R18BL短編集

鳫葉あん

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俺限定常識改変世界で世界認定性処理係になりました

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神の不手際により間違えて死んでしまった川瀬亮は、生き返らせてもらったついでに一つ願いを叶えてもらう。
「世界観が変わるくらいモテモテになりたい」と高校生らしい願いを口にした亮は、世界認定性処理係になっていた。

※アホエロ総受けです。
※実在の人物・団体・思想・世界観とは関係ありません。
※アホエロ総受けです。ラブラブ脳なので愛はあります。

キーワード
常識改変世界
性処理係
総受け
公開セックス授業
複数姦(二輪はなし)
強和姦
イラマチオ
恋人オナホ宣言
エロ制服
などです


***


「すまんのぅ」
 晴れ渡った青空の下、家の近所の公園に設けられたボロボロのベンチに座る。いつの間に公園に来たのか、というか何故ベンチに座っているのか。塗装が剥げ、ささくれだった板が丸見えのベンチは汚ならしく、そんな物にわざわざ座ろうだなんて思いもしない筈だった。
 隣には見慣れぬ老人が腰掛けている。たっぷりと残った毛髪も、手入れされた髭も綿のように真っ白な老人は小綺麗な格好をしており、憐れんだ目を向けてくる。
「本当に、申し訳なかったのぉ」
「何が?」
 先程から頻りに謝罪を口にする老人に見つめられている少年・川瀬亮(かわせ りょう)は、状況がよくわからなかった。老人に迷惑を掛けられた覚えもなければ憐れまれる理由もない。
「お前さん、死んでしまったんじゃよ」
「は?」
 大口を開けて驚く亮に、老人は経緯を説明する。
「本当は違う人間が死ぬ筈だったんじゃが、わしの部下の死神が間違えてお前さんの命の灯火をフーッと消してしまっての」
「誠に申し訳ありません」
 老人の側にいつの間にか黒いスーツ姿の男が立っている。亮と同じ黒髪黒目の日本人らしい容姿の男は、きっかり九十度に体を折って頭を下げた。
「ともしび?」
「今の子は知らんかの? 人の命の炎のロウソクじゃよ。火が消えると死ぬんじゃ」
「は? え? 死ぬ? ここ天国?」
「それに近い所じゃの。で、まあの、間違ったまんま殺すのも可哀想じゃし。交通事故とかで物証や証人がたくさんおったら面倒なんじゃけどお前さんは部屋のベッドに寝たまま心停止しとるだけじゃから。まぁ、今ならいけるかなって」
「は?」
「お前さんの命のロウソク、もっかい点火してやろうと思っての」
「へ? ありがとうございます?」
「うむうむ。でじゃな、迷惑掛けた償いとして一つ願いを叶えてやろうと思うんじゃよ」
「ほ?」
 間違いとはいえ死んでしまった自分を生き返らせてくれるのなら、それで充分なのではないか。そう亮が思っていると、黒スーツの男が首を振った。
「元に戻すとはいえ、罪への賠償はしなければなりません。我々の気が収まらないのです」
「そこまで大事ではないとはいえ、迷惑掛けたことに変わりはないからの。ほれ。なんかこうなりたいな~みたいな願いを言ってみよ」
 突然見知らぬ大人達に願いを叶えてやると言われ、困惑した亮は「えぇ……」と言葉に迷いつつ、高校一年生という思春期の少年らしい願いを口にした。
「えっと、世界観が変わるくらいモテモテになりたい、な?」
 亮の容姿はお世辞にも整っているとは言えない。悪くはないのだが華になるような目立つものがない、そこら辺を歩いていたらよく見かける日本人男子高校生の一人でしかない。
 運動も勉強も人並み程度で、悪くはないが良くもない。女の子から話し掛けてもらえるような存在ではなかった。
「…………ほぉ~ん。よしよし。その願い叶えてやろう」
「少年、迷惑を掛けて申し訳なかった」
 老人は顎から伸びた髭をもしゃもしゃと撫で、黒スーツの男は再び頭を下げる。
「え。ていうかお爺さん達ほんとに何なの?」
「こいつは死神って言ったじゃろ。その上司となれば」
 老人はニタッと笑った。
「神様じゃよ」
 やがて亮の視界はぐにゃぐにゃと歪み始め、段々と意識が遠退いていく。

「……は」
 亮が眠りから覚める。視界に入るのは見慣れた部屋の天井、窓の外からは雀の囀りが聞こえ――ることはなく、ヘルメットとゴーグルを着けた見知らぬ男性の顔と真っ白な背景、甲高い電子音やけたたましいサイレンの音が亮を非現実的な世界へ引っ張り上げた。
「! 心臓動き出した!!」
「目を覚ましました! きみ、わかるか? 俺の声聞こえるか? お母さん!」
「亮! 亮! 亮、わかる? お母さんよ! 亮!!」
 男性達の声が轟く中、亮の視界に女性が入り込んだ。十六年間共に過ごした母の顔を忘れる筈もなく、亮が「うん」と肯定すると母は泣き出してしまった。
「容態は安定してるようですが、念のためこのまま病院へ向かい検査します。お母さん落ち着いて」
「はい……はいっ……」
 回り始めた頭が、彼らは救急隊員で今居るのは救急車、自分は死んでいた所を発見されたのだろう、と推察し始める。泣いている母に「俺大丈夫だよ」と声を掛けながら、亮は思った。
(大事になってるじゃねーか)


 登校する時間が迫っても起きてこない亮を、部屋に入った母親が叩き起こそうとしても全く反応がない。寝息すら聞こえず、確かめたら息をしていなかった。
 慌てて救急車を呼び、病院へ向かっていた所で突然息を吹き返した。それが母から見た亮の突然死事件の全貌だった。
「救急隊の人も、あんた完全に息止まってるからダメだろうと思ってたんだろうけど、それでも心臓マッサージとか……色々してくれたのよ」
「そうだったんだ」
 病院に運び込まれ、検査を受けたものの身体に異常はなく、その日のうちに帰宅出来た亮は母からどれだけ驚いたかを何度も語って聞かされた。亮が病院に運ばれたが無事だったことを電話で知らされていた父が残業をせずに帰ってくると、父にも同じように話している。息子の無事に胸を撫で下ろす父は、亮をきつく抱き締めた。
「お前が無事で良かった」
「ほんとよぉ! もう、人騒がせな子なんだから!」
 笑顔の両親の目が涙に濡れていることを、亮は不思議な気持ちで見ていた。いつも亮に厳しいことを言ったりぞんざいに扱っているように見えて、二人は確かに亮を愛してくれている。
「うん。でももう俺元気だよ。大丈夫」
 へんてこな夢に出てきた老人と男は、亮の死を間違いだとしていた。本来の寿命はまだ先の筈なのだろうという奇妙な安心感のある亮と違い、息子が突然死する所だったという不安に襲われる両親の気持ちを、少しでも明るくしたくて、その日の亮はもう大丈夫だとアピールし続けた。

***

 突然死(偽)の翌日。もう一日休んで様子を見た方がいいのではないかという母の提案を「もう大丈夫」と断り、亮は登校すべく家を出た。
 高校から歩いて十数分なので、亮は徒歩通学している。朝早くの澄んだ空気を吸いながら歩いていると同じ制服を来た高校生の姿がちらほら見えるが、声を掛けるような相手は亮にはいない。クラスメイトの中には話をする相手もいるが、登校を共にするような友人はいなかった。
「川瀬」
 いつものように一人で歩いていた亮の背中に声が掛かる。突然のことに肩を震わせて驚き、振り返ると端整な顔立ちの少年が亮に向かって歩み寄って来る所だった。
「甲斐……くん」
 亮と同じ制服を着た、男子にしては長めに伸ばされた髪の似合うイケメン、甲斐和昭(かい かずあき)はクラスメイトである。あるのだが接点はない。クラス内カースト最底辺に隠れているような亮に対し、甲斐は頂点で輝いている存在だ。
 入学当時の席が出席番号順の為、甲斐と川瀬で前後していた時に配布物を受け渡す等の事務的なやり取りはあったものの、深く話をすることはない。席替えが行われると接点も消え、つまらない川瀬のことなど忘れていると思っていた。
「昨日救急車で運ばれたって聞いたけど。もう大丈夫なの」
「え? うん。大したことなかったから」
 搬送後の検査中に母が高校に連絡し、担任からクラスに伝えられたのだろう。関心のないクラスメイトとはいえ、心配してくれたのだろうか。
「そっか。元気なら保健の実技、大丈夫そうだな」
「……ん?」
 いつの間にか並んで歩き出した甲斐がおかしなことを言った気がするが、他の話題を振られて聞き返すことが出来ない。甲斐と話しているとあっという間に高校に着き、教室に入り席に着いた亮は、誰かと共に登校するのは久しぶりのことだと思い出した。

***

 おかしな予兆はあった。
 登校した亮に対し、いつもなら話し掛けてこないクラスメイト達が挨拶と共に昨日のことを聞いてくるのは、救急車に運ばれて学校を休んだという事件に興味を抱いてのことだと思う。実際、大したことはなかったと返すと「良かったね」と微笑みながらも、つまらなそうに離れていく。
 ホームルームの時間になり、教室に入ってきた担任教師は若く整った顔に爽やかな笑みを浮かべ、眼鏡の奥の切れ長の瞳が元気そうな亮を見ると「おお、川瀬。良かった」と声に出してくれる。
「保健は先生同席の上で行われるからいいだろうが、処理係の仕事は控えさせてやれよ」
 担任の言葉に調子の良い男子生徒の数人は気の抜けた返事をし、女子生徒はくすくすと笑っている。何を言っているのかわからないのは亮だけのようだった。
「他に確認事項はない。今日も元気に、先生の言うことをよく聞いて勉強しろよ」
 いつもの締めくくりの後に、クラス委員の号令で全員立ち上がる。号令で礼をして、担任は教室を出ていった。
「……処理って何だろう。ゴミ出し? 当番だっけ」
 一限目が始まるまでの短い自由時間、教室に溢れる雑談の声の中、亮の密やかな呟きに答えてくれる人はいなかった。


 一限目の数学、二限目の国語、三限目の物理は問題なく過ぎていった。四限目は保健体育だが、今日は保健の授業が行われると先週伝えられていたのでクラスメイトは席に残ったままだ。亮も教科書を取り出し、頬杖をついて教師を待つ。
 本鈴の一分前に入ってきた教師・深町(ふかまち)は担任と同じ二十代後半で、年配教師の多いこの学校の中ではさらに若く見える。二人とも若さ故の頭の柔らかさか、生徒にも気さくに接してくれるので人気は高い。
 女子生徒からの人気は、二人の顔の良さもあるだろうが。
「おはよう。おお、川瀬。本当にもう来てたんだな」
 爽やかな挨拶と共に教室へ入ってきた深町は亮を見つけるとにこやかに笑った。亮に注目が集まった所で本鈴が鳴り、クラス委員の号令で起立礼が行われる。
「それでは教科書の三十頁開いて。今日は性行為についてだ」
 大人である深町はこともなげに言ったが、思春期の青少年達は性行為に反応した。生徒の多くは押し黙りつつも関心を持った顔をして、一部はニヤニヤと笑っている。
「性交の目的は子供を作るという生命の営みである。が、きみ達くらいの若者は行為に関心を持つものだ。俺もそうだった」
 最高のコミュニケーションであり愛情表現でもある一方、犯罪やトラブルに発展する要因でもある。正しい知識と常識、自制心を持って行わなければならないと、深町は自分の言葉で伝えた。
 教科書に記された淡々とした性行為の説明文を、男らしい低音が読み上げていく。教室は静かに、その声を聞いていた。
「……とまぁ、こういうことだが……川瀬。前に出てこい」
「え? はい……?」
 朗読が終わり、突然指名された亮は驚きながらも言われた通りに席から立ち上がり、深町の元へ向かった。何をするのだろうと小首を傾げる亮に、深町は笑顔を向けて待っている。
「このクラスには世界認定性処理係の川瀬がいるからな。特別授業として実技演習が出来るよ」
 亮が教卓の後ろに立つ深町の隣に来ると、その逞しい腕が亮の肩を抱いた。逃がさないように。
「は?」
 亮の頭は意味のわからない変な言葉への処理が追い付かなくて、逃げる選択肢すら出て来なかった。
「せ……せ……? なに……?」
「川瀬は男だから擬似的なものになるが、性交の準備に関して説明していくぞ」
「うわっ」
 深町は軽々と亮を抱え上げ、教卓の上へ座らせた。実技教材となった亮を、クラスメイト達は透明な目で見ている。
 関心はあるが侮蔑も疑問もない。亮がよくわからない理由で前へ出て、深町に制服をはだけられていく姿をおかしいと、異常だと考えている人間は亮以外に誰もいなかった。
「そういや川瀬、制服出来てないのか?」
「先生やめて下さ……制服?」
「処理係用の制服だよ。まだ支給されてないのか。まぁ脱がせるの好きだからいいけど」
 着崩さず、高校紹介のパンフレットに掲載されている通りに着用していた亮の制服がするすると脱がされていく。ジャケットとシャツとスラックス、そして下着も奪われた亮は、生っ白い肌を晒すことになった。
 教卓に座り裸体を晒す亮の背後に陣取る深町は、亮を自分の胸板へ凭れさせる。後ろから密着され、身動きの取れない亮の脚が大きく開かされ、小振りな尻が露になった。双丘の谷間に隠れた小さな孔まで、しっかりと。
「男同士だとこっちを使うことになるな。中には挿入せず口でするだけ……オーラルセックスっていうんだが、色々な考え方、感じ方の人がいる。性行為というデリケートな交流をする際は、相手の気持ちを思い遣ることが大切だ」
「先生っ、深町先生やめて。やめて下さいっ!」
 相手の気持ちを大切にしろといったくせに、深町は亮の制止全く意に介さず、広い教卓の隅に置かれたカゴへ手を伸ばす。プラスチック製の安っぽいカゴの中にはコンドームの小箱が数個、ティッシュやタオル、ローションボトルが入っていた。
 ローションを手にすると、中身が垂らされる。亮の尻へ、これから教材に使われる孔へ向かって。
「ひっ……つめたい……」
「男は女と違って濡れないから、こういうので必ず濡らせよ」
 ぬらぬらと光るローションの滑りを纏わせた深町の太く長い人差し指が、亮の孔をつんつん、と突く。
「う」
「先ずは前戯。いきなりち○こ突っ込むようなことすんなよ~」
 明るい深町の声に、生徒から笑いが起きる。亮は全く笑えなかった。
「あっ!」
 ぐっ、と指が孔の中へ入り込んでいく。指の腹を飲み込み、さらにその先へ、先へと進み、指の根元までしっかりと咥え込んだ亮は、異物感に苛まれていた。
「あ。や。せんせ、だして……」
「川瀬の中すごいな。ぎゅうぎゅう締め付けてくる。指が千切れそうだ」
 耳元で囁かれ、亮は恥ずかしくなった。亮は悪くない筈なのに、尻肉の動きを咎められているような気持ちになる。
「相手の様子を見て指を抜き差ししてやれ。性感帯を刺激してやれれば気持ち良くなる」
「あっ……あぁ……」
 言葉通り、深町の指がゆっくりと抜け出ていく。胎内の圧迫感が薄まりながらも媚肉を擦られた亮は切ない声を漏らした。
 関節が一つ、二つと孔の外へ出ていき、指先だけが残った所で、深町の指は再び孔の中へ入り込んでいく。先程より勢いをつけ、一息に。
「ああぁあっ!?」
 肉襞を抉られ、目を見開いて声を上げる亮の姿を、クラスメイト達は観察していた。
「かわいい。気持ちいいか川瀬?」
 初めの呟きは亮にしか聞こえない程に小さかった。その後の問い掛けに答えられない亮を置き去りに、深町の指は亮の中を出入りし始めた。
「あっ……ん、あ、あっ……」
「指増やすぞ。ほら、川瀬のち○こ勃ってきたな。気持ちのいい証拠だ」
 亮の孔をほぐしながら、空いている手で熱を持ち始めた性器を握る。マスターベーションの手本だと言って竿を扱き、亀頭を撫で回され、亮は気が狂いそうだった。
 異常としか言い様のないシチュエーション。クラスメイトの前で教師に犯されているのに誰も止めてくれない。歯止めのきかない快感を教え込まれ、出てくるままに喘いでいるというのに隣室から注意に来る者もいない。
「あ、あ、あっ。あ。や、ぁ、せんせ、先生っ……」
「……っ。あー、甲斐、ちょっと前来てくれ」
「……はい」
 教卓の真っ正面。嫌な特等席に座っていた甲斐を、深町が呼んだ。
 深町の愛撫に感じ入っている亮だが、甲斐が近付いて来るのはわかった。突き刺さる程強い視線を感じて、嫌でも見てしまったのだ。
 常なら涼やかな目に激情を孕んで、みっともなく悶えている亮を睨み付けてくる甲斐を。
「ひっ……ぁ……」
「何でしょうか」
 教卓の前に立った甲斐へ、深町はカゴの中の小箱を渡した。
「悪いが、一人一つずつ配ってくれるか」
「…………はい」
 避妊具の入った銀色の小袋が一つずつ生徒に配られていく中、亮はずっと喘いでいた。クラスの意識が実物のコンドームに集まっているのを良いことに、深町は頻りに囁いてくる。
「可愛い……本当に可愛い。お前が処理係で良かった。昼休みも可愛がってやるからな、亮」
「うんっ……うん、あ、して、してぇ……」
 亮は言われたことを理解出来ない程に頭が蕩けていた。気持ち良くしてもらおうととりあえず頷いている。
 尻孔をほじくられ、性器を扱かれ、ザーメンを撒き散らしている亮の体が再び抱え上げられた。
「責任の取れないうちは今配ったコンドームを着けて避妊するように。しかし、コンドームの避妊率は100%じゃない。穴が開いてたりしたら意味ないしな。それじゃ、川瀬に実演してもらおうか」
「……ん、え、あっ」
 教卓の前に出た深町は腕から亮を降ろし、足のふらつく亮を支えた。片手を亮の背に回して抱き、もう片手は亮の手を掴み、導く。
「ジッパー下ろして、俺のを握ってくれ」
 深町の穿いているグレーのスラックス。その股間に取り付けられたジッパーに、亮の指が触れる。言われた通りにジッパーを下げ、開いた隙間からトランクスのさらに奥、深町の男らしいペニスを取り出す。
 亮の痴態に興奮し、芯を持って硬く勃起した大人ペニスは太くて大きくて赤黒い。グロテスクな筈なのに、亮は目が離せなかった。
 力強く隆起する肉竿。その先でぴくぴくと痙攣する亀頭は大きく肥太り、亮の口にすら入らないのではないか。
「咥えてみたらいい」
 まるで考えを読んだかのような誘いを受け、しゃがみ込んだ亮は深町のグロち○ぽへ恐る恐る顔を寄せていく。チロリと出した舌で亀頭を舐めると、しょっぱい気がした。
「川瀬。咥えて」
 促されるままに、大きく口を開いて亀頭に吸い付く。口内に含むとやはり大きく、舌ですりすりと撫でるだけで大変だ。もう充分だとち○ぽから口を離そうとした亮の頭が、大きな両手にがっしりと掴まれる。動かせない。逃げられない。
「んごっ! ふぅう! んっ、んんん~!!」
「あー……」
 頭をしっかりと固定された亮の口内を、男が蹂躙する。亀頭が押し開いた肉の洞を竿が進み、喉奥をガツガツと突かれる。えずき、反射的に喉が絞められ、きつく吸われた亀頭はその刺激を喜んだ。
「……っ、が、げっ、ごほっ! ごほっ、は、はっ……」
 口から男が抜け出ていくと、亮は酸素を求めて噎せた。惨めな声を上げて涙を浮かべる亮に、銀色の小袋が差し出される。
「川瀬。袋を破いて」
 まだ整わない息は荒い。小袋を受け取った亮は、震える指先を叱咤してピリ、と小袋を破いた。
 中には乳白色の薄いゴム袋が入っている。男性器に取り付ける為に縦長で先は丸く、先端はぽっちのような小さな出っ張りがある。
 ネットの発達した昨今、何かしらで見る機会はあるが、実物を見て触るのは初めてだった。
 喉の痛みも忘れて、亮は深町に言われるがまま彼の性器へコンドームを装着した。亮を使って膨張しきった大人グロち○ぽは窮屈そうにコンドームに包まれている。
 立ち上がらされた亮はクラスメイトに脇腹を見せるように教卓に手を付き、その細い腰を深町が掴む。
 準備が整ったら挿入するのだと、言葉と共に体で教え示す。
「あ。あ。あ。あっ。あ、ああっ……!」
 喉と同じように、亀頭に肉を抉じ開けられ、肉竿に肉を擦り上げられていく。喉と違って神経や器官の集中する腸付近は、隘路を突かれると気持ちの良い刺激を拾い上げていった。
「……あっ……あ、ぁんっ……あ、あ、あ、はぁっ……や、い、あっ……」
 ぱつぱつ、パンパン、と肉を打つ音が増していく程に、亮を突き上げる深町の腰も速度を上げる。亮が縋り付く教卓がガタガタと音を立てて揺れ、やがて教卓に上半身を預けるように乗り上げてしまった。
「あっあっあっあ、あーっ! あ! あんっ! あ、やっ、は、は、はっ……」
「……っ、出すぞ川瀬っ!」
「やっ……あ、あ、あ……」
 宣言の後、深町は極まったらしく腰の動きを止めた。直後胎内に生暖かいような感覚が走る。亮の着けたコンドームの中に射精したのだろう。
「うっ……ふ、ぅ……」
 深町は射精したのだからこれで解放されるだろう。クラスメイトの前で突然体を拓かれ、暴力的な快感を教え込まれ、同じ男に犯されて――自分に起きた異常に驚愕し困惑し涙しつつ、これで終わったのだと思うと胸に安堵が生まれる。
「いきなり中イキは無理だったか。川瀬も出しとこうな」
「……えっ」
 亮の中から自身を引き抜いた深町は、教卓の振動により床に落ちてしまったカゴの中からコンドームを一袋取り出すと破り、乳白色のゴム袋を慣れた手付きで亮の性器に被せてしまった。
 再び教卓の上へ座らせられ、クラスメイトへ股間が見えるよう脚を開く亮の背後には、やはり深町がいる。
「あ、せ、せんせ……」
 半端に芯の残ったままの亮が、深町の大きな手に握られる。優しく包み込むような手はゆっくりと動き出し、亮の肉竿を扱き始めた。
「あ、あっ、あ、あぅ……あ、ああっ……!」
 ペニスを扱かれながら、胸を撫でられる。大人しく縮こまっている乳首をくにくにと弄られながら、深町の手に導かれた亮はコンドームの中へ精を吐き出した。
 昇り詰めた余韻に浸り、息を乱している亮の耳に電子音のチャイムが聞こえる。深町が授業の終わりを告げると、クラス委員はいつものように起立礼の号令をして、クラス一同はそれに従った。
 その姿を、日常の姿を、異常な行動を見せ付けているのにそれを異常と感じていないクラスメイト達を、亮は不思議な気持ちで見ていた。
「川瀬、授業への協力ありがとな。ご褒美やるからちょっとおいで」 
 機嫌の良さそうな深町はそう言いながら亮の性器からコンドームを外して結び、性器と尻周りをタオルで拭い、脱がせた制服を着せてくれる。
 そうしている間にクラスメイト達は各々昼食を取り始め、呆けた亮は深町に連れられるがまま、体育教師である彼に宛がわれている準備室へ連れられ抱かれた。今度はどちらもコンドームをせずに、昼休みが終わる寸前まで深町を食い、食い散らかされた。

***

(こんなの絶対おかしいよ)
 そんな台詞を思い浮かべながら、亮は放課後の教室でクラスメイトに囲まれていた。
 五限目と六限目は特に異常はなく、以前のようにただ授業を受けて終われた。混乱の残る頭がはやく帰宅しようと命令し、それに従い帰りのホームルームが終わるやすぐに席を立った亮だが、教室の出入口へ向かうのはクラスメイトに阻まれてしまった。
 甲斐と並びクラス内カースト上位に君臨する男子生徒――顔や頭が良くて性格も明るく機転がきいて、クラスの中心人物になっている彼らは、亮とろくに会話なんてしたことないのに気安く「亮くん」と声を掛けてくる。
「な、んです、か」
「今日の保健でコンドーム貰ったじゃん。深町が着ける練習してみろって言ってたからさ」
 手伝ってよ、とノートの貸し借りを頼むようなノリで言ってくるのは、甲斐とよくつるんでいる槇原拓斗(まきはら たくと)という男子生徒だ。明るく染めた茶髪と目尻のつり上がった猫目が軟派な雰囲気を醸し出している。
「え、でも……」
「川瀬」
 槇原の隣で亮を見つめていた甲斐に名前を呼ばれ、思わず甲斐に目で縋る。会話は殆どしたことはないが、時折聞こえてくる女子生徒の噂では正義感の強い優しい少年だと言われている。今朝も登校してきた亮の体調を心配して声を掛けてくれた。
「かいく」
 ガタッと音を立てて、亮の体が近くの机に押し倒された。亮の肩に手を起き、押さえ付けているのは甲斐だった。
 見上げる視界には教室の天井と甲斐の顔だけが入り込む。槇原も横に立ち、他の生徒はさっさと帰ってしまった。
 放課後の教室には甲斐に押し倒される亮と、その横に控える槇原の三人しか残っていなかった。


「深町にやったみたいにさ、オレと和昭にもやってよ」
 自分より体格のいいクラスメイト二人に捕まった亮に逃げられる様子はなく、大人しく従うしかなかった。
「……あの、コンドーム……」
 さっさと終わらせようと配られたコンドームを求めて手を差し出す亮に、槇原は笑って頭を振った。
「コンドームは後。先にさ、あっちやってよ」
 え、と疑問の声を出す亮の手が甲斐に掴まれる。引っ張られた先は、スラックスに包まれた股間だった。
「俺達のち○こ勃たせろよ。処理係なんだろ」
「や、処理係ってなに……」
 亮の疑問に答えが与えられることはなく、男二人に促された亮は口で甲斐を咥え、手で槇原を握らされてしまった。
「ん、ん、んっ、ぶっ、んんっ」
 亮と同い年だというのに既に成熟し始めている二人は深町に負けず劣らず大きくて太くて長くて綺麗なペニスを持っていた。
 咥えてすぐは柔らかかった甲斐は、亮が舌で懸命に舐めているとむくむくと膨張し、硬さを持って口腔を圧迫した。
 槇原は亮の手でゆるゆると扱かれ熱を持ち、鈴口から先走りが溢れると亮の頬に亀頭を擦り付け始めた。
「んふぅっんん、んーっ」
 甲斐に喉を突かれながら、槇原には頬をマーキングされる。被虐的なシチュエーションに呻くが、彼らは全く意に介さない。
「くっ……川瀬、喉マン絞めろっ!」
「んっ……ぐ、んんんんっ!!」
 嚥下により甲斐のペニスがきつく吸い付かれ、強く締め付けられる。気持ちがいいのかぐっ、ぐっ、と喉奥に押し付けた亀頭から、生温かい飛沫が散った。咳き込む亮からペニスを引き抜いた甲斐は、興奮しきった顔で亮を見下ろしている。
「っはー、は、はっ、ぁは、はっ……」
「……亮」
 息を荒げる亮の制服を、甲斐の手が剥いでいく。槇原は次は自分の番だと、亮の顔を自分へ向かせて大きく開く口の中へペニスを突っ込んだ。
「んんん~っ!」
「あー……亮くんの口マ○コあったか……オレのこともぺろぺろして可愛がってよ」
 亮は鼻を鳴らして征服者に従った。言うことを聞いて満足させて、解放されたかった。そんなことを考えられるのも、もう少しの間だけなのだが。
「……亮」
 机の上で衣服を奪われた亮の姿は正しくまな板の鯉そのものだった。意識は槇原への口淫に集中し、甲斐の血走った目がぷっくりと膨らんだアナルへ向けられていることに気付かない。
 保健の実技授業で教師の愛撫に綻び、男を咥え込んで悦んだはしたない孔。食い足りないと男を求めるように、甲斐の視線に気付いているかのようにひくひくと痙攣する孔を、甲斐の手は尻を左右に割って開かせた。
「んんっ?!」
「ん、ほら亮くん。オレのち○こ食うのに集中しろって」
 舌での奉仕を気に入った槇原は喉奥を突かずに亮の愛撫に任せていたが、意識をそらすことは許さず咎めるように喉を突いた。
 亮は出せない謝罪の代わりに、槇原のペニスを懸命にしゃぶる。肉棹を舌で舐め擦り、亀頭の先をほじくるように撫で舐める。槇原は褒めるように、亮の頭を撫でた。
 そんな二人を睨み付けていた甲斐は、尻肉を割かれて僅かに口を開いた尻孔へ顔を寄せた。昼に深町を咥え、犯され、悦んでいた孔へ、突き出した舌で触れる。亮は槇原を舐めながら、尻を震わせて驚いた。
「ん。んっ。ん、ん、ん、んん、んんんんっ」
 ぴちゃ、と音が立つ。亮の呻きと共に水音は増していく。
 甲斐は亮の媚肉を舐めていた。肉襞の皺をなぞるように、乾いた肉壺が少しでも自分を受け入れられるように。
 甲斐にとって挿入は決定事項だった。


「あっ、あっ、あっ、あ、あぁ~っ……」
 三人だけの教室に、亮の声が大きく響いていた。乗せられた机がガタガタと音が立つ程に激しく揺さぶられながら、甲斐を胎で咥えて喘いでいる。亮の手に自身を愛撫させる槇原は、甲斐に犯される亮を見て興奮していた。
「亮くん、いつも澄ました顔してたのに。セックス大好きな淫乱なんだなぁ。そんなだから処理係に選ばれるんだろうね」
 槇原の言葉を亮は理解出来なかった。聞こえてもいない。
「あっあっあっは、はっ……あーっ……おく、おくぅ……」
「亮、亮……ここ? ここがいいのか?」
 亮の歓心を得ようと必死に腰を振る甲斐に与えられる快感に酔い、喘ぐしか出来ない頭は簡単な言葉しかわからなくなっている。
「おく……いいっ。そこ、そこ……あ、あぁんっ……!」
「……亮。好きなんだ。初めて会った日から…………俺のものになってくれ……俺の……」
「あひっ……あ、あー……あ、あ、かいく……かいくぅん……」
「俺のち○こケース兼生オナホになれっ!!」
 叫びと共に亮のペニスのカリ首を、甲斐の手がキュッと強く握る。そのまま胎を打たれ快感を与えられ、精を吐き出してしまいたいと頭が命じるが、吐き出せない。
「え、やぁっ、なんれっ……あ、かいく、かいくんっ」
「亮。射精して気持ち良くなりたいだろ。俺の恋人オナホになるって誓ってよ」
「やっ……なるっ……なるからぁっ! 甲斐くんのオナホになりますっ!!」
 塞き止められた快楽を放出したい。ただそれだけで亮は頷いた。オナホ宣言をすると甲斐は笑い、カリ首の拘束が外される。
「ふ、あ……ああー……」
 自由になった途端に亮はとろとろと射精し、白濁が腹に流れていく。肉筒が痙攣し、咥える甲斐を締め付ける。
 射精により僅かに戻ってきた思考力が、よくわからないが恋人になった男を見上げさせる。クラス内カーストの頂点、誰もが一目置くイケメンが何故か亮に告白しとんでもない要素が付属するものの恋人になれと言ってきた。
(絶対おかしい)
 興奮に赤らむ端正な顔は、亮の視線に気付くと腰を折って顔を近付け、半開きの口へキスをしてきた。
「ん、んっ、ん……」
「っは、亮、亮……」
 亮の口内を吸い尽くすようなキスをしながら、甲斐の腰が動き出す。肉オナホの中に精を吐き出してしまいたいと。
 黙って告白劇を見ていた槇原も手淫を放棄していた亮の手を握ってペニスを擦らせていく。
「ん、んん、ん、んーっ! ん、ん、ん、ん、んっ、ん、んぅ、んー……」
 体を重ね合わせるように密着して胎を打つ甲斐の腰に、亮はいつの間にか両足を絡めていた。まるで甲斐を歓迎し、尻をもっと打てとねだるかのように。
 唇を解放するとはしたない喘ぎ声が飛び出していく。甲斐に胎を押し開かれるのが気持ちいいのだと、紅潮する亮の顔が語っていた。
 淫らな存在に甲斐の興奮が高まり、低い呻き声と共に胎の中が熱くなる。中出しされたのだとわかって、亮は思わず呟いた。
「コン……ドーム……」
「オナホにコンドームはいらないだろ」
 亮をオナホ扱いしながら、まろい頬に口付けた。嬉しそうに亮の名前を呼び余韻に浸っている甲斐に、槇原が声を掛ける。
「次はオレの番だよな」
「えっ?」
 驚き、声を上げた亮は甲斐の制服を空いた手で握り、縋った。
「お、俺、甲斐くんの恋人になったんだよね? なら槇原くんとはしないよね?」
 ち○こケースだのオナホだの付いていたが、恋人になれとはっきりと言われた。甲斐の恋人になれば甲斐の相手をするだけで済むだろうという打算があった。
 そんな亮の中の常識を打ち砕くのは槇原ではなく甲斐だった。
「亮は俺の恋人だけど世界認定性処理係だから皆の相手をしないとダメだろう。大丈夫、俺は弁えてるよ」
 何も大丈夫ではなかった。
 意味がわからないと喚き立ててもうるさい口は恋人に塞がれ、甲斐と槇原が立ち位置を変えて亮を犯す。
 甲斐は槇原を咥えて喘ぎよがる亮の胸を弄り続け、槇原によって射精へ導かれる頃には乳首も立派な性感帯となっていた。

***

「やっほ。元気にしとるかの?」
 軽快な口振りで亮に話し掛けるのは、あの不思議な老人だった。
「おじい……あ、神様……」
「そうじゃよ。わし神様なんじゃよ。地球支部総合統括神」
 どんな役職で組織なのかはわからないが、とても偉い神様なのだろうと予想する。その認識で間違ってはいなかった。
「まあそれよりのぅ。どうじゃ、願いの叶った世界は」
「……願い……あ。モテモテになりた…………あ。え?」
 死神の不手際で間違って殺されてしまった亮は、この統括神によって生き返ることが出来た。迷惑を掛けた賠償として願いを叶えると言われた亮が口にしたのは「世界観が変わるくらいモテモテになりたい」で、そう思い出すと答えを示されたかのように今日の異常に説明が付いてしまう。
「世界観」
「変わったじゃろ~。お前さんは世界認定性処理係! 授業中だろうと道端だろうと外国だろうと、公共の場で見せつけ公開セックスしてもお前さん限定でお咎めナシ! 誰も疑問に思わずそういうものだと受け流すぞ~。性処理係じゃから色んな人間とセックスするのが当然なんじゃよ」
「……モテモテ?」
「そういうことじゃ」
「いや、違うだろ。俺は女の子にモテたかったの。男に襲われて俺は貴方のオナホですぅ~って言わされたかったわけじゃない!」
「……女の子にモテモテ。可愛い女の子達がお前さんに惚れ込んで好きだと言って取り合って、都合の良いハーレムを作られるのが願いだったと」
「え?」
「女の子の思考も人権も無視してお前に惚れて媚びてお前とヤることしか考えないアバズレにするのが願いだったと。そう言うのかお前は」
「そこまで言ってない」
「下劣な男どもめが! 男は男同士で掘り合っとれ!! わしはか弱き女の子達を守る『騎士(ナイト)』として彼女達の尊厳を、人権を必ず守護(まも)りきってみせるからのっ!!!!!!!!」
「話を聞け! ってか、人権云々言うなら男の人権はどうなるんだよ!! 甲斐くん達はあんたに頭おかしくされて男に襲い掛かったんだぞ?! 可哀想だろうが!!!!」
 切り口を見つけた亮はここだと責め立てる。女性の人権を守る為に男性の人権を蔑ろにしていいということにはならないのだ。
「そこは問題ないわい。お前が誰と何処でヤろうと構わん世界観じゃが、世の男全員がお前とヤりたいわけではない。穴ならもう何でもいい女性の天敵性欲の塊レ○プ犯予備軍のような男か、元々お前に好意を抱いとった男しか手を出してこんよ」
「は??」
「むしろわしキューピッドじゃん。達者で暮らせよハーレム脳男。ぺっ!」
「待てっ! 俺の人権を守れよこのっ」

***

「クソジジイ……」
 夢から追い出された亮は現実でそう呟くと共に目が覚めた。瞼を開けて見えたのは住み慣れた自室の天井だった。窓の外は白み始め、雀達の声で意識が覚醒していく。
 昨日は学校で散々な目に合い、足のふらつく亮を恋人とその友人が支えて家に送り届けてくれた。家に入るなり風呂へ直行し、体を洗いまくった亮は夕飯を食べて部屋に戻るなり泥のように眠ってしまったのだ。
「亮~。もう起きる時間よー」
 夢の中のクソ神の暴言を思い出し、腹が立ち始めた亮に部屋の外から声が掛かる。起きてこない息子を心配した母が起こしに来たのだ。
「……母さん、俺今日休む」
 今日と言わずずっと休みたい。もう学校に、外に出たくない。男に会いたくなかった。
 一昨日の突然死(偽)事件もあり、昨日も無理して登校しなくていいと言った母だ。亮が沈んだ声でそう言えば頷いてくれるだろうと思っていたら、違った。
「何言ってるの。甲斐くんが迎えに来てくれてるし新しい制服も届いたんだからさっさと学校行きなさい!」
 無情にも扉は開かれ、母に引っ張り起こされた亮がリビングへ向かうと、本当に甲斐がいた。
「おはよう、亮」
「へ。あ、おはよう甲斐くん……」
 亮の朝食が用意された椅子の向かいに座った甲斐は、客用のカップに注がれたコーヒーを飲んでいる。急かされはしないが甲斐を待たせるのはしのびないので急いでジャムトーストを掻き込み、洗面所へ走って顔と歯を洗い、着替えようとしたら母が真新しい制服を差し出してきた。
「昨日の夕方に届いたのよ。処理係用の制服ですって。頑張りなさいね」
 母親に世界認定性処理係であるということを認識されており、さらにその役目を応援されるのはかなりキツいものがあった。亮は表情を殺しながら新しい制服に袖を通そうとして、固まった。
「なあにこれぇ」
  まずワイシャツの形状がおかしい。胸元に釦がない所か不自然なU字に開かれており、女性が着れば乳房が放り出されてしまうだろう。亮は男なので薄い胸板がさらけ出されてしまう程度だ。付属されたマイクロビキニで乳首を隠す配慮はあるようだがそんなもん着けるなら普通のワイシャツでいいだろ!!!! と頭の中でキレている。
 スラックスの前面にホックとジッパーがあるのは共通した作りだが、亮が手にするスラックスは臀部にもジッパーが付けられている。何をしやすいようにかはわかってしまうし、わかりたくなくても付属したビキニパンツがオーバックな時点でもうお察しであった。
 ジャケットの胸ポケットには校章が描かれているのだが、亮のジャケットは校章の下に大きめの文字で「Fuck me♡」と刺繍されている。
「ほんともぉさぁ……」
「亮。そろそろ出ないと遅刻するから急ごう。着替え手伝うよ」
「え? ちょっ、甲斐くん……」
 こんなエロ制服着るわけないだろ! と思っていた亮だが、時間を気にし始めた甲斐によって下着を取り替えられエロを着せられ、ろくに抵抗出来ず外へ引っ張り出されてしまう。
「いってらっしゃーい」
 笑顔の母に見送られ、今日も亮(世界認定性処理係)の一日が始まった。


***


☆亮の犠牲が世界(の性欲)を救うと信じて――。

閲覧ありがとうございました。統括神が改心した後日談にご期待下さい。(ファンボックスの予定です)

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