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特別編 プロローグ(勇磨sideー学童期)1
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小学校へ入学した俺の生活はよりイージーモードで快適だった。
高学年になると女と化した同級生達に執拗に追いかけられウザイと感じる事も多くはなっていた。
でもそんな女達の恋心をくすぐってさえいれば俺は楽ができると信じていたから生活態度を改める事はしなかった。
そんな俺は一部のモテない男には不評で嫉妬の目を向けられていた。
奴らの事も気の毒だとは思いつつも馬鹿にしていたから相当、嫌われていたと思う。
でも、アイツだけは友達だと思っていた。
保育園時代からの友達で気が合うと思っていた。
園田尊、今でもアイツを思い出すと苦しくなる。
あれは小学5年生の夏だ。
当時の俺は尊と校庭の隅のコートでバスケをしていた。
「勇磨、また告られてたな、相変わらず、モテるんだな」
尊がバスケットボールをゴール目掛けて投げる。
ボールはリングに弾かれる。
すかさず俺が拾いゴールを決めた。
「くだらねー事、言ってないで集中しろよ」
告白がくだらねーとか最低だな、と尊が笑った。
「別に俺は求めてないし、勝手に盛り上がって泣いて喚いてうざい」
俺の時間を奪われている気がしてた。
同級生のみならず、上級や下級生、中学生も俺を追い回してくるからだ。
一定の距離を保ち円滑にやり過ごしながらも、俺の雑用を代わりにやらせるだけの技も身につけていた。
簡単だ、時々、「ありがとう」と笑えばいいだけだ。
だけど「好きだ」と好意をぶつけてくる奴は苦手だ。
どう繕っても好意に応えないと泣き喚く。
「ひどい」とさえ言われる理不尽。
「勇磨はさ、好きな女の子とかいないの?」
は?
「なんだそれ、俺が?いないよ、考えた子ももない」
俺の落としたボールを拾いドリブルをしながら尊が笑う。
「うわー、さすが。勇磨からいかなくて女の子達からくるもんな」
いや、そういう訳じゃねぇけど。
必要ないってこと。
「今はお前とバスケしてるのが楽しいからさ」
尊が吹き出す。
「うわっ、今の、俺も釣られた。」
なんだよ、それ。
「てか、尊はいるのかよ、気になってる奴。」
尊のシュートがまたリングに弾かれる。
「何、動揺してんだよ」
茶化して笑ったが尊の表情を見て、俺の動きも止まった。
「なんだよ、尊、マジ?」
尊がボールを抱きしめて座り込む。
俺も隣に座った。
「勇磨、俺さ、気がついたら、瑠奈の事、目で追ってるみたいなんだ」
みたいってなんだよ。
自覚してる訳じゃねぇってこと?
「うん、言われてみれば瑠奈ばかり見てるし、声に反応しちゃうんだよ」
頭をかきながら赤くなりうつむく尊。
なんだこれ、いつもの尊じゃない。
こんな姿、初めて見た。
「なぁ、尊。言われてみればって、誰に言われた?」
ハッとしたように俺を見る目で分かった。
「相澤瑠奈、本人に言われたのか」
答えなくても分かる反応だ。
つまり、相澤を見まくっていたのが本人にバレたと言うことだ。
「どうしよう、勇磨、俺、すげぇ、恥ずかしい」
俺より身長が高くガタイもいい大きな男が小さくまるまっている。
どうしようと言われても俺に分かるはずがない。
だけど、なんとかしてやりたかった。
できるはずもないのに。
高学年になると女と化した同級生達に執拗に追いかけられウザイと感じる事も多くはなっていた。
でもそんな女達の恋心をくすぐってさえいれば俺は楽ができると信じていたから生活態度を改める事はしなかった。
そんな俺は一部のモテない男には不評で嫉妬の目を向けられていた。
奴らの事も気の毒だとは思いつつも馬鹿にしていたから相当、嫌われていたと思う。
でも、アイツだけは友達だと思っていた。
保育園時代からの友達で気が合うと思っていた。
園田尊、今でもアイツを思い出すと苦しくなる。
あれは小学5年生の夏だ。
当時の俺は尊と校庭の隅のコートでバスケをしていた。
「勇磨、また告られてたな、相変わらず、モテるんだな」
尊がバスケットボールをゴール目掛けて投げる。
ボールはリングに弾かれる。
すかさず俺が拾いゴールを決めた。
「くだらねー事、言ってないで集中しろよ」
告白がくだらねーとか最低だな、と尊が笑った。
「別に俺は求めてないし、勝手に盛り上がって泣いて喚いてうざい」
俺の時間を奪われている気がしてた。
同級生のみならず、上級や下級生、中学生も俺を追い回してくるからだ。
一定の距離を保ち円滑にやり過ごしながらも、俺の雑用を代わりにやらせるだけの技も身につけていた。
簡単だ、時々、「ありがとう」と笑えばいいだけだ。
だけど「好きだ」と好意をぶつけてくる奴は苦手だ。
どう繕っても好意に応えないと泣き喚く。
「ひどい」とさえ言われる理不尽。
「勇磨はさ、好きな女の子とかいないの?」
は?
「なんだそれ、俺が?いないよ、考えた子ももない」
俺の落としたボールを拾いドリブルをしながら尊が笑う。
「うわー、さすが。勇磨からいかなくて女の子達からくるもんな」
いや、そういう訳じゃねぇけど。
必要ないってこと。
「今はお前とバスケしてるのが楽しいからさ」
尊が吹き出す。
「うわっ、今の、俺も釣られた。」
なんだよ、それ。
「てか、尊はいるのかよ、気になってる奴。」
尊のシュートがまたリングに弾かれる。
「何、動揺してんだよ」
茶化して笑ったが尊の表情を見て、俺の動きも止まった。
「なんだよ、尊、マジ?」
尊がボールを抱きしめて座り込む。
俺も隣に座った。
「勇磨、俺さ、気がついたら、瑠奈の事、目で追ってるみたいなんだ」
みたいってなんだよ。
自覚してる訳じゃねぇってこと?
「うん、言われてみれば瑠奈ばかり見てるし、声に反応しちゃうんだよ」
頭をかきながら赤くなりうつむく尊。
なんだこれ、いつもの尊じゃない。
こんな姿、初めて見た。
「なぁ、尊。言われてみればって、誰に言われた?」
ハッとしたように俺を見る目で分かった。
「相澤瑠奈、本人に言われたのか」
答えなくても分かる反応だ。
つまり、相澤を見まくっていたのが本人にバレたと言うことだ。
「どうしよう、勇磨、俺、すげぇ、恥ずかしい」
俺より身長が高くガタイもいい大きな男が小さくまるまっている。
どうしようと言われても俺に分かるはずがない。
だけど、なんとかしてやりたかった。
できるはずもないのに。
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