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17話 観劇
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「兄様、変じゃありません? 私、観劇なんて初めてですけれど、このドレスはおかしくないですか…?」
ティアルーナは宝石のちりばめられた美しい紺のマーメイドラインのドレスを纏い、実兄ロイスに詰め寄っていた。今日は近頃行われる予定の茶会の話題作りの為にと現在はまだ婚約者のルードルフが誘ってくれた著名作家による作品を観劇しにいく日なのだ。普段の儚げな美しさとは変わり、まるで神話の夜の女神のような触れがたい美しさを放つティアルーナにまたもメアリとメイド一同が陥落し絶賛する中、ティアルーナだけは浮かばない表情でいた。
「ああ、おかしい所なんてどこもないよ。メイド達も絶賛していただろう?」
すごすごと下がっていくメイドを横目で見ながらロイスはそう言う。しかしティアルーナの表情は晴れないまま。
「ええ…でも、褒めてくれるのは嬉しいけれど、身内の贔屓目というものだと思うのです。お父様も、お母様も、メアリも、他のみんなも…だから兄様、もしどこかおかしいのなら言ってくださいませ! 折角、ルードルフ様とお友達になれたのに変だなんて思われたくありませんの」
元々ロイスはティアルーナがルードルフと観劇に行くことに好意的ではなかった。だが’’友達’’という妹の発言を聞いて気分が良くなり、口元が歪んだ笑みを浮かべたがすぐに手で隠した。学園に身を置き、長く家を離れていた間のことを両親に問うた。その中には勿論、可愛い妹とその憎き婚約者の素っ気ない態度の話も含まれている。
(いい気味だ)
「変なわけがあるか、勿論かわいいよ。そんなに心配しなくても大丈夫…楽しんでおいで」
─────────
兄に太鼓判を貰ったことでドレス選びも終了し、間もなく王太子の紋章が刻まれた馬車が公爵家に到着した。公爵家の面々に見送られる中、迎えに来たルードルフがティアルーナを見て少々固まる等といった小さな事件はあったが何はともあれ、ふたりは劇場に向けて馬車へ乗り込んだ。
「ルードルフ様、今回はお誘い頂きありがとうございます。私、観劇なんて初めてで、とても楽しみなんです」
心底から楽しそうな声音で喜ぶティアルーナに同じようににこやかに応えるルードルフだが、内心はまだ先ほどの衝撃を引き摺っている。
「君が楽しんでくれることを願うよ。なんでも、我が国だけでなく周辺国でも流行の、実話を元に手を加えた作品だそうだ」
ルードルフはいつもの彼女らしい軽やかな色合いのドレスに身を包んでいると思っっていたのだが、それがどうか。ティアルーナは落ち着いた深い紺、それでいて王太子であるルードルフが思わず膝をついてしまいそうになるほどの高貴さとあふれんばかりの美しさを振りまいてどこか気恥ずかしそうにルードルフの前に現れたのだ。
この姿に陥落しない者がいるのものかと本気でルードルフはティアルーナを女神だと思ったほど。更に恋心を自覚している今なら尚のこと。せいぜいが友人としか思われていないと言うのに、婚約の続行とゆくゆくの結婚を申し込まなかっただけ褒めて欲しいとさえ思っていた。
(彼女には友人だと思われている…だが、今日演目させるのは実在した王太子と令嬢の大恋愛の話だ、少しは…意識、してくれないだろうか)
人気の劇ということに偽りはなくとも、わざと自身と彼女に近しい身分と立場の恋愛劇を手配したことを気取られないようわざとらしく咳払いをし、それとなく作品の説明と評判を語る。ティアルーナは婚約者の腹の中に気がつくことなく素直にルードルフの話に聞き入っている。
「まあ、そうなのですか? では、とても素晴らしい劇なのでしょぅ…ッ!」
だがそう、話しているところでティアルーナは突如として小さく悲鳴を上げ、額に両手を当てた。
「どうしたっ…! どこか…頭か、頭が痛むのか? 直ぐに医者を呼「だ、大丈夫です。ルードルフ様、御心配をお掛けして申し訳ありません…ほんの少し、頭痛がしただけです」
すぐに体勢を立て直し、慌てるルードルフに何事もないことを伝えるティアルーナだがルードルフは納得しなかった。
「いや、しかし何かあってはいけない。公爵家に戻らせよう」
「いいえ、ルードルフ様。私は大丈夫です、そう強いものでもありませんでしたもの」
頭痛なのかどうかも怪しいかもしれないと、笑いながら馬車を公爵家に戻らせようとするルードルフを制止すると彼はティアルーナの想像を外れて、厳しい表情で断固とした意志を見せた。
「そんなことを言って、倒れでもしたらどうするんだ。劇なんてまたにすればいい、公爵家にも医者はいるだろうが後ほど王宮医を遣わせるから、よく診せるように」
王宮医を遣わすという、そのルードルフの発言にティアルーナはぎょっとして王族の為に存在する王宮医を公爵家に遣って頂く訳にはいかないと固辞し、困ったように眉を下げた。
「ほんとうに、私はなんともありませんのに。ルードルフ様と観劇へ行くのをとても楽しみにしていたのです、お願いですから戻るなんて仰らないでくださいませ」
度重なる名前呼び、そしてなにより共に行くことを楽しみにしていたという、ティアルーナの発言で一瞬にしてルードルフの心は脆く折れた。
「…ぅ……何か、体調に異変があったら言ってくれると約束するのなら」
「まあ! ありがとうございます、ルードルフ様っ!」
ぱっと笑顔になったティアルーナを見てルードルフは敵わないなと小さく呟くと、目をそらすように窓の外の街並みを眺め始める。ティアルーナも笑顔のままルードルフに倣う。誰かが見ていたのなら、理想の婚約者同士だと言ったことだろう光景だ。
(あれ…でも、なにかしら。さっきの会話をルードルフ様としたことがあるような、気がする)
ティアルーナは宝石のちりばめられた美しい紺のマーメイドラインのドレスを纏い、実兄ロイスに詰め寄っていた。今日は近頃行われる予定の茶会の話題作りの為にと現在はまだ婚約者のルードルフが誘ってくれた著名作家による作品を観劇しにいく日なのだ。普段の儚げな美しさとは変わり、まるで神話の夜の女神のような触れがたい美しさを放つティアルーナにまたもメアリとメイド一同が陥落し絶賛する中、ティアルーナだけは浮かばない表情でいた。
「ああ、おかしい所なんてどこもないよ。メイド達も絶賛していただろう?」
すごすごと下がっていくメイドを横目で見ながらロイスはそう言う。しかしティアルーナの表情は晴れないまま。
「ええ…でも、褒めてくれるのは嬉しいけれど、身内の贔屓目というものだと思うのです。お父様も、お母様も、メアリも、他のみんなも…だから兄様、もしどこかおかしいのなら言ってくださいませ! 折角、ルードルフ様とお友達になれたのに変だなんて思われたくありませんの」
元々ロイスはティアルーナがルードルフと観劇に行くことに好意的ではなかった。だが’’友達’’という妹の発言を聞いて気分が良くなり、口元が歪んだ笑みを浮かべたがすぐに手で隠した。学園に身を置き、長く家を離れていた間のことを両親に問うた。その中には勿論、可愛い妹とその憎き婚約者の素っ気ない態度の話も含まれている。
(いい気味だ)
「変なわけがあるか、勿論かわいいよ。そんなに心配しなくても大丈夫…楽しんでおいで」
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兄に太鼓判を貰ったことでドレス選びも終了し、間もなく王太子の紋章が刻まれた馬車が公爵家に到着した。公爵家の面々に見送られる中、迎えに来たルードルフがティアルーナを見て少々固まる等といった小さな事件はあったが何はともあれ、ふたりは劇場に向けて馬車へ乗り込んだ。
「ルードルフ様、今回はお誘い頂きありがとうございます。私、観劇なんて初めてで、とても楽しみなんです」
心底から楽しそうな声音で喜ぶティアルーナに同じようににこやかに応えるルードルフだが、内心はまだ先ほどの衝撃を引き摺っている。
「君が楽しんでくれることを願うよ。なんでも、我が国だけでなく周辺国でも流行の、実話を元に手を加えた作品だそうだ」
ルードルフはいつもの彼女らしい軽やかな色合いのドレスに身を包んでいると思っっていたのだが、それがどうか。ティアルーナは落ち着いた深い紺、それでいて王太子であるルードルフが思わず膝をついてしまいそうになるほどの高貴さとあふれんばかりの美しさを振りまいてどこか気恥ずかしそうにルードルフの前に現れたのだ。
この姿に陥落しない者がいるのものかと本気でルードルフはティアルーナを女神だと思ったほど。更に恋心を自覚している今なら尚のこと。せいぜいが友人としか思われていないと言うのに、婚約の続行とゆくゆくの結婚を申し込まなかっただけ褒めて欲しいとさえ思っていた。
(彼女には友人だと思われている…だが、今日演目させるのは実在した王太子と令嬢の大恋愛の話だ、少しは…意識、してくれないだろうか)
人気の劇ということに偽りはなくとも、わざと自身と彼女に近しい身分と立場の恋愛劇を手配したことを気取られないようわざとらしく咳払いをし、それとなく作品の説明と評判を語る。ティアルーナは婚約者の腹の中に気がつくことなく素直にルードルフの話に聞き入っている。
「まあ、そうなのですか? では、とても素晴らしい劇なのでしょぅ…ッ!」
だがそう、話しているところでティアルーナは突如として小さく悲鳴を上げ、額に両手を当てた。
「どうしたっ…! どこか…頭か、頭が痛むのか? 直ぐに医者を呼「だ、大丈夫です。ルードルフ様、御心配をお掛けして申し訳ありません…ほんの少し、頭痛がしただけです」
すぐに体勢を立て直し、慌てるルードルフに何事もないことを伝えるティアルーナだがルードルフは納得しなかった。
「いや、しかし何かあってはいけない。公爵家に戻らせよう」
「いいえ、ルードルフ様。私は大丈夫です、そう強いものでもありませんでしたもの」
頭痛なのかどうかも怪しいかもしれないと、笑いながら馬車を公爵家に戻らせようとするルードルフを制止すると彼はティアルーナの想像を外れて、厳しい表情で断固とした意志を見せた。
「そんなことを言って、倒れでもしたらどうするんだ。劇なんてまたにすればいい、公爵家にも医者はいるだろうが後ほど王宮医を遣わせるから、よく診せるように」
王宮医を遣わすという、そのルードルフの発言にティアルーナはぎょっとして王族の為に存在する王宮医を公爵家に遣って頂く訳にはいかないと固辞し、困ったように眉を下げた。
「ほんとうに、私はなんともありませんのに。ルードルフ様と観劇へ行くのをとても楽しみにしていたのです、お願いですから戻るなんて仰らないでくださいませ」
度重なる名前呼び、そしてなにより共に行くことを楽しみにしていたという、ティアルーナの発言で一瞬にしてルードルフの心は脆く折れた。
「…ぅ……何か、体調に異変があったら言ってくれると約束するのなら」
「まあ! ありがとうございます、ルードルフ様っ!」
ぱっと笑顔になったティアルーナを見てルードルフは敵わないなと小さく呟くと、目をそらすように窓の外の街並みを眺め始める。ティアルーナも笑顔のままルードルフに倣う。誰かが見ていたのなら、理想の婚約者同士だと言ったことだろう光景だ。
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