僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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記憶を求めて奥底に

僕のダンジョン後の後始末

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 毎度のことながら何かあると使わせて貰う王城の謁見の間。そんな場所で今宵始まりますのは愚かなくだらない野心家の男の墜落劇。
 野心家の男の名はネイキッド。スマラルダス家の現代の当主である。
 スマラルダス一家はかつての戦いの系譜で武功を上げた武道に秀でた一家だ。それは現当主も同じ。
 今は争いなど皆無であるが彼は常に身体を鍛え、上を目指しているのだ。

 そんな彼が皇帝陛下や辺境伯などがいる謁見の間に連れて来られた。ここに入るのはスマラルダス家の当主になったとき以来だった。
 前のときは華やかな雰囲気に歓迎されている様だったのに、今やネイキッドを見つめる目は冷ややかな物だった。

 


「ネイキッド・スマラルダス、今日からスマラルダスの家名を名乗ることは赦さん!」
「ち、父上?!」



 前のスマラルダス家当主だったラカン・スマラルダスがした宣言は衝撃を受けるには十分な物である。まるで絶縁宣言のようではないか。

 ショックを受けながら自らの父を見上げれば、その隣にいるのはシンリである。僕の姿を見たネイキッドは一瞬驚いた顔をしたが直ぐに睨みつけできた。



「まさか、シシリーお前が!」
「僕はシシリーじゃない。シンリ・ディーレクトゥスだよ。」
「お、男なのか。」


 そこかい。
 ラカンの怒りにダンジョンの事がバレたと思って、側にいた僕(女顔)にシシリーと勘違いしたのか。

 まあ、ネイキッドの予想通りなんだけど。


 
「お前が、グレイシア嬢を使ってウォルターに無理難題を押し付け、更にはコウラン殿下の婚約者への危害を示唆したとは。スマラルダス家の恥が!」
「お、お待ちください。それはウォルターの戯言で‥…。」
「黙れ!お前がウォルターに宛てた手紙は既に屋敷でみつけてある!」
「な、あそこは誰にも言っていないのに。」


 うん。
 見つけるのに少しだけ苦労したよ。


 ネイキッドは武功の家系だけあって今日まで王都の警邏の仕事についていた。ラカンは騎士団の元団長であり、どうやら同系の仕事でラカンと比べられることを嫌った結果のようだ。

 本当なら騎士団に入り上を目指したかったのに、いつもいつも彼には父親の影が纏わりついた。
 父親と違う職種についたというのに、ことあるごとに比べられ、彼は父親よりも上の存在になる野望を持つ事となる。

 たまたま、国を出た美しいハーフエルフを手に入れて、その弟を父親を経由して騎士団に、入隊させてこの国へ移住のための土台を作るのを手助けすることで借りを作った。そして、美しいハーフエルフとの間にこれまた美しい娘が3人産まれた。
 普通の男ならこの美しい娘を欲しがるだろう。

そう考えたネイキッドは繋がりのため娘を利用しようと思い立つ。

 さらに、娘の学園入学が王族が入学と重なるという幸運が。王族の、しかも次期皇帝陛下に近い男だ。その義父になれば今まで見下していた父親も。

 邪魔な存在シシリーは居るものの、ウォルターを使えばいい。最悪失敗しても騎士団に推薦したのはラカンだ。ラカンに責任が行く。なんて思っていたのに実際は自分が吊るし上げられているのは何でか。

 そのきっかけは初めて損得無しで気になったとも知らずに。


「グレイシア嬢は娘を連れてウォルターの所に行った!」
「な、ウォルターは拘束されているのでは?」
「あやつは婚約者殿を守るための行動だと判断された。少しは怒られたようだがな。」


 その言葉に言葉を無くしたネイキッド。
 
 そもそも計画が色々とずさん過ぎる。3人で行っているダンジョンで問題を起こせば、ウォルターに視線が向くし、ウォルターが話してしまえば計画はお仕舞。実際そうだったし。たとえ、姉の為に死を選んだとしてもコウにぃが娘を好きになるとは限らない。
 
 何よりも、ストレスからかコンマの罪悪感からか女遊びをしていて、僕が家を探索出来る時間を作り、ウォルターへの書き間違えの手紙を残し、尚且グレイシアの逃亡の時間もくれるなんてなんか間抜け。 
 

「今回は、初めての様だしラカン殿にはお世話になっているのでにはしないでおこう。」
「皇帝陛下の広大なお心感謝します。」


 一応、コウにぃの婚約者であるシシリーに手を出したのだから国家に対する者となったようだ。ラカンの顔を立てて投獄とはならないが、実の所、ラカンとお話しをしてネイキッドは僕の治験の患者とさせて貰う予定だ。
 宵月達の記憶を取り戻したら色々な薬学の記憶が出て来たのでそれを試させてもらおうとおもう。警邏の立場上健康で良い検体だ。
 勿論殺したりはしない。

 それを認めてくれたラカンは寂しそうな顔をしていたが、まさかの嫁と孫娘が道具にされようとしていたことが一番許せなかったらしい。

 ウォルターが利用されていた事を報告したときよりぶち切れていた。
 その姿にグレイシアが頬を染めてうっとりしていたのはだまっていよう。

 ガックリとしたネイキッドに近づいて、耳元でシシリーとして話しかけてあげる。


「残念だったわね。貴方が狙ったコウ様は王位継承を返上しているのよ。」


 そうえば、全てが最初から無駄だとさとり更に力がぬけたようで、ラカンが運び出すまで謁見の間の床でぼーとしていた。







_______


 いつも呼んでいただき有難うございます。

 ダンジョン編はこれで終わりです。
次回は3月7日から学園編続きになります。

 よろしかったら覗いてください。
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