イレブン

九十九光

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♯19ー5

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 内田はやはり、すぐに答えを言わなかった。日本人共通のイエスマンの意思と、自分の中の恐怖心を天秤にかけている状況だろう。そんな時間がまるで一日過ぎたような、そんな緊張感と疲労感に襲われた時、内田は重たい口をようやく開いた。

「……。分かりました」

 こうして内田は三分ほどかけて夏の制服に着替え、私たち三人は私の運転で東中へと向かった。ここも先ほど同様五分とかからず、西門から入って教職員用の駐車場に駐車した時、時刻は午前八時二十五分。ここまで会話は一言もなかった。

 小暮は学ランを脱いで夏服に戻りながら武道場正面の出入り口からほかのメンバーと合流し、私は内田にシューズを持って体育館に行くように伝えてから先にそこに向かった。

 舞台が北向きに作られた体育館には、すでに吹奏楽部員を除いた一、二年生の生徒約三百人がいた。全員西川先生をはじめとした先生たちの指示で、緞帳が下りている壇上に向かって体育座りをしており、学校祭開始を宣言する校長先生の話を待っている様子だった。

 三年生の先生たちは、一応いつ来るか分からないけやきのきのために指示された場所で待機していると称して、事前に私たちで話し合った所定の待機場所でスタンバイしていた。舞台から見て左右上方にある、窓ガラスやライトが設置されているキャットウォークと呼ばれる通路には、そこへ上がるための白い梯子が体育館の前後にある。合わせて四つあるそれらの最上部に、新貝、佐藤、三島先生に私を含めた、計四人の若手の先生が座っていることになっている。体育館内の放送室には深沢先生が待機し、山田先生と小林先生、下級生の吹奏楽部員を連れてあとから来る天草先生は、舞台左右にある壇上に上がるための出入り口と壇上正面に立つ予定だ。

 私は体育館に入るなり、事前に打ち合わせておいた体育館西側後方の梯子をのぼり、どうにかして上へと上がろうとする。これが普段文化部を顧問している身としては、事前に思っていたよりずっと腰が引けてしまう。下で見ていた大野先生が、「樋口先生、大丈夫ですか?」と声をかけてきたくらいだ。

 そんな苦労をして定位置につき、向こう側正面の梯子の上に新貝先生を確認したところ、彼は体育館前方の下を見るように指をさしてきた。私がおとなしくそれに従うと、そこには
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