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陰謀渦巻く他国旅行
僕と東の国の商人さん
しおりを挟む『見つけた‥…』
そう呟くのが見えた気がした。
ゾクリと微かに背筋に悪寒のようなものを感じる。どこかで会っているのかもしれないが、身体が拒否している。
こんな感覚は初めてだ。あまり関わりたくはないな。
眼鏡の奥にある男の探るような緑がかった黒い瞳が、舐めるようにくまなく見てきて、その気持ち悪さに血の気が引くくらい、思わず手を握りしめていた。
しばらくすると、男がまた胡散臭い笑顔の表情に戻った。
「はじめまして、僕は東にある『ニホン』からきました商人のムラキというものです。お嬢ちゃんも孤児院の子ですかね?」
「出ていけよ!」
「はは。子供達には嫌われてまして。」
子供達が躍起になっている。
商人といっているから、もしかしたらリョクシさんの商品を取り扱いに来たのかも知れないけど。
リョクナさんもコウにぃも見当たら無いし、男を子供達が押し出すようにしているし。
これだけ嫌われるなんて何をしたんだか。
「また、来たんですか。こちらは貴方と違ってちゃんとしたお客様ですのでちょっかいを出さないでください。」
「お嬢ちゃんがあまりにも知り合いに似ていてね。名前を聞いても?」
私の前にリョクシさんが出てきてくれて、ムラキからの視線から守ってくれました。男からの視線がなくなってどこかホッとします。知らずに緊張していたのか、手のひらに汗がびっちょりかいていました。
深呼吸を繰り返して緊張を解しておこう。
でも、この人は一体。
「怖がっているじゃないですか!」
怖がっている?
人形の国でロキ王と対峙しても怖くなかったのに、なぜこんな商人と出会っただけで?
いや、今はそう見えていた方が良いはず。
キュッとリョクシさんのズボンを握りしめて、俯き加減でよりそえば、優しく手のひらを外してくれて、部屋で待っているように促された。それに静かにうなずき返すと、先程の作業をしている部屋に戻って鍵まで閉める。
アイツは誰だ。
ムラキなんて男を今も昔でも知らない。知らない。
もしかしたら、欠如している記憶にあるのかもしれない。
コウにぃ曰く残りは仲間だった人達の記憶の宝玉一つ。これは後々に理由が分るが学園に在学中に探す予定だった。
でも、あの男は絶対仲間ではない。
ということは、宝玉はもう一つ以上ある?
確かに最初の宝玉の話の時に兄上が嘘を言っていたのは分かっていた。
兄上は僕に思い出されたくない記憶があるようだ。
一人で閉じこもりながらも色々と考えていたら、入口の方で喧騒がグレードアップしてきた。もう、叫び合いだし、子供の何人かは泣いていないかなこれ。
私が行っても何も出来ないのはわかっているのだけど、このカオスをどうにかしないと。
動き出そうとしたその時。
「騷しいな。」
聞き馴染みのあるイラつきの混ざった低音の声。
耳に入ってきたらホッとして泣きたくなってきた。
「押し売りなら、他を当たれよ。」
「貴方も居ましたか。」
兄上が登場すると急に商人の声が焦りの感情も含まれた。
この口ぶりは兄上と知り合いの様な口振りだが、兄上が苦手なのか嫌悪感があるのか刺々しい感じのする口調だ。
「初めて会ったと思うが?悪いがナンパは散々良い女にされたんで要らん。俺は、いま孤児院の慰問中なんでな。警邏隊を呼ばれたくなかったら帰れ。」
「誰があんたにナンパなど。するなら先程のお嬢ちゃんが良いですね。」
「悪いが、もう警邏隊を呼んでいたんだった。」
遠くの方でガヤガヤ声が聞こえてくる。ムラキは舌打ちをしたあと、胡散臭い笑みを貼り付け直して大げさなほど丁寧な挨拶をして逃げるように帰って行ったと後ほど子供達に教えてもらった。
この対応してくれた時のコウにぃはとても格好良くて、正義の味方みたいで凄かったらしい。
正義の味方の魔王様の兄上かぁ。
あれ、そんな魔王様の小説読んだことあったなぁ。
「今日はお騒がせしました。」
「いえ、私もなんか火種だったみたいで。知らない人なんですけどね。」
「そうですよね。こんな格好良くて頼りになる婚約者がいるのに他に目移りしませんよね。」
泣いてしまった子供達をあやしつつ、今はお茶の時間。
涙目ながらもリョクナさんの手造りパンケーキを頬張る子供達はかわいいです。
どうやら、リョクナさんは近くに材料を取りに行っていたらしい。女性に重たいものを持たせないように兄上もついていって二人していなかったのだとか。
いや、戻ってきたのはナイスタイミングだったよ。
「あの商人はよくここに?」
「ええ。最初は薬を売りにきて。」
「へぇ。」
コウにぃと目線で頷きあった。どこかで聞いたと思ったら城でだった。侵入者の女が言っていた胡散臭い笑みの男。彼で間違いなさそうです。そんな男とまさかこんなところで出会うなんて。
「その時に庭に、珍しい薬効の高い植物があると無理やり入ってきてしかも花壇を荒らしてかれまして。子供達は怒り心頭です。」
「植物?」
「はい。花壇に山に散歩に行ったときに子供達が気に入ったのを植えるんです。そこにある植物ですわ。」
リョクナさんが指差したのは赤茶ぽい花がベルの様になっている植物だった。
確かにその植物の周辺は少し荒らされていて植物の元気がない。
あれって見たことあるぞ?
「ハシリドコロだ!」
「ハシリドコロと言うんですね。どうにか死守したんです。」
まて、ということはもしかしてフグ毒じゃなくてこっちを使ったのか?
ハシリドコロにも嘔吐などの症状を起こし、幻覚や昏睡も起こす。それらを利用して仮死も作れるかもしれない。何より目覚めた正妃の眼がキラキラと輝いていたのは、ハシリドコロや西洋ハシリドコロのベラドンナの効能の散瞳効果のせいかもしれない。
いや、鑑定したらエンドトキシンだったからフグ毒で間違いないはず。
「その花は毒草なんです。」
「えっ!」
「特に根に強い毒がありまして。触った手で目をこすると光が眩しくなる症状とかが。」
説明をして花は泣く泣く処分してもらった。
でも、あの男はなぜハシリドコロを手に入れようとしていたのか。
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お久しぶりです。SHINです。
いつもお読み頂きありがとう御座います。
明日は申し訳ございませんが、更新を休ませて頂きます。また、明後日に再開しますのでよろしくおねがいします。
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