僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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大波瀾の学園生活

2つの悪意の交差

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 が居たのはオレが仕向けたからだ。


 オレの名前はオレオ・バーシャル・リカードだ。リカード侯爵の長男で将来爵位を受け継ぐ選ばれた者だ。
 初代リカード侯爵は狩りの名手で、かつて大量のモンスターが国に迫ったとき、その才能を活かして活躍をして爵位を与えられたという人だ。

 モンスターを狩るとその素材は冒険者ギルドが買い取ってくれたり、滅多に見ないモンスターだと高値で貴族が買ってくれたりする。
 オレのリカード家は珍しいモンスターを狩ることが多かったため、富も手に入れることができた。

 もしも、オレが女、または王族に姫がいればきっと婚約者に選ばれただろうが、今世代の年頃の王族は全員男。

 残念ながらオレには関係ないようだ。
 だが、遊びでちょっかいを出すならともかく、この高潔な血を次世代に残すにはちゃんとした女ではないとな。
 目ぼしい女は、アンナとシシリーなどたった数人。遊ぶだけならカリナとかいう顔の良い男爵令嬢などいっぱい居るんだけどな。

 


 とある日どうしてもアンナと、シシリーそして平民の男を屈服させたくなった。
 とも言うのも、新入生歓迎会で演舞を披露したとき、完璧で学園長にも褒められたオレを抜かし会場中から盛大な拍手と、褒美まで与えられた。
 本来ならあの名誉はオレの物だったのに。

 『クス』

 誰かが笑った気がした。
 ふとそちらを見ると、男爵令嬢のカリナだった。何を笑っていると怒ろうとしたら、声になっていない言葉が囁かれた。

『実地体験。』

 そうだ。
 我々は学んだ成果を披露するため、実地体験をするのであった。なら、アイツらを見返してやろうではないか。
 隣でオレと同様顔を真っ赤にしていたお父様に、相談すると、嬉しそうにとある魔道具を貸してくれた。

 それは初代がよく使っていたもので、モンスターを呼び出すことが出来る魔道具だそうだ。初代はこれで狩りの練習をし、素材は売る事をしたらしい。
 元手は只で、素材が手に入るとはなんとも便利な道具ではないか。

 クゥンと召喚獣が鳴いた気がしたが、派手さのないただの狼は黙っていろ。

 あぁ、実地体験が楽しみだぁ。




 だが、楽しみだと思っていた実地体験は最悪だった。
 何度もお父様に連れられて冒険者を囮に狩りをしたことがあったから自信満々にいたのに。

 オレの班は目の前に角ウサギが来たとき誰も動かなかった。教師がどうにかする前に勝手に身体が動き、魔法が出てしまった。無事に撃退することができたのは良いが、それによって辺りにモンスターが飛散したのは最悪だった。


「なぜ、囮にならない!」
「あ、荷物が重くて。」


 この実地体験が5人からの編成だったので仕方無しに低爵位と平民を組み込んだが、使えない。
 オレと取り巻きの荷物をもたせた位で何が重いだよ。

 それにしても、コウラン皇子も好きモノだよな。荷物を自分で持つなんて。しかも、婚約者にどこの生まれかも分からない女を選ぶなんてな。
 まあ、顔は可愛らしいし、後ろ盾はかの有名な辺境伯だからな。
 許容範囲か。

 しかも、魔法は器用に使うし柔順そうだ。

 ああ、見返したあとに少しだけ味見をするのもありか?


 
 現場に行くと、いつもオレの邪魔をするバルスとかいう教師がいた。他の生徒には人気らしいが、そのうち、お父様に言って辞めさせてやろうかな。

 さて、準備は下のやつに任せてオレは別の準備でもやらせて貰うかな。明日が楽しみだ。


 色々と命令をして、取り巻き達と森に入った。ガサゴソとオレが何がしているのを不思議そうに眺める二人の取り巻き。見られようが魔道具が取られようが、これは我が家の血筋しか反応しないらしいから良いけどな。

 準備をして戻れば、どうにか手に入れたらしい角ウサギの丸焼きを準備していた平民。
 まあ、今日ぐらいはソテーとかは我慢してやるか。

 王族より良いご飯なんてこんな時じゃないと食べられないしな。
 ははは。コウラン皇子が冒険者の様な食事をしているぞ。肉なんてこちらの方が豪華じゃないか。

 その夜は寝床の硬さなんて気にしないでとても愉快な気分で寝ることができた。これもあの魔道具のおかげか。


 
 次の日、魔道具が発動するまで角ウサギ退治をする事にした。魔法を持つオレたちがナイフで退治する意味がよくわからないが、適当にやっておく。

 ナイフの刃目をよく観察しろ?

 そんなのどうでもいいだろ?

 グダグダいう教師が鬱陶しかったが、どうにか目標の、25匹にのモンスターを退治できたのでいよいよ魔法で倒す事になった。
 炎が駄目なのは森を燃やすからだろ?なら、小規模なら良いんじゃないか。そう思ったオレって天才だろ。と問答無用で火の系統の魔法を撃とうとしたら、背後から大きい音がして不発になってしまった。

 もしかしてと思わず振り返ってみるとシシリーが雷を落としたみたいだった。その振り返りの際に、どうやらオレを止めようとしたシアとかいう教師と目が合う。
 チッと舌打ちをして、無難な氷魔法に属性を変えた。召喚獣のお陰か精度があがった気がするが、素早いウサギに上手く当たらなくて苛立つ。


 その時だった。

 女の悲鳴と空気が緊張感のあるものに変わったのは。
 そちらを見ると、予想通りの存在がそこに立っていた。

 黒光りの角に血走って理性の無い目。鼻息が荒く、いつでもこちらに駆けて来そうな蹄。
 額には高額で売れると知っているモンスターの証。

 その正体はミノタウロスだった。




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