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1章 スタートダッシュ
サバイバルクラフトと帰宅の決意
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砂漠の歩き方に関する振り返りは良い感じに出来たな。
見落としている要素はないかな。
あ、そういえば、サバイバルクラフトについてあまり触れていなかったな。
サバイバルクラフトをちょっといじってみるか。
今は、すぐにでも戦おうとならないほど戦った訳だし。
そう思いながら言った。
「サバイバルクラフトを試してみるか」
「にゃ?」
「なぁ?」
「どうやって使うんだろう? これ」
「にゃー」
「なぁ?」
「とりあえず詳細でも確認してみようかな」
俺は、とりあえずステータスから、詳細を見た。
サバイバルクラフト
サバイバル系の職業の者が3番目に授かる職業技。
サバイバルに役立つ小物から、家規模の大きなものまで様々なものを作ることができる職業技。
何度か作ったことがあるもの、一定程度の熟練度のあるものは、品質は低下するが自動で作成することができる。
作成できるもの、自動で作成できるもの、作成したものの品質などは、職業レベルによって変化する。
「サバイバルクラフト」と声に出して言うか、サバイバルクラフトと強く念じる事で発動できる。
へぇ、こんな感じの技なんだな。
とりあえず、生産系の技であること。
そして、索敵と同じで、職業レベルによって、変化すること。
小物から、家規模のものまで作ることが出来ることなどがわかった。
これは面白そうだな。
このスキルを活用すれば、ダンジョン探索にかかるコストを削減したり、ダンジョン探索内でのストレスを軽減したり出来そうだな。
これは、思っていたよりも良い職業技なのかもしれないな。
俺はそう思いながら言った。
「やっぱり生産系の職業技なんだな」
「にゃ?」
「なー」
「使ってみるか」
「にゃ!」
「なぁ!」
使ってみないと、どういう物なのか分からないしな。
サバイバルクラフトはどんなシステムなんだろうな。
何か新しい仕組みとかで動いているなんてことはないのかな。
俺はわくわくしながら、単純な好奇心からつぶやいた。
「サバイバルクラフト」
すると、新しいウィンドウが出現した。
サバイバルクラフト
『作成』
『自動作成』
へぇ、こんな感じなんだな。
ウィンドウを操作していって、作成するんだな。
生産をしたことがないから、これが、生産の王道なのかは分からないけど、初見の俺にとってもわかりやすくていいんじゃないかな。
選べるのは、『作成』と『自動作成』の2つか。
確か、作成していって、その熟練度が上がれば、自動作成が出来るんだよな。
となると、まずやるべきなのは、『作成』だよな。
『自動作成』は、その後に活用することになるだろう。
ウィンドウを眺めながら言った。
「こんな感じになっているんだな」
「にゃ?」
「なぁ?」
「とりあえず、『作成』かな」
俺は、『作成』を押した。
すると、ウィンドウが切り替わった。
作成
『作成可能物リスト』
『所持素材リスト』
さっきのウィンドウと同じスタイルなんだな。
同じスタイルだと、見やすくていいな。
今度は、『作成可能物リスト』と『所持素材リスト』か。
まぁ、これも名前の通りなんだろうな。
『作成可能物リスト』には、作成できるものが載っているのだろう。
『所持素材リスト』には、俺のもっている素材が並んでいるのだろう。
そうだとしたら、選ぶのは1択だな。
『作成可能物リスト』以外選ぶ選択肢はないな。
『所持素材リスト』なんて見ても、ストレージから素材以外を除いたものを眺めるだけになるんだろうな。
それなら新しいことの載っているであろう『作成可能物リスト』しかないよな。
俺は、ウキウキしながら言った。
「さらに選択肢があるんだな」
「にゃ?」
「なぁー」
「『作成可能物リスト』でも見ておくか」
俺は『作成可能物リスト』を選択した。
すると、またウィンドウが切り替わった。
作成可能物リスト
『木材(小)』(灰色)
『木材(大)』(灰色)
『矢尻(鉄製)』(灰色)
『矢尻(骨・牙製)』
『羽根』(灰色)
『矢柄』(灰色)
『矢』(灰色)
『簡易ポーション』(灰色)
『ポーション』(灰色)
『MPポーション』(灰色)
『携帯食料』(灰色)
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、えっと、11あるのか。
もしかして、職業レベルの数ということなのかな。
そういうことなのかな。
そうだとしたら、今後レベルアップするたびに、このレシピが増えていくということか。
まだ何も作ってはいないけれど、レベルアップを頑張ろうと思った。
内容的には、大分、弓矢によっているな。
もしかしたら、俺の行動を元に必要なものが選択されているとかなのかな。
VRMMOなんてものを作っちゃうんだし、そのぐらいの仕組みがあったとしても不思議じゃないよな。
簡易ポーションの前までは、矢の作成に関するものだらけだな。
簡易ポーションからは、お手軽冒険セットみたいになっているな。
この職業技は思ったよりも楽しそうだな。
「作成できるものは、現在11種類ということか」
「にゃ!」
「なー」
「灰色になっているのと、なっていないのとの違いは何だろうな」
「にゃ?」
「なぁ?」
それから、軽くこの画面でいろいろといじってみた。
それぞれの、『木材(小)』とか、『木材(大)』等を押してみると、新しいウィンドウに切り替わった。
そこには、必要な素材と必要な設備、作成の手順が書かれていた。
これのどれかが不足していると、灰色になっているのだなと、2個ぐらいウィンドウを開いたときに思った。
俺は、それを自信ありげに言った。
「あぁ、今の手持ちの素材で作成できるのが通常のもので、素材不足で作成できないのが灰色になっているんだな」
「にゃ」
「なぁ」
今、灰色じゃないのは、矢尻の骨・牙製のみ。
矢尻かぁ。
さすがに、矢尻だけ作っても仕方がないよな。
使いどころがないんだよな。
そう思いながら言った。
「ということは、今の手持ちの素材では、矢尻しか作成できないのか」
「にゃ」
「なぁ!」
「何か試しに作成してみようと思ったけど、矢尻ならやらなくていいかな」
「にゃ?」
「なぁ?」
2人が、不思議そうな顔をしている。
作れるのに何で作らないのと言いたげな顔だ。
作ってもいいんだけど、矢尻だけ作ってどうするという話だよな。
何かに使える訳じゃない矢尻を所有しても困るだろ。
だからと言って、他の素材を取ってきて、他のものも作ろうと言うぐらいのやる気はない。
だから、今回は、諦めようかな。
それに、矢尻のために、今日取った素材達を使うのはなんかもったいないからな。
「だって、矢尻だけもっていても使えないし、最初に作るものが矢尻ってなんかパッとしないからな」
「にゃ」
「なぁ」
「後、貴重な素材を、うまく行くかも分からないところには使えないよな」
「にゃ」
「なぁ」
サバイバルクラフトについてはだいたい分かった。
もう、詳細を見る必要はないな。
とりあえず有用そうな職業技であることは分かった。
戦闘系の職業技でないのは残念だが、俺としてはすごく面白そうなスキルだったし、まぁ、うれしさと残念さでトントンと言ったところかな。
そう思いながら言った。
「サバイバルクラフトについては、だいたい分かったな」
「にゃ!」
「なぁ!」
何か他にここでやるべきことってあったかな。
あぁ、そうだ。
今って何時なんだろう。
今の時間が分からないと、今後の予定が立てられないんだよな。
次の予定を立てるのにも、今の時間は必須。
そう思いながら言った。
「あれ? そういえば、今って何時なんだろう?」
「にゃ?」
「なぁ?」
俺は、とりあえず、メニューから時刻を確認した。
すると、そこには、ゲーム内時間で午前2時と書かれていた。
え?!
午前2時?!
俺の驚きが、そのまま口から出た。
「え?!」
「にゃ?」
「なぁ?」
俺達が、ログインしたのが昼過ぎだったよな。
そこからもう12時間以上経過したということか。
もうそんなに時間が経ったのか?
全くその感覚はないな。
長くて4,5時間ぐらい経過して、良い感じの夕方になっているものだと思っていた。
驚きがなかなか収まらないな。
俺は、驚きそのままで言った。
「もう、午前2時過ぎなの!」
「にゃ!」
「なぁ!」
「午後になってすぐぐらいから動き出したから、もう12時間以上経過したってこと?!」
「にゃ」
「なぁ」
全くそんな気がしないな。
半日もダンジョンで過ごしいているのか。
まぁ、確かに、何度か携帯食料を食べたり、もらった朝食(軽食)を食べたりはした。
しかし、半日が経っている感覚など全くない。
これは、あれか。
歩き方系のクエストに集中していたからかな。
そのせいなのかな。
長時間戦闘したり、フィールド内を歩き回ったりしたことで、完全に時間の感覚が狂ったのかな。
しかも、その2つのクエストをやっている間、時計を一度としてみなかったから、より、時間の感覚が狂ったのかもしれないな。
俺は、原因を全て、歩き方系クエストのせいにしながら言った。
「全然そんな感じがしないな」
「にゃ」
「なぁー」
「まぁ、今回やった2つの歩き方系クエスト、戦闘パートの阿呆みたいに長かったけど、探索パートの方も相応に長かったからな。時間がいっぱいかかったっていうのも分からない訳じゃない」
「にゃ」
「なぁ」
頭では分かっているんだよ。
でも、感覚として、全く半日の感覚がない。
キメラスキルオンラインを始めて初めて、現実の方の時の流れ方の方がしっくりきた気がする。
体感的には、現実で流れた4時間ちょっとの方があっている。
それぐらいの感覚なのだ。
あれだけの戦闘をして、あれだけ歩き回ったのだから、これだけの時間が過ぎていてもしょうがないとは思うんだけど、それと同時に、感覚としては、そんなことはないと言っている。
「頭では時間がかかったことが分かっていても、体感として、全くそんな気がしていない」
「にゃ」
「なぁ」
「ダンジョンの日が変わらなすぎるのが悪い」
「な」
「にゃ」
え? 待って。
今が午前2時過ぎということは、イベントクエストの終了まで、後4時間弱しかないということ?
そうだとしたら、ここでのんきに狩りをしている場合ではないな。
ここから町に帰るには、最低でも1時間はかかる。
そして、その時間はあくまで最低の時間であり、実際どのぐらいの時間がかかるのかは、本当に運次第。
ここは、4層のに入ってからかなり移動した先だ。
ここから、3層へ向かうゲートに行くだけでも、10分単位の時間がかかる。
もしかして、ゆっくり休んでいる余裕ってないの?!
俺は、今の状況を整理しながら言った。
「あれ? 待って。今が午前2時ということは、あと4時間で、スタートダッシュイベントが終わっちゃうってこと?!」
「にゃ?」
「なぁー」
今回のイベントは、モンスターを討伐したときにポイントが加算される。
そして、他には、素材をギルドで納入すると、それはそれでポイントが加算される。
その2つのポイントを合算して、イベントのポイントになる。
だから、素材を抱えて、納入できないと、かなりの痛手になる。
最終日は頑張ると決めていたのだ。
この素材達はなんとしてでも納入したい。
俺は、その熱意を持って言った。
「最終日の分の素材は、全部イベントの方に回そうと思っていた。ということは、6時までに、この素材を納入しに町に行かないといけない」
「にゃ」
「なぁ」
「このまま、ご飯休憩をして、狩りをしてとやっていたから、間に合わなくなってしまう」
「にゃ」
「なぁ」
「そもそも、ここから、3層へのゲートまでかなりの距離があることが予想されるため、このまま帰るのですら不安」
「にゃ」
「なー」
そうなってくると、もう時間的余裕はないんだな。
ここで優雅に振り返りをしている時間なんてなかったということか。
俺は、段々と焦ってきた。
「となると、もう帰らないとダメってこと?!」
「にゃ!」
「なぁ?!」
俺は、にゃーさんとなーさんに言った。
「よし、なーさんにゃーさん! 狩りは切り上げて、町に帰るよ!」
「にゃ」
「なぁ」
「狩りをしていたら、イベント終了に間に合わないし」
「にゃ!」
「なぁ!」
「それにもう、今回のダンジョン探索で、かなりの戦闘をしたしな」
「にゃ」
「なぁ」
「そろそろ、町に帰る頃だよな」
「にゃ」
「なぁ」
2人の理解を得られたようだ。
これで、町に帰れる。
そして、町に帰れば、納入できる。
納入できれば、イベントのポイントが増える。
俺は焦る気持ちを抑えながら言った。
「町に帰る準備は出来たか?!」
「にゃ!」
「なぁ!」
「忘れ物はないか?!」
「なぁ」
「にゃ」
出発の準備は整っているようだな。
じゃあ、出発をするか。
町に早く着く分には良いのだ。
一秒の遅刻も許されないだけで。
たどり着くのは夜中になりそうだけど、ちゃんと、ギルドはやっているのだろうか。
昨日、今ぐらいの時間に行ったときは、ちゃんとやっていたけど、それより遅くなる訳だ。
ほんの少しだけ不安になってきた。
ほんのちょっとの不安と焦りを抱えて言った。
「じゃあ、出発!」
「にゃ!」
「なぁ!」
見落としている要素はないかな。
あ、そういえば、サバイバルクラフトについてあまり触れていなかったな。
サバイバルクラフトをちょっといじってみるか。
今は、すぐにでも戦おうとならないほど戦った訳だし。
そう思いながら言った。
「サバイバルクラフトを試してみるか」
「にゃ?」
「なぁ?」
「どうやって使うんだろう? これ」
「にゃー」
「なぁ?」
「とりあえず詳細でも確認してみようかな」
俺は、とりあえずステータスから、詳細を見た。
サバイバルクラフト
サバイバル系の職業の者が3番目に授かる職業技。
サバイバルに役立つ小物から、家規模の大きなものまで様々なものを作ることができる職業技。
何度か作ったことがあるもの、一定程度の熟練度のあるものは、品質は低下するが自動で作成することができる。
作成できるもの、自動で作成できるもの、作成したものの品質などは、職業レベルによって変化する。
「サバイバルクラフト」と声に出して言うか、サバイバルクラフトと強く念じる事で発動できる。
へぇ、こんな感じの技なんだな。
とりあえず、生産系の技であること。
そして、索敵と同じで、職業レベルによって、変化すること。
小物から、家規模のものまで作ることが出来ることなどがわかった。
これは面白そうだな。
このスキルを活用すれば、ダンジョン探索にかかるコストを削減したり、ダンジョン探索内でのストレスを軽減したり出来そうだな。
これは、思っていたよりも良い職業技なのかもしれないな。
俺はそう思いながら言った。
「やっぱり生産系の職業技なんだな」
「にゃ?」
「なー」
「使ってみるか」
「にゃ!」
「なぁ!」
使ってみないと、どういう物なのか分からないしな。
サバイバルクラフトはどんなシステムなんだろうな。
何か新しい仕組みとかで動いているなんてことはないのかな。
俺はわくわくしながら、単純な好奇心からつぶやいた。
「サバイバルクラフト」
すると、新しいウィンドウが出現した。
サバイバルクラフト
『作成』
『自動作成』
へぇ、こんな感じなんだな。
ウィンドウを操作していって、作成するんだな。
生産をしたことがないから、これが、生産の王道なのかは分からないけど、初見の俺にとってもわかりやすくていいんじゃないかな。
選べるのは、『作成』と『自動作成』の2つか。
確か、作成していって、その熟練度が上がれば、自動作成が出来るんだよな。
となると、まずやるべきなのは、『作成』だよな。
『自動作成』は、その後に活用することになるだろう。
ウィンドウを眺めながら言った。
「こんな感じになっているんだな」
「にゃ?」
「なぁ?」
「とりあえず、『作成』かな」
俺は、『作成』を押した。
すると、ウィンドウが切り替わった。
作成
『作成可能物リスト』
『所持素材リスト』
さっきのウィンドウと同じスタイルなんだな。
同じスタイルだと、見やすくていいな。
今度は、『作成可能物リスト』と『所持素材リスト』か。
まぁ、これも名前の通りなんだろうな。
『作成可能物リスト』には、作成できるものが載っているのだろう。
『所持素材リスト』には、俺のもっている素材が並んでいるのだろう。
そうだとしたら、選ぶのは1択だな。
『作成可能物リスト』以外選ぶ選択肢はないな。
『所持素材リスト』なんて見ても、ストレージから素材以外を除いたものを眺めるだけになるんだろうな。
それなら新しいことの載っているであろう『作成可能物リスト』しかないよな。
俺は、ウキウキしながら言った。
「さらに選択肢があるんだな」
「にゃ?」
「なぁー」
「『作成可能物リスト』でも見ておくか」
俺は『作成可能物リスト』を選択した。
すると、またウィンドウが切り替わった。
作成可能物リスト
『木材(小)』(灰色)
『木材(大)』(灰色)
『矢尻(鉄製)』(灰色)
『矢尻(骨・牙製)』
『羽根』(灰色)
『矢柄』(灰色)
『矢』(灰色)
『簡易ポーション』(灰色)
『ポーション』(灰色)
『MPポーション』(灰色)
『携帯食料』(灰色)
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、えっと、11あるのか。
もしかして、職業レベルの数ということなのかな。
そういうことなのかな。
そうだとしたら、今後レベルアップするたびに、このレシピが増えていくということか。
まだ何も作ってはいないけれど、レベルアップを頑張ろうと思った。
内容的には、大分、弓矢によっているな。
もしかしたら、俺の行動を元に必要なものが選択されているとかなのかな。
VRMMOなんてものを作っちゃうんだし、そのぐらいの仕組みがあったとしても不思議じゃないよな。
簡易ポーションの前までは、矢の作成に関するものだらけだな。
簡易ポーションからは、お手軽冒険セットみたいになっているな。
この職業技は思ったよりも楽しそうだな。
「作成できるものは、現在11種類ということか」
「にゃ!」
「なー」
「灰色になっているのと、なっていないのとの違いは何だろうな」
「にゃ?」
「なぁ?」
それから、軽くこの画面でいろいろといじってみた。
それぞれの、『木材(小)』とか、『木材(大)』等を押してみると、新しいウィンドウに切り替わった。
そこには、必要な素材と必要な設備、作成の手順が書かれていた。
これのどれかが不足していると、灰色になっているのだなと、2個ぐらいウィンドウを開いたときに思った。
俺は、それを自信ありげに言った。
「あぁ、今の手持ちの素材で作成できるのが通常のもので、素材不足で作成できないのが灰色になっているんだな」
「にゃ」
「なぁ」
今、灰色じゃないのは、矢尻の骨・牙製のみ。
矢尻かぁ。
さすがに、矢尻だけ作っても仕方がないよな。
使いどころがないんだよな。
そう思いながら言った。
「ということは、今の手持ちの素材では、矢尻しか作成できないのか」
「にゃ」
「なぁ!」
「何か試しに作成してみようと思ったけど、矢尻ならやらなくていいかな」
「にゃ?」
「なぁ?」
2人が、不思議そうな顔をしている。
作れるのに何で作らないのと言いたげな顔だ。
作ってもいいんだけど、矢尻だけ作ってどうするという話だよな。
何かに使える訳じゃない矢尻を所有しても困るだろ。
だからと言って、他の素材を取ってきて、他のものも作ろうと言うぐらいのやる気はない。
だから、今回は、諦めようかな。
それに、矢尻のために、今日取った素材達を使うのはなんかもったいないからな。
「だって、矢尻だけもっていても使えないし、最初に作るものが矢尻ってなんかパッとしないからな」
「にゃ」
「なぁ」
「後、貴重な素材を、うまく行くかも分からないところには使えないよな」
「にゃ」
「なぁ」
サバイバルクラフトについてはだいたい分かった。
もう、詳細を見る必要はないな。
とりあえず有用そうな職業技であることは分かった。
戦闘系の職業技でないのは残念だが、俺としてはすごく面白そうなスキルだったし、まぁ、うれしさと残念さでトントンと言ったところかな。
そう思いながら言った。
「サバイバルクラフトについては、だいたい分かったな」
「にゃ!」
「なぁ!」
何か他にここでやるべきことってあったかな。
あぁ、そうだ。
今って何時なんだろう。
今の時間が分からないと、今後の予定が立てられないんだよな。
次の予定を立てるのにも、今の時間は必須。
そう思いながら言った。
「あれ? そういえば、今って何時なんだろう?」
「にゃ?」
「なぁ?」
俺は、とりあえず、メニューから時刻を確認した。
すると、そこには、ゲーム内時間で午前2時と書かれていた。
え?!
午前2時?!
俺の驚きが、そのまま口から出た。
「え?!」
「にゃ?」
「なぁ?」
俺達が、ログインしたのが昼過ぎだったよな。
そこからもう12時間以上経過したということか。
もうそんなに時間が経ったのか?
全くその感覚はないな。
長くて4,5時間ぐらい経過して、良い感じの夕方になっているものだと思っていた。
驚きがなかなか収まらないな。
俺は、驚きそのままで言った。
「もう、午前2時過ぎなの!」
「にゃ!」
「なぁ!」
「午後になってすぐぐらいから動き出したから、もう12時間以上経過したってこと?!」
「にゃ」
「なぁ」
全くそんな気がしないな。
半日もダンジョンで過ごしいているのか。
まぁ、確かに、何度か携帯食料を食べたり、もらった朝食(軽食)を食べたりはした。
しかし、半日が経っている感覚など全くない。
これは、あれか。
歩き方系のクエストに集中していたからかな。
そのせいなのかな。
長時間戦闘したり、フィールド内を歩き回ったりしたことで、完全に時間の感覚が狂ったのかな。
しかも、その2つのクエストをやっている間、時計を一度としてみなかったから、より、時間の感覚が狂ったのかもしれないな。
俺は、原因を全て、歩き方系クエストのせいにしながら言った。
「全然そんな感じがしないな」
「にゃ」
「なぁー」
「まぁ、今回やった2つの歩き方系クエスト、戦闘パートの阿呆みたいに長かったけど、探索パートの方も相応に長かったからな。時間がいっぱいかかったっていうのも分からない訳じゃない」
「にゃ」
「なぁ」
頭では分かっているんだよ。
でも、感覚として、全く半日の感覚がない。
キメラスキルオンラインを始めて初めて、現実の方の時の流れ方の方がしっくりきた気がする。
体感的には、現実で流れた4時間ちょっとの方があっている。
それぐらいの感覚なのだ。
あれだけの戦闘をして、あれだけ歩き回ったのだから、これだけの時間が過ぎていてもしょうがないとは思うんだけど、それと同時に、感覚としては、そんなことはないと言っている。
「頭では時間がかかったことが分かっていても、体感として、全くそんな気がしていない」
「にゃ」
「なぁ」
「ダンジョンの日が変わらなすぎるのが悪い」
「な」
「にゃ」
え? 待って。
今が午前2時過ぎということは、イベントクエストの終了まで、後4時間弱しかないということ?
そうだとしたら、ここでのんきに狩りをしている場合ではないな。
ここから町に帰るには、最低でも1時間はかかる。
そして、その時間はあくまで最低の時間であり、実際どのぐらいの時間がかかるのかは、本当に運次第。
ここは、4層のに入ってからかなり移動した先だ。
ここから、3層へ向かうゲートに行くだけでも、10分単位の時間がかかる。
もしかして、ゆっくり休んでいる余裕ってないの?!
俺は、今の状況を整理しながら言った。
「あれ? 待って。今が午前2時ということは、あと4時間で、スタートダッシュイベントが終わっちゃうってこと?!」
「にゃ?」
「なぁー」
今回のイベントは、モンスターを討伐したときにポイントが加算される。
そして、他には、素材をギルドで納入すると、それはそれでポイントが加算される。
その2つのポイントを合算して、イベントのポイントになる。
だから、素材を抱えて、納入できないと、かなりの痛手になる。
最終日は頑張ると決めていたのだ。
この素材達はなんとしてでも納入したい。
俺は、その熱意を持って言った。
「最終日の分の素材は、全部イベントの方に回そうと思っていた。ということは、6時までに、この素材を納入しに町に行かないといけない」
「にゃ」
「なぁ」
「このまま、ご飯休憩をして、狩りをしてとやっていたから、間に合わなくなってしまう」
「にゃ」
「なぁ」
「そもそも、ここから、3層へのゲートまでかなりの距離があることが予想されるため、このまま帰るのですら不安」
「にゃ」
「なー」
そうなってくると、もう時間的余裕はないんだな。
ここで優雅に振り返りをしている時間なんてなかったということか。
俺は、段々と焦ってきた。
「となると、もう帰らないとダメってこと?!」
「にゃ!」
「なぁ?!」
俺は、にゃーさんとなーさんに言った。
「よし、なーさんにゃーさん! 狩りは切り上げて、町に帰るよ!」
「にゃ」
「なぁ」
「狩りをしていたら、イベント終了に間に合わないし」
「にゃ!」
「なぁ!」
「それにもう、今回のダンジョン探索で、かなりの戦闘をしたしな」
「にゃ」
「なぁ」
「そろそろ、町に帰る頃だよな」
「にゃ」
「なぁ」
2人の理解を得られたようだ。
これで、町に帰れる。
そして、町に帰れば、納入できる。
納入できれば、イベントのポイントが増える。
俺は焦る気持ちを抑えながら言った。
「町に帰る準備は出来たか?!」
「にゃ!」
「なぁ!」
「忘れ物はないか?!」
「なぁ」
「にゃ」
出発の準備は整っているようだな。
じゃあ、出発をするか。
町に早く着く分には良いのだ。
一秒の遅刻も許されないだけで。
たどり着くのは夜中になりそうだけど、ちゃんと、ギルドはやっているのだろうか。
昨日、今ぐらいの時間に行ったときは、ちゃんとやっていたけど、それより遅くなる訳だ。
ほんの少しだけ不安になってきた。
ほんのちょっとの不安と焦りを抱えて言った。
「じゃあ、出発!」
「にゃ!」
「なぁ!」
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ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
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ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
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