チート勇者が転生してきたので、魔王と共に知恵と努力で撃退します。

はじめアキラ@テンセイゲーム発売中

文字の大きさ
9 / 42

<9・知ることは救うこと>

しおりを挟む
「本当にいいのかい?転送魔法、準備できたみたいだけど」
「いいんです。どうやら、急がなくても問題ないとわかりましたしね」

 本当に、アーリアはお人好しだ。紫苑に気を使って、時間の流れの差というものをギリギリまで伏せていたのだから。紫苑がこの世界に来た次の日のことである。
 現代日本とリア・ユートピアでは時間の流れに大きく差があるらしい。わかりやすく言えば、リア・ユートピアで一週間過ごすのが、現代日本ではほぼ一日程度にしか該当しないと言うではないか。おおよそ、こちらの方が七倍も時間の流れが早いということ。裏を返せば、多少こちらに長居しても、現代の生活への影響はかなり少なくて済むということである。
 裏を返せば、現代日本に行った場合、急いでリア・ユートピアに戻らないと相当時間が進んでしまうということでもあったわけだが。両方を行き来して行動を起こしたいと思うなら、細心の注意を払う必要があるというわけだ。

「何度も言いますけど。貴方が帰って欲しいと言うか、事件が解決するまで此処にいます。そう決めました。……貴方が気に病む必要は何もないんですよ」

 西の地域の被害は深刻だが、話を訊けば南も東もさほど状況は変わらない様子であるという。緊急性と言えば、どこもさほど変わらないようだ。先日リョウスケが飛び込んできたのは、西のマサユキの農園付近を調べていたところで本人に見つかり、そのチート能力のせいで排除され多数のけが人が出たためであるらしい。スローライフを実現するためならば、どんな敵であろうと強制的に排除する――簡単に見えて、実に恐ろしい力である。
 他の二つの地域の勇者も、殆ど女神の言うことなど聞かずに好き勝手にしているようだった。特にまずい状況といえるのが、南の女神ラフテルに呼び出された青年“リオウ”である。彼はなんと、女神ラフテル本人さえ従属させ、好き勝手に暴走しているらしい。何故そうなることを見越してチート能力を考えようとはしなかったのか。“どんな敵の能力も見極め、それを一定レベル上回る力を得ることができる”なんて。女神相手であっても同じ効果が発揮され、屈服させられてしまうなど簡単に予想がきそうなものであるというのに。

――西のマサユキのことは、あと現地調査を待つばかり。南のラフテルは多分、現状だと接触することそのものが難しいでしょうね。名前しか情報がない状況で、どれほど調べることができるかどうか。そのためには……。

 そのためには、まず。

――北の……味方の戦力について。そして、西・東、南から逃げてきた人々の話。全て、実地で聞き込みをして情報を集めないといけません。

 自分は、実際の戦場では全く役に立つことがない。魔法も全く使えない、運動神経もへったくれもないただの人間の少女に過ぎない。後方支援さえも満足にできない自分にできることは、最前線で戦うであろう彼らに対して情報や作戦立案で役に立つことだけである。
 むしろ、ただの人間でしかないからこそ、出来ることもあるはずなのだ。弱い人間ゆえの目線も、役に立つ時がきっとある。そのためにはまず、見えないところできっちり体を張って、足を使って調査を繰り返すしかない。
 幸い、アーリアが統治する町の中でも、城が存在するアンテナシティは非常に治安がいいようだった。元々、他の地域と違って北の地域は小国がいくつも乱立する形態を取っていた。それが宗教色が強い東、南、西の地域との対立が深まるにつれて団結を与儀なくされ、巨大な連合国家が成立したのが半世紀ほど前のことであるという。マーテルが無茶な要求を他の女神にして大喧嘩が勃発するよりも前から、いくつも争いが絶えないような関係であったというわけだ。
 なんせ、特定宗教を信じる過激派の中には、“無宗教なんて悪だ!神様を信じないなんて人間じゃない!”とまで言い出す者もいる始末であったというのだから面倒な話である。別に、北の地域の人だって、必ずしも宗教をもっていないというわけではない。ただものすごく小さな宗派であったり、他の派閥との兼ね合いを気にしなかったり、あるいは東西南の国にいられない事情があって逃げてきた者ばかりなのである。互いを尊重しなければ生き延びることができないと学び、互いの意見を否定しないことを選んだだけの集団にすぎない。それをよそ者につつき回れたらたまったものではないのである。
 そんな彼らをどうにかまとめあげ、それぞれの国のトップからも一目置かれるようになった“魔王”こそ、戦争が始まった時真っ先に飛び出して敵に立ち向かったアーリアだったのだという。他の勇者達との最大の違いにして武器があるのならそこだ、と紫苑は即座に見抜いていた。
 彼には人望があり、強制されるわけでもなく彼に従い命をも賭ける部下が多数存在している。これは、一人よがりで暴走し続ける他の勇者達にはない武器であるはずだった。人が多いということは人海戦術が使えるということであり、情報網が広いということであり――少なくとも情報戦においては遥かに優位に立てることに他ならないのだから。

「あらこんにちは。えっと、貴女がシオンちゃん、であってるわよね?」

 城下町の商店に行くと、林檎を売っていたおばさんが笑顔で話しかけてくれた。そう、この世界にも現代日本と同じような果物や食べ物が多数存在しているのである。なんでも、二世紀ほど前にこの世界に来た異世界人が種を持ち込み、こちらで栽培に成功した動植物が多数存在するのだという。
 ある意味それも、異世界人がもたらしてしまった“世界のバランスを壊しかねない変化”であったのかもしれなかった。まあ、それがこの世界の文化として一つ根付いてしまった以上、自分がどうこう言っても仕方ないことではあるのだけれど。

「はい。あ、その様子だと、アーリアは皆さんに僕のことを伝えたんですね」
「あら、知らなかったのね。今日の朝集会があって。教えて貰ったの。シオンちゃんっていう女の子の異世界人が迷い込んでしまったから、客人として城にお迎えしてるって。みんな仲良くして欲しいって」
「ああ、道理で」

 きっと顔も含めてきっちりみんなに公開したのだろう。先ほどから、歩く人歩く人の視線を感じて仕方ないと思ってはいたが。
 いや、みんなにちらちら見られるのはいいのだけれど。朝に集会があった、ということは――アーリアは自分が起きるよりも前の時間から、しっかり仕事をしていたということである。本当に朝が弱くていけない、と紫苑は猛反省だ。実は昨日はいろいろ考えすぎてオーバーヒートしたせいか、疲れてしまい遅い時間までぐっすりと眠ってしまったのである。気づいたら日はかなり高く上ってしまっている時間だった。いくら客人扱いされているとはいえ、非常に申し訳ない話である。結局のところ、ほぼほぼ強引に城に住まわせて貰っているようなものだというのに。

「林檎一つ、貰えますか。この世界の林檎がどんな味なのか気になりますし」

 これも礼儀と、アーリアから貰った硬貨を財布から取り出して告げる。彼はなんと、昨日の紫苑の働きに対してきちんと給料を出すと言ってきたのだ。ここで初めて思い至ったのだが、なんと彼は他の兵士達に対して自らの懐からきっちり給料を出して雇用していたらしい。そのお金はといえば、人助けや災害復興支援、北の地の土木工事やモンスター退治などで得た報酬から出ているとのこと。何でも彼は空き時間には、一人だけでもそういう現場に出ていって人助けになる仕事をしているというではないか。
 本人はお金なんかいらないと断ることが少なくないのだが、それでは助けられた側の気持ちが収まらない。助ける相手が貧乏人から金持ちまで分け隔てないということもあり、結果としてかなりの額が彼の懐に入る仕組みになっているという。そしてその金を、城の警護をしたり他国の調査をしてくれる兵士達への給金として支払っているというのだ。

『まあ、うちってぶっちゃけ“株式会社・魔王!”みたいになってるとこあるから!株式発行したわけじゃないんだけど、軍を作ってまとめる時に最初の資本金を出してくれた人たちにはちょっとずつ還元しているわけだしねえ』

 アーリアに尋ねると、彼はにこにことそう語って見せたのである。

『勿論ブラック運営なんかしてないんだぞ!休憩覗いて実働八時間のシフト制、夜勤担当者にはもちろん色つけてるし、残業代もしっかり出してるんだから。まあ、中にはお城に住んで衣食住提供してもらう代わりにお給料ほとんどなくていいって言ってくれる人もいるけどさ……住むところがなくなっちゃった人には、お城のお部屋を提供してたりするしね』 

――ほんと、魔王って一体なんなんですかねえ。勇者と敵対したから魔王って呼ばれてるだけなんでしょうけど。

 しかも、仲間がピンチになったら誰より率先して動く。悩んでいる人には紳士に話を聞く、一番危ない仕事は自分が自ら請け負うし――突然やってきた小娘相手にも対等に接してくれると来たものだ。
 そりゃ、人々に慕われるのも当然だろう。場合によっては、自分は人々にとってかなりの嫉妬対象になっているかもしれない。周囲から感じる視線の中には、明らかな羨望の色も含まれているから尚更だ。

「はい、ありがとね。20Gでいいわ。サービスしちゃう」

 おばさんはお金を受け取ると、愛想よく袋に林檎をいれて渡してくれる。そして。

「で、その代わりと言ってはなんだけど、いくつか教えて欲しいんだけどいいかい?」
「はい、なんでしょう?」
「決まってるでしょ、あの“魔王様”のプライベートについてよ!私達みんな、魔王様の大ファンなんだから!」

 おっと、そう来たか。まあ予想されたことではあるし――自分としても、彼や仲間達の評判についてはきちんと聴いておきたかったところである。
 さて、どれくらいまで話していいものか。そんなことを考えつつ、いいですよ、と紫苑は頷く。

「僕は知っていることなんて、大したことではないですけどね。……というか、本当にアーリアは皆さんに慕われてるんですね。ファン、と来ましたか」
「そりゃそうよ、私達の中で、あの人に感謝してない奴なんかいないわ。確かに記憶喪失だったの人を助けて養ったのは、うちの町の夫婦だったけど。でも、だからって町そのものにここまで恩返しをしてくれるなんて、誰も思ってなかったんじゃない?多分あの子、元々は異世界人だったんだろうしねえ」
「!」

 ピンと来る。同時にやはり、という気持ちになった。最初に出会った時から気にはなっていたのだ。アーリアの感覚は、あまりにも現代人に近すぎると感じていたから。
 そう、異世界に来たことをすぐに実感できなかったこともそう。彼の常識と自分の常識に、あまりにもズレがなかったゆえである。

「……あの、よければそのへんも、詳しく教えてくれませんか?僕ももっと魔王様のことを知って、お役に立ちたいと思ってるので」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...