82 / 245
記憶を求めて奥底に
僕の決着
しおりを挟む寸鉄が眉間に刺さっている僕か目を見開いたままに後に倒れてゆく。それを糸で支えてゆっくりと地面に横たえれば、身体の端から砂のように溶けていった。
彼は強いけど、初戦は記憶。僕はその記憶の先を知っているから、経験値等で表すなら彼よりも多くもっていた。
「このダンジョンで色々と学んだよ。有難う。そしてお帰り。」
砂のように溶けたあとに手のひらに残ったのは、オパールの様に多色に輝くビー玉大の宝玉だった。
ダンジョンの核であるこれを此処で取り込んで崩壊に巻き込まれる可能性があるので、セーフティルームで地上に転移する直前で行ったほうが良さそうだ。
他に、ドロップしているものは無いか周囲を確認し、フロアの最奥に別の部屋があるのが分かる。その部屋こそダンジョンの最奥と言った所か。
最奥の部屋には、4つの寝台がありその内の3つが塞がっていた。
寝台には男女の見目麗しい人が眠っているようだった。その誰もがどことなく雰囲気が宵月に似ているきがする。
「もしかして、話していた仲間?」
「『ああ。そうだ。1人居ないようだが、皆、ここでの名前が無いから付けてやると喜ぶと思う。』」
「僕がつけていいの?」
「『むしろ付けなかったら、拗ねる。』」
どういうこっちゃね。
まあ、良いか。
取り敢えず、名前をつければ良いんだね。
3人のメンバーを見ると、女性が2人に男性が1人。
小さな女の子と大人のお姉さん、僕と同じぐらいの少年だ。
小さな女の子は薄茶色のツインテールを上目にくくっていて少女特有の細さに似合う可愛らしい服装をしている。目の色や雰囲気など分からないが、好む服装を見るに活発そうだ。
大人のお姉さんは、うん。この世界ではあまり見ないボボン、キュ、ボンだ。ボン、キュ、ボンではないボボン、キュ、ボンだから。
真っ赤な燃えるようなショートの髪にストイックな服装は体型と相まってエロい。
僕と同じくらいの少年は僕が言うのもなんだが黒髪で幼い顔つきの子だ。まだ幼いゆえの柔らかな四肢に、不釣り合いな手の傷が少し目立つ。小さな少女と違って大人しめのかんじかな。
こんな様々な子と仲間だって宵月が言わなきゃ信じなかったな。
「取り敢えず起きてもらおうか。」
「『御意。』」
人数的に運べなくは無いかもだけど、大人のお姉さんを鼻の下を伸ばしているウォルターに運ばせたくなかった。というか、その顔を見たら女性はドンびくぞ。
ユサユサと揺すってみても肩を軽く叩いてみても反応がない。いっそのこと殴ってみるか?
初対面の人に殴られたら困るよな。
どうしたものかと悩んでいると、宵月が問答無用で勢いよく頭を叩く。良い音が響いた。因みに小さな少女にだけは拳骨だったのは見なかったことにする。
「『いったーい!』」
少女が頭を抑えて悶絶している。
そうだろうよあの拳骨は痛いよ。宵月も何の恨みがあったのか容赦ないな。
少女の叫びが印象的でそちらに注目してしまったが、他の二人も目が覚めたようで寝台から起き上がり、状況把握の為に当たりを見回して、僕と目が合う。
それは、宵月と初めてあったように驚いた顔をして、泣きそうになる者もいた。
「えっと、取り敢えず此処から出るから付いてきてくれる?」
説明も後回しで良いだろう。
何か言いたそうな、今にも抱きついてきそうな女性軍と冷静に宵月に事情を確認してひそひそしている少年。少女が僕に飛びつこうとしているのを襟首を掴んで阻止しながら、寝起きメンバーでまたひそひそと何やら説明している。
時折少女の『えー』だの『うそっ!』などの声が聞こえるが、その他は静かだ。
ハブられた様な形になってしまった宵月の隣にスッと移動する。そしたら反対側にコウにぃが寄ってきた。ウォルターは少し離れた位置で様子を見ている。というか大人のお姉さんのとある部分に夢中だ。
「後は、上に戻ってからで良いかな。」
「『はい。お待たせしてごめんなさい。』」
おや、活発少女(予想)が思っていたよりおとなしいぞ。目覚めたばかりでまだ戸惑って居るのだろうか。お姉さんも少年も大人しく付いてきてくれるようだ。
ボス部屋前のセーフティに団体様で移動する。
セーフティにはボスを倒したのに関わらず転移装置が使用可能のまま置かれている。まだ核が存在するからだろう。一回の使用人数は5人。宝玉、このダンジョンの核を持つ僕は後のほうが良さそうだ。
「僕は直前で宝玉を取り込んでから乗り込むから、皆は先に行ってて。」
「‥…宵月、任せた。」
「『言われなくても。シンリの召喚獣だからな。』」
兄上は、ウォルターの監視もあるからと先に 目覚めたての3人と共乗り込んだ。
緑色の光が彼らを包み、一瞬で消えてゆく。
ダンジョンを構成しているので核が外に出たらどうなるか分からなかったので残ったのだが。
「宵月、腕に戻る?」
「『いや、記憶を取り込んで何が起こるかわからないからこのままでいよう。』」
「有難う?」
ビー玉位の宝玉は簡単に口に含められた。衛生的によろしくないかもしれないが、まあ、お腹は壊さないだろ。
コクリと喉を鳴らして飲み込んで転移装置に入った。記憶の欠片が身体に馴染む感覚がする。ツキンと相変わらず頭痛がするけど、一番最初の時に比べたらマシだ。
転移装置が起動して飛ばされる感覚が目眩のように感じてバランスを崩した所を宵月が支えてくれた。
宵月をじっと見つめる。
ああ。何で僕は彼等を忘れて居たのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ざまぁされるための努力とかしたくない
こうやさい
ファンタジー
ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。
けどなんか環境違いすぎるんだけど?
例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。
作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。
中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。
……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる