イレブン

九十九光

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♯13ー3

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に帽子にマスクという衛生面第一のものに変わっている。私が「それじゃあ、給食取りに行くぞ」と指示を出すと、内田は眉一つ動かさず私のあとをついて一階に下りていく。

 給食センターから運ばれる給食や食器類は、校舎一階の東側階段の向かいにある配膳室に集められる。そこで全学年各クラスの当番が集合し、自分たちの取り分を教室に持っていくのである。

 そして三年生における給食関係の問題は、残飯以外にも発生している。私たちが階段を使ってここにきている以上、鍋やバット、食器の入ったカゴなどを、その階段を上がって自分たちの教室まで運ぶことになるのは分かるだろう。普通であれは十数人で分担してやる作業なのだが、今は私と内田の二人でそれをやらねばならないのだ。つらくないわけがない。私たち二人は必要なものすべてを教室に運ぶために、最低でも四往復はすることになる。おまけに給食終了後に、約二十八人分の残飯入りのそれらを再び四往復してこの部屋まで持ってこなければならないとなると、もう食事の時間が楽しくもなんとも思えなくなるのは仕方がないことと言える。

 そんな重労働にも、内田は顔色一つ変えなかった。つらくないわけがないはずなのだが、彼の場合その感情が表に出てきていなかったのだ。まるで古武士のように徹底した態度である。祖父母の二人はちゃんと感情が表に出る人だというのに。

 そんなつらい労働を経て、私たち二人は自分の取り分を皿に盛りつけ、自分の席に座って給食に手をつける。この日は麦ご飯に甘口に仕上げたカレー、コールスローサラダに円形から切り出されたプロセスチーズ、そして学校給食のレギュラーである牛乳だった。

 何十人分も机が用意されているこの教室で食事しているのは、私と内田の二人だけである。人との会話に積極性がない者しかおらず、おまけに書き入れ時を過ぎたファミレスよりずっと人の少ないこの空間では、壁に埋め込まれた放送機材から聞こえるRCサクセションの『ぼくの好きな先生』がシュールに聞こえる。

 そんな矢先に、教室の前黒板の真下の壁から、電話のコール音が室内に鳴り響いた。内線電話の合図だ。

「内田、ちょっと放送小さくするよ」

 私は一言言ってから壁に取りつけられた固定電話横にある音量調整のつまみをいじる。その後左手で受話器を取り、「もしもし、三の二、樋口です」と、電話の向こうの人間に言った。

「あ、樋口先生、ご無沙汰しております。石井空介の母です」
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