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陰謀渦巻く他国旅行
私と楽しい他国旅行
しおりを挟む王城では欲にまみれた男が好き勝手をして、王さえも甘美な言葉でそそのかし、いつの間にか腐敗した世界になっていた。
それを嘆いた妃達は苦言も述べたがその言葉は甘美に溺れた王には届かなかった。
とある日、観光に来ていた隣国の王族を暫く城に泊めた。しかし、それが崩壊の始まりである。欲にまみれた男は何を思ったのか隣国の王族の大切な人を傷つけ、隣国の王族の怒りを買った。
その国はこことは比べられないほどの大国で、もしも戦争になったら、一晩もかからずに焼け野原になっていたであろう。
それをどうにか留めたのは、とある貴族の男だった。
男は、自ら頭をさげ赦しをこうた。
『国民だけは恩赦を願いたい。』
保身を考える他の貴族と違い、彼だけは国の民を案じてくれた。
その心清さに隣国の王族は条件を出し、それを叶えてくれるのなら許すと約束してくれた。
その条件とは‥…
「今日からはその、貴族の男のクロウリー様が王様なんだって。」
私はいま、一人でお土産を引き取りに孤児院に来ています。子供達がまるで自分の英雄談でも語るかのように胸をはって説明してくれる。
今の話は、事実を混ぜて少し嘘も混ぜて創られたお話し。
急に王様が変わりましたよなんて言っても国民ごすんなり受け入れることは無いだろうからと。
しかも、新たな王はこの国に珍しい色白のヒョロリとした吸血鬼の様な男。
これぐらいの美談にしたら、高感度もうなぎ登りだ。
「でね、条件ってのがね。」
「こらこら、お客様が困っているよ。」
子供が楽しそうに私に絡みながら、話しの続きをしようとした時に、奥から包み袋を抱えたリョクシさんが現れて苦笑いをしながら、話すを止めた。
「あまり、娯楽が無いからかこういう話しは、楽しいみたいで。」
「いえ、私も国に良い土産話が出来て良かったです。」
「国民をここまで思ってくれる王ならばきっと良い王なんでしょうね。前の王は、可愛そうな人でしたから。」
「ご存知なんですか?」
リョクシさん曰く、アレキサンド元王が就任したときにあまりにも突然で人々は不安だったそうです。
王族とは無縁だったはずの男が欲望渦めきあう世界に放られて、どうにかなるのは想像出来たとのこと。しかし、思っていたほど酷い政治にはならなかった。税金が上がることも、治安が悪くなることもなかった。
きっと努力をしたのだなと思っていたのに。
「まさか、王の立場を追いやられる様な事になっているなんてな。」
やっぱり見ている人は見ているんだな。
政治を土壇場で守っていたのは妃達。元宰相がいくら王に税金を上げて国民から搾取しようとしても、経験浅い王は後ろ盾の妃達が否を伝えればそれ以上は行えなかった。もしかしたら、妃達を追い詰める様な事になっていたのは元宰相が何か伝えてたかな。そして、変な噂が立たないように王族の名誉を守って国民に不安を抱かせないようにしていたのはクロウリー。
彼が行動していなければ、国民は色々と不安をいだきながら、そのうち国から離れて行ってしまっただろう。
彼らがいなければリョクシ達の予想通りになっていたであろう。
だけど、打ち止めまでは出来てもそれから先の打開策はまだ出来ていなかったみたいだけど。
荷物をまっている間に入れてもらった紅茶はもう、冷めている。
口を濡らすために一口飲んで、ソーサーに戻す。話をと切らされた子供はほっとかれて飽きてしまったのかすでにもう、外に遊びに行っている 。外の花壇には一箇所だけポカンと空いている場所がみえた。
すこし、沈黙が訪れる。
「アレクはここで育ったんです。」
「あら。」
アレクはアレキサンドの愛称の一つ。
まさかの偶然か、ここが幼少の時に住んでいた孤児院かぁ。
「出てってから一度も顔を出してないですけど。きっと彼は周囲の環境に流やすいのかもしれないですね。」
というか、何も考えて無さそうだったけどな。
「それより、色々と要望を叶えてくださいましてありがとうございます。」
「え、あ、はい。こちらこそいろんなアイディアを有難うございました。」
包みを大事に抱えて、軽くお礼を伝えて孤児院を出る。
あれ以上いたらしんみりしてしまいそうだったわ。せっかくの楽しい旅行にしたいのだから。厄介事も押し付けたんだし。明日までの時間を楽しむんだよ。
包みをいそいそと空間魔法にしまい、市場に向かいはやあしで歩き出す。
市場は相変わらず活気があって、何度か買い物をして顔なじみになったお店からはそのまま食べれる果物や焼串等をお土産にももらい、話しかけられてだいぶ馴染んできたんではないかと思うが、残念ながら今日でお別れです。
もうちょいこっちの郷土料理のスパイスタップリの煮物とか、独特の香辛料のお茶とか飲みたかったけど、また、時間があったらリンちゃんに会いに来よう。今度は家族旅行でも良いな。
賑やかだった市場は宵になるにつれ、落ち着いた雰囲気となり、昼間とは違う系統の店が開かれはじめた。それに伴い絡んでくる人達も出てきたが、なんと、以前絡んできたチンピラたちが止めに入ってくれた。
どうやら、以前にのされて脅した時に周りの優しさに気がついたのだとか。『馬鹿、お嬢に殺されるぞ。』や『オレはあの御方に殺されるかと思って足をあらったんだ。』なんてのも聞こえたけど聞かなかったことにしてあげましょう。
完全に辺りが闇になり、街灯が灯った頃私は頃合いだとばかりに城へと帰路に着いた。
不審な男が後についてきていると知りながら。
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