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第一章 護衛艦フワデラ
第42話 古代神殿の悪夢 Side:悪魔勇者
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「くそ痛ぇ……」
人魔大戦の戦場から撤退している巨大な天幕馬車の中で、俺は失った右手の幻肢痛に悩まされている。馬車が揺れる度に痛みで息をするのもつらくなる。
ガタン!
「痛ぅ! このアホが! 馬車を揺らすんじゃねぇよ! 殺すぞ!」
ここまで酷い苦痛がなければ、実際に御者たちを殺していたかもしれない。いや、さすがに御者を殺してしまったら、帰国が遅くなっちまうからしないか。
それくらいの分別はあるからな。
天幕内の神官共が、俺の苦痛を何とか鎮めようと癒しの魔術とやらを続けているらしいが、全く効きやしねぇ。
腹立ちまぎれに何人かナイフで喉を切り裂いてやったが、こいつらときたら一瞬驚きはするものの、そのまま黙々と死体を片付けて後は何食わぬ顔でいやがる。
「ちっ! お前らときたら殺しても死んでも詰まんねーな」
「申し訳ございません。主様」
年老いた神官が本心から申し訳なさそうに頭を下げる。
本当に詰まらねえ。俺は殺しよりも、目の前の理不尽な死に困惑して嘆き苦しむ無様な顔を見てぇんだ。
前世でもそうだった。そうだったということが、こいつらを殺し続けてようやくわかった。
前世で俺は電車の中でガソリンをブチ巻いて大勢の人間を殺した。自分も焼いちまったけどな。
そのときの俺は、てっきり自分はシリアルキラーであり、単に殺すことが楽しいんだと思ってた。だが違った……。
この素晴らしい異世界に勇者として転生したとき、俺は最初……何人か覚えてねぇが30人以上は殺ったはずだ。最初のうちは数えてたからな。
それがここにいる神官のお仲間たちだったわけだが、こいつらときたら殺しても殺しても
「我らが勇者よ、我らが声に耳を傾け給え」
と呪文のように同じ言葉を繰り返しながら、別の奴が殺されるために近寄ってきやがった。
ガギッ!ガリガリガリッ!
そのとき一緒に召喚されたらしい十二の黒い影たちが、俺が殺した連中の死体をむさぼり始めたときは、さすがに俺もドン引きしたぜ。
神官たちも同じだろうと見てみれば、奴らときたら、
「我らが勇者よ、我らが声に耳を傾け給え」とか言いながら近寄ってきやがった。
もしかしてこいつらにとって死は嘆き苦しむようなことじゃないんじゃないか?
そう思った途端、俺は冷めちまった。俺が望むのは俺が殺そうとしている相手の苦悶する姿だってことに気付いちまった。
もうどうでもよくなった俺が、
「なぁ、女はいねぇのか? 女だ! 女を出したら検討してやる!」
と言ったら、奴らの準備の良いこと!
ドエロい恰好したドストライクの女神官たちが俺の前に進み出てきた。
そこから何十人もの女神官たちに種付けをした後、ようやく少し疲れた俺はこいつらの話を聞いてやる気になった。
こいつらは星の智慧派とか言う宗教の信徒で、この世界に偉大なる神々を召喚しようとしているらしい。
「勇者様は、星々を統べる神々を召喚するための鍵となるお方なのです」
女神官を犬のように犯し続ける俺の耳元で、別の女神官が俺をこの世界に呼び出した理由を話す。
女神官は俺の周囲を十二の黒影がふら付いているのを見て、
「勇者様がこの大陸が統べるその時にこそ神々はご降臨なされることでしょう。この十二の黒き眷属と我々が、勇者様が大陸の覇者となるお手伝いをさせていただきます」
「おう、よろしく頼むわ!」
女神官の言葉に俺は気前よく返事をしてやった。
大陸の覇者ってイカしてるよな。
そうなったら一気に何万人も殺しまくったりし放題ってことだよな。
俺が好きなだけやりまくれる、そそる女しかいない国とか作ってみるか! 人間狩りが楽しめる国とかもいいよな。
夢が膨らむぜ!
俺は星の智慧派の反対勢力が呼び出した勇者を真っ先に殺した。その後、神官が神の眷属と崇める妖異とかいう悪魔どもを率いて、俺は大陸の北から東方面の国々を次々と侵略して行った。
途中、魔王を失って混乱していた魔族を引き入れたことにより、侵攻に益々勢いづいていた。
俺たちを遮るものはなく、もはや大陸制覇は目の前にあった……はず。
なのに――
「痛えぇぇぇ!」
俺は右腕を失ってしまった。
それだけではない。
俺の目に入る意味も理由もわからないような小さな羽虫野郎が、どこのどいつともわからねぇ、あの皮も向けてねぇようなクソガキが俺に妙な魔法を使って……
身体を幼女に変えやがった。
それからはケチがつくばかりだ。
俺の右目が突然血まみれになって見えなくなっちまった。
神官たちの報告によると、星々の眷属と呼ばれる強力な妖異が何者かによって排除されたのだと言う。
それは俺が勇者として召喚される際、媒体となった眷属の一柱だったために、俺の身体にも影響が出たのだろうという話だった。
そんなの知らねぇし、聞いてねぇよ!
ブチ切れた俺は神官を三人殺したところで落ち着いた。どうも、この神官たちは俺から殺されるのを待ち望んでいるようにも見える。
そう考えると、二人目に止めを刺した辺りからどっと疲れが襲ってくるんだよ。
しかも今の俺の身体は幼女だからな。
人魔大戦の戦場から撤退している巨大な天幕馬車の中で、俺は失った右手の幻肢痛に悩まされている。馬車が揺れる度に痛みで息をするのもつらくなる。
ガタン!
「痛ぅ! このアホが! 馬車を揺らすんじゃねぇよ! 殺すぞ!」
ここまで酷い苦痛がなければ、実際に御者たちを殺していたかもしれない。いや、さすがに御者を殺してしまったら、帰国が遅くなっちまうからしないか。
それくらいの分別はあるからな。
天幕内の神官共が、俺の苦痛を何とか鎮めようと癒しの魔術とやらを続けているらしいが、全く効きやしねぇ。
腹立ちまぎれに何人かナイフで喉を切り裂いてやったが、こいつらときたら一瞬驚きはするものの、そのまま黙々と死体を片付けて後は何食わぬ顔でいやがる。
「ちっ! お前らときたら殺しても死んでも詰まんねーな」
「申し訳ございません。主様」
年老いた神官が本心から申し訳なさそうに頭を下げる。
本当に詰まらねえ。俺は殺しよりも、目の前の理不尽な死に困惑して嘆き苦しむ無様な顔を見てぇんだ。
前世でもそうだった。そうだったということが、こいつらを殺し続けてようやくわかった。
前世で俺は電車の中でガソリンをブチ巻いて大勢の人間を殺した。自分も焼いちまったけどな。
そのときの俺は、てっきり自分はシリアルキラーであり、単に殺すことが楽しいんだと思ってた。だが違った……。
この素晴らしい異世界に勇者として転生したとき、俺は最初……何人か覚えてねぇが30人以上は殺ったはずだ。最初のうちは数えてたからな。
それがここにいる神官のお仲間たちだったわけだが、こいつらときたら殺しても殺しても
「我らが勇者よ、我らが声に耳を傾け給え」
と呪文のように同じ言葉を繰り返しながら、別の奴が殺されるために近寄ってきやがった。
ガギッ!ガリガリガリッ!
そのとき一緒に召喚されたらしい十二の黒い影たちが、俺が殺した連中の死体をむさぼり始めたときは、さすがに俺もドン引きしたぜ。
神官たちも同じだろうと見てみれば、奴らときたら、
「我らが勇者よ、我らが声に耳を傾け給え」とか言いながら近寄ってきやがった。
もしかしてこいつらにとって死は嘆き苦しむようなことじゃないんじゃないか?
そう思った途端、俺は冷めちまった。俺が望むのは俺が殺そうとしている相手の苦悶する姿だってことに気付いちまった。
もうどうでもよくなった俺が、
「なぁ、女はいねぇのか? 女だ! 女を出したら検討してやる!」
と言ったら、奴らの準備の良いこと!
ドエロい恰好したドストライクの女神官たちが俺の前に進み出てきた。
そこから何十人もの女神官たちに種付けをした後、ようやく少し疲れた俺はこいつらの話を聞いてやる気になった。
こいつらは星の智慧派とか言う宗教の信徒で、この世界に偉大なる神々を召喚しようとしているらしい。
「勇者様は、星々を統べる神々を召喚するための鍵となるお方なのです」
女神官を犬のように犯し続ける俺の耳元で、別の女神官が俺をこの世界に呼び出した理由を話す。
女神官は俺の周囲を十二の黒影がふら付いているのを見て、
「勇者様がこの大陸が統べるその時にこそ神々はご降臨なされることでしょう。この十二の黒き眷属と我々が、勇者様が大陸の覇者となるお手伝いをさせていただきます」
「おう、よろしく頼むわ!」
女神官の言葉に俺は気前よく返事をしてやった。
大陸の覇者ってイカしてるよな。
そうなったら一気に何万人も殺しまくったりし放題ってことだよな。
俺が好きなだけやりまくれる、そそる女しかいない国とか作ってみるか! 人間狩りが楽しめる国とかもいいよな。
夢が膨らむぜ!
俺は星の智慧派の反対勢力が呼び出した勇者を真っ先に殺した。その後、神官が神の眷属と崇める妖異とかいう悪魔どもを率いて、俺は大陸の北から東方面の国々を次々と侵略して行った。
途中、魔王を失って混乱していた魔族を引き入れたことにより、侵攻に益々勢いづいていた。
俺たちを遮るものはなく、もはや大陸制覇は目の前にあった……はず。
なのに――
「痛えぇぇぇ!」
俺は右腕を失ってしまった。
それだけではない。
俺の目に入る意味も理由もわからないような小さな羽虫野郎が、どこのどいつともわからねぇ、あの皮も向けてねぇようなクソガキが俺に妙な魔法を使って……
身体を幼女に変えやがった。
それからはケチがつくばかりだ。
俺の右目が突然血まみれになって見えなくなっちまった。
神官たちの報告によると、星々の眷属と呼ばれる強力な妖異が何者かによって排除されたのだと言う。
それは俺が勇者として召喚される際、媒体となった眷属の一柱だったために、俺の身体にも影響が出たのだろうという話だった。
そんなの知らねぇし、聞いてねぇよ!
ブチ切れた俺は神官を三人殺したところで落ち着いた。どうも、この神官たちは俺から殺されるのを待ち望んでいるようにも見える。
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