僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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戻ってきたら大騒動

私は騒動の行く末を見つめる

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 冒険者達に怒られた後、兄様に連れられて昔から皆に愛されている光陰カトレア教会に来ていた。
 ここで本当の愛し子様と会う予定だと宿の皆には伝えてある。
 教会には皇帝陛下が話をつけてあるようで、すんなりと奥の聖堂に通された。聖堂は光に溢れて、何処と無く雰囲気がこの世界で初めて彼らに逢った部屋に似ていた。

 聖堂の奥に、一体の女性の像が立っている。
 彼女が、この協会の名前にもなった女神カトレア様なのだとか。
 カトレア様は、魔神達にこの世界の秩序の監視役として任されている偉い神様だそうで、たとえ悪と呼ばれている存在でも、善と呼ばれている存在でも平等に愛し、裁きを下すのだとか。
 

 は、その像の前に片膝をついて祈りを捧げるように手を組んだ。ちなみに洋服は着替え済みです。さすがにあの格好では会うのもどうかと思うしね。
 そして、ゆっくりと目を閉じて魔神達の名を呼ぶ。
 すると、その場の空気が変わったのが感じられる。
 目を開けると、想像通りあの白い部屋に来ていた。

 部屋には、嬉しそうな父上魔神達と控えるように立つ一人の美人なお姉さん。
 お姉さんは煌めくブロンドをラフにまとめ、優しそうな相貌を持つ超絶美人さん。

 あの聖堂にあった女神像と何処と無く雰囲気が似ているから、きっと彼女がカトレア様なのだろう。


「シンリ、待っていたよ☆」
「相変わらずのテンションですね。」
「そうそう、その反応だよ!それでこそ、シンリだよね!」
「思い出したようで何よりだ。」
「ご心配お掛けしました。」


 ぺこりと頭を下げると、二人して違うだろと言われて腕を拡げた姿で待ち構えられている。
 少し、恥ずかしく戸惑っていると、さらに催促されてしまったので、えーいままよと飛び込んでいった。
 

!」
「ふーふー。可愛いなぁ。」
「変態臭いぞ。シンリ、お帰り。」
「あっ、そうだ。お土産が有るんだ。」


 二人の腕から抜け出すと、例のもののイメージを固める。すると、先程からの馴染みの重さが手に現れた。
 気に入ると良いんだけど。と笑顔付きで渡すのはロキ王の入ったビン。
 きっと今頃はのビンは光のエフェクトに包まれて消えていることだろう。

 渡された、六花は何とも言えない表情でそれを受け取り、ビンを開けて中の怨霊を解き放った。
 ビンから飛び出た怨霊は煙の様に辺りに充満し始めた所で、紫暗が手で何かを集めるような動きをした。
 手が動く度に煙は圧縮されて、最後にはこぶしだいの玉に変化変化する。
 その玉は黒く濁っており、輝きが無い。
 それを、控えていた女性に渡せば、女性は恭しく受け取った。


「これはカトレアに任せる事にするよ。シンリ、ご苦労様。」
「あっ、やっぱりこの美人さんは女神カトレア様だったんだ。」
「様などはお止めください。魔神様方の御子様。」
「カトレア様こそ。僕はこの世界ではただの一人の住人ですよ。」
「いえ、貴方様は…。」
「僕がそう願っているんです。ただの伝とコネが凄い人間です。」
「…とてつもない伝とコネですが、貴方様がそう願うのでしたら。」


 カトレア様は渋々という感じで引き下がった。納得はしていないだろうけど、これ以上の追求もなさそうなのでまあ、良いだろ。


「それ、どうするの?」
「魂まで汚れてますので、転化させて新たな魂とするのですよ。」
「ロキ王は消えるんだ?」
「消える訳ではありませんが、まあ、似たようなものですね。」


 これであいつロキ王の処遇は決まったと報告していいかな。人形の国の被害者の冥福と、ロキ王の新たな門出が良いものである事を願おう。
 何でロキ王もかって?
 悪い奴だったけどそれでも一応、この世界の父上達が創った世界の住人だからね。今度は道を外れないよう願うだけだよ。

 あっさりと、厄介者の処理が終わり僕の役目も終わった。干渉出来ない魔神に届けると行った感じだったのでやっぱり、僕か兄上の役目だったんだなぁとかしみじみとおもうよ。

 さてと、あんまり長居すると、兄様も心配するので戻ることを伝える。すると、六花がいやいやと抱きついて離れなくなった。


「向こうは、時が止まってるから大丈夫だよ。お茶でもしようよ。」
「干渉は最低限の約束だ。諦めろ。」
「紫暗は話したくないの?」
「話したいに決まっているだろ!」
「じゃ、じゃあ、一時間だけ。カトレア様、一時間したら強制終了してください。」
「わかりました。」


 僕だって一緒にお喋りとかしたい。
 でも、あんまり干渉すると世界のバランスが崩れるとコウにぃに聞いていたから、直ぐに帰るつもりだったけどあと少し位良いよね。

 あと一時間居ることが決まると、六花はいそいそとお茶の準備をして、紫暗はテーブルの準備をしてくれた。
 頑なに拒否していたカトレア様を必殺技涙目で同席させると、お茶を一口。

 超絶旨い。


「そういえば、何故邪眼のままなんだ? 色々見えて大変だろ?」
「あえっ?切り替えられるの?」
「…まだ慣れてないんだな。失礼する。」


  紫暗が目元に手を当て、魔力の流れの変え方を身体に教えてくれる。
 なんとなくわかってきた頃、手を外された時にはモヤモヤしていたものとか、光のオーブとかが消えていた。凄く見やすいです。


「邪眼発動時には色々と見えてはならないものも見えるからな。邪魔なら精霊を見えなくなるまで押さえられるぞ。」
「それは後々、自分で学ぶよ。ありがとう。」
「えぇ、ずるい!私だって何かしたい☆」
「じゃあ、彼女に救済処置出来ないかなぁ。」
「む、彼女かい? 彼女は私たちの絆を…。」
「絆も大事なのは知っているけど、僕は父上達に出会えただけで満足なんだ。」


 彼女とはクレアの事である。
 今回の事で懲りただろうし、どうせなら愛し子発表の時にでも元に戻せば、信憑性も上がるだろう。

 それに、僕にはこうして父上とお茶を出来るだけで幸せなのだ。


「ぐぬぬ、可愛い事を言ってくれる。わかったよ。精霊王に伝えておこう。カトレア、頼むよ。」
「はい。彼女が反省していれば魔素もどうにかしましょう。」
「ありがとう。父上、大好きです。」
「ただし、今度来るときはシシリーで来ることな。直接見たかったんだからな。」
「俺も楽しみにしていよう。」


 ええー。偉い立場の父親に女装を見せるって恥ずかしんだけど。
 え、カーディス父様は? だって、何時も母様と一緒に姉妹みたいだ言われてるから拒否反応はないよ。 覚えてないと思われてるけど実は、よく母様に女物着せられたりしたしね。


。」


 しばらく来る気ないから言っておくだけ言っておくけど。
 ほら、世界のバランスのためにはちょいちょいここに来るもんじゃないよね。

 この後は誤魔化しつつもゆったりのんびりお茶会をしました。











「ただいま。」
「ああ、帰ってきたんだね。ビンが消えてるということは始末してくれそうなんだ。」
「うん。」
「それは、よか…た…!」


 
 カトレア様の像から振り向くと、兄様の言葉が途切れて、目が見開かれた。
 その行動の意味がわからず首を傾げる。すると力強く抱きしめられた。顔を埋めている首筋に冷たい何かを感じる。
 息が荒く、時折嗚咽を漏らしていることから恐らく泣いているのだろう。


「ヴァン兄様、どうかしましたか。」
「眼、眼が元の色にっ。父様と同じ…。」


 手を背中に回し、宥めるように一定のリズムてさする。

 どうやら、邪眼が発動していないときは元の水色に戻るようだ。
 兄様は人形の国から帰ってきた僕が雰囲気が変わり瞳も変わって別の人に見えたらしい。でも、大切な弟で。とやりきれない気持ちを隠しつつ、今まで何も言わずに来ていたのだそうだ。


「ずるいけど、その父様と同じ瞳を見て、安心して泣けてきてしまったよ。やっぱりシンリはシンリなんだって。」


 はにかむ兄様を見てなんだか、家族の絆が深くなった気がします。





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