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琥珀の鬼団長1
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音が聞こえた。
その後に悲鳴をあげる女の声と砂利の上を歩く音。しばらくすると、無理矢理頬を持ち上げられ、口の中に何か液体を入れられた。苦い薬品の匂いと味が口内に広がり、意識の朦朧する中飲み込んだ。
しばらくすると身体の底から力が溢れ、意識がハッキリとしてくる。
横になっていた身体を起き上がらせ、座ると視界がボヤけていた。片目に何か液体が掛かっており、拭うと自分の血だったから払うと、目の前に膝をついた白い足が2つ見えた。
濡れた白い布が透けた太ももは艶かしく、下着の線がくっきりと映る。ピッタリとくっついたワンピースは、身体のラインをはっきりと露わにし、胸のラインは刺繍で隠されていたが、盛り上がる2つの膨らみが男の視覚を刺激する。
身体の向きを変えると自分でも分からなかったが、まだまだ動けるらしい。
ーーくそっ、なんだっ!なんでだっ
生まれて初めて赤くなる顔と、胸の動悸が激しくなり心臓が爆発しそうなくらい苦しい。
「っ~~!!着る物をっ!透けてい…る!」
喉が引っ付いたみたいに声が出なく、やっと出た言葉が間抜けに聞こえた。背後の女の焦る声と、着替えますと理解した頭が、また女の身体を思い出してしまい、浮かび上がる細い身体を振り切るように首を横に振った。
******************
川の付近にあった座りやすい滑らかな石を持ち上げ、彼女に座るように伝えると、綻ぶ顔が可愛くまた胸が苦しくなった。
ーーここはお礼を言って名前を…
とブツブツ考えていたら、彼女が帰る言い立ち上がると、無意識に腕を取った。
「…俺の名は、クルシュだ」
自分の名をすんなりと口にした俺は、自分自身に驚いた。
彼女も目を見開き、驚くと、
「私は…ミカド…と申します」
優しい音色が口から紡いだ。
ーーミカド…ミカド…
忘れないように頭の中で繰り返していたら、彼女はすでに遠くにいて、明日もっ!と叫ぶと彼女が俺の視界から消えた。
「…団長…また随分とやられましたね」
上半身裸のまま騎士団の駐屯所に着くと、所長に出迎えられた。4人が座れるオンボロのテーブルと椅子が駐屯所の真ん中に設置されて、壁には木製の書棚と執務机と椅子、人ひとり分ぐらいの窓が設置されていた。
壮年の男が俺の傷と顔を見ると顔を青褪める。書棚にあるタオルを取ると、俺に差し出す。
「…すぐに本部に遣いを出せ、西の森の結界が薄れてモンスターが侵入していた…倒したが」
手渡されたタオルで顔を拭うと、傷にあたり痛みが起こる…が、彼女の塗り薬がなかったら激痛で倒れていただろう。
「はっ!」
俺の指示に返事した所長は、直ぐに書簡を書き始めバタバタと部下を呼ぶ。
俺は一度駐屯所の横の備蓄置き場となっている小屋に入り、本部から持ってきた荷物から黒いシャツと支給されている濃緑のズボンに着替えた。
小屋から出ると、目の前に広がる景色ーー山の麓に流れる川を見て彼女を思い出す。
「ミカド」
薄い赤紫の髪の不思議な雰囲気の女性ーー左右の目の色が違い月の明かりでキラキラと輝き美しい女性。白いワンピースが上質の布だったが、着替えてきた服はそこまでじゃなかったな。などと考えていると、彼女の身体を思い出し、また胸が苦しくなる。
「団長お待たせしました」
駐屯所の扉から顔を出した所長が、俺に声を掛ける。
「……所長、この辺で住民はいるか?」
彼女に告げられた名前を基に、彼女の正体を突き止める事にしたーーーー
その後に悲鳴をあげる女の声と砂利の上を歩く音。しばらくすると、無理矢理頬を持ち上げられ、口の中に何か液体を入れられた。苦い薬品の匂いと味が口内に広がり、意識の朦朧する中飲み込んだ。
しばらくすると身体の底から力が溢れ、意識がハッキリとしてくる。
横になっていた身体を起き上がらせ、座ると視界がボヤけていた。片目に何か液体が掛かっており、拭うと自分の血だったから払うと、目の前に膝をついた白い足が2つ見えた。
濡れた白い布が透けた太ももは艶かしく、下着の線がくっきりと映る。ピッタリとくっついたワンピースは、身体のラインをはっきりと露わにし、胸のラインは刺繍で隠されていたが、盛り上がる2つの膨らみが男の視覚を刺激する。
身体の向きを変えると自分でも分からなかったが、まだまだ動けるらしい。
ーーくそっ、なんだっ!なんでだっ
生まれて初めて赤くなる顔と、胸の動悸が激しくなり心臓が爆発しそうなくらい苦しい。
「っ~~!!着る物をっ!透けてい…る!」
喉が引っ付いたみたいに声が出なく、やっと出た言葉が間抜けに聞こえた。背後の女の焦る声と、着替えますと理解した頭が、また女の身体を思い出してしまい、浮かび上がる細い身体を振り切るように首を横に振った。
******************
川の付近にあった座りやすい滑らかな石を持ち上げ、彼女に座るように伝えると、綻ぶ顔が可愛くまた胸が苦しくなった。
ーーここはお礼を言って名前を…
とブツブツ考えていたら、彼女が帰る言い立ち上がると、無意識に腕を取った。
「…俺の名は、クルシュだ」
自分の名をすんなりと口にした俺は、自分自身に驚いた。
彼女も目を見開き、驚くと、
「私は…ミカド…と申します」
優しい音色が口から紡いだ。
ーーミカド…ミカド…
忘れないように頭の中で繰り返していたら、彼女はすでに遠くにいて、明日もっ!と叫ぶと彼女が俺の視界から消えた。
「…団長…また随分とやられましたね」
上半身裸のまま騎士団の駐屯所に着くと、所長に出迎えられた。4人が座れるオンボロのテーブルと椅子が駐屯所の真ん中に設置されて、壁には木製の書棚と執務机と椅子、人ひとり分ぐらいの窓が設置されていた。
壮年の男が俺の傷と顔を見ると顔を青褪める。書棚にあるタオルを取ると、俺に差し出す。
「…すぐに本部に遣いを出せ、西の森の結界が薄れてモンスターが侵入していた…倒したが」
手渡されたタオルで顔を拭うと、傷にあたり痛みが起こる…が、彼女の塗り薬がなかったら激痛で倒れていただろう。
「はっ!」
俺の指示に返事した所長は、直ぐに書簡を書き始めバタバタと部下を呼ぶ。
俺は一度駐屯所の横の備蓄置き場となっている小屋に入り、本部から持ってきた荷物から黒いシャツと支給されている濃緑のズボンに着替えた。
小屋から出ると、目の前に広がる景色ーー山の麓に流れる川を見て彼女を思い出す。
「ミカド」
薄い赤紫の髪の不思議な雰囲気の女性ーー左右の目の色が違い月の明かりでキラキラと輝き美しい女性。白いワンピースが上質の布だったが、着替えてきた服はそこまでじゃなかったな。などと考えていると、彼女の身体を思い出し、また胸が苦しくなる。
「団長お待たせしました」
駐屯所の扉から顔を出した所長が、俺に声を掛ける。
「……所長、この辺で住民はいるか?」
彼女に告げられた名前を基に、彼女の正体を突き止める事にしたーーーー
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