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■本編 (ヒロイン視点)
レッスン2 理性と羞恥の味 -4-
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無言になってしまった鳴瀬のことも気になるけど、いまは自分のことで精一杯だ。
(なんか、胸の先、……じんじんする……っ)
変だ。もっと強く触ってほしい、だなんて。
言いたい、けど言ってはいけない。鳴瀬はあくまでネームをなぞっているだけ。そう、ネーム。ここでたしか、ヒロインはヒーローの手を拒絶をするんだ。
(で、でも、これ……たぶん、むり……!)
きっと、流されるほうがずっと楽だ。
未経験の琴香の身体ですら、すでに快感のはしっこをつかみかけている。こうしてほしいという行為が思い当たる。
本当はもっと、──もっと乱暴に触られたい。
厚い生地が邪魔をして、鳴瀬の手の温度が感じられない。けど、むにゅむにゅと乳房を揉まれている感覚だけはわかる。それでは足りないのだ。うつ伏せているせいで胸のカタチもよくわかる。もっと先の方がうずく。そっちを触ってほしい。
「んあっ……」
まるで心得たというように、彼の左手は服の上から胸の先端をくるくると撫でた。
はぁ、と琴香の口から熱いため息がもれる。
このあと彼の手がどんなふうに動くのか予想ができない。身体がふるえる。
もう片方の手は、脇腹を撫でている。パーカーの裾から鳴瀬の手が侵入しようとしているのだ。
「あっ、だめ……」
意図せず、ヒロインと同じセリフを口にしていた。
身体は急速に熱をあげて、はぁはぁと息が荒くなる。
「や、だめですってば……!」
拒絶した、つもりだった。けれど、待ち望んだ刺激を与えられた身体は素直に反応してしまう。
「はっ、あんっ」
ブラをしていたら、こんなことにはならなかっただろうに。自分のせい。鳴瀬はただネームを再現しているだけで──!
固い指先がつんつんと乳首をいじる。そこがじんじんと熱い。もっと触ってほしい。強く、たくさん……、
「先生?」
耳に吹き込まれる声。ぞくぞくっと背中をしならせ、ついに琴香はがくりと膝を折った。
力の入らなくなった身体が、鳴瀬の手ごとキッチンに倒れ込む。むにゅ、と胸が押しつぶしたのは、ちょうど胸の先端を摘んだままだった鳴瀬の手だ。
「ひゃうっ」
「っと、すみません!」
ぱっと手を離して、鳴瀬は一歩後ろに下がった。脱力感に襲われた琴香は、キッチンの天板に突っ伏して乱れた呼吸を繰り返した。
「い、いやぁ、難しい」
鳴瀬の妙に明るい声が、濃密だったキッチンの空気をがらりと変える。
「無理やりって、こんな感じでよかったですか? 俺様ヒーローなりきりは難しく……って、先生? 白石先生?」
「……あ…………ダイジョウブ……デス。再現率……高くて……ヨカッタ、デス」
「あ~……、すみません、やりすぎましたね……大丈夫すか、先生」
鳴瀬が気遣わし気に顔を覗き込んでくる。まだ返事はできそうもない。
──やっぱり、トンデモないことをお願いしている。
けれど今のでわかったこともある。
(すごかった……すごい! 私の漫画、エッチじゃん!?)
琴香はちょっとだけ自信を取り戻した。身長差のあるキスも、キッチンでのバックからの攻めも、心のすれ違いも、凄くいい。
せっかくだから、膝が立たなくなるくらいの鳴瀬のアドリブ部分も大いに活用しようと思う。
琴香は震える手で、『おっぱいで手をつぶす』とメモを残し、キッチンでそのまま力尽きた。
(なんか、胸の先、……じんじんする……っ)
変だ。もっと強く触ってほしい、だなんて。
言いたい、けど言ってはいけない。鳴瀬はあくまでネームをなぞっているだけ。そう、ネーム。ここでたしか、ヒロインはヒーローの手を拒絶をするんだ。
(で、でも、これ……たぶん、むり……!)
きっと、流されるほうがずっと楽だ。
未経験の琴香の身体ですら、すでに快感のはしっこをつかみかけている。こうしてほしいという行為が思い当たる。
本当はもっと、──もっと乱暴に触られたい。
厚い生地が邪魔をして、鳴瀬の手の温度が感じられない。けど、むにゅむにゅと乳房を揉まれている感覚だけはわかる。それでは足りないのだ。うつ伏せているせいで胸のカタチもよくわかる。もっと先の方がうずく。そっちを触ってほしい。
「んあっ……」
まるで心得たというように、彼の左手は服の上から胸の先端をくるくると撫でた。
はぁ、と琴香の口から熱いため息がもれる。
このあと彼の手がどんなふうに動くのか予想ができない。身体がふるえる。
もう片方の手は、脇腹を撫でている。パーカーの裾から鳴瀬の手が侵入しようとしているのだ。
「あっ、だめ……」
意図せず、ヒロインと同じセリフを口にしていた。
身体は急速に熱をあげて、はぁはぁと息が荒くなる。
「や、だめですってば……!」
拒絶した、つもりだった。けれど、待ち望んだ刺激を与えられた身体は素直に反応してしまう。
「はっ、あんっ」
ブラをしていたら、こんなことにはならなかっただろうに。自分のせい。鳴瀬はただネームを再現しているだけで──!
固い指先がつんつんと乳首をいじる。そこがじんじんと熱い。もっと触ってほしい。強く、たくさん……、
「先生?」
耳に吹き込まれる声。ぞくぞくっと背中をしならせ、ついに琴香はがくりと膝を折った。
力の入らなくなった身体が、鳴瀬の手ごとキッチンに倒れ込む。むにゅ、と胸が押しつぶしたのは、ちょうど胸の先端を摘んだままだった鳴瀬の手だ。
「ひゃうっ」
「っと、すみません!」
ぱっと手を離して、鳴瀬は一歩後ろに下がった。脱力感に襲われた琴香は、キッチンの天板に突っ伏して乱れた呼吸を繰り返した。
「い、いやぁ、難しい」
鳴瀬の妙に明るい声が、濃密だったキッチンの空気をがらりと変える。
「無理やりって、こんな感じでよかったですか? 俺様ヒーローなりきりは難しく……って、先生? 白石先生?」
「……あ…………ダイジョウブ……デス。再現率……高くて……ヨカッタ、デス」
「あ~……、すみません、やりすぎましたね……大丈夫すか、先生」
鳴瀬が気遣わし気に顔を覗き込んでくる。まだ返事はできそうもない。
──やっぱり、トンデモないことをお願いしている。
けれど今のでわかったこともある。
(すごかった……すごい! 私の漫画、エッチじゃん!?)
琴香はちょっとだけ自信を取り戻した。身長差のあるキスも、キッチンでのバックからの攻めも、心のすれ違いも、凄くいい。
せっかくだから、膝が立たなくなるくらいの鳴瀬のアドリブ部分も大いに活用しようと思う。
琴香は震える手で、『おっぱいで手をつぶす』とメモを残し、キッチンでそのまま力尽きた。
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