ギルドカードをかざしてください」とでかでかと書かれていたので、まずギルドカードをかざした。
 すると、画面が切り替わった。
 フロア図のようなものが出て、そこには、部屋の場所と部屋番号が書かれていた。
 俺は、この受付に近い部屋を選択した。
 すると、「支払いは、部屋を出たときに引き落としされます」と書かれた画面に変わった。
 それに「はい」と押すと、「ギルドカードがカードキーとなりました。部屋に入った瞬間から料金が発生します。これで受け付けは終了です」と表示された。
 受け付けが終わったんだな。
 俺は、選択した部屋まで来て、ギルドカードをかざして部屋に入る。
 ビジネスホテルぐらいのサイズはあるな。
 この部屋を1時間200Gで借りれるのか。
 冒険者割りみたいなのが適用されているのかな。
 まぁ、とりあえず、寝るために装備を外してベットに横になった。
 すると、ウィンドウが出てきた。


 寝ますか?
 寝てログアウトしますか?
 ログアウトしますか?


 俺は、「寝てログアウト」を選択した。
 すると、視界が切り替わり、現実世界に戻ってきていた。


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