【完結】出会いは悪夢、甘い蜜

琉海

文字の大きさ
2 / 11

出会いは悪夢、甘い蜜(2)

先ほどまで参加していた入学式。

新入生と在学生、そして教師も合わせて何百人という人数が会場に集まっていた。馴染まない制服にローブを羽織った正装に身を包んだシドは式が始まるのを同じ新入生の列に並びながら今か今かと待ちわびていた。

やっと此処まで来た。早くあの人に会いたい。

あの時のシドは確かに浮かれていた。浮かれていたからこそ、背後から走り近づいて来る男の存在に気づかなかった。


それは一瞬だった。

誰かに足払いをされてバランスを崩したシドの体がその場に倒れ込む。何すんだと文句を言うために振り返れば濃い藍色の瞳とかち合った。

まずい。

そう思ったのは本能だった。無意識に両手で後ろ首を覆う。シドはオメガによくある特徴とは異なる容姿を持っているが、れっきとしたオメガ性を持つ男だった。

手の甲に痛みが走る。

『邪魔だっ!!』
『ぃ、っ!!』

圧し掛かる圧に体を震わせながらそれでも項を守るために手を離すことは止めなかった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

恋が始まる日

一ノ瀬麻紀
BL
幼い頃から決められていた結婚だから仕方がないけど、夫は僕のことを好きなのだろうか……。 だから僕は夫に「僕のどんな所が好き?」って聞いてみたくなったんだ。 オメガバースです。 アルファ×オメガの歳の差夫夫のお話。 ツイノベで書いたお話を少し直して載せました。

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

αとβじゃ番えない

庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。 愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。

祝福を授かりましたが、まるで呪いです。

めっちゃ抹茶
BL
異世界に生まれ変わって出会った、一組の運命の番であるαとΩの話。 ※ご都合主義があります ※オメガバースの知識がある人向け/作中で説明は一切ありません ※主人公が可哀想、ハッピーエンドではありません 主人公目線、あまり悲壮感はありませんがタグをご確認のうえ以上の事を念頭に、大丈夫な方のみお進み下さい。

『2度目の世界で、あなたと……』 ― 魔法と番が支配する世界で、二度目の人生を ―

なの
BL
Ωとして生まれたリオナは、政略結婚の駒として生き、信じていた結婚相手に裏切られ、孤独の中で命を落とした。 ――はずだった。 目を覚ますと、そこは同じ世界、同じ屋敷、同じ朝。 時間だけが巻き戻り、前世の記憶を持つのは自分だけ。 愛を知らないまま死んだ。今度こそ、本物の愛を知り、自ら選び取る人生を生きる。 これは、愛を知らず道具として生きてきたΩが、初めて出会った温もりに触れ、自らの意思で愛を選び直す物語。 「愛を知らず道具として生きてきたΩが転生を機に、 年上αの騎士と本物の愛を掴みます。 全6話+番外編完結済み!サクサク読めます。

【創作BLオメガバース】優しくしないで

万里
BL
壮士(そうし)は男のΩ。幼馴染の雅人(まさと)にずっと恋をしていた。雅人は太陽のように眩しくて、壮士の世界を変えてくれた存在。彼の影を追うように、同じスポーツを始め、同じ高校に進学し、ずっと傍にいた。 しかし、壮士のヒートのせいで、雅人も充てられて発情してしまう。壮士は必死に項を守り、番になることを拒む。好きだからこそ、こんな形では結ばれたくなかった。壮士は彼の幸せを願って別の大学へ進学する。 新しい環境で出会ったのは、α・晴臣(はるおみ)。彼もまた、忘れられない人がいるという。 互いに“好きな人”を抱えたまま始まる関係。心の隙間を埋め合うふたり。けれど、偽りのはずだったその関係に、いつしか本物の感情が芽生えていく?

鳥籠の夢

hina
BL
広大な帝国の属国になった小国の第七王子は帝国の若き皇帝に輿入れすることになる。