和製切り裂きジャック

九十九光

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#16-4

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うかという具合だった。
 ここまで初めて来た道を一人で、それもすっかり日も暮れた時間に歩いてみたが、まるで怖くなかった。両サイドとも普通の家しかない道なのに、車も人も頻繁に通るのだ。どちらとも単純にこの辺に家があるだけなのかもしれないが、このかろうじて車がすれ違える程度の道を、明らかにそれに見合わない量の車が通過していた。和製切り裂きジャックの影響で歩いて帰りたくない人が増えたからだろうか。それとも元から渋滞回避の抜け道に使う人が多いのだろうか。いずれにせよ、こんなにも人通りの激しい道に和製切り裂きジャックは潜んでいなさそうだった。
 そんな興ざめな道を十分ほど南にまっすぐ歩いていると、正面に十字路が現れた。十字路といっても、三差路の股のところにさらに一本、車のすれ違いもできなさそうなほど細い道が伸びているだけの道だった。
 私はどの道に進もうかと、その場に立ち止まって考えた。どの道も住宅地の中を歩くことに変わりはないが、道の明るさがまったく違っていた。特に真ん中の一際細い道は、見たところ今私がいる入り口部分以外には街灯がついていなかったのだ。不審人物に会いたがっている私には絶好の場所だった。
 にもかかわらず、私はこの道に入ることを躊躇していた。他の二つの道は今まで同様、車も人もよく通る道だった。ならどの道に進むべきかくらい、すぐに答えが出るはずだ。
 結局私はそこでしばらく考えて、街灯一つない真ん中の細い道に入っていった。
 だがその道にも和製切り裂きジャックはいそうにないのはすぐにわかった。両側の道に立っている家々から、子供の笑い声と白い電球の明かりが漏れていたからだ。道路と接する箇所に庭木を植えるスペースもない家々はレースのカーテンも閉められていないものもあり、道の舗装の新しさがよくわかるほど足元を照らしていた。道路上で何かトラブルが起こればすぐに助けが来る環境であり、まず犯罪者は潜伏できそうになかった。
 そんな道を五分ほどで抜けると、まっすぐ歩く道が途切れたT字路に差し掛かった。私はまたそこで立ち止まって左右の道を見渡した。私から見て左、つまり東側の道は、車の往来の激しい明るい街灯が多い道だった。現在地から二つ先の十字路を通過する車の色もある程度判別できるほど明るく、不審者が潜むには不向きな場所だった。私は迷わず右に、つまり西に進んだ。街灯も比較的少ない薄暗い住宅地だった。
 その道を進んでいると、すぐに左手側に小学校が見えた。三階建てくらいの校舎の手前に、文科省既定の広さのトラックとブランコなどの遊具が二、三あるだけの、非常に手狭な学校だった。近寄って校門横に刻まれた名前を確認すると、春岡小学校という名前の公立の小学校だとわかった。私はその横を西に向かって通過した。
 この道はそれ以外には変わったものは何もなかった。人とも車ともすれ違わなければ、こっちから中が丸見えの家もない。丁寧に観察してようやく有限会社のオフィスを見つけられるくらいの暗がりが広がる、格好の犯罪スポットだった。私は道なりに足を進めなが
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