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王道?邪道?乙女なアレ
私の聖女の集い 下準備編
しおりを挟む礼儀作法の試験で残ったのは14人。
最初は結構な人数が居たと思っていたのだが約はんぶんの人が落とされて残りはこれだけになってしまった。
いやいや、だいぶ居るだろと思うかも知れないけど、国立の大きめの学園の生徒の数を考えてもらうと本来は少なからずの人数になるのだ。
なにせ募集は一週間もある。この一週間中で礼儀作法の準備をすることもできるし、参加の為の推薦者を集めるのも良い。
私はこの一週間で色々とマナーの復習やお茶葉の取り寄せ等に使わせて貰った。せっかくなら美味しいお菓子をと思い、コウにぃとスコーンも焼いてみた。
その裏で毎日のように参加者が出ていたようで残ったのが14名は寧ろ少ない方かもしれない。
さてはて『聖女の集い』の二日目は料理勝負。
どうやらモデルの少女は料理が得意でこの国で食べられていなかった臓物を煮込んだ料理を作って、孤児院等でレシピと共に配ったという。
破棄される筈の食材なので値段も無いに等しく、普段肉などはめったに食べられなかった孤児院の子供たちも豊富に食べれて喜んだらしい。
その功績が皇帝陛下の耳に届いたということらしい。
このことから料理勝負のテーマは『未知なる美味』で固定らしい。毎年異なるのはメイン食材であり、今回のメイン食材はなんと豆である。
豆って意外と調味料とか加工品とか幅広いよね。
ちなみにこのメイン食材は礼儀作法勝負後に、先生達から配られたカードに魔力を通すこと事で判明するヒントだ。
魔力を通した途端に大豆やそら豆、いんげん豆がころころりと落ちてきてびっくりしたよ。
「豆か。種類は決まっていないけどせっかくなら痩せた大地でも沢山とれるやつがいいな。」
「マメ科なら大体は取れるだろ。」
「うん。そうなんだけどね。」
礼儀作法勝負が終えてコウにぃ付きで家に帰ってきたので次のテーマを考えみた。この世界には転生者も多いので大体の料理が広まっている。なのにテーマが『未知なる美味』ってすごいと思う。
そのうちメイン食材は虫とかなったら令嬢たちはリタイヤするかもね。
家の調理場の端をお借りして目の前には何種類かの豆を用意して眺める。
どうせなら痩せた地で取れる豆で美味しい料理を食べてもらいたい。そしたらあまり癖のない大豆かな。
ころころと丸い大豆を転がして考えていたら、一緒に調理場に来てくれていたコウにぃが使わないと判断したそら豆を茹でて器に盛り、料理長から分けて貰ったビーフジャーキーと共に酒を煽りながら食べ始めた。
まさかの酒盛り。
綺麗な緑のそら豆はつやつやとゆだって、甘みと食べごたえもあり、その塩気はまさに酒に合うと詩人のように述べたのは料理長。
何気に我が家の料理長とコウにぃが仲良くなっていて驚いた。いや、仲良くというか下僕と主人だな。
「どんな物を食べさせたいんだ?」
「どんなものって」
くいっと、グラスを傾けて中身を喉に流し込みながらそんなことを聞いてくる。
食べさせたいものか。
せっかくなら美味しもので、フェイク料理でも満足できる物をだよね。それでいて簡単に出来ないと意味がないからな。
「簡単と言ってもそれなりに限度はあるだろ。」
「そうですよ。ある程度は手を加えることで美味しくなるのですから。」
「‥…そうか、そうだよね。」
「料理長は別格だけどな。」
料理長まで、話に加わってきて、仕事はどうしたと思っていたがどうやら部下や魔法を使って下準備をしているらしい。
『霧』の魔法で、肉や魚に酒を満遍なく振りかけ、『重力』で漬物や煮物を作る。どれも攻撃魔法になりそうな魔法だが、彼はこれらを料理に使う。
そっか。別に魔法を使っても良いんだ。
なら、加工が難しくて候補から外していたあれを作ろうかな。
机に散らばる豆の中から大豆だけをボールに移して水をひたひたに入れさせてもらう。『未知なる美味』、確かにこの食材はこの世界にはまだなかったから未知なるに当てはまるわ。
「なら、次はなんの料理を作るかだな。」
「最初はしもつかれでも作ろうと思っていたのだけど。」
「しもつかれ?」
「何ですその料理。」
あれ、皆さん知らない感じか。やっぱりこれも未知なる物だったか。
あまりにも大豆をそのまま使うから何か解釈違いだなと思って抜いてしまっていたけど、ありだったか?
しもつかれとはとある地域に伝わる伝統の郷土料理で、とある祝の日に作り赤飯とともに稲荷神社に供える行事食なのです。鮭の頭と大豆、大根、他根菜、酒粕を煮込んだ料理なんだけど、僕が食べたのは鮭も酒粕も入っていなかった。酢とかで味付けするけど煮るからさほど酸っぱさも無かったな。
兄上が食べたかったら作るけど、好みが分かれる味だしやっぱり勝負には向いて無いね。
「じゃあ、今から作るのは好みは別れないのか。」
「うん。味は自分の好みにできるから大丈夫だと思う。」
「なるほど。」
うん。大豆の臭みは最大限に始末するので青臭い香りは気にならない。ナツメグなどの香辛料も混ぜる予定だし。
寧ろ料理自体を香辛料だらけにしてみるか?
カレーとか?
いやいや、大豆と思わせないけどあくまで主役は大豆なのだ。試食者が驚く顔が今から楽しみです。
「試食ぐらいはしてやるよ。」
「本当?」
「久しぶりに面白い物を見れそうだしな。」
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