15 / 42
<15・愚者の行軍>
しおりを挟む
そろそろどこぞの勇者が動き出してくる頃かと思っていたが、まさか西の勇者・マサユキがその先陣を切ろうとは夢にも思っていなかった。彼は、とにかく己が“農業でまったりスローライフができればいい”と思っているだけの人間である(そのためにどんなワガママも実現する、非常に迷惑な一面はあるにせよ)。だから、農地をゆっくり広げることに積極的であっても、女神の言う通り“勇者”なんて面倒なことをする気は微塵もない。だから、積極的に北の地に攻め入ってくることはまずないと思われていたが。
――本当に、この方向は予想外だったなあ。
西の地から逃げて来た住人が、魔王たるアーリアに助けを求めて来たのである。一家の農地と一緒に、可愛いひとり娘が労働力として強引にマサユキに取られてしまい、そのまま帰ってこなくなってしまったのだと。
実は、以前にも同じような事件がもう一例あったことはわかっていた。エルフの村の娘、ユージーンがその美しさゆえにマサユキに見初められてしまい、農地と一緒に強引に供出されてしまった事件である。その時反抗した結果、ユージーンの家族はそれぞれが大怪我をしてしまい、特に父親は再起不能の状態で現在村の病院に寝たきりの状態だというのだ。
同じ事件が繰り返される可能性は、今後も十分にあった。ただ、かの勇者の影響が“スローライフに関わること”と“西の土地”に限定されているために、北の地に住まう自分達に直接の影響が出ていなかったというだけなのである。彼は望めば、自分が欲しい農地を本拠地の隣に隣接する形で出現させることができ、本来その土地を持っていた者達に“交換”という形で要らない土地を押し付けることができる力を持っている。“農地を増やすことがスローライフには不可欠”と能力の上で判断されているためだろう。
娘の供出も同様だ。彼が“楽しい生活のためには、可愛い女の子の労働力が必要だ”と考えたせいで、少女達が半ば奴隷のように扱われ彼の農地で馬車馬のごとく働かさせられているのである。家族が娘を取り返そうとすれば、ユージーンの一家の二の舞だ。マサユキの“スローライフ”を邪魔したものとして判断され、“謎の事故”に巻き込まれて大怪我をしたり死んだりして撤退を余儀なくされるのである。直接の戦闘能力ではないというのに、一見平和な力にも見えるのに――マサユキのせいで西の地域が機能しなくなりつつあるのはそういう事情なのだった。
「どうやら、マサユキは特定のエルフの村に眼をつけたようですね。まあ、彼が求めるミナギハーブが、村の特産品だったというのもあるのでしょうけど」
橋の交渉をするにせよ状況をまとめるにせよ、一度城に帰った方が無難ではある。そう判断したアーリアは、城に戻ってクラリスからの報告を聴いていた。オーガの一族であるクラリスは女性でありながら非常に大柄で屈強な体を持っている。が、ただ腕力に秀でるのみならず冷静な敷判断もできる、非常に優秀な女性であるのだ。
彼女は、己の手には少々小さすぎるタブレットを器用に操りながらも、アーリアが戻るまでの間に的確にまとめた資料をホログラムで表示して解説していく。
「かつて、マサユキに誘拐されたユージーン。今回、攫われた娘は彼女と同じ村の出身でした。エルフはハーブの栽培に関して適性があるということもあり、あの村のハーブは食用にしてもよし、薬にしてもよしと非常に評判だったみたいですからね。うちの街でも一部取引があったはず。その農地と一緒に、労働力として娘が連れて行かれてしまったようです。スローライフに必要、と強引にこじつければ何でもアリなのがあの男の力の恐ろしいところなんでしょうね」
「本当に傍迷惑な話だなあ……。それで、攫われた娘の“マルレーネ”だっけ?彼女を取り返して欲しい、って家族が助けを求めて来たんだね?」
「ええ、まあ」
その家族は今、現在自分達がいる城の会議室から少し離れた客室で待機させられているようだが。――その母親と思しき女性の泣き声が、ここまで聞こえてくるあたり余程だろう。自分が城に戻ってくるまでずっと泣き続けていたのか、完全にパニックが収まらない状況になってしまったのか。なんにせよ、娘を無理やり奪われ、しかも二度と会えないかもしれない状況に追い込まれたと知った時の家族の絶望はいかばかりであったか知れない。
しかも、彼らは娘のみならず、自らの収入源であった畑をもごっそり奪われてしまっているのである。娘も財源も失い、一体これからどうやって生きていけばいいのかわからない。娘の両親は、そう言って悲嘆に暮れているようだった。
「……不幸な話だとは思います。ですが……マサユキを討伐するための準備が、全て整っているわけではないですよね」
考え込むアーリアに、クラリスが渋い顔で意見を述べる。
「恐れながら申し上げますが。……あの紫苑と、部下達の調査がまだ終わっておりません。彼らの情報を待たなければ、マサユキを説得し元の世界に返すことは難しいでしょう。そして、あちらの世界とこちらの世界の時間の流れの差を考えるのならば……彼女が戻ってくるまで、あと何日かかるか全く予想ができませんよ」
「だねえ」
「そして、マサユキを倒すにしても……取り返すには、西の土地に踏み込まなければどうにもならないはずです。西の土地では、マサユキの能力が全て有効になる。彼の“面倒事のないスローライフ”の邪魔をすると判断したものは、全て不可視の力で阻害され排除されることとなります。我々にその力の発動を防ぐ手立てはありません。むしろそれが出来ないからこそのチート……勇者達の暴走を、女神さえも止められなかった最大の理由ではありませんか。そんな特別な力もない、少し戦闘能力が高いだけの我々に、一体どうやって対処できると仰るつもりですか」
彼女は、けして臆病な人間ではない。むしろアーリアが命じれば、命を落とす可能性が高い任務であっても積極的に飛び出して行き、全力で獲物を刈り取る覚悟と実力を持ち合わせていると知っている。だからこうやって止めてくるのは全て、アーリアを心配してのことだと知っているのだ。
「じゃあ、見捨てるかい?」
彼らは優しい。そんな仲間に恵まれた己の、なんと幸運なことか。
ただの傭兵でしかなかった自分がここまでの地位に上り詰められたのも、全ては彼らが自分を支えてくれたからに他ならない。感謝以外に、一体どんな言葉が相応しいというのだろう。
そう、だから。そんな彼だと知っているからこそ――自分は。
「確かに、西から逃げて来た一家は元々北の住民じゃない。宗教の違いから、新しいトラブルの種にならないとも限らない。まだ家族と呼べる存在ではない、というのはわかるよ。……でも、彼らはそれでも私を信じて、私みたいな“勇者と女神に弓引く魔王”だとわかっていてもなお、助けを求めようと逃げ込んで来た人たちなんだ。そんな人たちを、本当にここで見捨てていいものなのかな?……救出が一日遅れれば遅れるほど、娘さんの地獄も長くなる。そうだろう?」
こんな物言いをするのは、あまりにも卑怯だと知っている。本来優しい女性であるクラリスが、それでどれほど思い悩むのかということも。
「本来なら、ユージーンだってもっと早く助けてあげたかったところだ。ああ、手が触れる範囲だけ助けようとするなんて、偽善以外の何物でもないのもわかっているよ。でも、だからって“手が触れられる範囲でさえ”須く見捨てるのが本当に正しいことだとは、私は正直思わないんだ。君もそうじゃないかい、クラリス」
「わ、私は……」
「今は、ユージーンが攫われた時とは状況が違うんだよ。その家族が直接“私に”助けを求めて来たということもあるけど……それ以上に。マサユキに対抗する手段が、全くないってわけじゃない。確かにトドメを刺す説得方法はまだ紫苑が持ち帰ってきていないけど。彼女が出かける前に考えてくれたプランなら、一応ある。それを使えば、少なくともマサユキを追い詰めることはできるはずだ」
アーリアの言葉に、クラリスは押し黙る。彼女も、紫苑が立てた作戦についてはすみずみまで眼を通しているはずだった。それなのに渋るのは、まだ計画実行には早計だという気持ちがあり、紫苑のような得体の知れぬ異世界人の考えをどこまで信じていいのかわからないという不安があり――この計画を始めたら最後、マサユキに完全に北の地から宣戦布告をしたも同然になるという恐れがあるからだろう。
一度始めたら、完遂するまでもう戻ることはできなくなる。
そのあいだに、他の勇者二人に隙を突かれないという保証も全くないわけで。
「本当に、やるおつもりですか」
どうしてそこまで見ず知らずの他人のために戦えるのか。どうしてそこまで会ったばかりの少女が作った作戦を信用できるのか。クラリスがそれらの言葉を強引に飲み込んだ瞬間を、知った。本当にできた部下だ。だからこそ、アーリアは。
「一番最初に、君たちを雇った時に言ったはずだ。……私は、この世界を本当の意味で“幸せ”にしたいんだって。そのために戦えるのが私だけならば、躊躇うことなくその役目を全うしてみせる、と」
はいみんなー!と傍で控えて成り行きを見守っていた部下たちを集め、アーリアは壁のボタンを押した。あっという間に、お洒落な花が飾られ白いテーブルクロスが敷かれていった一室が、無機質で電子的な長テーブルと丸椅子が設置された会議室へと取ってかわられることになる。
さあ作戦会議だ。紫苑が戻ってきていないことが心残りだが、どのみち彼女の出番は最後の最後であったのである。作戦を進めるだけならば問題はない――最終段階までいかに時間を稼げるかは自分達の腕にかかっているけれど。
「対マサユキ……西方攻略作戦について、作戦会議を始めるよ!大丈夫、プランならある。私を信じて、ついてきてほしい!」
マサユキの能力はチートだ。しかし隙がないわけではない。そして、彼の力は無作為であるようでいて一定の法則・制限があることもわかっている。
そこを突くことができれば、制する方法はある。同時に、マサユキに囚われているであろう娘達を救出する方法も。
――勇者と戦うための大前提。それは……基本的には、相手の最も得意な土俵にはけして上がらないとうこと。特に、マサユキのような能力の方向性が定まりづらい、抽象的で解釈が多様にできるような能力者なら尚更だ。
そう、だから作戦はシンプル。
まずはあの勇者を、西の土地から引っ張り出すのだ。
――本当に、この方向は予想外だったなあ。
西の地から逃げて来た住人が、魔王たるアーリアに助けを求めて来たのである。一家の農地と一緒に、可愛いひとり娘が労働力として強引にマサユキに取られてしまい、そのまま帰ってこなくなってしまったのだと。
実は、以前にも同じような事件がもう一例あったことはわかっていた。エルフの村の娘、ユージーンがその美しさゆえにマサユキに見初められてしまい、農地と一緒に強引に供出されてしまった事件である。その時反抗した結果、ユージーンの家族はそれぞれが大怪我をしてしまい、特に父親は再起不能の状態で現在村の病院に寝たきりの状態だというのだ。
同じ事件が繰り返される可能性は、今後も十分にあった。ただ、かの勇者の影響が“スローライフに関わること”と“西の土地”に限定されているために、北の地に住まう自分達に直接の影響が出ていなかったというだけなのである。彼は望めば、自分が欲しい農地を本拠地の隣に隣接する形で出現させることができ、本来その土地を持っていた者達に“交換”という形で要らない土地を押し付けることができる力を持っている。“農地を増やすことがスローライフには不可欠”と能力の上で判断されているためだろう。
娘の供出も同様だ。彼が“楽しい生活のためには、可愛い女の子の労働力が必要だ”と考えたせいで、少女達が半ば奴隷のように扱われ彼の農地で馬車馬のごとく働かさせられているのである。家族が娘を取り返そうとすれば、ユージーンの一家の二の舞だ。マサユキの“スローライフ”を邪魔したものとして判断され、“謎の事故”に巻き込まれて大怪我をしたり死んだりして撤退を余儀なくされるのである。直接の戦闘能力ではないというのに、一見平和な力にも見えるのに――マサユキのせいで西の地域が機能しなくなりつつあるのはそういう事情なのだった。
「どうやら、マサユキは特定のエルフの村に眼をつけたようですね。まあ、彼が求めるミナギハーブが、村の特産品だったというのもあるのでしょうけど」
橋の交渉をするにせよ状況をまとめるにせよ、一度城に帰った方が無難ではある。そう判断したアーリアは、城に戻ってクラリスからの報告を聴いていた。オーガの一族であるクラリスは女性でありながら非常に大柄で屈強な体を持っている。が、ただ腕力に秀でるのみならず冷静な敷判断もできる、非常に優秀な女性であるのだ。
彼女は、己の手には少々小さすぎるタブレットを器用に操りながらも、アーリアが戻るまでの間に的確にまとめた資料をホログラムで表示して解説していく。
「かつて、マサユキに誘拐されたユージーン。今回、攫われた娘は彼女と同じ村の出身でした。エルフはハーブの栽培に関して適性があるということもあり、あの村のハーブは食用にしてもよし、薬にしてもよしと非常に評判だったみたいですからね。うちの街でも一部取引があったはず。その農地と一緒に、労働力として娘が連れて行かれてしまったようです。スローライフに必要、と強引にこじつければ何でもアリなのがあの男の力の恐ろしいところなんでしょうね」
「本当に傍迷惑な話だなあ……。それで、攫われた娘の“マルレーネ”だっけ?彼女を取り返して欲しい、って家族が助けを求めて来たんだね?」
「ええ、まあ」
その家族は今、現在自分達がいる城の会議室から少し離れた客室で待機させられているようだが。――その母親と思しき女性の泣き声が、ここまで聞こえてくるあたり余程だろう。自分が城に戻ってくるまでずっと泣き続けていたのか、完全にパニックが収まらない状況になってしまったのか。なんにせよ、娘を無理やり奪われ、しかも二度と会えないかもしれない状況に追い込まれたと知った時の家族の絶望はいかばかりであったか知れない。
しかも、彼らは娘のみならず、自らの収入源であった畑をもごっそり奪われてしまっているのである。娘も財源も失い、一体これからどうやって生きていけばいいのかわからない。娘の両親は、そう言って悲嘆に暮れているようだった。
「……不幸な話だとは思います。ですが……マサユキを討伐するための準備が、全て整っているわけではないですよね」
考え込むアーリアに、クラリスが渋い顔で意見を述べる。
「恐れながら申し上げますが。……あの紫苑と、部下達の調査がまだ終わっておりません。彼らの情報を待たなければ、マサユキを説得し元の世界に返すことは難しいでしょう。そして、あちらの世界とこちらの世界の時間の流れの差を考えるのならば……彼女が戻ってくるまで、あと何日かかるか全く予想ができませんよ」
「だねえ」
「そして、マサユキを倒すにしても……取り返すには、西の土地に踏み込まなければどうにもならないはずです。西の土地では、マサユキの能力が全て有効になる。彼の“面倒事のないスローライフ”の邪魔をすると判断したものは、全て不可視の力で阻害され排除されることとなります。我々にその力の発動を防ぐ手立てはありません。むしろそれが出来ないからこそのチート……勇者達の暴走を、女神さえも止められなかった最大の理由ではありませんか。そんな特別な力もない、少し戦闘能力が高いだけの我々に、一体どうやって対処できると仰るつもりですか」
彼女は、けして臆病な人間ではない。むしろアーリアが命じれば、命を落とす可能性が高い任務であっても積極的に飛び出して行き、全力で獲物を刈り取る覚悟と実力を持ち合わせていると知っている。だからこうやって止めてくるのは全て、アーリアを心配してのことだと知っているのだ。
「じゃあ、見捨てるかい?」
彼らは優しい。そんな仲間に恵まれた己の、なんと幸運なことか。
ただの傭兵でしかなかった自分がここまでの地位に上り詰められたのも、全ては彼らが自分を支えてくれたからに他ならない。感謝以外に、一体どんな言葉が相応しいというのだろう。
そう、だから。そんな彼だと知っているからこそ――自分は。
「確かに、西から逃げて来た一家は元々北の住民じゃない。宗教の違いから、新しいトラブルの種にならないとも限らない。まだ家族と呼べる存在ではない、というのはわかるよ。……でも、彼らはそれでも私を信じて、私みたいな“勇者と女神に弓引く魔王”だとわかっていてもなお、助けを求めようと逃げ込んで来た人たちなんだ。そんな人たちを、本当にここで見捨てていいものなのかな?……救出が一日遅れれば遅れるほど、娘さんの地獄も長くなる。そうだろう?」
こんな物言いをするのは、あまりにも卑怯だと知っている。本来優しい女性であるクラリスが、それでどれほど思い悩むのかということも。
「本来なら、ユージーンだってもっと早く助けてあげたかったところだ。ああ、手が触れる範囲だけ助けようとするなんて、偽善以外の何物でもないのもわかっているよ。でも、だからって“手が触れられる範囲でさえ”須く見捨てるのが本当に正しいことだとは、私は正直思わないんだ。君もそうじゃないかい、クラリス」
「わ、私は……」
「今は、ユージーンが攫われた時とは状況が違うんだよ。その家族が直接“私に”助けを求めて来たということもあるけど……それ以上に。マサユキに対抗する手段が、全くないってわけじゃない。確かにトドメを刺す説得方法はまだ紫苑が持ち帰ってきていないけど。彼女が出かける前に考えてくれたプランなら、一応ある。それを使えば、少なくともマサユキを追い詰めることはできるはずだ」
アーリアの言葉に、クラリスは押し黙る。彼女も、紫苑が立てた作戦についてはすみずみまで眼を通しているはずだった。それなのに渋るのは、まだ計画実行には早計だという気持ちがあり、紫苑のような得体の知れぬ異世界人の考えをどこまで信じていいのかわからないという不安があり――この計画を始めたら最後、マサユキに完全に北の地から宣戦布告をしたも同然になるという恐れがあるからだろう。
一度始めたら、完遂するまでもう戻ることはできなくなる。
そのあいだに、他の勇者二人に隙を突かれないという保証も全くないわけで。
「本当に、やるおつもりですか」
どうしてそこまで見ず知らずの他人のために戦えるのか。どうしてそこまで会ったばかりの少女が作った作戦を信用できるのか。クラリスがそれらの言葉を強引に飲み込んだ瞬間を、知った。本当にできた部下だ。だからこそ、アーリアは。
「一番最初に、君たちを雇った時に言ったはずだ。……私は、この世界を本当の意味で“幸せ”にしたいんだって。そのために戦えるのが私だけならば、躊躇うことなくその役目を全うしてみせる、と」
はいみんなー!と傍で控えて成り行きを見守っていた部下たちを集め、アーリアは壁のボタンを押した。あっという間に、お洒落な花が飾られ白いテーブルクロスが敷かれていった一室が、無機質で電子的な長テーブルと丸椅子が設置された会議室へと取ってかわられることになる。
さあ作戦会議だ。紫苑が戻ってきていないことが心残りだが、どのみち彼女の出番は最後の最後であったのである。作戦を進めるだけならば問題はない――最終段階までいかに時間を稼げるかは自分達の腕にかかっているけれど。
「対マサユキ……西方攻略作戦について、作戦会議を始めるよ!大丈夫、プランならある。私を信じて、ついてきてほしい!」
マサユキの能力はチートだ。しかし隙がないわけではない。そして、彼の力は無作為であるようでいて一定の法則・制限があることもわかっている。
そこを突くことができれば、制する方法はある。同時に、マサユキに囚われているであろう娘達を救出する方法も。
――勇者と戦うための大前提。それは……基本的には、相手の最も得意な土俵にはけして上がらないとうこと。特に、マサユキのような能力の方向性が定まりづらい、抽象的で解釈が多様にできるような能力者なら尚更だ。
そう、だから作戦はシンプル。
まずはあの勇者を、西の土地から引っ張り出すのだ。
0
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。
本条蒼依
ファンタジー
山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、
残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして
遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。
そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を
拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、
町から逃げ出すところから始まる。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる