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最悪な火種2

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真央に別れを一方的に告げてひと月
別れを告げる前はすごく辛くて泣いてばかりいた
別れたいと告げた後も泣いたが

真央からの連絡を見るのが辛くて、スマホの電源を切った
明日香にも柚月にも心配されたけど、から元気を出して
安心して、と伝えた


学校が終わったらすぐに帰るようになった…寄り道したら真央に会いそうで…嫌だったから

ーー振ったのは私なのに、なんで私が泣きそうなのよ、我儘すぎるでしょ

自嘲しながら過ごす三連休の真ん中の日曜日の午後、自分の部屋で何にもする気が起きずにダラダラしていた
すると、ピンポンとチャイムが鳴り続けた
私以外誰も居ない家で、居留守を使おうか考えていたら窓の外から私の名を呼ぶ明日香の声が聞こえた
起き上がり、玄関に向かい扉を開けると
焦っている明日香が私の肩を掴む

「渡辺くんっがっっ倒れたって!」










真央が倒れたと聞いていても立ってもいられなくて、明日香を押し退け走り出す
「ちょっ…ゆいかっ!学校よ!」
明日香も後ろから着いて場所を言ってくれる









学校に着いたところで、校門で待っていた柚月にこっちと、案内される

静かな学校内に入り1Fの奥にある保健室に着いた
はあはぁと息の荒い呼吸を整えていると扉を開ける柚月
保健室の先生も居なく、静かな室内
1ヶ所だけ白いカーテンが閉まっている所へ歩き、カーテンを開けた
そこに居たのはひと月ぶりに見る真央で…

「…顔色が悪い」

思わず呟いた私に
「ココひと月体調悪かったみたい」
私の肩に手を置き背中を押す明日香
「…ゆいか、俺は真央なら…認めるよ」
不貞腐れ呟く柚月は、頬をぽりぽりとかく

「明日香…柚月」

話し合いなって言ってカーテンを閉めて保健室を出て行く気配がした
シンと静まり返る保健室に、真央が寝てるベッドへ近寄る

すうすうと眠る真央の目の下にクマが、少し痩せた気もするし…
「…どうして」
久しぶりの真央を見て声を聞いて目を合わせて抱きつきたい、愛されたいと思ってしまう
涙が溢れて視界が滲む

「…ゆいか…泣いているのか」
掠れた起き上がりの声が聞こえた…あの日、初めてした日に起きた時の声だ
「…ううん、泣いてない」
そう言って俯き涙を隠すが、真央に抱きしめられる
ぎゅうぎゅうと力強く抱きしめられ息がうまく出来ないがそれでもよかった
真央の胸に顔を埋めて涙を拭う
好き、好き、好き

「何で倒れるの、何でクマが出来てるの、何…で…痩せてるの」
疑問がとめど無く溢れて責めるように真央に詰め寄る
ぎゅうっと抱きしめたまま、真央が私の髪に顔を埋める

「…ゆいかが別れたいと言ったから…食べるのも寝るのもどうでも良くなった…ゆいか」

額に頬にキスをされ、離れたく無くて私からも強く抱きつく
「真央…真央」
もう私も真央にキスしようと、顔を上げ視線が絡む2人

しかし、突然
ガラッと開く保健室の扉に、びっくりして真央から離れた


シャッと開いたカーテンから現れたのは

驚きで目を見開く遠藤マネージャーだった




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