和製切り裂きジャック

九十九光

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#24ー1

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#24(一人称)


 五月十一日の午後一時半。私は藤が丘の駅から北東に歩いて十分ほどのところにある、橋本さんが住んでいたアパートの前にやってきた。
 平日の真っ昼間につき、大輔君みたいにゼミと卒論以外の単位を三年までに取り終えた人以外の大学生は、基本的にキャンパスライフを過ごしていないといけない時間帯である。私はその義務をすっぽかして、ネットで道順を調べ、定期券の範囲外につき追加でお金を払ってまでここに来ていた。
 天気は女の敵とも言える雲一つない晴天。大量生産のシュークリームの中身みたいな色合いの、一階層十部屋四階建てのアパート本体の正面にある駐車場には、両手の指で数えられるくらいの台数しか車は停まっていない。そこからは各部屋への出入り口が見え、最上階の四階一番右の角部屋のところには青いブルーシートがかけられている(楓さんの時は、ほかの住人の邪魔になるために出入り口にはブルーシートはされていなかった)。間違いなく現場保存が理由だろうが、何も知らない人が見ても、あそこで何かがあったとわかる目印になっていた。
 私はアパート横に置かれていた自販機で缶コーヒーを一つ買うと、それを持ってアパートの中に入り、駐車場から見て左側にある、この物件で一か所だけの階段を上がっていった。会社員は外で仕事をして、専業主婦(もしくは夫)は家で趣味に興じている人が大半の時間であり、この間に誰かとすれ違うことはなかった。それにしてもなかなかに急な階段だった。エレベーターもないし、足腰の弱いお年寄りでなくとも上階を敬遠したくなる物件だ。普段運動なんかしない私は、三階から四階への踊り場で、体力のない人間がする息の仕方に変わっていた。
 そんな理解者が少なそうな苦労をして、私は最上階の四階まで上がった。右手側には高所から見る外の景色が楽しめるが、アンテナの生えた家の屋根に、かつて人でにぎわっていたマンモス団地、少し遠くにある諸々のチェーン店の看板くらいしか見えなかった。建造物やずっと遠くに見える山の固有名詞を出さないと、本当に全国どこにでもありそうな光景になりかねない。左手側には各部屋の出入り口である緑色の金属製の扉と、各種メーターが入っている壁と同じ色の小さな扉が並んでいる。奥へと進みながら部屋を一つ一つ確認していくと、部屋の番号の下の、住人の名字入りのプレートが入るところにそれが入っていない部屋が、まだ確認していない410号室を含めて七部屋あった。しかも現在人が住んでいる部屋はすべて階段近くに集中しており、一番奥にある橋本さんの部屋の隣六部屋は空き部屋だった。
 問題の橋本さんの部屋は、通路側の面にもブルーシートで仕切りがされ、玄関のドアすら見えなかった。また、シートの前にはしおれた花束が一つ置かれているだけだった。あ
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