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特別編 プロローグ(勇磨sideーアオハル)5
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俺の日常はバスケ一色になった。
大輝先輩は俺がどう足掻いても足元にも及ばないくらいの人だった。
チャラいなんて思って申し訳なかった。
他の先輩達や同級生も俺なんかより経験も実力もあり、ブランクがある俺は時間がある限り練習をしていた。
それが楽しかった。
相変わらず、女が取り巻くが、時間が欲しい俺は以前に増して冷たくあしらうようになっていった。
そんな俺の様子を見て、頼んでもいないのに
俺の時間を奪う、つまり、個人的に声をかけたり関係を作ろうとする女を排除する女達が現れた。
ファンクラブだと名乗っているらしい。
バカか。
勝手にそんな物を作るな。
だけど、それは俺には都合が良かった。
アイツらが勝手に協定を組み、個人的に俺に関わらない、関わろうとする奴を威嚇するようになり、俺の日常が保障された。
俺に絡む奴が減った。
木下を除いては。
アイツの行動が目について仕方ない。
いちいち癇に障る
木下は大抵、窓の外を眺めぼーっとしている。
授業中に居眠りをし、そのまま体育の授業に突入する事もあった。
たまたま忘れ物をして教室に戻ったら、アイツは寝たまま笑っていた。
その笑顔がうざくて、机を揺らしたり声をかけたが起きなかった。
俺も意地になって大声を出したら、飛び起きた。
誰かの名前を叫んだような気がしたが、勘違いだったかもしれない。
アイツははっきりと俺を見て吐き捨てた。
「話しかけんな、陰気野郎」
な、なんなんだ、この女
俺が言い返す前に、そのまま、また眠りこけた。
もう知らねー。
勝手に寝てろ。
そのまま置き去りにし体育館に戻った。
そんな俺をバカにした癖に、球技大会で、体育委員のバスケのシュートショーがあると聞くとまた俺につきまとうようになった。
部活中の体育館を覗くようになったり、
通学路の公園で待ち伏せするようになった。
「何やってんだよ」
あまりのしつこさに頭きて、つい声をかけた。
木下はしれっと「何って、イメトレ?」と惚けた。何、言ってんだ、頭おかしいな。
思わず鼻で笑ってやった。
俺の態度に明らかに不機嫌になった木下を更に追い詰めたいと思った。
「なんのつもりだよ。鬱陶しいって言ったよな。俺につきまとうな!」
いいな、俺に関わるな。
俺は時間が必要なんだ。
「本気で鬱陶しい。
木下みたいに興味ないフリして、毎日バスケ部をのぞき見したり、通学路の公園で偶然装ったり、そういう奴が1番、気味が悪いんだよ!
それストーカだから。犯罪だから。
頼むから俺に関わらないで、お願い。」
木下の表情が変わった。
どうせ泣いて喚くんだろ。
女はみんなそうだ。
都合が悪くなると泣いてどうにかする。
だけど木下は俺の予想をぶっ壊した。
「あのさ、どうして私が、
あなたをストーカーする必要があるのかな。
というか、前から思ってたんだけど、
あなたは何様なの?
誰かに常に狙われてるとか?
ああ、俺は特別な的な?
そういうの、中2病って言うんだよ。
私、初めて見たよ、中2病。」
呆れ顔で俺を見ている木下は全てぶちまけてやるオーラが出ていた。
俺は予想外の展開にただ、黙って見ているしかできなくなっていた。
「コミュニケーション能力もないし、
日本語通じないし、ひどい勘違い男。」
「それと、俺に話しかけんなって言ったよね、
なら、私にも関わらないで。」
自分は運動神経がないから女子バスケ部を覗いてイメージトレーニングしていたと言った。
公園でも練習していると‥
コイツ、まさか本当に俺には興味がなくて、
ただシュートの練習がしたいだけなのか。
混乱してきた。
「木下、お前、まさか…」
俺の言葉に木下は更にヒートアップした。
「まさか、何?
俺の事、狙ってんの?とか。
おめでたいね。
私があなたをただのクラスメートとして、
認識してるって一瞬でも考えた事ない?
普通は考えるよね。
工藤くん、普通じゃないって。
ハッキリ言って、
こじらせたヤバイ奴だって。
私、あなたの事嫌い!大嫌い。
もうほっといて欲しい。
あ、でもなんだっけ?
嫌いなフリして近づく的な。
ならいっそ、そう思ってて。
そして私を無視して下さい。さようなら」
俺が口を挟む隙を与えないほどに、まくし立てて木下は帰って行った。
あまりの衝撃でしばらくその場から動く事ができなくなっていた。
大輝先輩は俺がどう足掻いても足元にも及ばないくらいの人だった。
チャラいなんて思って申し訳なかった。
他の先輩達や同級生も俺なんかより経験も実力もあり、ブランクがある俺は時間がある限り練習をしていた。
それが楽しかった。
相変わらず、女が取り巻くが、時間が欲しい俺は以前に増して冷たくあしらうようになっていった。
そんな俺の様子を見て、頼んでもいないのに
俺の時間を奪う、つまり、個人的に声をかけたり関係を作ろうとする女を排除する女達が現れた。
ファンクラブだと名乗っているらしい。
バカか。
勝手にそんな物を作るな。
だけど、それは俺には都合が良かった。
アイツらが勝手に協定を組み、個人的に俺に関わらない、関わろうとする奴を威嚇するようになり、俺の日常が保障された。
俺に絡む奴が減った。
木下を除いては。
アイツの行動が目について仕方ない。
いちいち癇に障る
木下は大抵、窓の外を眺めぼーっとしている。
授業中に居眠りをし、そのまま体育の授業に突入する事もあった。
たまたま忘れ物をして教室に戻ったら、アイツは寝たまま笑っていた。
その笑顔がうざくて、机を揺らしたり声をかけたが起きなかった。
俺も意地になって大声を出したら、飛び起きた。
誰かの名前を叫んだような気がしたが、勘違いだったかもしれない。
アイツははっきりと俺を見て吐き捨てた。
「話しかけんな、陰気野郎」
な、なんなんだ、この女
俺が言い返す前に、そのまま、また眠りこけた。
もう知らねー。
勝手に寝てろ。
そのまま置き去りにし体育館に戻った。
そんな俺をバカにした癖に、球技大会で、体育委員のバスケのシュートショーがあると聞くとまた俺につきまとうようになった。
部活中の体育館を覗くようになったり、
通学路の公園で待ち伏せするようになった。
「何やってんだよ」
あまりのしつこさに頭きて、つい声をかけた。
木下はしれっと「何って、イメトレ?」と惚けた。何、言ってんだ、頭おかしいな。
思わず鼻で笑ってやった。
俺の態度に明らかに不機嫌になった木下を更に追い詰めたいと思った。
「なんのつもりだよ。鬱陶しいって言ったよな。俺につきまとうな!」
いいな、俺に関わるな。
俺は時間が必要なんだ。
「本気で鬱陶しい。
木下みたいに興味ないフリして、毎日バスケ部をのぞき見したり、通学路の公園で偶然装ったり、そういう奴が1番、気味が悪いんだよ!
それストーカだから。犯罪だから。
頼むから俺に関わらないで、お願い。」
木下の表情が変わった。
どうせ泣いて喚くんだろ。
女はみんなそうだ。
都合が悪くなると泣いてどうにかする。
だけど木下は俺の予想をぶっ壊した。
「あのさ、どうして私が、
あなたをストーカーする必要があるのかな。
というか、前から思ってたんだけど、
あなたは何様なの?
誰かに常に狙われてるとか?
ああ、俺は特別な的な?
そういうの、中2病って言うんだよ。
私、初めて見たよ、中2病。」
呆れ顔で俺を見ている木下は全てぶちまけてやるオーラが出ていた。
俺は予想外の展開にただ、黙って見ているしかできなくなっていた。
「コミュニケーション能力もないし、
日本語通じないし、ひどい勘違い男。」
「それと、俺に話しかけんなって言ったよね、
なら、私にも関わらないで。」
自分は運動神経がないから女子バスケ部を覗いてイメージトレーニングしていたと言った。
公園でも練習していると‥
コイツ、まさか本当に俺には興味がなくて、
ただシュートの練習がしたいだけなのか。
混乱してきた。
「木下、お前、まさか…」
俺の言葉に木下は更にヒートアップした。
「まさか、何?
俺の事、狙ってんの?とか。
おめでたいね。
私があなたをただのクラスメートとして、
認識してるって一瞬でも考えた事ない?
普通は考えるよね。
工藤くん、普通じゃないって。
ハッキリ言って、
こじらせたヤバイ奴だって。
私、あなたの事嫌い!大嫌い。
もうほっといて欲しい。
あ、でもなんだっけ?
嫌いなフリして近づく的な。
ならいっそ、そう思ってて。
そして私を無視して下さい。さようなら」
俺が口を挟む隙を与えないほどに、まくし立てて木下は帰って行った。
あまりの衝撃でしばらくその場から動く事ができなくなっていた。
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