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3 初めての1
しおりを挟む『本当は俺の家に行きたいけど、悪い我慢が出来ない』
そう言ったのは、散々口を貪られた後だった。私の口内を傍若無人に動き回る薫の舌を捕まえれば、逆に舌をキツく吸われ、首を掴まれているから逃げ出す事も出来ない。彼の頭を抱きしめて、顔の角度を何度も変えては、お互いの舌をこれでもかと貪欲に求め続ける。
少しの隙間も許されないくらいお互いの唾液で口の中が満たされていくと、お互いが口の中の水分を飲み干す。私の声も、二人の口づけの音も互いの口の中へかき消された。
激しかった口づけも落ち着くけど、お互いの口先は触れ合ったままで息をする。その時になって初めて、薫の左手が私のお尻に置かれているのを知る。
「…おっきい、手」
それだけ言うと、彼の逆鱗に触れたのかまた唇を貪られた。そうして、冒頭のセリフを言って二人は駅の繁華街へと向かった。
***************
入らないと泣いた、すると彼はすまんといいながらも、腰を進めて…
「んっ、ぅっ、んぅっ」
駅から近いビジネスホテルへと足早に向かった。チェックインする彼の背中を他人事のようにじっと見て、部屋を取った彼に手を引かれながらエレベーターに乗ると腰に回された手が彼の身体へ行くように誘導する。彼の腰に腕を回して抱きつくと、私とは違う彼の身体の固さを初めて知る。
胸を押し付けると、私の腰に回された手に力が入る。
見上げると二人の視線は絡まるが、これ以上何かをするつもりはない。
――キスしたい、さっきの公園みたいに…全部取られちゃいそうなくらい強いキス
もう私は子供じゃない、この後何が起こるのか、ちゃんと理解している。薫の熱い眼差しから逃れて薫の唇に視線を落とせば、より一層キスをしたくなる。また視線を上げると、私から視線を外さずにじっと見つめられていた。
チンって鳴ったエレベーターは、途中で停まって誰も乗る事なく、目的の階へとついた。
カードキーでドアノブの上にあるキーを読み取る所にかざすと、ピッとした音と共に解錠される音がした。扉を開けた薫が私が先に入るように促し、腰に回した手を押す。すぐに彼も入ると、パタンと閉じるドア。ドアに身体を押しつけられ、薫はドサドサと薫の荷物が床に落とした。私も床に落として彼のポロシャツを掴むと、薫の左肘が私の顔の横の扉について、もう片方の腕は私の腰に巻き付く。抱き寄せられお互いの口が塞がると、公園でしたような呼吸もままならない少しの痛さもスパイスになる濃厚な口づけをされた。私の舌も甘噛みされ、ずっと気持ちいいキスだ。
「っ、ぁ…ッ…」
気持ちよくキスをしていたのに、彼の唇が離れてしまうと、なんで、と抗議の視線を送ってしまう。私の思いなどお見通しみたいで、彼は私の唇に自分の唇を触れるだけだったけど重ねながら、着ていた服を脱いでいく。
――あ、うそ…
ポロシャツの下は白いシャツ、カチャカチャとベルトの金具を外して、ズボンの留め具を外すと床にすとんとスーツのズボンが落ちる。その間もキスをされているが、足を横に動かしてズボンの裾と靴を一緒に脱ぐと、あっという間に紺色の靴下とグレーのボクサーパンツ姿となる。そのボクサーパンツの中央は盛り上がっていて、一番大きなヤマには濡れたような染みが広がる。
「薫っ、あっ!」
私を抱き寄せながら私の口を塞ぎ、彼の腕の中へ入ると熱くて固い皮膚に手のひらが触れた。顔の角度を何度も何度も変えながら、薄手のコートのフロントのボタンを取ると、腕から抜けた床にコートが落ちた。そうすると、薫は私のタートルネックの下に手を忍ばせ、下のキャミソールに触れる。それすらもずらして私の脇腹に直接触れると、キスをしながら私の服を脱がしていく。タートルネックを脱ぐ時以外は離れない口づけに夢中になり、むしろ離れてしまう事が嫌で薫の顔が離れたらイヤな気持ちになったけど、私の服を脱がすためだと思うと、自己中ぶりに頬が赤くなった。けど、また彼の唇が私の所へ戻ってくると、見えないからかスカートのファスナーの場所が分からなくて、私の腰の周りを彼の手のひらが回る。彼を手伝うべく、腰の横にある留め具とファスナーを外すと、薫のズボンの時と同じようにストンと床に落ちた。白い下着のペアになった私は薫に身体を密着させると、まるで昔から一緒にいるような安心感に包まれる。
――本当、私…変だ…一夜限りの関係、それともこれからがあるのかな
会ったばかりの人とこんな関係になるなんて思ってもみなくて、そんなのは嫌だと思っていたのに、今を止めようとは思わなかった。飽きる事なく続く口づけが離されると、薫の口が私の首筋へと移動した。
「っ、薫っまっ…て、シャ…ッ…シャワー浴びたっ…い」
秋とはいえ少し汗もかいたし、昨日の夜入ったきりの身体で身体を重ねるのは薫に幻滅されそうで嫌だった。
「…ん、そうだな、けど先に味見させて」
そう言って彼は私の首筋に舌を這わす。ざらっとした舌の感触は、ゾクゾクと快感が背中にまで起こる。ちゅぅっ、と肩に強く吸い付かれチクッとした痛みを感じ、彼の手が私の背中に回ってブラのホックを外す。胸を支えられていたブラが無くなり、重力によりぷるんと動くとブラが床に落ちた。
「すごい、柔らかい、可愛い」
それは私の胸の大きさの事をいっているのか、それとも…
「薫っ、んっ…あっ、ん」
私の胸はそこそこ大きいと思っていたけど、薫の手の方が大きいのだ。すっぽり包まれてまるで小さいと言われているみたいで、面白くない。だけど、薫が私の首筋を舐めながら可愛い、可愛いって言うから、まぁいいかと思い始める。
胸を下から掬い、乳房のトップにある粒を摘みながら揉む。可愛いと耳元で囁かれ、擽ったくて肩を竦めると、薫の動きが大胆になっていく。片方の左手は私の乳房を愛撫し、腰にあった彼の右手は下着の上から私の片方の左のお尻を掴む。彼の手が大きくてお尻もすっぽりと隠されてしまう事に気がついたけど、すでに甘い声が出ていたから口から出る事はなかった。下着をずらされて直接触れられると、自分の手とは違うカサつきと固さにまたドキドキする。
自分ばかりされているのが悔しくて、お返しに私の顔の前にある薫の無防備になった耳から顎のラインに唇を押し付けた。ぴくりと動いた薫は私を見るが、口角を上げて――本当に薄らと、多分私しか気が付かないくらい――私の首筋へと顔を埋めた。何にも言われてないのをいい事に、薫の顎のラインに舌を這わし、ちゅぅと吸い付く。薫のように跡は上手くつけられないけど、そんな事はどうでもよかった。筋肉質の身体に体毛なんてないと思っていたけど、彼の顎のラインは意外とざらざらしていて髭も生えるんだ、と頭の隅でよぎる。宙ぶらりんになっていた両手を、彼の身体に沿って下ろして腰にあるボクサーパンツのゴムに指先が当たると、薫が私にやってくれたようにパンツの上から膨らみに両手を添えた。私の手を二つ重ねてもはみ出す大きな昂りに驚いて、彼の下着の上から手を離すと薫の顔が私の首筋から離れた。
「いやか?」
「いや…ではないけど、っ、うわっ!」
あまりの大きさに驚いただけだと、ごにょごにょと濁すと、赤ちゃんのようにいきなり持ち上げられた。落ちそうになって慌てて薫の首に自分の腕を巻きつけると、薫は部屋の中へと入って行った。周りを見る余裕もなく、ベッドの上へと仰向けに寝かしつけられると、薫が私に覆い被さる。
よくあるホテルの出入り口付近にあるカードキー入れると灯りが着くらしく、真っ暗な部屋の中に取り残されたみたいだ。見えない分耳が敏感となっているのな布の擦れる音が、大きな音で聞こえている気がする。カチッとスイッチを押す音がすると、今度はベッドボードから淡いオレンジ色の暖色系の灯りが点く。
「マシロ、可愛い…綺麗」
オレンジ色の肌になった薫に見惚れ、ゆっくり顔が近づいて来たと思ったら自然と瞼が下がった。
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