僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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はじまりと記憶

皇子様は魔王様②

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皇子様は魔王様②





 さてさて、何だかんだで僕は家族総出で王都に来ています。
さすが王都。物の数や質が桁違い。

 しかも、ちゃんと整備がされていて細い暗い路地裏までも陰険な雰囲気を感じさせない。
 話によると魔王様こと第二皇子様が幼いながらに意見して整備させたとのこと。
 その様は、反論者に口を挟ませる隙を与えずに子供とは思えない淡々とした態度で利点と欠点を打ち出し、欠点の対策まであらかじめ別紙に用意し伝えるという完璧さ。

 まさに反論者からすれば魔王の様。

 そんな、魔王様が剣術の稽古で父様に指導してもらっていた時に僕の話を聞いてからご執着らしい。
 大人びてわがままなど言わなかった皇子が初めて言った自分の要望に、皇帝陛下までも興味が出てきてしまい、今回の謁見となった。
 この状態はある意味ドナドナだよね?



「さあ、シンリ。緊張はどうだい?」


 王都の道を走る馬車の中、思考に没頭していた僕に話しかけてきたのはチート兄さん達の一人ヴァン兄様。

 子供ながらにその一言一動が大人びた色気を持つ12才。なんと末恐ろしいことか。
 跡取りと言う重圧もあるだろうに文句もなく皆を平民、貴族を分け隔てなく接し、責任感が強い。だけど頑固ではないし凄く優しい。 
 よく、忙しい母様の代わりに僕の面倒を見てくれた。

 今現在も、初めての王都に緊張してないか問いかけてくれる。
 そんなヴァン兄様に思考を止め、背筋を正しにこやかに答える。



「ヴァン兄様、大丈夫です。」
「ばーか、強がってんじゃねぇよ。」
「エリシス。」
「俺たちでも緊張すんだから無理すんなよ。」
「……少しだけ怖いです。」



 にこやかに、本心では心配かけたくなくて、不安な心情をかくして答えれば、チート兄様二人目、エリシス兄様ことシス兄様がばーかばーかと声を挟んできた。

 シス兄様はぶっきらぼうで愛想がない風に見えるけど、さっきみたいに人の気持ちに聡くて、すぐにフォローをしてくる。
 だけど、口が悪くて誤解されがちだ。今もばーかばーかと言われてヴァン兄様の眉間にシワが寄る。
 ため息をついたヴァン兄様に名前を呼ばれて嗜められるがなんのその。

 でも、僕が心に隠していた不安を口に出せば悪びた口調とは裏腹に頭を軽くぽんぽんと叩き安心させてくれる。

 優しい兄様だ。



「大丈夫だよ。俺達もいるし父様も母様も別の馬車でもう城に待機してるから。」
「そうそう、魔王様も急に噛みつかないから安心しろよ。」



 ヴァン兄様、シス兄様が順じて声を掛け、僕を挟んで座っている二人が手を握ってくれた。
 転生前の日本では国のお偉いさんに遭うことなど皆無な生活だたったため、無意識に手が冷たくなるほど握りしめていたのをゆっくりとほぐし暖めてくれる。


 手が暖かくなるほどに胸もぽかぽかしてくる。

 本当は怖かったのだと思う。転生者であったとしても会ったこともないそれこそ普通は領主でもめったに会えない皇帝陛下の息子に会うなんて。
 しかも、相手は魔王の愛称の切れ者だ。

 ヘマをしたら僕だけでなく、兄様や両親、悪ければ領民にも迷惑がかかる。
 その責任はとても重い。


 でも、今は大丈夫だと確信してる。



「兄様方、ありがとう。」



 ふにゃりと安心できた顔で笑えば、二人は僕の手を握ってない方の手を顔に宛てて、悶えだした。

この女顔かおの効果はスゴイナー。



 そんなやり取りがあってしばらくすると 、賑わいに満ちた城下町が落ち着いた雰囲気に変わり馬車が動きを停めた。馬車の御者が外側からノックをする。どうやら目的地に付いたらしい。

 御者が入口を開けて階段を設置してくれた。
 まずはシス兄様が降りてゆく、降りたらこちらに向き直り手を差忍ばしてくれた。
 そのエスコートされるままに手をとって降りると、自然の日の光が目に入り眩しかった。
 結構、馬車の中って暗いな。

 そう思いながら目をしぱしぱさせていた僕の背後からはヴォル兄様が固まった身体を伸ばしながら降りてくる。

 そうそう、僕達の服装だけど兄様達は父様の正装の小さくしたような形。

白が基調の騎士のような服装を思い出してもらえればいいかな。その背には短めのマントが付いていて、乙女ゲームのヒーローみたいだ。
よく思うけど、マントっているの?

 ちなみに僕は、半ズボンで生足を晒しだした紫暗色の正装。
ちょっぴり学生服みたい。何処がって詰め襟部分?
 私立の小学校ってこんな感じだったかも?
 いやいや、それよりは銀で出来た飾りが豪華に感じる。 


 目の前に建つお城の外観はまさにイギリスとかのお城まんまなんだけど、壁が汚れどうやって落としてんの?って位真っ白。
 きっと魔法使ってるよね。
 冒険者とかになったらお風呂が入れないときも来るだろうし、魔法が使える様になったら絶対におぼえよう。

 馬車から少し移動して城の入口、僕達のいる場所には城から伸びる氷の橋が掛かっている。
 この橋には魔法が掛かっており、登城する許可を持たないひとが通るとその人を凍らせるらしい。そして、けたたましい警報が警備室になり回収されて、取り調べを受けるのだとか。


 だからと言って橋を渡らずに行こうとすると、城の外堀は底が見えないほど深くなっており、堀をどうにか越えても今度は水の結界が侵入を拒むという防犯具合。

 最初は、焔の結界で防犯をしようとしたらしいが、さすがにそれはやりすぎだと却下になった。
 その時、魔王様が舌打ちしたのをみた人もいるのだとか。



「さあ、行こうか。」


橋の脇を固める衛兵に何かしら書状を渡したヴァン兄様は僕の手をにぎって歩きだした。
反対の手をシス兄様が握ると身長差のせいでまるで捕まった宇宙人だと思いながら、謁見の間向かう。


 謁見の間に向かうまではやはり、注目されてしまった。
 兄様達は父様に連れられて何度か来ているため、警備兵とかは顔を覚えているみたいだが、初めて見る僕に警戒しているみたいだ。
 何度も僕をチラチラと見ては険しい顔になったり、ガン見しては息を荒くしている奴もいる。
 後者は多分、僕の顔のせいだと思うが兄様が視線で蹴散らしてくれるので気にしないでおく。

 ピリピリとした雰囲気に、豪華絢爛なお城の内部を見学する暇もない。

しばらくすると、大人数が一度に入れる様な大きな扉の前に着いた。扉の前には槍を持った兵士が四人立っている。
どうやら、謁見の間に着いたようだ。








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