僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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王道?邪道?乙女なアレ

私はこの世界のヒロインなのに

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 何故あの女が優雅にお茶を飲んでいるの?


 『聖女の集い』の三日目は3日間のサバイバルだった。しかも追手付でのサバイバルだ。
 迷宮に入ってまずお題を確認していたら二十代位の若い男達とばったり出会ってしまった。

 最初は呆然としていたけど彼らがそれぞれの武器を鳴らしたときは、慌てて逃げ出した。だけど少女とこういうことに手慣れてそうな人達とは移動速度や体力が異っている。もう少しで捕まりそうになった時、ブレスレットになっていた光の属性を持つ、ミニドラゴンが私と追手の間に入り込み光で目眩ましをして逃してくれた。

 しばらく追手が私を見失うのを待ってから行動を開始する。

 今回のイベントで一番大変だったのはお題の3つ目の印を貰うところだった。追手が3つ目に集中したのだ。それもそうか、私でも目的が分かっていたら利用するわ。だけど、今の立場だとちょっと攻略に失敗したわね。証を捧げる前に全て集めて一気にやったほうが良かった。

 これからどうしようか悩んでいると指輪が怪しく光る。そっか私はヒロインなんだから逆境を乗り越えるすべがあるのよね。


 なんやかんやでお題をクリアして3日目を迎えた。あとは脱出するだけ。

 やっと血生臭い肉をかぶりつかないといけない生活は終わるのね。
それにしても出口が、中央なんて無いじゃない。他の参加者もわかるのに時間がかかるだろうな。


「じゃ、行って来るわね。後片付けは宜しく。」



 そう言って立ち去る私の背後には血の池が出来ていた。その残虐な光景は学園長の使い魔でさえ気付くことが出来ない。立ち去って暫くして使い魔の叫びが森に木霊する。


 もしかして、こんなに真っ直ぐ出口に行くなんて私がクリア一人目かしら。あはは。これでコウラン様を攻略することができるわ。
 なんて喜んでいたのは転移されて、おそらく王城の何処かに飛ばされて来たと同時に消え去った。

 『なんともう脱出したのか。』

 そんな言葉が来るのを楽しみにしていたのに、転移して最初に目に入ったのは、コウラン様と優雅にお茶を飲むシシリーの姿だった。

 この部屋は物語に出てくる王との会談の場のようで、皇帝陛下様らしき人と、殿下が三人。その護衛の者も居るし、何より『聖女の集い』参加の家族まで来ている様だ。父がどことなくやくただずと言いたげな目線を送ってきているのが本当に気持ち悪い。
 キュッと指輪に手を這わせる。


 シシリーは私と違って汚れ一つない姿でこちらに微笑みかけてきた。
 何なのよ。
 この女ちゃんとクリアしてきたの?コウラン様を困らせてクリアしたんじゃないでしょうね。


「では、全員が迷宮から出たと言うことなのでお題がちゃんとクリアしているかを確認しましょう。ここに来れている時点でクリアできているとは思いますが。」


 学園長がどこからか現れてそう宣言する。
 シシリーがお茶をやめて、私の近くまでよってきた。
 この場には私とシシリーしかいないのでどうやら他の生徒は脱落でもしたのかしら。たしか途中に使い魔が叫んでいたと思ったし、全く軟弱なんだから。


「一番目にゴールしたシシリー嬢、追手役の冒険者からまだ祠が一つ残っていると報告がありますが。」
「見た目はそうですね。祠の裏手に紋が微かに浮かんでいます。消せば分かると思いますが、幻術で囮にさせていただきました。」
「ほお。なるほど、一つを解読できていない状態だと思わせて追手を巻いたと言うわけですね。」
「はい。」


 良いでしょう。優勝はシシリー嬢です。

とお気楽に言いやがる学園長。
 そんなのお金を握らせてどうにかしたんじゃないの。出来レースでしょ。
 大声で言ってやろうかと思ったけど、そんな雰囲気ではないのは肌でひしひしと感じるので言葉を飲み込む。

 皇帝陛下がうむうむと頷いたあとにシシリーに問いかけた。


「シシリー嬢、貴女が望むのはなんだ。」
「私が望むのは、コウ様、コウラン殿下のです。」
「自由とな。」
「はい。コウラン殿下は王族の縛りをめんど‥…いや、苦痛に感じています。」
「うむ。それで貴女の元を去っても良いのか。」
「勿論です。私の存在が、あの人の枷となってはいけないのです。」


 なによそれ。
 コウラン様は王族から抜けれるような願い?
 それをコウラン様が望んでいる?


 確かに今までコウラン様は王族だからと何かをしたわけではない。他の高爵位のヤツラなんて直ぐに伯爵が侯爵がなど位を言い出すのに、コウラン様は一度も爵位を言い訳になんかしない。それどころか苦痛に感じていたのなら‥…。

 色々と思い当たることがいっぱいある。

 だけど、私がコウラン様の隣に居れば私を幸せにするために王になってくれるはずでしょう。
 だってそれがヒロインの望む世界なのだから。

 
『そうさ。君は麗しのヒロイン。 ヒロインは最後には勝たないと。』


 いつもピンチの時には指輪から声が聞こえた。夏祭りであったあの商人の男の声だ。彼の声通りに行動するといい感じに結果がでる。その彼が私をヒロインと呼ぶ。乙女ゲームの様なこの世界でヒロインなのだと。


『まずは訴えないと。父親と共倒れは嫌だろ?』
「そうよ。そっちが優先。」
『さあ、王様がこちらを見ているよ。』
「分かっているわ。皇帝陛下様。私の話を聞いてください。」


 
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