僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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陰謀渦巻く他国旅行

私は孤児院で出会う

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「リンちゃん!来たわよ。」



 今日は町娘風にちゃんと変装する。
 紺のエプロンドレスに生成りのシャツ、手には蔦で出来た籠を持ち、中には昨日食べて美味しかったクッキーがこれでもかと詰めてある。
 もしも足りなくても空間魔法にストックは入れてあるので問題ないでしょう。

 兄上は普通にシャツとズボンなのだが、その高貴なオーラが隠せていなくて、上品な男感が拭えなくてナンパを避けるのにとても時間を食った。最終的にはイチャイチャしながらここまできた。とても、周りのお嬢様がたの目つきが怖かったです。

 今回、アキさんには囮になってもらって監視している人を撒くことにしたのです。

 そしてやっと見つけました。
 東通りの少し寂れた教会に、目的の孤児院はあった。

 孤児院のインターフォンを鳴らせば、おずおずとリンちゃんが出てきてくれた。その奥には様子を見に来たのかいろんな年齢の子供達が十人ちかくいた。


「い、いらっしゃいませ。」
「わぁ、子供がいっぱい。お菓子足りるかしら。」


 なんて言いながら、空間からクッキーを大量に出してリンちゃんに渡す。
 孤児院の子供達が目を輝かせて、ソワソワ。

 その時、更に奥から20代ぐらいの女性と男性が現れた。女性は修道服をきていて、男はボロボロの作業服らしき物を着ている。


「私、ここの教会から孤児院の管理を任されています。リョクナと申します。」
「その弟のリョクシと言います。」
「お姉ちゃんとお兄ちゃんはこの修道院の仲間だったんだよ。」
「あら、では‥…。」



 リョクシの使い込まれた手を見れば、恥ずかしそうにその手を背中に隠す。
 それを半ば強引に引っ張り出し手を握れば、思っていたよりも距離感が近くになる。
 私の顔を見た彼が湯気を出すように顔を真っ赤にしているが、それよりもこの手だ。

 タコまみれのゴツゴツとしたこの手からは苦労を感じさせる。ちゃんとした職人の手である。


「良い手です。この手があの様な素晴らしい作品を造り上げるのですね。」
「あ、あの。」
「もっと作品を見せてください。造っているところも。」
「あ、ちょっと。」
「シスターには俺も聞きたい事がある。」



 グイグイとくる私達に戸惑いながらも対応してくれる二人。
 リンちゃんには皆とお菓子を食べていて貰い、私はリョクシと工房兼彼の部屋に向かう。この施設では年長の一人で一人部屋をもらっているらしい。ある程度の年齢になると孤児院から卒業することになっているらしいのだが、趣味だった木の細工が孤児院の運営の助けになっていて、そのまま住んでいるのだという。


「こんな素晴らしい作品ですもの。」
「あ、ありがとう御座います。」
「この鳥さんの可愛らしいですわね。」


 透かし彫りとは少し違った、立体的な鳥の木細工。

 簡単な生命の魔法を掛ければ、鳥は宙を舞う。うん。予想通り私の魔力と相性が良いわ。


「この鳥さんを頂きます。あと、家族や知り合いのお土産も欲しいの。」
「あ、はい。ですが、こんな素人の物で宜しいのですか?」
「貴方の作品は人を思う優しさを感じで私は好きです。迷惑ですか?」
「いえ、助かります。そろそろ塀を直したかったので。」


 自分のボロボロの作業服よりも施設なんですね。やっぱりこういう人は良いですね。作品にもその信念が染み付いて居ます。

 壁なぞ、私が魔法でチョチョイです。大丈夫。私の魔法は省エネなので疲れませんよ。
 今回の売上は自分に使いなさいな。そのボロボロの作業服だと、いずれ怪我をするから。そしたら、誰が露店の商品をつくるの?


「そうねぇ。そのかわり、造ってもらいたいものがあるんです。」



 空間魔法から取り出すのはとある設計図。家族へのお土産として初日から考えておいたものです。
 こんなのがあれば、欲しい人は結構居ると思う。
 設計図を二人で覗き込めば、リョクシは目を見開いて、設計図をガン見する。
 気付いていないだろうけど、小さな子どもみたいにすごく顔が楽しそうだ。


「これは、面白いですね。」
「アイディアはあげるわ。そのかわり、良いのを造って欲しいわ。渡すのは大切な家族なの。」



 私が、渡したのは写真を持ち歩くためのロケットの設計図。

 透かし彫りと合わさればおしゃれで日常でも使えるでしょう?
 父様は城に長期間行くことがある。その時、持っていたらいつでも一緒に居るようで嬉しいかなと。
 私はもうすぐ学園に通うことになるから、頻繁に会えないからことさらよね。



「これは、良いですね。夫婦や恋人、遠くで働く人も家族との思い出が直ぐに見れるのが特に。」
「細い作業だと思うのですが。」
「これぐらいなら大丈夫です。少し改善させて頂きますが。」
「改善?」



  設計図を書いたときに、いい出来だと思っていたのだけど‥…。


 よほど不思議な顔をしていたのだろうか、、リョクシがくすくす笑って、汗ですよと教えてくれた。

 確かに身に着けるなら汗の対策をしないと劣化してしまうわね。更に防水をしないと写真が駄目になっちゃう。

 即座にそんな改善点が思いつくなんて凄いわ。



 ふむふむと感心していると入口の方からざわざわと声が聞こえてきた。お菓子でも足りなくなっちゃったかしらとピョコンと顔を出せば、子供達は胡散臭い笑みを浮かべた眼鏡の男を追い返そうとしている。
 何があったのかしら?

 胡散臭い笑みの男は白髪で、シルバーの眼鏡を掛けている。ってどこかで聞いたフレーズよね。

 私の姿をみた、男は胡散臭い笑みから口をダランと開けて、目を見開いた。
 知り合いにはいないと思うけど。


「どなたです?」


 こてんと首を傾げたら、男の眼が揺らいだ。






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