13 / 41
<13・Communication>
しおりを挟む
メリーランドタウンの名産品の一つ、メドチェワイン。
メドチェブドウを原料にしたこのワインは辛さ控えめでほんのり甘く、すっと鼻に通るようないい香りがするのが特徴だ。メドチェブドウはブドウの中では紫というよりピンクの果肉が特徴で、このワインにも同じ色を残している。毎年、春先から夏にかけて大量に収穫され、しかもワインへの加工も極めて簡単であるために庶民にも安価で手に入るのだ。
ゴートン達のリーダーであるサリーなどは、貴族と同じ生活をし、同じものを飲み食いすることに拘っている。だから、どれほど美味しくても庶民が手に入るような食べ物やお酒には手を出さない。むしろ、ゴートン自身一度勧めたら、まるでゴミでも見るような眼をされたことがあるほどである。まったく、彼女は人生を損していると思う。
大酒飲みと言えばゾウマも同じなのだが、彼はああ見えてマメなところがあり、恋人であるサリーの傍以外ではなるべくおおぴらにお酒を飲まないようにしているようだった。よって、彼女が手を出さないタイプのお酒は飲まないしツマミも食べない。
マリオンに至ってはまだ外見年齢が幼いのでお酒を勧めることはできず、ノエルは完全な下戸。よって、ゴートンは自分の好きなワインを飲みたい時は適当に女を引っかけるか、さもなくば一人で淋しくちみちみと飲むしかないのが実情なのだった。
「これ、好きなんです!」
だから、新鮮だったのである。メドチェワインを見て目を輝かせてくれる女は。
「といっても……私はそんなにたくさん飲める方じゃなくて、ちょっと嗜む程度、なんですけどね。今年のメドチェワインは凄く甘味が強くて出来が良いと聞きました。雨が多くてメドチェブドウが豊作だったからって。今年はメドチェブドウを使ったケーキやお菓子も大量に出回ってるみたいですしね」
「ほう、詳しいじゃねえか」
「美味しいものに目がないんです。……すみません、はしたなくて」
「いや、いい」
元々の階級が低いからこそ、美味しくて安いものに詳しいのだろう。そんなに喜んでくれると、こっちも嬉しくなってしまう。こんなことなら、ツマミの一つも用意しておけば良かったと悔やまれる。昨夜チーズを食べきってしまったのに、買い足すのをすっかり忘れてしまったのだ。
「……一つ、訊きたいことがあってな」
頼めばジニーはあっさりとお酌をしてくれた。二人で乾杯して一杯煽ったところで、尋ねたかったことを口にしてみるゴートンである。
「お前、俺の見た目をどう思う」
「どうって?」
「醜いだろ。……自分で言ってても空しくなるけどな」
初めて自分を見た時からそうだった。ジニーはゴートンがベッドの上で“役に立つかどうか”を品定めする気配はあったが、ゴートンの顔を見て少しでも眉を顰めたり、嫌がる気配を一切見せなかったのである。悲しいが、男はともかく女達の多くはゴートンの容姿を一目見て嫌悪感を露わにする。むしろそれがゴートンにとっては“信用ならない相手かどうか”を見定める一つの指標にもなっているのだったが。
彼女は女にしては珍しく、ゴートンの顔に生理的嫌悪を一切示さなかった。それが少々不思議だったのだ。ものすごく感性が変わっているのか、あるいは。
「俺達勇者はな。転生してくる時に……チートスキルだけじゃなくて、好きな容姿を女神様にもらえるんだ。だから仲間達はみんな、美形の容姿を選んで女神様に与えて貰った。でも俺は違う。あえて前世のままの姿にしたんだ。……この姿で、散々苛められてきたのにな。何でだと思う?……見た目だけで人を判断するような連中にうんざりしてたからだ」
そして、自分のような醜い男に女どもが凌辱されるのを俯瞰で見て、それで現世の鬱憤を晴らしたかったのである。我ながら歪んでいるとは思うが。
「人は中身が大事とか言いながらよ、世間の女どもは結局顔でしかものを見ねえ。少しでも気持ち悪い顔だと思ったら、そいつの本質なんか知ろうともしねえで嫌悪しやがる。本当に最低だと思うぜ。どいつもこいつも口先ばっかり……たまたまフツー以上の見た目で生まれたからって、俺みたいな奴の気持ちなんか考えもしやがらねえ」
言っていてどんどん暗い気持ちを思い出してくる。ぐい、ともう一杯ワインを煽った。美味いのに、どこか苦味を感じる気がするのは己の感情のせいなのだろうか。
「だからまあ、あんたみたいな綺麗な女なら大抵俺の顔を見た瞬間嫌な顔をするもんなんだが……あんたは珍しくそれっぽい嫌悪がなかったからな。ちょいと不思議だっただけだ。……悪いな、変な話をして」
「……いえ」
元々はお金目当てで自分に近づいてきたはず、だった(声をかけたのはゴートンの方ではあるが)。しかしジニーはゴートンの話を面倒くさがる様子もなく、お金をさっさとよこせとせびるでもなく、黙って耳を傾けてくれたのだった。そして。
「……実は、私。旅芸人の仲間にも話していないことがあって。ゴートン様にもお伝えしていなかった秘密がいくつかあるんです。それを伝えたら軽蔑されるのではないかと思って黙っておりました。でも……今、ゴートン様のお話を聴いて確信したのです。この方なら、私の秘密を聴いても……私を蔑んだりしないでくださると」
「秘密?」
「私の、此の顔」
ジニーは己の、まるで白い月のような美しい頬に触れて言う。
「実は、整形……なんです。元々の私の顔は、鏡を見るのが嫌になるほど醜い顔でした」
「……なんだって?」
あれ?とゴートンは首を傾げる。彼女は幼少期から、旅の一座で歌や踊りを披露して仕事をしていたと言っていなかっただろうか、と。醜い容姿の娘が舞台にそうそう上がれるとは思えなかったが。
「私は旅芸人の子供ですから、親の仕事を引き継ぐ以外に生きていく術などありません。よって……私は子供の頃、舞台に上がる時はいつも仮面を身に着けておりました。幸い歌と楽器だけはそれなりだったのでどうにかなったのです」
「……そうだったのか」
「はい。……ですから、容姿のことで悩んだり、他人に苦しめられてきたゴートン様の気持ち、少しは想像できるつもりなのです」
信じられない。ゴートンはジニーの顔をまじまじと見つめた。月の光を集めたような美しい銀糸の髪、赤く輝く瞳になめらかな白い肌。睫毛は音を立てそうなほど長く、まるで芸術品のような美しさなのである。これが、人の手で作られた作品だなんてどうして信じられようか。
「う、腕の良い職人がいたもんだな」
真っ直ぐ見つめれば見つめるほど、その瞳に吸い込まれてこちらが囚われそうになってしまう。思わずドキドキして視線を逸らすゴートン。
整形だなんてにわかには信じられないが、それでも納得した自分がいるのもまた確かなことだ。彼女は自分が醜い容姿で苦労したり苦しんだことがあるからこそ、同じように醜い自分を差別したり見下すことがなかったのだろうと。
「まったくです。私から明かさないと、誰も整形だなんて気づかないのですから。……でも、私の心はいつも怯えています。整形だと知られたらきっと蔑まれてしまうだろうと。所詮顔も醜い者は、心も醜いのだと……そのように咎められるのではないかと」
「そんなこと、ねえよ」
「ええ。ゴートン様ならきっと、そう仰って下さると思いました。だから私の秘密を明かしたのです」
「……そうかよ」
純粋に嬉しいと思う自分は、安いだろうか。己が本当は勇敢な男などではないことを、ゴートンは自分で一番よく知っていたのだった。
だから己を愛してくれない人間のことは、愛したくない。
己に心を開いてくれない人間に、心を開きたくなんてない。
近づいて、親しくしたと思ったら距離を取られて傷つく。あるいは理想と現実のギャップに悩まされるなんて、もううんざりでしかなかったのである。だが。
ジニーは自分から、己の傷を明かしてくれた。ゴートンを信じてくれたのだ。
「……なあ」
この女と愛し合いたい。肉欲だけではなくそう思ったのは、初めてのことだった。単に性欲を満たすためではなく、心が満たされる行為がしてみたい、と。
「そろそろ抱いていいか」
ストレートに告げると、ジニーは顔を真っ赤にして――頷いたのである。
「勿論です。しかし、そのためにはもう一つ……貴方様に、明かさなければならない秘密がございます。それをお伝えしたら、ゴートン様は本当に私のことを気持ち悪いと思うかもしれません」
「思うわけあるか」
「何故そんなことが言い切れるのです?」
「お前の心が綺麗だからだ。……言っただろ、俺は人を外見だけで判断するやつが大嫌いなんだ。綺麗な心のお前に、他にどんな秘密があっても……それが曇るわけじゃねえ。見縊るな」
「……ゴートン様……」
ジニーは泣きそうな顔をして、頭にかぶっていたヴェールを脱いだ。それから、踊り子の衣装の胸元のホックを外す。
「へ?」
流石に、これは予想外だった。確かに小ぶりな胸だとは思っていたが――まさか露わになった胸が、真っ平らだとは思ってもみなかったからである。
いくら貧乳でも、乳首の形などには違いがある。この胸は、まさか。
「私は男です」
怯えた顔で、それでもジニーははっきりとそう告げたのだった。
「それでもこの私に……ゴートン様を教えていただけますか?」
同性なんぞに興味はない。男同士で睦み合うなどありえない――ゴートンはずっとそう思ってきたし、だからこそチートスキルも女専用に設定したのだ。そのはずだった。でも。
潤んだ目で自分を見るジニーは、男の体をしていてなお美しかった。思わず、ゴートンの喉が鳴る。
「……ああ」
下半身と心臓が命ずるまま、ゴートンは頷いてしまっていたのだった。
メドチェブドウを原料にしたこのワインは辛さ控えめでほんのり甘く、すっと鼻に通るようないい香りがするのが特徴だ。メドチェブドウはブドウの中では紫というよりピンクの果肉が特徴で、このワインにも同じ色を残している。毎年、春先から夏にかけて大量に収穫され、しかもワインへの加工も極めて簡単であるために庶民にも安価で手に入るのだ。
ゴートン達のリーダーであるサリーなどは、貴族と同じ生活をし、同じものを飲み食いすることに拘っている。だから、どれほど美味しくても庶民が手に入るような食べ物やお酒には手を出さない。むしろ、ゴートン自身一度勧めたら、まるでゴミでも見るような眼をされたことがあるほどである。まったく、彼女は人生を損していると思う。
大酒飲みと言えばゾウマも同じなのだが、彼はああ見えてマメなところがあり、恋人であるサリーの傍以外ではなるべくおおぴらにお酒を飲まないようにしているようだった。よって、彼女が手を出さないタイプのお酒は飲まないしツマミも食べない。
マリオンに至ってはまだ外見年齢が幼いのでお酒を勧めることはできず、ノエルは完全な下戸。よって、ゴートンは自分の好きなワインを飲みたい時は適当に女を引っかけるか、さもなくば一人で淋しくちみちみと飲むしかないのが実情なのだった。
「これ、好きなんです!」
だから、新鮮だったのである。メドチェワインを見て目を輝かせてくれる女は。
「といっても……私はそんなにたくさん飲める方じゃなくて、ちょっと嗜む程度、なんですけどね。今年のメドチェワインは凄く甘味が強くて出来が良いと聞きました。雨が多くてメドチェブドウが豊作だったからって。今年はメドチェブドウを使ったケーキやお菓子も大量に出回ってるみたいですしね」
「ほう、詳しいじゃねえか」
「美味しいものに目がないんです。……すみません、はしたなくて」
「いや、いい」
元々の階級が低いからこそ、美味しくて安いものに詳しいのだろう。そんなに喜んでくれると、こっちも嬉しくなってしまう。こんなことなら、ツマミの一つも用意しておけば良かったと悔やまれる。昨夜チーズを食べきってしまったのに、買い足すのをすっかり忘れてしまったのだ。
「……一つ、訊きたいことがあってな」
頼めばジニーはあっさりとお酌をしてくれた。二人で乾杯して一杯煽ったところで、尋ねたかったことを口にしてみるゴートンである。
「お前、俺の見た目をどう思う」
「どうって?」
「醜いだろ。……自分で言ってても空しくなるけどな」
初めて自分を見た時からそうだった。ジニーはゴートンがベッドの上で“役に立つかどうか”を品定めする気配はあったが、ゴートンの顔を見て少しでも眉を顰めたり、嫌がる気配を一切見せなかったのである。悲しいが、男はともかく女達の多くはゴートンの容姿を一目見て嫌悪感を露わにする。むしろそれがゴートンにとっては“信用ならない相手かどうか”を見定める一つの指標にもなっているのだったが。
彼女は女にしては珍しく、ゴートンの顔に生理的嫌悪を一切示さなかった。それが少々不思議だったのだ。ものすごく感性が変わっているのか、あるいは。
「俺達勇者はな。転生してくる時に……チートスキルだけじゃなくて、好きな容姿を女神様にもらえるんだ。だから仲間達はみんな、美形の容姿を選んで女神様に与えて貰った。でも俺は違う。あえて前世のままの姿にしたんだ。……この姿で、散々苛められてきたのにな。何でだと思う?……見た目だけで人を判断するような連中にうんざりしてたからだ」
そして、自分のような醜い男に女どもが凌辱されるのを俯瞰で見て、それで現世の鬱憤を晴らしたかったのである。我ながら歪んでいるとは思うが。
「人は中身が大事とか言いながらよ、世間の女どもは結局顔でしかものを見ねえ。少しでも気持ち悪い顔だと思ったら、そいつの本質なんか知ろうともしねえで嫌悪しやがる。本当に最低だと思うぜ。どいつもこいつも口先ばっかり……たまたまフツー以上の見た目で生まれたからって、俺みたいな奴の気持ちなんか考えもしやがらねえ」
言っていてどんどん暗い気持ちを思い出してくる。ぐい、ともう一杯ワインを煽った。美味いのに、どこか苦味を感じる気がするのは己の感情のせいなのだろうか。
「だからまあ、あんたみたいな綺麗な女なら大抵俺の顔を見た瞬間嫌な顔をするもんなんだが……あんたは珍しくそれっぽい嫌悪がなかったからな。ちょいと不思議だっただけだ。……悪いな、変な話をして」
「……いえ」
元々はお金目当てで自分に近づいてきたはず、だった(声をかけたのはゴートンの方ではあるが)。しかしジニーはゴートンの話を面倒くさがる様子もなく、お金をさっさとよこせとせびるでもなく、黙って耳を傾けてくれたのだった。そして。
「……実は、私。旅芸人の仲間にも話していないことがあって。ゴートン様にもお伝えしていなかった秘密がいくつかあるんです。それを伝えたら軽蔑されるのではないかと思って黙っておりました。でも……今、ゴートン様のお話を聴いて確信したのです。この方なら、私の秘密を聴いても……私を蔑んだりしないでくださると」
「秘密?」
「私の、此の顔」
ジニーは己の、まるで白い月のような美しい頬に触れて言う。
「実は、整形……なんです。元々の私の顔は、鏡を見るのが嫌になるほど醜い顔でした」
「……なんだって?」
あれ?とゴートンは首を傾げる。彼女は幼少期から、旅の一座で歌や踊りを披露して仕事をしていたと言っていなかっただろうか、と。醜い容姿の娘が舞台にそうそう上がれるとは思えなかったが。
「私は旅芸人の子供ですから、親の仕事を引き継ぐ以外に生きていく術などありません。よって……私は子供の頃、舞台に上がる時はいつも仮面を身に着けておりました。幸い歌と楽器だけはそれなりだったのでどうにかなったのです」
「……そうだったのか」
「はい。……ですから、容姿のことで悩んだり、他人に苦しめられてきたゴートン様の気持ち、少しは想像できるつもりなのです」
信じられない。ゴートンはジニーの顔をまじまじと見つめた。月の光を集めたような美しい銀糸の髪、赤く輝く瞳になめらかな白い肌。睫毛は音を立てそうなほど長く、まるで芸術品のような美しさなのである。これが、人の手で作られた作品だなんてどうして信じられようか。
「う、腕の良い職人がいたもんだな」
真っ直ぐ見つめれば見つめるほど、その瞳に吸い込まれてこちらが囚われそうになってしまう。思わずドキドキして視線を逸らすゴートン。
整形だなんてにわかには信じられないが、それでも納得した自分がいるのもまた確かなことだ。彼女は自分が醜い容姿で苦労したり苦しんだことがあるからこそ、同じように醜い自分を差別したり見下すことがなかったのだろうと。
「まったくです。私から明かさないと、誰も整形だなんて気づかないのですから。……でも、私の心はいつも怯えています。整形だと知られたらきっと蔑まれてしまうだろうと。所詮顔も醜い者は、心も醜いのだと……そのように咎められるのではないかと」
「そんなこと、ねえよ」
「ええ。ゴートン様ならきっと、そう仰って下さると思いました。だから私の秘密を明かしたのです」
「……そうかよ」
純粋に嬉しいと思う自分は、安いだろうか。己が本当は勇敢な男などではないことを、ゴートンは自分で一番よく知っていたのだった。
だから己を愛してくれない人間のことは、愛したくない。
己に心を開いてくれない人間に、心を開きたくなんてない。
近づいて、親しくしたと思ったら距離を取られて傷つく。あるいは理想と現実のギャップに悩まされるなんて、もううんざりでしかなかったのである。だが。
ジニーは自分から、己の傷を明かしてくれた。ゴートンを信じてくれたのだ。
「……なあ」
この女と愛し合いたい。肉欲だけではなくそう思ったのは、初めてのことだった。単に性欲を満たすためではなく、心が満たされる行為がしてみたい、と。
「そろそろ抱いていいか」
ストレートに告げると、ジニーは顔を真っ赤にして――頷いたのである。
「勿論です。しかし、そのためにはもう一つ……貴方様に、明かさなければならない秘密がございます。それをお伝えしたら、ゴートン様は本当に私のことを気持ち悪いと思うかもしれません」
「思うわけあるか」
「何故そんなことが言い切れるのです?」
「お前の心が綺麗だからだ。……言っただろ、俺は人を外見だけで判断するやつが大嫌いなんだ。綺麗な心のお前に、他にどんな秘密があっても……それが曇るわけじゃねえ。見縊るな」
「……ゴートン様……」
ジニーは泣きそうな顔をして、頭にかぶっていたヴェールを脱いだ。それから、踊り子の衣装の胸元のホックを外す。
「へ?」
流石に、これは予想外だった。確かに小ぶりな胸だとは思っていたが――まさか露わになった胸が、真っ平らだとは思ってもみなかったからである。
いくら貧乳でも、乳首の形などには違いがある。この胸は、まさか。
「私は男です」
怯えた顔で、それでもジニーははっきりとそう告げたのだった。
「それでもこの私に……ゴートン様を教えていただけますか?」
同性なんぞに興味はない。男同士で睦み合うなどありえない――ゴートンはずっとそう思ってきたし、だからこそチートスキルも女専用に設定したのだ。そのはずだった。でも。
潤んだ目で自分を見るジニーは、男の体をしていてなお美しかった。思わず、ゴートンの喉が鳴る。
「……ああ」
下半身と心臓が命ずるまま、ゴートンは頷いてしまっていたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる