ミサイル護衛艦が異世界転移!? しかも艦長が幼女になっちゃいましたけど?

帝国妖異対策局

文字の大きさ
136 / 214
第六章 リーコス村開拓

第134話 幼女の癒やし手

しおりを挟む
 とりあえずラピスが落ち着くまでは、彼女に何があったのかを聞くのは控えることになった。 

 臨床心理士の資格を持つ名塚中尉のアドバイスで、ラピスが信頼を寄せているシンイチとの時間をなるべく多くする。

 というわけで、つまるところラピスはシンイチに任せることになった。今もラピスはシンイチに抱っこされた状態で、尻尾をシンイチの体に巻き付けている。

 私はシンイチとラピスを伴なって、司令部(兼村長宅)を出る。外にはヴィルミカーラが運転する73式小型トラックが私たちの到着を待っていた。

 私は二人に車に乗り込むように指示を出す。

「村の開拓を手伝ってくれているラミア娘たちのところに行ってみよう。同族と話をすれば、ラピスの気分も少しは晴れるかもしれん」

 私の提案にシンイチが頷いて同意してくれた。

「あぁ、水道の敷設でグレイベア村から来ているフレミーたちのところですね」

 ポカンとしているラピスに向って、シンイチが語り掛ける。

「ラピスと同じラミアのお姉ちゃんたちのところへ行こう。きっとみんなラピスに優しくしてくれるはずだよ」

 ラピスはそのままシンイチの首元に顔を埋めてしまった。

「んっ……」

「大丈夫。みんな俺の友達だからね。きっとラピスの友達になってくれるはずだよ」

 シンイチがラピスの頭を数回撫でると、フルフルっと尻尾の先が振れた。

「大丈夫みたいです」
 
「そ、そうか。では行くとしよう」

 私はヴィルミカーラに目で合図を送ると、73式小型トラックがラミア女子たちのいる開墾現場に向って走り始めた。

――――――
―――


 松川先任伍長にはあらかじめラピスの事情を説明しておいたので、彼のはからいで、ラミア女子たちが食堂テントで私たちを待ってくれていた。

 テントに入る前に、私は先任伍長にお礼を言っておく。

「松川さん、作業の邪魔してしまって申し訳ない」

「なに構いませんよ。水道の方は予定よりもかなり早く進んでますから、日程にはまだ余裕があります。あの子ですか、村の入り口に一人で倒れていたというのは……」

 先任伍長が、73式小型トラックの窓から外を覗き込んでいるラピスに、一瞬だけチラッと視線を向けた。

「シンイチには心を許しているみたいだが、まだ落ち着かなくてな。何があったか聞くのは控えるよう名塚中尉に言われている」

 松川先任伍長はフムッと少し考えた後、ここに自分がいるとラピスが怖がるだろうと現場に戻っていった。

 私はシンイチたちと共にテントの中に入る。

「「「「「「キャァァァァァァァ!」」」」」」
 
 その瞬間、シンイチとラピスが6人のラミア女子に取り囲まれていた。

「シンイチさま! お久しぶりでございますぅぅ!」
「わーい! 幼女だ!」
「この子がラピス? 超カワイイんですけど!」
「ラピスちゃん、初めまして!」
「わたしソーシャだよ! お姉ちゃんって呼んでいいからね!」
「ライラ様! ライラ様はご一緒じゃないんですか?」

 ラミア女子たちが、これまでに見たことのないテンションで二人に話しかけていた。シンイチは顔を微妙に引き攣らせながら苦笑いしていた。
 
 ラピスの方はと言えば、目が丸く開かれて瞬いている。

 その表情がまたカワイイとラミア女子たちがちやほやする。手で頭を撫でるものや、尻尾で撫でるものあり。

 ラピスは最初こそ警戒していたものの、やはり同族という安心感からか、ラミア女子たちとの触れ合いにもすぐに慣れたようだった。
 
 皆でテーブルに用意されていたお菓子や飲み物を楽しんでいるうちに、いつの間にかラピスはシンイチの懐から離れ、ラミア女子たちの胸に抱かれていた。

「ラピスちゃん、小っちゃくてプニプニだー!」
「マシュマロみたいに柔らかいぃ!」

 皆から弄られるラピス。

「シンイチ様、グレイベア村にはお戻りになられないのですか?」
「洞窟前広場に、新しいパン屋を開店しましたの。ぜひライラ様とご一緒に……」
 
 シンイチも左右をラピス女子に挟まれて、その腕におっぱいを押し付けられながら話しかけられている。

 シンイチ……子どもにしかモテないとか言ってなかったか?

 この嘘つき!
 
 そして――

 艦長、ひとりでポツンとテーブルの端に座ってた。

 みんな楽しそうだなぁー。

 やっぱりシンイチは同郷だし、ラピスは同族で、色々と話がはずんだりするんだろうなー。

 ヒョイッ! パクッ!(ポテチを食べる艦長)
 ヒョイッ! パクッ!(ポテチを食べる艦長)
 ヒョイッ! パクッ!(ポテチを食べる艦長)
 コクコク!(コラ・コーラを飲む艦長)

 みんな楽しそうだなぁー。
 
「か、艦長、さ、寂しい? な、なら、わ、私がだ、抱っこし、してあげ、ようか?」

 突然、背後に怖気を感じて振り返ると、いつの間にかそこにヴィルミカーラが立って私を見下ろしていた。

「わひっ!? ヴィルミカーラか……え、遠慮しておく」

「わ、分かった」

 分かったと言ったのにも関わらず、ヴィルミカーラは私を抱き上げると、そのままテーブルに腰を掛ける。

 艦長は寂しくなくなった! 

 ヴィルミカーラへの好感度が3上がった!

 その後、ラピスの笑顔を作るため、私たちも皆の会話に加わった。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

処理中です...