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はじまりと記憶
兄上は魔王様
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兄上は魔王様①
「で、シンリは転生者で転生前は第二皇子の弟って事でいいのか?」
あのあと、膜(結界)を外してそれと同時に来た兄様達の攻撃魔法を片手でいなした兄上は僕を抱き締めながら説明をしてくれた。
その際、父様の剣や魔法が常に襲い来るが少し体をずらすだけで避けていた。
仮にも今は皇子でもある兄上にこのような事をして大丈夫なのか不安になったが、 皇帝陛下が額に手を宛てて呆れているだけなのを見るかぎり、不敬罪とかで手打ちなんて事にはならなさそうだ。
母様、あらあらなんて微笑んでないで止めて下さい。
楽しそうに争いを見ている母様に救いの目線を向けるも、次第に激しくなる父様の剣撃にほうっとまるで恋する少女の様に頬を染めて見ているだけで動こうとしない。
ああ、もう、しょうがないなぁ。
謁見の間がどんどんと元の姿を失いつつあるのを見て、何よりも物理的に振り回される僕自身がつらくなってきたので、この場を収めようと鳩尾を肘で打ち悶絶する兄上の腕から抜け出し、さっきから飛んでくる魔法をステップで避け、驚いた顔で降り下ろされる目前の剣を側面から掌底で叩き折る。
最後に母上直伝の可憐な笑みを浮かべれば、父様がヒッと声をあげ、母様はまあ、と何処か嬉しそうにした。
静かになった所で辺りを見回せば、そこはまるで戦場後の様である。
綺麗に装飾されていた謁見の間は色々な攻撃を受け玉座がある場所を除きボロボロになってしまっていた。これは後で宮廷魔導師達により元に戻るのだとか。そのときに差し入れでもすべきかな。
というよりどうやって説明するのかな。
本当にうちの家族(新旧)が済みません。
申し訳ない気持ちが表情に表れていたのか、皇帝陛下は僕を気遣い苦笑いで大丈夫だよと優しい声をかけてくれた。
そこで改めて皇帝陛下の姿をちゃんと見ることができた。さっきはそれどころじゃなかったからね。
ナイスミドルなおじ様の印象は変わりない。ダークグレーの髪にどことなく兄上に似た切れ長の翠色の目には僕を気遣う優しげな色がたたえられている。
年齢不詳の体は贅に肥えたものではなくちゃんと鍛えられていて武人を思わせた。
うん、こんな大人になりたいな(2回目)。
じっと憧れの眼差しでみていると、それが面白くなかったらしい父様に皇帝陛下から隠されてしまった。
その後に聞こえてきた掛け合いから、どうやら父様と皇帝陛下はご学友であるらしく、母様と皇帝妃も幼なじみで仲が良いのだとわかった。だからってそんな馴れ馴れしくしないでよ。
「でも、シンリがあんなに動けるとはな。」
「そうそう。」
「それは、兄上についての記憶が戻ったからですかね。」
兄上の事を思い出した事が嬉しくて、受かれたような状態が今の家族に通じたのか、ムッとした雰囲気が父様や兄様から発生し始めた。
それを母様が嗜めつつ、僕の目線まで腰を落とすと質問をぶつけてきた。
「どんな記憶なのかしら?」
「兄上は僕の光なんです。」
暗いくらい場所から僕を照らして助け出してくれた。
それだけじゃない、食べることの喜び、学ぶことの楽しさ、安心できる場所の心地よさ、多くの生き方を教えてもらった。
何よりも
「大切な人を守る事のできる力を教えて貰いました。」
「……そんな兄に戸惑いもなく攻撃を喰らわせたがな。」
心外だなと母様とよく似た笑みを浮かべながら、母様から離れてまだ鳩尾を撫でている不満げな兄上の元に向かう。
「兄上なら大丈夫でしよ?本気じゃないし。」
「まあな。」
「兄上の事を思い出せて良かった。だけど紫暗さんや六花さんの事は全然だけどね。」
「あの二人の事なら思い出さなくても構わん。」
「えっ?」
いいのかな。どこかで残念なイケメンが酷いって泣いてそうだが。
「それと、今の世界では俺の事はコウランと呼べ。」
「……コウにぃ?コウ兄さん?」
「…………どっちでも良い。」
しばし、無表情で何かを考えていた兄上もといコウランは首を傾ける僕に諦めたようなため息をして許可をしてくれた。
きっとこの世界では肉体的には兄弟では無いからそう言ってくれたのだろうけど、僕にとっては兄上は兄上だからしょうがない。
何だかんだで魔王と呼ばれるコウランも僕には甘いようで良かったです。
「シンリっ、俺たちの事もにぃって呼んでよ。」
「そうだ!」
「ヴァン兄様やシス兄様は兄様だから。」
「魔王でもこの国の皇子だからな。」
「それもそうか。じゃあコウラン皇子さ」
「やめろ。」
コウラン皇子様と呼ぼうとして本当に嫌そうな顔をするコウランがおかしくてクスクスわらってしまった。
「楽しそうにしているところすまない。」
「あっ、ご免なさい。」
「君は良いこだね。うちの魔王も原因だから気にすることないよ。それと、正式の場ではちゃんと皇子でね。」
「もちろんです。」
「……ちっ」
皇帝陛下、マジ優しい。
「さて、コウランの大切なシンリ君を見れた事だし我が可愛くない息子の面白い姿も見れたし……」
「おい。」
「そろそろ、謁見の間の修復を頼みたいのだが?」
「僕達も手伝いましょうか?」
「いやいや、魔導師達の能力をもってすればちょちょいのちょいだから大丈夫だ。」
皇帝陛下が合図をすると、謁見の間の扉が開き様々な色のローブを見にまとったものたちが次々と入ってきた。
彼らはその場の惨状に目を見開いたかと思うと直ぐ様に至る場所に散り、呪文を唱え始めた。
彼ら呪文を唱えると、その場所が光り元に戻る。
そもそも、この城には記憶の魔法が掛かっており、その魔法のお陰でよほどの破壊でない限り元に戻すことができるのだとか。
「魔法って良いね。」
「ああ、お前が前に使っていたのはアレだしな。」
「ねぇ。」
コウランと前の事をほのぼのと話していると、その話が聞こえてきたのか皇帝陛下が興味を示してきた。
どうやら転生者、異界人にはよくある特典と云うものがあり、それはステータスでわかるのだとか。
先程のコウランと父様達を止めたからそのステータスが興味あるみたい。
「で、シンリは転生者で転生前は第二皇子の弟って事でいいのか?」
あのあと、膜(結界)を外してそれと同時に来た兄様達の攻撃魔法を片手でいなした兄上は僕を抱き締めながら説明をしてくれた。
その際、父様の剣や魔法が常に襲い来るが少し体をずらすだけで避けていた。
仮にも今は皇子でもある兄上にこのような事をして大丈夫なのか不安になったが、 皇帝陛下が額に手を宛てて呆れているだけなのを見るかぎり、不敬罪とかで手打ちなんて事にはならなさそうだ。
母様、あらあらなんて微笑んでないで止めて下さい。
楽しそうに争いを見ている母様に救いの目線を向けるも、次第に激しくなる父様の剣撃にほうっとまるで恋する少女の様に頬を染めて見ているだけで動こうとしない。
ああ、もう、しょうがないなぁ。
謁見の間がどんどんと元の姿を失いつつあるのを見て、何よりも物理的に振り回される僕自身がつらくなってきたので、この場を収めようと鳩尾を肘で打ち悶絶する兄上の腕から抜け出し、さっきから飛んでくる魔法をステップで避け、驚いた顔で降り下ろされる目前の剣を側面から掌底で叩き折る。
最後に母上直伝の可憐な笑みを浮かべれば、父様がヒッと声をあげ、母様はまあ、と何処か嬉しそうにした。
静かになった所で辺りを見回せば、そこはまるで戦場後の様である。
綺麗に装飾されていた謁見の間は色々な攻撃を受け玉座がある場所を除きボロボロになってしまっていた。これは後で宮廷魔導師達により元に戻るのだとか。そのときに差し入れでもすべきかな。
というよりどうやって説明するのかな。
本当にうちの家族(新旧)が済みません。
申し訳ない気持ちが表情に表れていたのか、皇帝陛下は僕を気遣い苦笑いで大丈夫だよと優しい声をかけてくれた。
そこで改めて皇帝陛下の姿をちゃんと見ることができた。さっきはそれどころじゃなかったからね。
ナイスミドルなおじ様の印象は変わりない。ダークグレーの髪にどことなく兄上に似た切れ長の翠色の目には僕を気遣う優しげな色がたたえられている。
年齢不詳の体は贅に肥えたものではなくちゃんと鍛えられていて武人を思わせた。
うん、こんな大人になりたいな(2回目)。
じっと憧れの眼差しでみていると、それが面白くなかったらしい父様に皇帝陛下から隠されてしまった。
その後に聞こえてきた掛け合いから、どうやら父様と皇帝陛下はご学友であるらしく、母様と皇帝妃も幼なじみで仲が良いのだとわかった。だからってそんな馴れ馴れしくしないでよ。
「でも、シンリがあんなに動けるとはな。」
「そうそう。」
「それは、兄上についての記憶が戻ったからですかね。」
兄上の事を思い出した事が嬉しくて、受かれたような状態が今の家族に通じたのか、ムッとした雰囲気が父様や兄様から発生し始めた。
それを母様が嗜めつつ、僕の目線まで腰を落とすと質問をぶつけてきた。
「どんな記憶なのかしら?」
「兄上は僕の光なんです。」
暗いくらい場所から僕を照らして助け出してくれた。
それだけじゃない、食べることの喜び、学ぶことの楽しさ、安心できる場所の心地よさ、多くの生き方を教えてもらった。
何よりも
「大切な人を守る事のできる力を教えて貰いました。」
「……そんな兄に戸惑いもなく攻撃を喰らわせたがな。」
心外だなと母様とよく似た笑みを浮かべながら、母様から離れてまだ鳩尾を撫でている不満げな兄上の元に向かう。
「兄上なら大丈夫でしよ?本気じゃないし。」
「まあな。」
「兄上の事を思い出せて良かった。だけど紫暗さんや六花さんの事は全然だけどね。」
「あの二人の事なら思い出さなくても構わん。」
「えっ?」
いいのかな。どこかで残念なイケメンが酷いって泣いてそうだが。
「それと、今の世界では俺の事はコウランと呼べ。」
「……コウにぃ?コウ兄さん?」
「…………どっちでも良い。」
しばし、無表情で何かを考えていた兄上もといコウランは首を傾ける僕に諦めたようなため息をして許可をしてくれた。
きっとこの世界では肉体的には兄弟では無いからそう言ってくれたのだろうけど、僕にとっては兄上は兄上だからしょうがない。
何だかんだで魔王と呼ばれるコウランも僕には甘いようで良かったです。
「シンリっ、俺たちの事もにぃって呼んでよ。」
「そうだ!」
「ヴァン兄様やシス兄様は兄様だから。」
「魔王でもこの国の皇子だからな。」
「それもそうか。じゃあコウラン皇子さ」
「やめろ。」
コウラン皇子様と呼ぼうとして本当に嫌そうな顔をするコウランがおかしくてクスクスわらってしまった。
「楽しそうにしているところすまない。」
「あっ、ご免なさい。」
「君は良いこだね。うちの魔王も原因だから気にすることないよ。それと、正式の場ではちゃんと皇子でね。」
「もちろんです。」
「……ちっ」
皇帝陛下、マジ優しい。
「さて、コウランの大切なシンリ君を見れた事だし我が可愛くない息子の面白い姿も見れたし……」
「おい。」
「そろそろ、謁見の間の修復を頼みたいのだが?」
「僕達も手伝いましょうか?」
「いやいや、魔導師達の能力をもってすればちょちょいのちょいだから大丈夫だ。」
皇帝陛下が合図をすると、謁見の間の扉が開き様々な色のローブを見にまとったものたちが次々と入ってきた。
彼らはその場の惨状に目を見開いたかと思うと直ぐ様に至る場所に散り、呪文を唱え始めた。
彼ら呪文を唱えると、その場所が光り元に戻る。
そもそも、この城には記憶の魔法が掛かっており、その魔法のお陰でよほどの破壊でない限り元に戻すことができるのだとか。
「魔法って良いね。」
「ああ、お前が前に使っていたのはアレだしな。」
「ねぇ。」
コウランと前の事をほのぼのと話していると、その話が聞こえてきたのか皇帝陛下が興味を示してきた。
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