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#16ー3
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のオフィスや公共施設以外は、キャバクラや近隣住民向けのちょっと大きいスーパーマーケットがメインになってしまう。
私はこの駅近くで赤と黄色の看板を出している中華料理店で夕飯を取った。スーツ姿のサラリーマンや普段着姿の老人がカウンター席に腰かけており、近隣住人に親しまれていることが一目でわかった。店の厨房からは聞き慣れない言葉が聞こえてきて、中国人が日本人向けに味を改良した故郷の料理をふるまう店だということも想像できた。パパに連れられて何度かこういう店に入ったことがあるが、この手の店は大抵、出てくる料理の量が多すぎるものだった。唐揚げを一皿頼めば、近くのコンビニなら半分にして二つ分に扱う大きさのものが五個乗った皿が出てくるのだ。隣にいた若いサラリーマンの男の皿を見て、この店もそういうお店だと確信した私は、味気ないがチャーハン一皿だけを注文した。それでも食べ終えるのに少し苦労したくらいだ。
その中華料理店を出た頃には、スマホのデジタル時計は午後七時二十二分を知らせていた。予定通りの時間経過だった。
私はそのまま自分の足で、真っ暗な周辺の住宅地へと南に向かって歩き出した。
この年の春先は和製切り裂きジャックのせいで、夜一人で出歩く人はほとんどいなかった。仮に一人で出かけるとしても、車やバイクに乗ることが人々の中で常識になっていた。多くの人たちがあの無差別殺人鬼を恐れ、遭遇しないためにあれこれ工夫をしていたのだ。
そしてそれは、逆に和製切り裂きジャックに会いたければ、夜に名東区か千種区内を一人で歩くべき、ということでもあった。運がよければあのシリアルキラーに遭遇し、その顔を確認することができる。これが、私が誰とも会話をすることなく自分の推理の答え合わせをする唯一の方法だった。
もし実際に和製切り裂きジャックと遭遇したらどうするかなんてことは、この時の私はまったく考えていなかった。私はこの計画を勢いだけで実行に移していて、護身の術はもちろん、防犯ブザーすら持ってきていなかった。もしこの状況で遭遇すれば、状況次第では高い確率で殺されてしまうだろう。
そんな危険も顧みず、私は千種区役所の西側の道を南に向かって歩いていった。
道はすぐに南へ伸びる上り坂になり、県道のすぐそばということもあって車の通りも比較的多かった。その坂道では、設置された街灯より、通り過ぎる乗用車のライトの明かりのほうが明るかった。それに照らされる家々は、狭い土地に多くスペースを確保するために、一軒家でも三階建てくらいのものがいくつか見られた。
その坂を上り、丸山神社の西側の住宅地につくと、今度は市街地側では珍しい庭がついた一軒家がいくつか見られた。いかにもな塀で囲まれた家もあり、囲っている面積からも相当の金持ちの家だということがわかる。そこから下りになっている道を南に進み続けると、コインパーキングが二、三見つかった。この周辺の家に集まる遠方の親戚のために併設されたのだろうか。時間のせいもあり、この日はどの駐車場にも一台停まっているかど
私はこの駅近くで赤と黄色の看板を出している中華料理店で夕飯を取った。スーツ姿のサラリーマンや普段着姿の老人がカウンター席に腰かけており、近隣住人に親しまれていることが一目でわかった。店の厨房からは聞き慣れない言葉が聞こえてきて、中国人が日本人向けに味を改良した故郷の料理をふるまう店だということも想像できた。パパに連れられて何度かこういう店に入ったことがあるが、この手の店は大抵、出てくる料理の量が多すぎるものだった。唐揚げを一皿頼めば、近くのコンビニなら半分にして二つ分に扱う大きさのものが五個乗った皿が出てくるのだ。隣にいた若いサラリーマンの男の皿を見て、この店もそういうお店だと確信した私は、味気ないがチャーハン一皿だけを注文した。それでも食べ終えるのに少し苦労したくらいだ。
その中華料理店を出た頃には、スマホのデジタル時計は午後七時二十二分を知らせていた。予定通りの時間経過だった。
私はそのまま自分の足で、真っ暗な周辺の住宅地へと南に向かって歩き出した。
この年の春先は和製切り裂きジャックのせいで、夜一人で出歩く人はほとんどいなかった。仮に一人で出かけるとしても、車やバイクに乗ることが人々の中で常識になっていた。多くの人たちがあの無差別殺人鬼を恐れ、遭遇しないためにあれこれ工夫をしていたのだ。
そしてそれは、逆に和製切り裂きジャックに会いたければ、夜に名東区か千種区内を一人で歩くべき、ということでもあった。運がよければあのシリアルキラーに遭遇し、その顔を確認することができる。これが、私が誰とも会話をすることなく自分の推理の答え合わせをする唯一の方法だった。
もし実際に和製切り裂きジャックと遭遇したらどうするかなんてことは、この時の私はまったく考えていなかった。私はこの計画を勢いだけで実行に移していて、護身の術はもちろん、防犯ブザーすら持ってきていなかった。もしこの状況で遭遇すれば、状況次第では高い確率で殺されてしまうだろう。
そんな危険も顧みず、私は千種区役所の西側の道を南に向かって歩いていった。
道はすぐに南へ伸びる上り坂になり、県道のすぐそばということもあって車の通りも比較的多かった。その坂道では、設置された街灯より、通り過ぎる乗用車のライトの明かりのほうが明るかった。それに照らされる家々は、狭い土地に多くスペースを確保するために、一軒家でも三階建てくらいのものがいくつか見られた。
その坂を上り、丸山神社の西側の住宅地につくと、今度は市街地側では珍しい庭がついた一軒家がいくつか見られた。いかにもな塀で囲まれた家もあり、囲っている面積からも相当の金持ちの家だということがわかる。そこから下りになっている道を南に進み続けると、コインパーキングが二、三見つかった。この周辺の家に集まる遠方の親戚のために併設されたのだろうか。時間のせいもあり、この日はどの駐車場にも一台停まっているかど
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