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第24話 魔法が使えるのって楽しい!
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『まずは、魔力を認識するところから始めましょう。手に魔力を集めるようなイメージをしてください。うまくいけば熱を感じるはずです。』
「こんな感じかな?」
あれ?
もっと苦戦するかと思いきや、あっさり熱を感じられたぞ。
「この感じが魔力なのか」
『はい、それが魔力です。次は、魔力の性質をイメージどおりにします。今回の場合でしたら、魔力が木の水分を集めてくれるイメージです。』
「ふむふむ。つまり、こうかな」
山小屋の柱から水蒸気みたいのが手の上に集まって水の玉ができあがっていく。
初めて魔法を使えたんだから感動しそうなものだけど、当たり前のことができてる感じしかしない。
「もっと神秘的なのかと思ってたけど、魔力があれば割と普通にできるんだなぁ」
『簡単に感じるのは、タカシさんのステータスが普通の人間と比べて非常に高くなっているからです。本来ならもっと長い訓練が必要となります。』
「なるほどね」
つまり【知力】200とか【精神】100の恩恵か。
「あっ!」
ちょっと集中を切らしたら、手元に集まった水の玉が床に落ちて弾けてしまった。
「うーん。この魔法は水を回収する容器を用意してから使ったほうがいいね」
『そうですね。あるいは、水を直接枯渇させる魔法にする手もあります。』
「保存すれば生活用水にできるし、このままでいいかな。ひとまずこの魔法を使えば問題解決……って、あれ。水を吸収した生木がすっごくしぼんでるんだけど?」
『急激に水分を失ったことにより、形状変化を起こしたようですね。木の形を変えないようするなら、そのための魔力を木にこめる必要があります。』
「つまり水分吸収と木の形状維持を同時にやらないといけないのか」
だったら、今度は魔力と水分を入れ替えるイメージで!
「よし、今度はうまくいった! 木がしぼんでないよ!」
『タカシさん、おめでとうございます! あとはこの魔法の呪文を決めれば完了です。これら一連の流れが魔法の習得となります。』
「魔力操作だけでもできそうだけど、呪文を決めるとどうなるの?」
水の玉をいつも使ってる鍋に入れて、さっきしぼませてしまった木を魔力で元に戻しながらマキナに尋ねた。
『呪文を決めると、以後は同じ魔法効果を再現できます。射程や効果対象の種類などを増やしたい場合は、さらなる試行が必要となります。ただし、汎用的な魔法は【魔力】の消耗も激しくなるので注意が必要です。それと覚えておける魔法は【知力】のステータスと同じ値までとなりますので、魔法の習得は慎重に行なってください。』
「つまり、この時点で呪文を決めると『手の届く範囲の生木から形を維持したまま水分を吸収して排出するだじぇ』の魔法になるのか。その分、【魔力】の消費も少なくて済むけど、そういう魔法ばっかり覚えると新しい魔法が覚えられなくなる、と」
『はい、そうなりますね。タカシさんの場合は、【知力】や【魔力】のステータスを変更できるので、そこまで大きな問題にはなりません。また、覚えた呪文は後から忘れることもできます。なんらかの原因で知力が習得数を下回った場合、忘れる呪文はランダムになります。』
魔法を任意で忘れられるなら、そこまで習得枠を気にする必要はないかな。
今の【知力】は200あるし、脱水魔法はこれからもたくさん使う機会がありそうだ。
「わかった。この魔法の呪文はウッド・ドレインにしよう」
『いいと思います。早速ウッド・ドレインを試してみましょう。』
「ようし……ウッド・ドレイン!」
生木がしぼむことなく水分だけが手元に集まっていく。
「ふぅん。魔力の操作に意識を割かなくていいから楽だな」
魔法の効果が終わった途端に水の玉が落ちそうになったので魔力で宙に浮かばせておく。
「ん……なるほど。逆に魔力操作は常に集中しないといけないわけか」
集中をやめると、水の玉は床に落ちて弾けた。
「うん。かなり面白いな、魔法。極めがいがありそうだ」
『はい。かなり奥深く、応用によってはさまざまな奇跡を起こすことができます。』
俺の魔力と知力をもってすれば、さらにルナの生活環境を改善できるはずだ。
だけど――
「マキナ。ルナの前で魔法を使うのは避けたほうがいい気がするんだけど、どう?」
『はい、タカシさん。魔法の使用はルナさんのトラウマやコンプレックスを刺激してしまう可能性が高いです。みだりな使用は避けたほうがいいでしょう。』
「もちろん、それもなんだけど。俺が魔法でなんでもできるようになったら、ルナの手伝える仕事がなくなっちゃうと思うんだよね。それって多分、あの子のためにならないと思うんだ」
ルナを守るには魔法の力もきっと必要になる。
だけど、魔法の研究に没頭してあの子をないがしろにしたら意味がない。
「魔法の訓練はルナが寝てからこっそりやるよ。いつかあの子が魔法を嫌がらなくなるときまではね」
『タカシさん、素晴らしい判断です。ルナさんが健やかな心で過ごせるように助けてあげましょう。』
「もちろん! さあ、そろそろルナのところに行こうか」
「こんな感じかな?」
あれ?
もっと苦戦するかと思いきや、あっさり熱を感じられたぞ。
「この感じが魔力なのか」
『はい、それが魔力です。次は、魔力の性質をイメージどおりにします。今回の場合でしたら、魔力が木の水分を集めてくれるイメージです。』
「ふむふむ。つまり、こうかな」
山小屋の柱から水蒸気みたいのが手の上に集まって水の玉ができあがっていく。
初めて魔法を使えたんだから感動しそうなものだけど、当たり前のことができてる感じしかしない。
「もっと神秘的なのかと思ってたけど、魔力があれば割と普通にできるんだなぁ」
『簡単に感じるのは、タカシさんのステータスが普通の人間と比べて非常に高くなっているからです。本来ならもっと長い訓練が必要となります。』
「なるほどね」
つまり【知力】200とか【精神】100の恩恵か。
「あっ!」
ちょっと集中を切らしたら、手元に集まった水の玉が床に落ちて弾けてしまった。
「うーん。この魔法は水を回収する容器を用意してから使ったほうがいいね」
『そうですね。あるいは、水を直接枯渇させる魔法にする手もあります。』
「保存すれば生活用水にできるし、このままでいいかな。ひとまずこの魔法を使えば問題解決……って、あれ。水を吸収した生木がすっごくしぼんでるんだけど?」
『急激に水分を失ったことにより、形状変化を起こしたようですね。木の形を変えないようするなら、そのための魔力を木にこめる必要があります。』
「つまり水分吸収と木の形状維持を同時にやらないといけないのか」
だったら、今度は魔力と水分を入れ替えるイメージで!
「よし、今度はうまくいった! 木がしぼんでないよ!」
『タカシさん、おめでとうございます! あとはこの魔法の呪文を決めれば完了です。これら一連の流れが魔法の習得となります。』
「魔力操作だけでもできそうだけど、呪文を決めるとどうなるの?」
水の玉をいつも使ってる鍋に入れて、さっきしぼませてしまった木を魔力で元に戻しながらマキナに尋ねた。
『呪文を決めると、以後は同じ魔法効果を再現できます。射程や効果対象の種類などを増やしたい場合は、さらなる試行が必要となります。ただし、汎用的な魔法は【魔力】の消耗も激しくなるので注意が必要です。それと覚えておける魔法は【知力】のステータスと同じ値までとなりますので、魔法の習得は慎重に行なってください。』
「つまり、この時点で呪文を決めると『手の届く範囲の生木から形を維持したまま水分を吸収して排出するだじぇ』の魔法になるのか。その分、【魔力】の消費も少なくて済むけど、そういう魔法ばっかり覚えると新しい魔法が覚えられなくなる、と」
『はい、そうなりますね。タカシさんの場合は、【知力】や【魔力】のステータスを変更できるので、そこまで大きな問題にはなりません。また、覚えた呪文は後から忘れることもできます。なんらかの原因で知力が習得数を下回った場合、忘れる呪文はランダムになります。』
魔法を任意で忘れられるなら、そこまで習得枠を気にする必要はないかな。
今の【知力】は200あるし、脱水魔法はこれからもたくさん使う機会がありそうだ。
「わかった。この魔法の呪文はウッド・ドレインにしよう」
『いいと思います。早速ウッド・ドレインを試してみましょう。』
「ようし……ウッド・ドレイン!」
生木がしぼむことなく水分だけが手元に集まっていく。
「ふぅん。魔力の操作に意識を割かなくていいから楽だな」
魔法の効果が終わった途端に水の玉が落ちそうになったので魔力で宙に浮かばせておく。
「ん……なるほど。逆に魔力操作は常に集中しないといけないわけか」
集中をやめると、水の玉は床に落ちて弾けた。
「うん。かなり面白いな、魔法。極めがいがありそうだ」
『はい。かなり奥深く、応用によってはさまざまな奇跡を起こすことができます。』
俺の魔力と知力をもってすれば、さらにルナの生活環境を改善できるはずだ。
だけど――
「マキナ。ルナの前で魔法を使うのは避けたほうがいい気がするんだけど、どう?」
『はい、タカシさん。魔法の使用はルナさんのトラウマやコンプレックスを刺激してしまう可能性が高いです。みだりな使用は避けたほうがいいでしょう。』
「もちろん、それもなんだけど。俺が魔法でなんでもできるようになったら、ルナの手伝える仕事がなくなっちゃうと思うんだよね。それって多分、あの子のためにならないと思うんだ」
ルナを守るには魔法の力もきっと必要になる。
だけど、魔法の研究に没頭してあの子をないがしろにしたら意味がない。
「魔法の訓練はルナが寝てからこっそりやるよ。いつかあの子が魔法を嫌がらなくなるときまではね」
『タカシさん、素晴らしい判断です。ルナさんが健やかな心で過ごせるように助けてあげましょう。』
「もちろん! さあ、そろそろルナのところに行こうか」
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