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第19話 俺たちのモフモフライフはここからだ!
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ガロが仲間になってから数日。
ルナの怪我もだいぶ良くなった。
まだ包帯は取れてないけど、積極的に仕事をしたがってる。
マキナにもルナの意志を尊重してあげるべきだと言われたので、昨日くらいから料理をお任せしてみた。
「タカシ、ごはん、できた、です」
「ありがと! 大丈夫? 火傷しなかった?」
「火、あぶない、こわい、です」
マキナに火事トラブルを十例を挙げてもらってルナに伝えたところ、火の取り扱いは俺より慎重になったんだよな。
「ガロも、おにく、だよ」
「ワン!」
ガロも皿に分けられた肉を前にして俺たちの様子をうかがう。
「いただきます!」
「いただく……いただきます」
わざわざルナが俺の発音を真似て言い直す。
「言いにくいなら無理しなくていいよ」
「やだ。ちゃんと、言う、ます」
最近わかってきたんだけど、ルナはちょっと意地っ張りみたいだ。
俺たちが食べ始めると、ガロも自分の餌をハグハグし始めた。お利口!
何度かおかわりすると、俺たちの鍋もあっという間にカラになった。
「ごちそうさまでした」
「ごそさま……ごちさま……むー」
ルナがうまく真似できなくてムスッとする。
「ゆっくり言うから真似してみて」
「ん、ん!」
コクコクうなずくルナ。
「ご、ち、そ、う、さ、ま」
「ご、ち、そ、さ、ま」
「惜しい、あと少し!」
「むーっ」
そのあとも何度か練習したけど、ルナは正しく発音できなかった。
「あわてなくて大丈夫。ゆっくりできるようになればいいからね。次のご飯のときにまた頑張ろ?」
「あいっ」
いい返事だ。
この調子で栄養を摂れば、ルナはもっと元気になる。
そのためにも安全を確保しないと。
「それでさ。そろそろ次にどうするか決めようと思うんだけど」
「どうする、です?」
「ルナ。もうすぐ冬が来るんだよね?」
「あいっ」
そう、冬が来る。
日本にいた頃は冷暖房完備だったから大して気にもとめなかったけど、異世界にそんなものはない。
だからマキナが冬に備えるべきだと強くアドバイスしてきた。
「今は食料が採れてるけど、もうすぐ難しくなる。だから今のうちに森で採れた食料を採って、いっぱい蓄えようと思うんだ」
マキナが提示したプランはふたつ。
冬用の拠点を人目のつかない場所に作って、冬ごもりをする。
もうひとつが街で宿をとって、なんとか食いつなぐというもの。
俺ひとりなら二つ目のプランでも良かったんだけど……。
「ルナ、街は怖いんだよね?」
「こわい、です」
ルナの赤い瞳は差別される。
たぶん、俺が出入りしてた街でも同じだ。
この子にとって人里は安住の地じゃない。
「うん。じゃあ、やっぱり決まりだ。この洞窟に食料を蓄えよう。それと、薪もね」
「はいっ」
「ただ、ガロはともかく俺たちがこの洞窟で暮らし続けるのは難しい。だから冬越えに備えて山小屋を建てようと思うんだ」
「山小屋、です?」
「うん。そんなに本格的なものじゃなくて、簡単なやつだけどね。寒さを凌ぐためにも、寝泊まりする家は必要になるから。わかった?」
「あいっ」
「よし、じゃあやらなきゃいけないことを言ってみて」
ルナが両手の指を数えながらあわあわし始めた。
「えっと、えっと。食べ物、いっぱい、あつめる。薪も、あつめる。あと、山小屋を、たてる」
「よくできました!」
パチパチと拍手すると、ルナがちょっぴり照れくさそうに下を向いた。
「さて、これから忙しくなるよ。木がたくさん必要になるし、たくさん集めないとね」
「わたしも、なにか、手伝いたい、です」
「んー、そうだね。じゃあ、火の番を頼んでもいいかな?」
「火、こわいけど、だいじ」
留守番させるための方便だけど、暖を取るためにも火を絶やさない方がいいのは間違いない。
「ワンワン!」
「うんうん。ガロはルナの護衛だからな。俺がいない間、しっかり守るんだ!」
ガロが嬉しそうにルナの周りをグルグル回り始めた。
「じゃあ、全員のやることもはっきりしたし、お互い頑張ろう! えいえい、おーっ!」
「えいえい、おー?」
俺が腕を上げると、ルナもよくわからなさそうな顔で真似をする。
「みんなでやるぞーってときの合図だよ。気合が入るんだ」
「きあい?」
「やる気になるってこと! ほら。えいえい、おー!」
「えいえい、おー」
「どう?」
「よく、わかんない、けど、やる気、出ます」
ルナが目を輝かせた。
「タカシ、もういっかい、やるます」
「よし、いくよ! えいえい、おー!」
「えいえい、おー!」
「ワオーン!」
よーし、目標も決まったし。
まずはルナが凍えないで済むような立派な山小屋を建てるぞーっ!
ルナの怪我もだいぶ良くなった。
まだ包帯は取れてないけど、積極的に仕事をしたがってる。
マキナにもルナの意志を尊重してあげるべきだと言われたので、昨日くらいから料理をお任せしてみた。
「タカシ、ごはん、できた、です」
「ありがと! 大丈夫? 火傷しなかった?」
「火、あぶない、こわい、です」
マキナに火事トラブルを十例を挙げてもらってルナに伝えたところ、火の取り扱いは俺より慎重になったんだよな。
「ガロも、おにく、だよ」
「ワン!」
ガロも皿に分けられた肉を前にして俺たちの様子をうかがう。
「いただきます!」
「いただく……いただきます」
わざわざルナが俺の発音を真似て言い直す。
「言いにくいなら無理しなくていいよ」
「やだ。ちゃんと、言う、ます」
最近わかってきたんだけど、ルナはちょっと意地っ張りみたいだ。
俺たちが食べ始めると、ガロも自分の餌をハグハグし始めた。お利口!
何度かおかわりすると、俺たちの鍋もあっという間にカラになった。
「ごちそうさまでした」
「ごそさま……ごちさま……むー」
ルナがうまく真似できなくてムスッとする。
「ゆっくり言うから真似してみて」
「ん、ん!」
コクコクうなずくルナ。
「ご、ち、そ、う、さ、ま」
「ご、ち、そ、さ、ま」
「惜しい、あと少し!」
「むーっ」
そのあとも何度か練習したけど、ルナは正しく発音できなかった。
「あわてなくて大丈夫。ゆっくりできるようになればいいからね。次のご飯のときにまた頑張ろ?」
「あいっ」
いい返事だ。
この調子で栄養を摂れば、ルナはもっと元気になる。
そのためにも安全を確保しないと。
「それでさ。そろそろ次にどうするか決めようと思うんだけど」
「どうする、です?」
「ルナ。もうすぐ冬が来るんだよね?」
「あいっ」
そう、冬が来る。
日本にいた頃は冷暖房完備だったから大して気にもとめなかったけど、異世界にそんなものはない。
だからマキナが冬に備えるべきだと強くアドバイスしてきた。
「今は食料が採れてるけど、もうすぐ難しくなる。だから今のうちに森で採れた食料を採って、いっぱい蓄えようと思うんだ」
マキナが提示したプランはふたつ。
冬用の拠点を人目のつかない場所に作って、冬ごもりをする。
もうひとつが街で宿をとって、なんとか食いつなぐというもの。
俺ひとりなら二つ目のプランでも良かったんだけど……。
「ルナ、街は怖いんだよね?」
「こわい、です」
ルナの赤い瞳は差別される。
たぶん、俺が出入りしてた街でも同じだ。
この子にとって人里は安住の地じゃない。
「うん。じゃあ、やっぱり決まりだ。この洞窟に食料を蓄えよう。それと、薪もね」
「はいっ」
「ただ、ガロはともかく俺たちがこの洞窟で暮らし続けるのは難しい。だから冬越えに備えて山小屋を建てようと思うんだ」
「山小屋、です?」
「うん。そんなに本格的なものじゃなくて、簡単なやつだけどね。寒さを凌ぐためにも、寝泊まりする家は必要になるから。わかった?」
「あいっ」
「よし、じゃあやらなきゃいけないことを言ってみて」
ルナが両手の指を数えながらあわあわし始めた。
「えっと、えっと。食べ物、いっぱい、あつめる。薪も、あつめる。あと、山小屋を、たてる」
「よくできました!」
パチパチと拍手すると、ルナがちょっぴり照れくさそうに下を向いた。
「さて、これから忙しくなるよ。木がたくさん必要になるし、たくさん集めないとね」
「わたしも、なにか、手伝いたい、です」
「んー、そうだね。じゃあ、火の番を頼んでもいいかな?」
「火、こわいけど、だいじ」
留守番させるための方便だけど、暖を取るためにも火を絶やさない方がいいのは間違いない。
「ワンワン!」
「うんうん。ガロはルナの護衛だからな。俺がいない間、しっかり守るんだ!」
ガロが嬉しそうにルナの周りをグルグル回り始めた。
「じゃあ、全員のやることもはっきりしたし、お互い頑張ろう! えいえい、おーっ!」
「えいえい、おー?」
俺が腕を上げると、ルナもよくわからなさそうな顔で真似をする。
「みんなでやるぞーってときの合図だよ。気合が入るんだ」
「きあい?」
「やる気になるってこと! ほら。えいえい、おー!」
「えいえい、おー」
「どう?」
「よく、わかんない、けど、やる気、出ます」
ルナが目を輝かせた。
「タカシ、もういっかい、やるます」
「よし、いくよ! えいえい、おー!」
「えいえい、おー!」
「ワオーン!」
よーし、目標も決まったし。
まずはルナが凍えないで済むような立派な山小屋を建てるぞーっ!
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