【完結】逆行騎士は己の意志を貫きたい

琉海

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叶えたい願い(4)

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「………ここは」

どうやら途中で意識を失ってしまったらしい。次に目覚めたのはベッドの上だった。

前回みたいな自室のベッドではなくて此処が医務室だと言うことは白い天井の模様ですぐに分かった。

血を流しすぎた。頭は霞がかかったように重く、体を動かすのも億劫だ。死んで巻き戻された前回とは明らかに違っていて、俺の生がまだ続いている事は嫌という程に理解できた。

「この痺れは…毒、か……」

手足の動きが鈍い。でも致死量って程でもない。という事はメルロ様を本気で殺す気は無かったという事だ。

いったい誰がなんの目的で。そう考えてる途中で部屋の扉が開いた。顔を覗かせたのはメルロ様だった。


「お前はディエゴの騎士になるんじゃないのか」
「ディエゴ様?ディエゴ様には既に騎士が就いておりますよ?年齢を考慮しても私はメルロ様の騎士に任命されるかと。あの、私では…ご不満、ですか?」
「違う!ただ、そう、思っただけだ…」
「まだ正式に認められた訳ではありませんが、この命に代えてもメルロ様をお守りする事は既に誓っております」
「おい、聞いてないぞ」
「言っておりませんから。それに誰も知らなくても私自身が知っていればそれで良いのです」

似たような会話を前もした。死の間際の会話だ。それを繰り返してるかと思うとなんだか変な感じがする。

「……の…た…」
「メルロ様?」


小さく呟かれた声は何を言ってるのか分からなかった。伺うように顔を覗き込めば思わず息が止まる。

「メルロ様?」
「お前はまた、勝手なことを…」
「え?」

薄暗く濁ったような表情。目に光を宿していない。

だが、その顔は何処か大人びたような、俺が知らないメルロ様が其処にいた。
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