和製切り裂きジャック

九十九光

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#2-5

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るのが見て取れた。
 そして私は、聞きづらいことを遠回しに聞いてみるといった面倒なことはしない質である(ただし親しい間柄のみの話。それ以外の人にはコミュ障をこじらせている)。好代ちゃんが真ん中になるように彼女の横に座ると、カツ丼弁当のふたを開けながら開口一番こう質問した。
「好代ちゃんって、たしかランクアップってモデル会社でバイトしてるんだっけ?」
 すると好代ちゃんと大輔君が驚いた様子でこっちに首を向けてきた。
「お前……! 急に何……!」
「え……? 好代さん、モデルって……!」
 好代ちゃんはどこか恥ずかしげに私の上着の襟首あたりをつかみ、大輔君はどういう反応をしたらいいのかわからない様子で好代ちゃんに視線を向けている。
「……。もしかして好代ちゃん、バイトのこと大輔君に話してなかった?」
 弁当の中身がこぼれないように気をつけながら好代ちゃんに確認してみる。すると好代ちゃんは、私の胸ぐらをつかんだまま小さく首を縦に動かした。
 変な勘違いをされたくなかったのか、それとも本当に問題のモデル派遣会社でいかがわしい仕事をしているのか。どちらにしても、まずは二人の仲を引き裂きに来たわけじゃないということを説明する必要がありそうだ。あの事件の真相に近づけるチャンスを棒に振ることにもなってしまうし、数少ない友達を失うことにもなりかねない。
「あー。違うの違うの。別に悪さしようってわけじゃないの。こないだの平和公園の死体遺棄事件。あの被害者のバイト先が好代ちゃんのバイト先と同じだったわけ。別に好代ちゃんや被害者がエッチな仕事してたって疑ってるわけじゃないの。そのうえで、どういう仕事の内容なのかなーって、気になったから質問してるだけなの。OK?」
 私は片手でのハンドジェスチャーを交えて、いつ高校時代の(本人曰く)野蛮な血が戻ってくるかわからない好代ちゃんを落ちつかせにかかる。
 そんな私の必死の無害アピールが通じたのか。好代ちゃんは私から手を放して質問に答えてくれた。
「……。そういうのはしないよ。アパレルショップで商品の服着て広告用の写真撮られるだけ。あたしも一年半やってるけど、デリヘルみたいな仕事は一度もやってないし、そういうのを強制されたって話も聞いたことない」
 そうだったのか。これで被害者は仕事先で強姦された後で殺されたなんていう、三流の小説家が思いつくような、つまらない殺され方をされたわけじゃないことが証明できた。会社名がネット上に出回っているうえで嘘をつく意味もないから間違いないだろう。
「でも大輔君には話してなかったみたいだけど、それはどうして?」
 はやる気持ちを抑えながら話を続ける。ここで「ありがとね。また来期のゼミで」と、すぐに足早に帰ったら好代ちゃんを怒らせかねない。
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