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#7-2
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をしないのだから開けずとも分かるはずの結果だった。彼は薄汚れたコートを羽織り、ポケットに財布を入れ、夕飯を買いに外へ出た。スマートフォンは持って行かなかった。
アパートを出てすぐの道路は、民家ばかりが立ち並ぶ、車一台通るのがやっとの狭い道だった。今まではこの時間帯に出歩いても、一人か二人くらいは知らない誰かとすれ違うことはできた。しかしここ最近は、この時間帯に歩いてこの道を通る人間はすっかり消えていた。最近現れた連続殺人犯の影響なのは間違いなかった。この日男は家から出て二、三百メートルほど北に歩いたところで、荷台カバーのかかった一台の軽トラックとすれ違っただけ。歩行者は一人も見つからなかった。
さらにそこから数百メートル進むと、町のメインストリートの県道と十字路の形でつながる下り坂になる。歩道の整備が先に終わっているこの周辺は、分譲住宅の建設が急ピッチで進んでいる新興住宅地だった。雑木林だった場所ではコンクリートと鉄筋が家のおおよその形を公開しており、金属製の大きなカゴの内側に化学繊維製の袋をかけた業務用のゴミ箱には、工事の際に出た廃棄物が山のように入っている。県道からの店のネオンで中身を確認できなくもなかったが、そんなものに興味がない男は一瞬だけ見ることもしなかった。また、これから新しい住人がやって来るはずなのに、男から見て右側にある県道沿いのガソリンスタンドはつぶれていた。交通事故の件数なら全国のどの都道府県にも負けないほどの車大国である愛知県だが、石油の値段高騰には勝てない様子だった。
男は道の右側に寄って、曲がった先にあるコンビニへの最短距離を取った。
しつこい上司から逃げるためにスマートフォンを置いてきた彼だったが、この後どうしようかと考えていた。さすがにあそこまで極端な無視の仕方をしてしまうと、あとで面倒なことが起きるのではという想像が、冷静になった頭の中にできあがっていた。
財布には万札くらい入っている。チェーン店の飲食店なら支払いに困るなんてことはまずありえないから、目的地を少し遠くに変更しようか。
そんな現実逃避を提示する案が彼の頭の中で生まれるが、いずれにせよガソリンスタンドの跡地を曲がらなければ話が進まない。彼は頭の中で地味な葛藤をしながら歩を進めた。
男が手を伸ばしてやっと一番上に届きそうな高さの金網フェンスで侵入を防ぐガソリンスタンドは、奥のコンクリートの壁に落書きがされていた。ホイップクリームか火災の煙に顔ができたような見た目のキャラクターと、FuckやSEXなどの汚らしいアルファベットが黒いスプレー缶を使って描かれた、どこにでもありそうな落書きだった。受付がある奥の部屋に続くガラスの自動ドアは、粉々に割られて周辺に散らばっていた。
結局男は外食をすることなく、ガソリンスタンドから五百メートルほど行った先にあるコンビニに入った。弁当の添加物の味に飽きていた彼は、菓子パンと缶ビールと百円もしないプレミアムブランドのハムを買い、合わせて五百円もしない代金を支払って三分もしないうちに店を出た。レジの店員が日本語の流暢な韓国人の若い女性だった事くらいしか記憶には残らず、彼はあっという間に来た道を引き返して家に帰るだけになった。
アパートを出てすぐの道路は、民家ばかりが立ち並ぶ、車一台通るのがやっとの狭い道だった。今まではこの時間帯に出歩いても、一人か二人くらいは知らない誰かとすれ違うことはできた。しかしここ最近は、この時間帯に歩いてこの道を通る人間はすっかり消えていた。最近現れた連続殺人犯の影響なのは間違いなかった。この日男は家から出て二、三百メートルほど北に歩いたところで、荷台カバーのかかった一台の軽トラックとすれ違っただけ。歩行者は一人も見つからなかった。
さらにそこから数百メートル進むと、町のメインストリートの県道と十字路の形でつながる下り坂になる。歩道の整備が先に終わっているこの周辺は、分譲住宅の建設が急ピッチで進んでいる新興住宅地だった。雑木林だった場所ではコンクリートと鉄筋が家のおおよその形を公開しており、金属製の大きなカゴの内側に化学繊維製の袋をかけた業務用のゴミ箱には、工事の際に出た廃棄物が山のように入っている。県道からの店のネオンで中身を確認できなくもなかったが、そんなものに興味がない男は一瞬だけ見ることもしなかった。また、これから新しい住人がやって来るはずなのに、男から見て右側にある県道沿いのガソリンスタンドはつぶれていた。交通事故の件数なら全国のどの都道府県にも負けないほどの車大国である愛知県だが、石油の値段高騰には勝てない様子だった。
男は道の右側に寄って、曲がった先にあるコンビニへの最短距離を取った。
しつこい上司から逃げるためにスマートフォンを置いてきた彼だったが、この後どうしようかと考えていた。さすがにあそこまで極端な無視の仕方をしてしまうと、あとで面倒なことが起きるのではという想像が、冷静になった頭の中にできあがっていた。
財布には万札くらい入っている。チェーン店の飲食店なら支払いに困るなんてことはまずありえないから、目的地を少し遠くに変更しようか。
そんな現実逃避を提示する案が彼の頭の中で生まれるが、いずれにせよガソリンスタンドの跡地を曲がらなければ話が進まない。彼は頭の中で地味な葛藤をしながら歩を進めた。
男が手を伸ばしてやっと一番上に届きそうな高さの金網フェンスで侵入を防ぐガソリンスタンドは、奥のコンクリートの壁に落書きがされていた。ホイップクリームか火災の煙に顔ができたような見た目のキャラクターと、FuckやSEXなどの汚らしいアルファベットが黒いスプレー缶を使って描かれた、どこにでもありそうな落書きだった。受付がある奥の部屋に続くガラスの自動ドアは、粉々に割られて周辺に散らばっていた。
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