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突然のプロポーズ
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『俺と結婚してくれないか?』
彼の言葉が私の頭の中をぐるぐると回り、驚きで声も出ない。
「…結婚…?私と…ゼンが…?」
喉が引っ付いたみたいに声が掠れて、やっと絞り出す事が出来た時疑問しか出なかった。
「ああ、ミカドと俺だ」
彼の顔が近づき、額同士がくっつく。彼の肩に手を置くと、彼は掴んでいた私の腰から手を離し腕を回して引き寄せた。私の腰と彼のお腹が密着する。
「ゼン…これは貴方のせいではないわ、今この場に居るからって責任を取るつもりも、この話を内密に…」
「俺はな、ミカド、そんなつもりで言ったわけじゃない…初めて会った時…俺を救ってくれた天使だと思ったんだ」
顔が近いからか彼の低い声が直接耳に囁くように響き、身体に染み込んでいくみたいだ。低い声でそっとミカド、と呼ばれ視線を上げると綺麗な琥珀色の瞳と視線が絡まる。
「それに…いや、1番大切な事だ…愛してる」
「っ!」
目を見開き驚く私は、信じられなくて呆然とした。
「ゼン、でも私…闇の…」
闇の力が今後どう作用してくるか、全く分からない不安定な私を引き取るというのか、愛しているから。
「ミカドがそばにいてくれるだけで、俺はどんな困難な事でも飛び越えられるさ」
優しく見守るような瞳は愛おしいものを見る眼差しで、またポロポロと涙が溢れてしまう。
「ミカドは泣き虫だな」
フッと笑う彼は私の頬を伝う涙に、ちゅっとキスをすると温かい舌がそれを舐めとる。
「…ゼン…嬉しい…私貴方を独占したい」
どんどん溢れてしまう涙を、彼は何にも言わずに舐め取り綺麗にしていく。
「一生貴方だけのものだ」
そう言って彼の肩に置いた手を取るとぎゅっと握り、額が離れたと思ったら彼の唇が私の唇と重なり瞼を閉じる。
一瞬だったかもしれないし、永遠だったかもしれない。不思議と心が満ち足りた時間が起こり、ゆっくりと彼の唇が離れた。
目を開けると彼と視線が合い、彼の顔が驚きで目を見張る。
「ミカド…瞳の色が…」
「瞳の色…?」
彼の発する言葉を理解するよりも先に、目の前に手鏡を差し出された。
「私の瞳…が」
鏡の中で驚く美しくキラキラと輝く赤い瞳が顔の女性がいた。
「…どうなってるんだ」
呆然とするゼンに、
「闇の力によって負の感情を纏っていたミカドは、愛の力によりコントロールされて封じ込まれたのよ」
アクアの声が聞こえ、振り向くとアクアは嬉しそうにそう告げた。
「おめでとうミカド…貴方の闇の力はゼンと関わる事で抑えられる事が分かったね」
彼女のウサギの耳がピクピクと動き、喜びを表していた。
「お嬢様っ」
マチも歓喜の声を上げ、一礼すると部屋から出ていってしまった。
「闇の力をコントロールして生きていくしかないわね、負の感情に捕われたら瞳の色が変わるわよ」
ーー負の感情…負の…
「ひとつは解決したわ、とっても重大なことよ…でもあとひとつ残っているのよ…誰が貴方の闇の力を解放したのか…」
「それでしたら、私が」
アクアが顎に手を置き、考え始めると今までいなかった室内に声が響いた。
彼の言葉が私の頭の中をぐるぐると回り、驚きで声も出ない。
「…結婚…?私と…ゼンが…?」
喉が引っ付いたみたいに声が掠れて、やっと絞り出す事が出来た時疑問しか出なかった。
「ああ、ミカドと俺だ」
彼の顔が近づき、額同士がくっつく。彼の肩に手を置くと、彼は掴んでいた私の腰から手を離し腕を回して引き寄せた。私の腰と彼のお腹が密着する。
「ゼン…これは貴方のせいではないわ、今この場に居るからって責任を取るつもりも、この話を内密に…」
「俺はな、ミカド、そんなつもりで言ったわけじゃない…初めて会った時…俺を救ってくれた天使だと思ったんだ」
顔が近いからか彼の低い声が直接耳に囁くように響き、身体に染み込んでいくみたいだ。低い声でそっとミカド、と呼ばれ視線を上げると綺麗な琥珀色の瞳と視線が絡まる。
「それに…いや、1番大切な事だ…愛してる」
「っ!」
目を見開き驚く私は、信じられなくて呆然とした。
「ゼン、でも私…闇の…」
闇の力が今後どう作用してくるか、全く分からない不安定な私を引き取るというのか、愛しているから。
「ミカドがそばにいてくれるだけで、俺はどんな困難な事でも飛び越えられるさ」
優しく見守るような瞳は愛おしいものを見る眼差しで、またポロポロと涙が溢れてしまう。
「ミカドは泣き虫だな」
フッと笑う彼は私の頬を伝う涙に、ちゅっとキスをすると温かい舌がそれを舐めとる。
「…ゼン…嬉しい…私貴方を独占したい」
どんどん溢れてしまう涙を、彼は何にも言わずに舐め取り綺麗にしていく。
「一生貴方だけのものだ」
そう言って彼の肩に置いた手を取るとぎゅっと握り、額が離れたと思ったら彼の唇が私の唇と重なり瞼を閉じる。
一瞬だったかもしれないし、永遠だったかもしれない。不思議と心が満ち足りた時間が起こり、ゆっくりと彼の唇が離れた。
目を開けると彼と視線が合い、彼の顔が驚きで目を見張る。
「ミカド…瞳の色が…」
「瞳の色…?」
彼の発する言葉を理解するよりも先に、目の前に手鏡を差し出された。
「私の瞳…が」
鏡の中で驚く美しくキラキラと輝く赤い瞳が顔の女性がいた。
「…どうなってるんだ」
呆然とするゼンに、
「闇の力によって負の感情を纏っていたミカドは、愛の力によりコントロールされて封じ込まれたのよ」
アクアの声が聞こえ、振り向くとアクアは嬉しそうにそう告げた。
「おめでとうミカド…貴方の闇の力はゼンと関わる事で抑えられる事が分かったね」
彼女のウサギの耳がピクピクと動き、喜びを表していた。
「お嬢様っ」
マチも歓喜の声を上げ、一礼すると部屋から出ていってしまった。
「闇の力をコントロールして生きていくしかないわね、負の感情に捕われたら瞳の色が変わるわよ」
ーー負の感情…負の…
「ひとつは解決したわ、とっても重大なことよ…でもあとひとつ残っているのよ…誰が貴方の闇の力を解放したのか…」
「それでしたら、私が」
アクアが顎に手を置き、考え始めると今までいなかった室内に声が響いた。
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