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第十章 ゴンドワルナ大陸(平野艦長)
第212話 ホノイス王との謁見
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平野とガラムの会談が終了してから二週間後に、ボルヤーグ連合王国のホノイス王との謁見が実現した。ガラムの行動が早かったことと、シュモネーから預かっていた王国宛の書状が功を奏した結果である。
謁見は非公開で行われることとなったため、平野は真九郎と南・坂上両大尉を伴って、かつて高津艦長が使ったルートで王都に潜入。
そこからサラディナ商会が用意した馬車で王城に入城した。
謁見の間に入るとその奥には二つの玉座があり、そこに二人の人物が腰かけていた。
その二人の王の前には身体の大きな老年の騎士と、若そうに見えるものの底知れぬ経験と知恵を備えているのが分かるローブの女性が立っていた。
「ボルヤーグ連合王国ホノイス王及びヴァルグ副王の御前である。膝をつくが良い」
獅子のような顔つきの老騎士が大声で告げると、玉座の王が手で騎士を制した。
「よいよい。異世界から来た勇者の方々よ、皆様についてはシュモネーの書状やガラムから詳しく話を聞いている。ここは我々だけしかおらぬゆえ、どうか気楽にして欲しい」
中年で小太りのホノイス王は、柔らかな雰囲気を身にまとっている。王の横には彼を補佐するヴァルグ副王が座っていた。
「悪魔勇者については我々連合王国は、その危険性を十分に認識しております。聞けば、勇者シズカとのご縁も深いとか皆様の力もぜひお借りできればと思っています。もちろん我々も全力で協力させていただくつもりです」
ヴァルク副王は話し終えると、軽く首をかしげて平野を見た。平野は二人の王に向かって一歩前に進み出る。
「帝国海軍所属 ミサイル護衛艦ヴィルミアーシェ艦長平野幸奈中佐であります。この度両陛下におかれましては、私共に謁見のお許しをいただき心より感謝申し上げます」
ビシッ!
と空気が切れる音が聞こえるような敬礼をする平野。
その美しい所作と、身体のラインが美しく映える異国の制服と……そして何より平野の大きな胸部装甲に、二人の国王と二人の側近の視線が集中する。
コホンッ!
最初に我に返ったのは宮廷魔術師長のマリーネだった。咳払いをして三人の男たちが平野に向けるぶしつけな視線を窘める。
「では、悪魔勇者対策について話し合うことに致しましょう」
マリーネの言葉に一同全員が頷いた。
~ 拠点構築 ~
謁見は数時間に渡って行われ、帝国とボルヤーグ連合王国の同盟関係の密約が交わされた。正式な同盟は悪魔勇者討伐後に交わされることも決められていた。
このような異例な密約が成立した背景には、ミスリル冒険者であるシュモネーの仲介によるところが大きかったと後の歴史書に記述されている。
ちなみにガラムはプラチナ冒険者である。その上の等級であるミスリル冒険者は、冒険者としての実績だけではなく、国の存亡に関わるような出来事において多大な貢献をした者にのみ与えられるものとされている。
「それにしてもシュモネー夫人の書状がこれほどの力を持っていたとは、ほんとあの女性は何者なのでしょうね」
護衛艦ヴィルミアーシェの艦橋で、平野は隣に立っている真九郎に声を掛けた。
「そうなのですん! ハチさ……シュモネーさんはとっても凄い女性なのですよん! 美人で可愛くてとっても優しいのですん!」
真九郎のシュモネーに対するスゴイ評価が、自分のそれとは大分異なることに苦笑いしつつ、平野は高津艦長の言葉を思い出していた。
『フワーデから言われたんだよ。タカツがミジンコだとしたら、シュモネー夫人は銀河皇帝だと。それくらい次元の違う存在なんだってさ』
高津艦長がミジンコというのはスンナリと受け入れられるのだが、シュモネー夫人が銀河皇帝に相当するというのが、どうにもイメージできない平野であった。
ただフワーデがそういう表現をするのであれば、本当にそうなのかもしれないとも思ってしまうのであった。
「シュモネー夫人の書状のおかげで、こちらの言い分は全て通ったわ。まずは王国から許可が降りた四カ所の拠点設置に取り掛かりましょう。吉添副長、各科長を士官室に招集。忙しくなるわよ」
「了!」
そして王との謁見終了から一週間で、ボルヤーグ連合王国の四カ所に以下の拠点構築が開始された。
第一基地 王都南西部
第二基地 ロイド子爵邸
第三基地 ゴーラ聖宗国国境
第四基地 大森林スピシディア境界
さらに一週間後、各拠点に以下の兵装が配置された。
・SH-60L哨戒ヘリ×1
・73式小型トラック×1
・水陸両用多脚型戦闘ドローン・アラクネ×1
・四脚型戦闘ドローン・ティンダロス×6
・飛行型戦闘ドローン・イタカ×4
・偵察飛行ドローン・カラス×2
各拠点に配置された人員は7名ずつ。
・帝国海軍所属兵員 3名
・白狼族 3名
・ラミア族 1名
全員がドローンのオペレーション訓練課程を修了しており、ラミア族を除く全員がヘリの操縦とトラックの運転が可能。
また王国からは、各拠点に近衛騎士団12名が配属。
この間、ボルヤーグ連合王国の各地では、
『奇怪な形態をした謎の巨大なドラゴンが、咆哮を上げながら空を飛んでいくのを見た』
という噂が広まった。
謁見は非公開で行われることとなったため、平野は真九郎と南・坂上両大尉を伴って、かつて高津艦長が使ったルートで王都に潜入。
そこからサラディナ商会が用意した馬車で王城に入城した。
謁見の間に入るとその奥には二つの玉座があり、そこに二人の人物が腰かけていた。
その二人の王の前には身体の大きな老年の騎士と、若そうに見えるものの底知れぬ経験と知恵を備えているのが分かるローブの女性が立っていた。
「ボルヤーグ連合王国ホノイス王及びヴァルグ副王の御前である。膝をつくが良い」
獅子のような顔つきの老騎士が大声で告げると、玉座の王が手で騎士を制した。
「よいよい。異世界から来た勇者の方々よ、皆様についてはシュモネーの書状やガラムから詳しく話を聞いている。ここは我々だけしかおらぬゆえ、どうか気楽にして欲しい」
中年で小太りのホノイス王は、柔らかな雰囲気を身にまとっている。王の横には彼を補佐するヴァルグ副王が座っていた。
「悪魔勇者については我々連合王国は、その危険性を十分に認識しております。聞けば、勇者シズカとのご縁も深いとか皆様の力もぜひお借りできればと思っています。もちろん我々も全力で協力させていただくつもりです」
ヴァルク副王は話し終えると、軽く首をかしげて平野を見た。平野は二人の王に向かって一歩前に進み出る。
「帝国海軍所属 ミサイル護衛艦ヴィルミアーシェ艦長平野幸奈中佐であります。この度両陛下におかれましては、私共に謁見のお許しをいただき心より感謝申し上げます」
ビシッ!
と空気が切れる音が聞こえるような敬礼をする平野。
その美しい所作と、身体のラインが美しく映える異国の制服と……そして何より平野の大きな胸部装甲に、二人の国王と二人の側近の視線が集中する。
コホンッ!
最初に我に返ったのは宮廷魔術師長のマリーネだった。咳払いをして三人の男たちが平野に向けるぶしつけな視線を窘める。
「では、悪魔勇者対策について話し合うことに致しましょう」
マリーネの言葉に一同全員が頷いた。
~ 拠点構築 ~
謁見は数時間に渡って行われ、帝国とボルヤーグ連合王国の同盟関係の密約が交わされた。正式な同盟は悪魔勇者討伐後に交わされることも決められていた。
このような異例な密約が成立した背景には、ミスリル冒険者であるシュモネーの仲介によるところが大きかったと後の歴史書に記述されている。
ちなみにガラムはプラチナ冒険者である。その上の等級であるミスリル冒険者は、冒険者としての実績だけではなく、国の存亡に関わるような出来事において多大な貢献をした者にのみ与えられるものとされている。
「それにしてもシュモネー夫人の書状がこれほどの力を持っていたとは、ほんとあの女性は何者なのでしょうね」
護衛艦ヴィルミアーシェの艦橋で、平野は隣に立っている真九郎に声を掛けた。
「そうなのですん! ハチさ……シュモネーさんはとっても凄い女性なのですよん! 美人で可愛くてとっても優しいのですん!」
真九郎のシュモネーに対するスゴイ評価が、自分のそれとは大分異なることに苦笑いしつつ、平野は高津艦長の言葉を思い出していた。
『フワーデから言われたんだよ。タカツがミジンコだとしたら、シュモネー夫人は銀河皇帝だと。それくらい次元の違う存在なんだってさ』
高津艦長がミジンコというのはスンナリと受け入れられるのだが、シュモネー夫人が銀河皇帝に相当するというのが、どうにもイメージできない平野であった。
ただフワーデがそういう表現をするのであれば、本当にそうなのかもしれないとも思ってしまうのであった。
「シュモネー夫人の書状のおかげで、こちらの言い分は全て通ったわ。まずは王国から許可が降りた四カ所の拠点設置に取り掛かりましょう。吉添副長、各科長を士官室に招集。忙しくなるわよ」
「了!」
そして王との謁見終了から一週間で、ボルヤーグ連合王国の四カ所に以下の拠点構築が開始された。
第一基地 王都南西部
第二基地 ロイド子爵邸
第三基地 ゴーラ聖宗国国境
第四基地 大森林スピシディア境界
さらに一週間後、各拠点に以下の兵装が配置された。
・SH-60L哨戒ヘリ×1
・73式小型トラック×1
・水陸両用多脚型戦闘ドローン・アラクネ×1
・四脚型戦闘ドローン・ティンダロス×6
・飛行型戦闘ドローン・イタカ×4
・偵察飛行ドローン・カラス×2
各拠点に配置された人員は7名ずつ。
・帝国海軍所属兵員 3名
・白狼族 3名
・ラミア族 1名
全員がドローンのオペレーション訓練課程を修了しており、ラミア族を除く全員がヘリの操縦とトラックの運転が可能。
また王国からは、各拠点に近衛騎士団12名が配属。
この間、ボルヤーグ連合王国の各地では、
『奇怪な形態をした謎の巨大なドラゴンが、咆哮を上げながら空を飛んでいくのを見た』
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