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#14ー7
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橋本さんだった。
ニヤニヤと笑う悪人面で、彼はスマホのシャッターを押していた。
そこで私は目が覚めた。
日付は三月二十八日。私は自分の部屋のベッドの上であおむけになって眠っていた。
あっという間に眠気がなくなった私は、掛布団を吹き飛ばして上半身を起こして、小窓から朝日が差し込んでくる室内を一瞥した。勉強机のライトはついてないし、スクラップブックはテーブルの上で閉じられた状態になっている。私の上のパジャマもAV女優みたいに胸のところまで捲り上げられていないし、お腹からは胃腸風邪を進化させたような激痛はしていない。無論、お腹に帝王切開みたいな切れ込みなんて入ってない。
私が一階に下りてリビングに行くと、すでにママがトーストを焼いてコップに牛乳を注いでいた。テレビ画面の左端にはデジタル時計で七時半と示されていて、おとといの事件被害者の両親が涙している取材映像に対して、地元ニュース番組のコメンテーターである本村健太郎が感想を言っている。いずれも昨日のうちに何かあったらありえない状況だった。
「どうしたの? 顔色よくないけど」
ボーッとしていた私に、普段通り真意がわかりにくい笑顔をしているママが声をかけてきた。それに私は、「ううん。大丈夫。なんでもない」と返事をした。ママは私に疑問を持つ表情はしていたが、それ以上の詮索はしてこなかった。
私は事前に用意された朝食を口にすると、さっさと二階に引き上げた。いつもならすぐにパジャマから普段着に着替えるところだが、この日はそのままベッドに寝っ転がった。
私は頭の中で、昨日の夜、というか昨晩から今朝にかけて見たあの夢が鮮明に思い出せた。今までは目が覚めても、夢を見ていたことは覚えていても詳細な内容はまったく覚えていなかった。でもこの日だけは、いつも私が好きで読んでいる本の内容みたいなあの夢を、特に首を絞められてから目覚めるまでの過程がはっきりと思い出せた。
どうしてあんな夢を見たのか。私は手始めにそんなことを考え始めた。
自分が殺されるというあのシチュエーションにも驚いたが、今日本中を騒がせている和製切り裂きジャックに、しかも橋本さんがその正体で、その橋本さんに殺されるなんていう、もうどこから切り込んで整理すればいいのかわからない内容にも驚いていた。
どうせ殺されるなら好きな人に殺されたいという話は、日本の昼ドラやらハリウッドのゾンビ映画やらコアなファンを狙ったエログロ同人誌やらで飽きるほど見てきた話だ。でも自分の中に、そんなフィクション的にチープな展開にあこがれる一面があるのだろうか。当たり前だが、ベッドの上をのたうち回ってどれだけ考えても、まともな答えは出てこなかった。
そもそも私は橋本さんのことが好きなのだろうか。まずそれが成立しないと前の段落の内容も成立しないが、これもわからなかった。
ニヤニヤと笑う悪人面で、彼はスマホのシャッターを押していた。
そこで私は目が覚めた。
日付は三月二十八日。私は自分の部屋のベッドの上であおむけになって眠っていた。
あっという間に眠気がなくなった私は、掛布団を吹き飛ばして上半身を起こして、小窓から朝日が差し込んでくる室内を一瞥した。勉強机のライトはついてないし、スクラップブックはテーブルの上で閉じられた状態になっている。私の上のパジャマもAV女優みたいに胸のところまで捲り上げられていないし、お腹からは胃腸風邪を進化させたような激痛はしていない。無論、お腹に帝王切開みたいな切れ込みなんて入ってない。
私が一階に下りてリビングに行くと、すでにママがトーストを焼いてコップに牛乳を注いでいた。テレビ画面の左端にはデジタル時計で七時半と示されていて、おとといの事件被害者の両親が涙している取材映像に対して、地元ニュース番組のコメンテーターである本村健太郎が感想を言っている。いずれも昨日のうちに何かあったらありえない状況だった。
「どうしたの? 顔色よくないけど」
ボーッとしていた私に、普段通り真意がわかりにくい笑顔をしているママが声をかけてきた。それに私は、「ううん。大丈夫。なんでもない」と返事をした。ママは私に疑問を持つ表情はしていたが、それ以上の詮索はしてこなかった。
私は事前に用意された朝食を口にすると、さっさと二階に引き上げた。いつもならすぐにパジャマから普段着に着替えるところだが、この日はそのままベッドに寝っ転がった。
私は頭の中で、昨日の夜、というか昨晩から今朝にかけて見たあの夢が鮮明に思い出せた。今までは目が覚めても、夢を見ていたことは覚えていても詳細な内容はまったく覚えていなかった。でもこの日だけは、いつも私が好きで読んでいる本の内容みたいなあの夢を、特に首を絞められてから目覚めるまでの過程がはっきりと思い出せた。
どうしてあんな夢を見たのか。私は手始めにそんなことを考え始めた。
自分が殺されるというあのシチュエーションにも驚いたが、今日本中を騒がせている和製切り裂きジャックに、しかも橋本さんがその正体で、その橋本さんに殺されるなんていう、もうどこから切り込んで整理すればいいのかわからない内容にも驚いていた。
どうせ殺されるなら好きな人に殺されたいという話は、日本の昼ドラやらハリウッドのゾンビ映画やらコアなファンを狙ったエログロ同人誌やらで飽きるほど見てきた話だ。でも自分の中に、そんなフィクション的にチープな展開にあこがれる一面があるのだろうか。当たり前だが、ベッドの上をのたうち回ってどれだけ考えても、まともな答えは出てこなかった。
そもそも私は橋本さんのことが好きなのだろうか。まずそれが成立しないと前の段落の内容も成立しないが、これもわからなかった。
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