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第十章 ゴンドワルナ大陸(平野艦長)
第210話 ヴィルミアーシェカレー
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結局、ガラムは艦内の隅から隅まで見て回り、半日以上が経過してしまった。平野艦長との会談は、夕食を挟んでから行うことになった。
夕食では、平野艦長とガラムの他に、真九郎とミライが同席していた。
「平野艦長は、我々と食事をされないのですかな?」
帝国の日付では金曜日だったので、その日の食事はヴィルミアーシェカレーだった。
素材は全てリーコス村産。リーコスで育った肉牛を使い、野菜は、神業務ネットスーパーで仕入れてリーコス村で育ったものだ。
ヴィルミアーシェのカレーのベースは、じっくりと炒めたリーコス産の玉ねぎ、白狼にんにく、生姜が黄金色になるまで煮込まれ、そこに新鮮なカーミラトマトと特製スパイスブレンドが加えられる。
スパイスブレンドには、ガラムマサラ、ラミアーズクミン、コリアンダー、リーコスターメリック、クローブ、アーシェカルダモンなどがバランスよく配合され、これがカレーに奥行きのある風味を与えている。
肉は、最高級の黒毛リーコス牛を使用し、柔らかくなるまでじっくりと煮込まれる。その結果、口の中でほろほろと溶ける食感が楽しめるのが特徴。カレーの上には彩り豊かな野菜がたっぷりと加えられ、見た目からも食欲をそそる工夫が施されている。
特筆すべきは、カレーに加えられる秘密の材料である「アーシェの生乳搾りミルク」。これがカレーにクリーミーさとコクを与え、一口食べるごとにその豊かな味わいが広がるのだ。
リーコス村の美しすぎる村長として、乗組員男性諸氏の間で崇拝されているヴィルミアーシェ村長。その『生乳搾りミルク』という語感が、男性諸氏からさらなる人気を呼んでいるのだった。
このヴィルミアーシェカレーには必ず「アーシェの生乳搾りラッシー」が添えられる。もちろん、このラッシーもミルクも、ヴィルミアーシェ村長から搾ったものではない。そもそも、ヴィルミアーシェ村長はまだ乳が出ない。
もし村長から本当に乳が出るようになったら、乗組員男性諸氏は、膝をついて号泣することになるだろう。
ヴィルミアーシェカレーに舌鼓をうっているガラムとミライ、そして真九郎をよそに、ひとり平野だけがお茶を飲みクッキーを食べていた。
このなかで唯一事情を知らないガラムが、平野艦長に話しかける。
「こんなに美味しいものは、生まれて初めて食べました。ところで平野艦長は、カレーを食べられないのですか?」
ガラムの質問に、平野が苦笑いを浮かべた。
「えっ……とその、私は……」
言い淀む平野の代わりに、真九郎が答えた。
「艦長さんは、美味しいものを食べるとアヘ顔ダブルピースしちゃうのですん」
「真九郎!?」
平野の顔が真っ赤に染まる。平野は、美味しいものを食べると我を忘れて恍惚としてしまう悪癖がある。
さすがにアヘ顔ダブルピースまではしないが、美味しさにひたるときに思わず漏れ出る声や吐息がR18ボイスになってしまうのだ。
あまりにもエロいので、とうとう上官である護衛艦フワデラの高津艦長から「美味しいものを食べるときは艦長室でボッチめし」が厳命されるに至ったほどである。
「アヘガオ・ダブルピース……初耳だが、なるほど何か事情があるということなら、仕方ない。それにしても、このカレーは本当にうまいな。サラディナ・ホテルのメニューにもカレーはあるが、同じカレーとは思えない。次元が違う」
「気に入っていただけたようでなによりです」
そう答える平野は、口の端からよだれが出そうになるのを慌てて堪えた。
~ 護衛艦ヴィルミアーシェ艦長室 ~
食事を終えた四人は、その後、艦長室に移動し、そこで平野とガラムの会談が行われた。
平野としては、ガラムを説得して王族や勇者との接触を図りたいと考えていた。そのために何としても、ガラムを懐柔しなければならないと、その方法について平野は色々と考えていた。
しかし、実際に会ってみればガラムは協力的であり、それどころか積極的に力を貸すことを申し出るほどだった。
プラチナ冒険者であり、ギルドを通じて各国の情報を持っていたガラムは、悪魔勇者についての話もすんなりと受け入れていた。
彼は、大陸でも大手の貿易商であるサラディナ商会を通じて、ボルヤーグ連合王国の王族との交流もあるという。
「平野艦長としては、王国の協力を得たいということだな。いや、悪魔勇者の脅威に見舞われる王国に力を貸すということになるのか」
「より正確には王国というよりも、この世界そのものの危機を退けるために協力したいと考えています」
「あの空の割れ目がそうなのか?」
この世界に現れた二人の悪魔勇者のうち、新大陸にいた悪魔勇者である皇帝セイジューが倒れた後に、現れた空の割れ目。
割れ目が現れた当初は、王国でも大騒ぎになっている。
しかし、その後に何も起こらない状態が続くと、今では人々の中でも日常の風景となっていった。
だからと言って、それが脅威ではなくなったわけではない。いまでも様々な憶測が飛び交っている。
そして平野との会談によってガラムは、古大陸で最初に気味の悪い割れ目と悪魔勇者が関連していることを知った最初の人間となった。
夕食では、平野艦長とガラムの他に、真九郎とミライが同席していた。
「平野艦長は、我々と食事をされないのですかな?」
帝国の日付では金曜日だったので、その日の食事はヴィルミアーシェカレーだった。
素材は全てリーコス村産。リーコスで育った肉牛を使い、野菜は、神業務ネットスーパーで仕入れてリーコス村で育ったものだ。
ヴィルミアーシェのカレーのベースは、じっくりと炒めたリーコス産の玉ねぎ、白狼にんにく、生姜が黄金色になるまで煮込まれ、そこに新鮮なカーミラトマトと特製スパイスブレンドが加えられる。
スパイスブレンドには、ガラムマサラ、ラミアーズクミン、コリアンダー、リーコスターメリック、クローブ、アーシェカルダモンなどがバランスよく配合され、これがカレーに奥行きのある風味を与えている。
肉は、最高級の黒毛リーコス牛を使用し、柔らかくなるまでじっくりと煮込まれる。その結果、口の中でほろほろと溶ける食感が楽しめるのが特徴。カレーの上には彩り豊かな野菜がたっぷりと加えられ、見た目からも食欲をそそる工夫が施されている。
特筆すべきは、カレーに加えられる秘密の材料である「アーシェの生乳搾りミルク」。これがカレーにクリーミーさとコクを与え、一口食べるごとにその豊かな味わいが広がるのだ。
リーコス村の美しすぎる村長として、乗組員男性諸氏の間で崇拝されているヴィルミアーシェ村長。その『生乳搾りミルク』という語感が、男性諸氏からさらなる人気を呼んでいるのだった。
このヴィルミアーシェカレーには必ず「アーシェの生乳搾りラッシー」が添えられる。もちろん、このラッシーもミルクも、ヴィルミアーシェ村長から搾ったものではない。そもそも、ヴィルミアーシェ村長はまだ乳が出ない。
もし村長から本当に乳が出るようになったら、乗組員男性諸氏は、膝をついて号泣することになるだろう。
ヴィルミアーシェカレーに舌鼓をうっているガラムとミライ、そして真九郎をよそに、ひとり平野だけがお茶を飲みクッキーを食べていた。
このなかで唯一事情を知らないガラムが、平野艦長に話しかける。
「こんなに美味しいものは、生まれて初めて食べました。ところで平野艦長は、カレーを食べられないのですか?」
ガラムの質問に、平野が苦笑いを浮かべた。
「えっ……とその、私は……」
言い淀む平野の代わりに、真九郎が答えた。
「艦長さんは、美味しいものを食べるとアヘ顔ダブルピースしちゃうのですん」
「真九郎!?」
平野の顔が真っ赤に染まる。平野は、美味しいものを食べると我を忘れて恍惚としてしまう悪癖がある。
さすがにアヘ顔ダブルピースまではしないが、美味しさにひたるときに思わず漏れ出る声や吐息がR18ボイスになってしまうのだ。
あまりにもエロいので、とうとう上官である護衛艦フワデラの高津艦長から「美味しいものを食べるときは艦長室でボッチめし」が厳命されるに至ったほどである。
「アヘガオ・ダブルピース……初耳だが、なるほど何か事情があるということなら、仕方ない。それにしても、このカレーは本当にうまいな。サラディナ・ホテルのメニューにもカレーはあるが、同じカレーとは思えない。次元が違う」
「気に入っていただけたようでなによりです」
そう答える平野は、口の端からよだれが出そうになるのを慌てて堪えた。
~ 護衛艦ヴィルミアーシェ艦長室 ~
食事を終えた四人は、その後、艦長室に移動し、そこで平野とガラムの会談が行われた。
平野としては、ガラムを説得して王族や勇者との接触を図りたいと考えていた。そのために何としても、ガラムを懐柔しなければならないと、その方法について平野は色々と考えていた。
しかし、実際に会ってみればガラムは協力的であり、それどころか積極的に力を貸すことを申し出るほどだった。
プラチナ冒険者であり、ギルドを通じて各国の情報を持っていたガラムは、悪魔勇者についての話もすんなりと受け入れていた。
彼は、大陸でも大手の貿易商であるサラディナ商会を通じて、ボルヤーグ連合王国の王族との交流もあるという。
「平野艦長としては、王国の協力を得たいということだな。いや、悪魔勇者の脅威に見舞われる王国に力を貸すということになるのか」
「より正確には王国というよりも、この世界そのものの危機を退けるために協力したいと考えています」
「あの空の割れ目がそうなのか?」
この世界に現れた二人の悪魔勇者のうち、新大陸にいた悪魔勇者である皇帝セイジューが倒れた後に、現れた空の割れ目。
割れ目が現れた当初は、王国でも大騒ぎになっている。
しかし、その後に何も起こらない状態が続くと、今では人々の中でも日常の風景となっていった。
だからと言って、それが脅威ではなくなったわけではない。いまでも様々な憶測が飛び交っている。
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