6 / 81
#2-1
しおりを挟む
星ヶ丘の駅の近くにある、全国チェーンのファミリーレストランの禁煙席の一つ。そこでツバサとカナコは、向かい合う形で座っていた。
「へえ……。じゃあツバサ君、いつも一人で帰ってるの?」
「はい……。一年生の時から……、ずっと……。」
お互いに簡単な自己紹介をした後、ツバサは緊張しながら、自分の今までの生活をカナコに説明していた。
「悩んでることでもあるの? よかったら、一緒にご飯食べながら話聞かせてよ。」と言ったのはカナコだった。
ツバサは、『一緒に』と言われたこと自体、生まれて初めての経験のように感じていた。知らない人について行ってはいけないの理論で断ってしまえばいいのだが、実際にこういう場面に出くわしたらどのように返せばいいのか、彼は分からなくなっていた。
あまり頼りたくなかったが、ツバサは母親にスマートフォンからLINEを使って相談してみた。突然自分に起こった不可思議な出来事に関して説明をして、『どうしたらいい』と、判断をゆだねることにした。
そして案の定、このSOSは既読をつけられただけで、特に文章やスタンプを使った返答は帰ってこなかった。「OKってことじゃないのかな?」とカナコに言われ、現在に至るという次第である。
「それにしても、酷いお母さんだよね……。まるでツバサ君の凄さを自分の凄さみたいに考えてるみたいで。」
「そう……、ですか……。」
「そうだよ。もう典型的な、子供を自分の所有物だと考えてるダメな大人。光る宇宙って書いてピカチュウとか、黄色い熊って書いてプウとか、恥ずかしいキラキラネームつける人と同類。」
通路側の椅子に座っているカナコの発言は、ツバサや周囲のほかの客たちに気を使った、オブラートに包んだ遠回しな言い方ではなかった。それも、相当自分のしゃべりの世界に入り込んでいるらしく、店員が注文されたハンバーグセットを持ってきても、夢中になってすぐに気がつかなかったほどである。
だがツバサは、その明るいトーンで発せられる言葉が、すべて自分に寄り添った内容だと、うっすらとだが感じとっていた。
「大人はみんな、ツバサ君の凄さをちゃんと理解してない。A学院小行けるほど勉強もでき
「へえ……。じゃあツバサ君、いつも一人で帰ってるの?」
「はい……。一年生の時から……、ずっと……。」
お互いに簡単な自己紹介をした後、ツバサは緊張しながら、自分の今までの生活をカナコに説明していた。
「悩んでることでもあるの? よかったら、一緒にご飯食べながら話聞かせてよ。」と言ったのはカナコだった。
ツバサは、『一緒に』と言われたこと自体、生まれて初めての経験のように感じていた。知らない人について行ってはいけないの理論で断ってしまえばいいのだが、実際にこういう場面に出くわしたらどのように返せばいいのか、彼は分からなくなっていた。
あまり頼りたくなかったが、ツバサは母親にスマートフォンからLINEを使って相談してみた。突然自分に起こった不可思議な出来事に関して説明をして、『どうしたらいい』と、判断をゆだねることにした。
そして案の定、このSOSは既読をつけられただけで、特に文章やスタンプを使った返答は帰ってこなかった。「OKってことじゃないのかな?」とカナコに言われ、現在に至るという次第である。
「それにしても、酷いお母さんだよね……。まるでツバサ君の凄さを自分の凄さみたいに考えてるみたいで。」
「そう……、ですか……。」
「そうだよ。もう典型的な、子供を自分の所有物だと考えてるダメな大人。光る宇宙って書いてピカチュウとか、黄色い熊って書いてプウとか、恥ずかしいキラキラネームつける人と同類。」
通路側の椅子に座っているカナコの発言は、ツバサや周囲のほかの客たちに気を使った、オブラートに包んだ遠回しな言い方ではなかった。それも、相当自分のしゃべりの世界に入り込んでいるらしく、店員が注文されたハンバーグセットを持ってきても、夢中になってすぐに気がつかなかったほどである。
だがツバサは、その明るいトーンで発せられる言葉が、すべて自分に寄り添った内容だと、うっすらとだが感じとっていた。
「大人はみんな、ツバサ君の凄さをちゃんと理解してない。A学院小行けるほど勉強もでき
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる