僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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戻ってきたら大騒動

僕は何者か

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『魔神の愛し子』

 そもそも魔神とは鷄子トリノコを生み出し存在。

 世界は鷄子からできたといわれている。
 何も無い漆黒のとさえ認識のされない空間にポツリとあった鷄子が割れて空が現れ大地が出来た。
 そのはじめの空間と鷄子を生み出したのが魔神だ。

 魔神は2つの存在であり、それぞれ主神と呼ばれるもの達をまとめあげる神帝王、魔王達をまとめる魔帝王がいる。彼らは世界の理に手を出すことはなくただただ見守るだけであった。

 しかし、彼らは一度だけ世界に手を出した事がある。

 その存在はちっぽけでありながら気高く、その身に纏う力は至上。彼らは対象は違えど人に恋をした。
 しかし、魔神と名の巨大な力は人には重すぎた。
 魔神の力を受けし子はその力で魂ごと消え去ろうとしている。そこで、二人は互いの反する力を利用して力の相殺を試みた。その試みは成功したが、神、魔、人の3つの力を持つ禁忌の子が出来てしまった。

 それこそが魔神の愛し子である。

 魔神の愛し子は身体が朽ちても記憶を魂に宿し生き続ける。それがどんなに辛いことでも。



「眼の色が変わったのは記憶が戻り自分が何者か理解したからかと。」
「その瞳は特殊なのか?」
「……はい。人はこの瞳を『邪眼』、又は『魔眼』と呼びます。」


 そう口に出したとき、僕の瞳は怪しく輝いていたらしい。
 
 僕の父は神帝王である六花。残念なイケメンの方である。そして、この瞳に受け継ぐ力は魔帝王である紫暗さんのもの。

  そんな話をしていると壁の花と化してたバルスさんが真面目な表情で指摘した。それは、僕が気にしていること。


「そのわりには魔力が少ないですね。」
「……人の子の能力がまちまちであるように、魔神の子だからって兄上みたいにチートじゃないんです。」
「十分チートだけどな(ぼそり)。」


 兄上のため息混じりの言葉ははっきりとは聞こえなかったがとても心外な事をいわれている気がする。

 

「魔神様方の御子なのね。」
「母様……。」


 家族団子から離れて自らのお腹に手を添え、どこか愁いを帯びた表情で母様は僕を見ていた。それに寄り添う様に父様が華奢な肩を抱き寄せてこれまた何かを思いがあるような瞳で見られる。
 これはまさか、人だけど人じゃない僕に嫌気が差したのか。


「……で、でも、この世界で僕を作り上げてくれたのは母様と父様です。だから、僕を嫌いにならないでください。」
「っ!……嫌いになるわけないじゃない!私は、魔神様方に貴方をとられるのではと……。」
「その心配はない。奴等は愉快犯だが、一応世界には手出しはしない。たまにこの世界にちょっかいを出すだけだ。」


 それって、手を出してるよね。

 兄上曰く、この世界だけは別格なのだとか。なんじゃそりゃ。
 訳あり異世界人や転生者を呼び寄せてこの世界に住んで貰っているだけなんだとか。もちろん、戻りたいと願えば直ぐに戻すらしい。
 それを見た他の世界の神が真似して戻せなくてあわあわしたりするみたいだけど。
 異世界召喚の元凶はお前らか!


「……お主ら、城下町で聖女の話を聞いたか?」


 皇帝陛下が深刻な顔で唸っていると思ったら、突然に脈絡の無さそうな話を振ってきた。
 そこは素直に頷くと、皇帝陛下は確認するかのようにコウにぃに視線をやる。コウにぃはその視線だけで内容がわかったのか頷き返す。
 それを見て皇帝陛下は頭を抱えるようなポーズをとってため息をついた。


「おそらく、その聖女はお主の事だなシンリ君。」
「ふぇ?」
「話が出たのが数日前。日程的にお主らがヘイムダルにいた頃だ。」
「そもそも、僕は聖じゃないし。」
「聖女の話はどうやって広まったとおもう?」
「誰かがみたとかでしょ。」
「いや……。」


 事の始まりは数日前。
 確認したら本当に記憶を取り戻した頃であった。

 神殿に住まう『ひもろぎ』と呼ばれる依り代の巫女が精霊と対話した事が切っ掛けだった。
 精霊達はいつもと異なり喜び踊っていたのだとか。
 見える人だった依り代の巫女はなぜ喜び踊っているのか尋ねたという。すると。

『愛し子が覚醒した目覚めたよ。』
『やっと見てもらえるわ。』
『あのお方は。』
『強いけど弱いあの方を守らなきゃ。』


「とまあ、なったわけだ。そしたら巫女はそれを公表した。それが一昨日。」
「そしたらあっという間に広がったわけ?」
「癒される、可愛い、弱いのワードからいつの間にかその愛し子とは聖女の事だと言われ出したのが昨日。」
「あー、確かに僕の事かも。」


 うん。可愛い癒されるってよくわからないけど、って呼ばれているしね。
 とりあえず、妖精にはこれ以上騒がれても困るから……。


「叱っといたぞ。」
「……有り難うコウにぃ。」


 コウにぃの周りにはお互い寄り添い震える精霊達がいる。 パッと見は光の玉だが、よく見ると羽の様なものが飛び出していて可愛い。
 そんな彼らがふるふるしているのを見るのは癒される。
 って、彼等こそ聖女でいいんじゃないの?
 性別わかんないけど。


 まあ、兄上がこう言ったし精霊達はすぐに騒がなくなるだろう。だが、問題は広めていた男やきっと居るだろう自称聖女様達だ。

 特に自称聖女様は変なことをして怒りを買わなきゃ良いけど。


「報告します!今城下町に神殿の男と聖女と名乗る娘が騒ぎを起こしております。」


 ほらね。






 



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