僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~

SHIN

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王道?邪道?乙女なアレ

私と聖女の集い 男爵令嬢

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「分かっているわ。皇帝陛下様。私の話を聞いてください。」


 何やらポツポツと独り言を言っていたカリナが気になっていた皇帝陛下がチラチラと彼女を見ている。
 彼女はそんな視線に気がついたのか、ナニカに返事をしてぱっと顔を上げていきなり大声を上げた。


 その声に、驚いたのかビクリと身体をはねさせるも顔つきは変えない皇帝陛下は続きを促す。本来なら皇帝陛下にこんな勝手自由に話しかけてはだめなのだが、チラチラと見ていた手前もあるため話だけでも聞こうと思ったのだろう。

 その態度に、満足げにカリナが口を開く。

 念の為、カリナの両親の脇に私の両親が待機する。その際に見えたカリナの父親はカリナの行動に喜ぶ様な表情をしている。


「私の父親の不正を告発します。」
「なっ!」
「ほお、告発とな。」
「はい。私の父親は奴隷の売買や国財の横流し等をしています。」
「お前!」
「こちらが証拠の書類です。」


  彼女の父親が騒ぎ出したのを父様が押さえつける。母親は何も知らないのかオロオロしているだけだ。
 カリナが取り出した証拠の書類は護衛の騎士経由で皇帝陛下に渡された。コウにぃが覗きに行っていたが、中身はカリナが言っていた通り神の国では廃止されている奴隷の売買の書類や、仲間のリスト等があったそうだ。



「確かにこれを見る限りそなたの父親は国に反する行動をしているようだな。」
「はい。父がそんな悪行に手を染めているなんて想像していませんでしたが、ある日、私に『聖女の集い』に参加して男爵家の存命を願えと言っていたのに疑問を覚え調べました。」
「それが家族を裏切る行為でもか。」


 皇帝陛下の言葉に、一旦顔をうつむかせ次に顔を上げたときにはその両目には涙を溜めていて一見は儚げな少女の姿である。


「たとえ、家族が裏切り者と呼んでも私は悪の道を行く家族を止めたかったのです。」
「それは葛藤したであろう。」
「はい。とても大好きな家族でしたので最後までまよいました。だけど、家族だからこそです。」


  この発言によって自分が男爵でなくなるかもしれないのに告発なんてよくやる。だけど共倒れよりはマシだと考えたのかしらね。
 しかもタイミング的に私の『聖女の集い』優勝が霞んでしまいそう。

 そう思ったのは私だけでは無いとおもう。


「余程の覚悟を持っているとは関心だ。では、男爵家の取り調べは後程嫌というほどしよう。今はシシリーの『聖女の集い』の勝利を祝ってやろう。」
「えっ。」
「そちの悲痛な訴えは私が聞き届けた。この場でないと皇帝陛下に話が届かなかったのだろうとも分かっている。だが、今はシシリーを称えて願いを叶えようとおもう。」


 普通はそうだよね。
 この告発で風向きが変わって彼女に注目が集まり、感動した皇帝陛下がそのまま彼女を称えて何かがあるなんて漫画じゃあるまいし。

 常識的にはあまりにも緊急がない限り行事がゆうせんなのは当然。


「勿論、カリナは保護させていただく。」
「それは名案ですわ。家族の裏切り者となってまで正しきを求めた彼女を傷付ける輩がいるかもしれませんものね。」
「シシリーもそう思うか。よし、この話はそれで終わりだ。さあ、シシリーよ。この度の勝利を喜ぶが良い。」
「なんと光栄でしょうか。どうか私の望みを可能な限り叶えてください。」


 カリナが口を挟むすきを作らせないように、皇帝陛下と私で少し早口で会話する。早く終わらせてカリナを保護しないとからだ。
 周りの幾人かの者も雰囲気を察してくれて、私に祝福の拍手をくれる。
 このまま終わらせてくれたならそれなりに終わるだろうと思っていたのだけど、カリナはそれが気に食わない様だ。

 キッとこちらを睨んでまたブツブツ呟く彼女。
 その彼女の胸元のブローチは最初の白さが嘘のように黒檀の様になっていた。三日目が、始まったときにはまだグレーのようだったのに。

 私が気になるのはそんな彼女が大事そうに手を這わせている指輪の存在だ。夏祭りの後からつけているらしいその指輪から多少良くない力を感じるのだ。



 このまま保護と言う名目で彼女を調べたいところだけどここの所の彼女は情緒が不安定である。あまり刺激はしたくなかった。
 私と皇帝陛下の会話はちょっとした時間稼ぎでもあったりして。ちょっとばかりもうブローチが限界そうなので関係ない人を逃がすのだ。


「ちょっと待ちなさいよ。このが涙を堪えて訴えているのよ。興味を持ちなさいよ!」
「カリナよ。今は『聖女の集い』の最中だろ。先程の話は後で‥…。」
「私は将来王妃になってハッピーエンドを迎えるのよ!」


 キィンッと金属音がしたと思ったら彼女のブローチが真っ二つに割れて床に落ちた。その途端にモヤモヤと黒い靄のようなものが指輪から出て彼女を包みこむ。
 この気配、どこかで感じた気がしたがあの隣国で出会った胡散臭い笑顔の商人と同じ気配だ。

 神の国と言う名の通りこれ程までの嫌な雰囲気の存在は出てきにくいのだけど、指輪という触媒を国民に装備させることでここまで入り込んできたようだ。


「はあ。ここで令嬢と対決ですか。あまり観客は居ませんけど、まあ良いでしょう。」


 カリナは熱を帯びた眼差しで殿下達を見つめている。まあ、よくある婚約破棄物語とだいぶ違うけど相手になってあげるわ。

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