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#20ー2
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を作る会社まで、子会社として立ち上げようとしているらしい。
言っていることのすごさはわかったが、私にはこの考えはあまり現実的に感じなかった。この業界の知識がないというのも大きいが、発言のスケールに見合っていない説明会の会場が何より気になった。
オフィスビルと言っても、すぐそばにある最近の大型ビルの三分の一もないほどの高さしかなく、しかもそこを他七つの会社と部屋と階層を分け合いながら利用している。肝心のオフィスの中こそきれいにされているが、そこから一歩外に出てビルの階段を使うと、壁や手すりに二、三か所ほど吐き捨てられたガムが張りついている。おまけに四季報に載っている三年後離職率を見てみると、五十年以上続く上場企業のくせにデータなしと出てくる。これだとホントにこいつらの言うことは実現可能なのだろうかと疑ってしまう。
周囲の学生は、モニターに映し出される各種データや文言を見て、興味深そうに頷いているが、私はそんなことはしなかった。それどころか、途中からメモも取らずに頬杖をついており、この時点で落とす学生を決めるような会社なら真っ先に落とされていたことだろう(実際、この会社とは本当に縁がなかった)。
そんな退屈でなんの役にも立たなかった四時間が終わり、私は夕方四時頃にようやく解放された。
外はまばらに雲が張っている晴天で、白い安物感漂うオフィスビルはオレンジ色になっていた。あちこちから聴覚障がい者のための信号機音声や人の話し声が聞こえてきて、物事が秒単位で動いているのがわかる、せわしない世界が広がっていた。表現次第でどこまでもきれいに書けそうなオレンジの空が、素の色の絵の具で塗ったように安物っぽく見えてきそうな世界だった。
お金とか人の幸福とか、社会の利益とか将来の安定とか、そんなありふれた売り文句では私は動く気になれない。もっとこう、どこかの誰かが娯楽目的で難解な殺人事件を起こすとか、そんな非現実的な世界に戻りたいと、この時の私は漫然と考えていた。
言っていることのすごさはわかったが、私にはこの考えはあまり現実的に感じなかった。この業界の知識がないというのも大きいが、発言のスケールに見合っていない説明会の会場が何より気になった。
オフィスビルと言っても、すぐそばにある最近の大型ビルの三分の一もないほどの高さしかなく、しかもそこを他七つの会社と部屋と階層を分け合いながら利用している。肝心のオフィスの中こそきれいにされているが、そこから一歩外に出てビルの階段を使うと、壁や手すりに二、三か所ほど吐き捨てられたガムが張りついている。おまけに四季報に載っている三年後離職率を見てみると、五十年以上続く上場企業のくせにデータなしと出てくる。これだとホントにこいつらの言うことは実現可能なのだろうかと疑ってしまう。
周囲の学生は、モニターに映し出される各種データや文言を見て、興味深そうに頷いているが、私はそんなことはしなかった。それどころか、途中からメモも取らずに頬杖をついており、この時点で落とす学生を決めるような会社なら真っ先に落とされていたことだろう(実際、この会社とは本当に縁がなかった)。
そんな退屈でなんの役にも立たなかった四時間が終わり、私は夕方四時頃にようやく解放された。
外はまばらに雲が張っている晴天で、白い安物感漂うオフィスビルはオレンジ色になっていた。あちこちから聴覚障がい者のための信号機音声や人の話し声が聞こえてきて、物事が秒単位で動いているのがわかる、せわしない世界が広がっていた。表現次第でどこまでもきれいに書けそうなオレンジの空が、素の色の絵の具で塗ったように安物っぽく見えてきそうな世界だった。
お金とか人の幸福とか、社会の利益とか将来の安定とか、そんなありふれた売り文句では私は動く気になれない。もっとこう、どこかの誰かが娯楽目的で難解な殺人事件を起こすとか、そんな非現実的な世界に戻りたいと、この時の私は漫然と考えていた。
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